コーエーテクモゲームスより、DMM GAMESとSteamにて配信中のバカンス&コミュニケーションゲーム『デッド オア アライブ エクストリーム ヴィーナス バケーション』(以下、『DOAXVV』)。
本作は南国の楽園・ヴィーナス諸島が舞台。プレイヤーであるオーナーが、対戦格闘ゲーム『デッド オア アライブ』シリーズの女の子や、本作オリジナルキャラクターたちとバカンスを楽しむゲームです。
2022年11月より“トゥルーカラーアップデート”という新コンテンツが登場。これは、既存の女の子の魅力をさらに引き出すために用意されたもので、特別な水着が登場するほか、新録ボイスで描かれる追加エピソード、追加セリフや新モーションなどが楽しめます。“その女の子のためだけの大きなアップデート”といった感じです。
そして2023年8月4日より、『DOAXVV』では初の追加ヴィーナスとして登場した、ルナのトゥルーカラーコーデが配信されます。本記事では、『DOAXVV』のプロデューサーを務める作田泰紀氏へインタビュー。ここ最近のアップデートについてや、ルナのトゥルーカラーアップデートについて詳しくお聞きしました。
作田泰紀 氏(さくだやすのり)
『DOAXVV』プロデューサー。2021年6月までは本作のディレクターを務めた。『DOA3』の開発からキャリアを始め、約20年にわたって『DOA』シリーズに携わる。(文中は作田)
5.5周年やタイアップなどの開発秘話
――本題に行く前に、まずはここ最近のアップデートについてお聞かせください。5.5周年のタイミングでは、全体的にモータースポーツをフィーチャーしたような内容で、グランプリがテーマの水着“スリップストリーム”も登場しました。なぜモータースポーツに注目したのでしょうか?
作田まず、4.5周年の際のお話をさせてください。4周年まではアニバーサリー感のあるドレス風の水着をお届けしていましたが、毎回続けていくうちにオーナーの皆さんから「そろそろドレスっぽい水着以外も欲しい」というご意見をたくさんいただきまして。その流れで、アニバーサリー感にとらわれずに、4.5周年の際にはバニーガール風水着“バニー・クロック”を配信しました。
――たしかに、ドレス風水着の流れから大きく変わりましたね。
作田結果的には、オーナーの皆さんにすごく喜んでいただけました。ただ、“バニー・クロック”がすごく人気だったので、逆にハードルが上がりすぎてしまって、5.5周年のタイミングで何を配信するのかを決めるのがすごく難しくなってしまって。ディレクターに「つぎのハーフアニバーサリーはどうするの?」と聞いてみたところ、提案されたのがピタッとしたような質感の、いわゆるモータースポーツのグランプリを彷彿とさせるような水着でした。
そのデザインを起点にだんだんと、スタッフもいろいろなアイデアが膨れ上がってきたようで。ちょっと冗談に聞こえるかもしれませんが、「“5.5”だから“GO GO”」と掛けたりして、レーシングという要素をフィーチャーし、水着のみならず家具もバッチリと揃えて、モータースポーツをお楽しみいただける形でお届けしました。
――セクシーに振り切った水着も多いですが、“スリップストリーム”はカッコよさを兼ね備えているのがいいですよね。実際、多くのオーナーの皆さんが喜んでいたように個人的には見ていました。反響はいかがでしたか?
作田“バニー・クロック”の人気ぶりから「去年のほうがよかった」と言われないか不安でしたが、すごく喜んでいただけたように感じています。
――驚いたのは、レーシングカーそのものが家具として出ることでした。素人目から見ても、作るのがたいへんだったのではないでしょうか? デザインも必要ですし、家具に使えるポリゴン数の制限とかあるでしょうし。
作田スタッフたちが「どうしてもやりたい!」と言うので、実現した要素です。おっしゃるように、家具は使えるポリゴン数が限られていて、作る際のレギュレーションが決められています。私も最初に3Dモデルをチェックした際には驚いて、「大丈夫!? これ本当にゲームに登場させられるの!?」と心配になるくらい作り込まれていて。
実際にはそのレギュレーション内にうまく収めたレーシングカーとなっているので、スタッフたちの努力の賜物かと思います。もうひとつ「大丈夫!?」と思ったのが、レーシングカーのボンネットに座るポーズです。
――ああ、なんとなくわかります。たとえば、乗車方法違反に触れるのではみたいな、表現的にやっていいことなのかみたいな。あと、車のことを傷つけていると取る人もいるでしょうし。
作田そうなんです。ただ、本作は3DCGで表現している、あくまでゲームです。3DCGの世界だからこそ表現できるポーズだと思いますし、なにより、カッコイイしかわいいです。少しだけ懸念点はありましたが、結果的には多くのオーナーの皆さんに喜んでいただけたようでなによりです。
――ちなみに5.5周年のイベント時、家具ショップに大量にアイテムが登場しましたよね。あれ、受け取るのたいへんでした(笑)。一括選択があればいいのにとは思うのですが、家具ってそんなに受け取る場面がないので、なくてもいいなとは思いつつ。そんな理由で実装していないのでしょうか。
作田私もたいへんでした(苦笑)。今回お出ししてみて「あ、たいへんだな」とスタッフも感じたはずなので。
正直に言うと、リリース前に配信するすべてのコンテンツを用意してから気づくこともあります。女の子ごとに複数の商品を用意するとなると、すごい点数の商品が並ぶことになるので。オーナーの皆さんにはご不便を掛けて申し訳ないのですが、課題をしっかり認識できたのは、制作側としてはとてもよかったことでした。
――期待しています! また、6月にはマンガ家・西沢5ミリ先生(※)とのタイアップイベントが開催されました。どのような経緯で、西沢先生とのコラボが決まったのでしょうか?
(※西沢5ミリ先生のミリの表記は、正しくは単位記号のミリ)
作田2022年1月に、イラストレーターのよむ先生とのタイアップイベントを開催して、すごくオーナーの皆さんに喜んでいただけました。ならばつぎのタイアップ企画もぜひやろうと模索していたところ、宣伝チームのほうから西沢5ミリ先生の名前が上がりまして。制作スタッフたちもやる気でしたし、そこから西沢先生にお願いしてみたところ、ご快諾いただきました。
――その時点で、西沢先生のバーチャルな姿を水着にすることや、ゆきの用の新水着をデザインしてもらうことは決まっていたのでしょうか?
作田西沢先生はマンガ家としての作品はもちろんのこと、YouTubeで動画配信をしていることや、バーチャルな姿を持っていることなど、さまざまな要素をお持ちです。そこから何かコンテンツにできればいいですねという話を、事前に開発と宣伝チームといっしょにしていました。
そこで議論をしていく中で、西沢先生のバーチャルな姿の衣装がかわいいので、水着として提案させていただこう、というアイデアでまとまったんです。ただ、それだけですとタイアップ感が薄いこともあり、ゆきの用の水着をデザインしてもらうことになったんです。
――ゆきのにした理由はありますか?
作田西沢先生とのタイアップ企画の制作自体は、まだゆきのが登場していないころから進んでいました。そういえばタイミング的には、タイアップイベント開催時にはゆきのが登場しているんだよなと、ふと思い始めまして。ゆきのは、オシャレが好きな“今風”のギャル、という感じの女の子です。
我々のデザインする水着が“今風”なのかというと、自信を持って言えるわけではありません。もちろん、デザインチームもトレンドを追ったりはしていますが、それでもそういった部分はセンスや肌感によるものだと思うんです。そういった考えから、西沢先生に“今風のゆきの用水着”をデザインしてもらうのがいいんじゃないかという話になったんです。すごくカワイくて、それでいてよく見ると大胆な、すごくいい水着になったかと思います。
――実際の反響はいかがでしたでしょうか。
作田水着のデザインはもちろんのこと、とくに西沢5ミリ先生のマンガと、それをベースにしたエピソードが喜んでいただけたと感じています。ただ有償ガチャ専用水着だったので、「入手が難しい」という意見があることも分かっています。だからこそ、有償でも手に入れたいと思ってもらえるような水着にするために、いろいろな専用要素を入れ込みました。
――ちなみに水着“にしざーさん・コスチューム”は着くずれバージョンもありますが、これは西沢先生にデザインしてもらったのでしょうか?
作田全体の着くずれかたなどの方針については西沢先生に情報を聞いたうえで、我々が決定した形です。もちろん勝手にデザインするわけにはいかないので、先生が想定されているデザインなどを事前にお聞きしまして(笑)。たとえば、着くずれ時に見えるインナーのデザインは先生にデザインいただきました。そこから制作していき、先生にご提案しながら決めていきました。
――フォトスポットの追加もありました。待望の新フォトスポットとなりましたが、これは西沢先生とのタイアップがあったからこそ実現したのでしょうか。
作田もともとオーナーの皆さんからの要望も多かったですし、開発陣からも「このタイミングでフォトスポットを追加したい!」という声が多かったので、実現しました。また、西沢先生が描いたシーンをゲームで再現するには、既存の場所だけでは実現できないので、フォトスポットを追加しつつも、シーンの背景にも使用しました。
――西沢先生もご自身の姿で表立って活躍されていますが、“第35回公式生放送”ではグラビアアイドルの倉持由香さんが出演し、グラビア撮影のレクチャーをしていましたよね。
作田生放送でご紹介した通り、倉持さんが『DOAXVV』の配信を深夜にされているのを見ていたときに、グラビア撮影時に女の子を魅力的に見せるためにどのようなことを心掛けているのか熱弁されていました。寝る直前に視聴していてこれは勉強になるなと思い、きっとオーナーの皆さんの勉強にもなるのではと、特別な企画として参加していただくことにいたしました。ちなみに、翌朝までぶっ通しで配信されていた倉持さんの熱量に、私が圧倒されたこともお誘いした理由でもあります(笑)。
西沢先生もそうですが、人前に立って活躍されている方々を見ると、“かわいい”を作り出す開発者の目線として「こういう風にすることで女の子ってカワイさを伝えられるんだな」、「こうすることで新たな魅力が発見できるんだな」と気づかせていただけますし、すごく勉強になります。
――なるほど。5.5周年や西沢先生とのタイアップといった大きな要素がありつつ、そのほかにも海賊風水着の“トロピカル・パイレーツ”や、バレリーナ風水着“プリマ・レイク”、“プリマ・スワン”といった、テーマがハッキリとした個性的な水着も登場していました。
作田海賊風水着は、じつは過去にも何度か案が上がっていました。ただ、“海賊”と“セクシー”がつながらないケースが多く、どうしてもまとまらなくて。“トロピカル・パイレーツ”は、今回ようやく実現した水着になります。眼帯ビキニというものがありますが、海賊のようなデザインの眼帯でそれをやるという、新しいアイデアが盛り込まれたことで、うまく『DOAXVV』らしい海賊風水着ができたと思っています。
最初は水着だけお届けするつもりでしたが、それだけでは物足りないなと、海賊ならではの要素を楽しんでもらおうと考えて、スタッフから上がってきたのが宝箱のポーズでした。こちらも、すごく喜んでいただけたと感じています。いやー皆さん、宝箱を踏むポーズを、いろいろな使いかたをしていて驚きましたね!
――と言いつつ、想定内でしたよね?(笑)。
作田……ノーコメントでおねがいします(笑)。
――(笑)。ちなみに超個人的な質問なのですが、海賊に合わせて海賊銃みたいな小道具が欲しかったです。といったところで疑問に思ったのですが、たとえば精巧な拳銃というのは何かの制限に触れて登場させられない、といったことはありますか?
作田いえ、あくまで飾りの小道具としてなら大丈夫だと思います。ただ、作りだすとこだわりが強くなると思うので、制作するのがたいへんになりそうです(笑)。
――個人的に期待しています! では、バレリーナ風水着についての制作秘話もお聞かせください。
作田“プリマ”シリーズは、とくに何かに絡むこともなく、製作を進めていたトレンドコーデのひとつでした。スケジュール的にはゴールデンウィーク明けに登場する水着なので、作業はゴールデンウィーク前には終わらせなくてはいけなくて。
製作途中の水着を見せてもらったときに、オーナーの皆さんにすごく喜んでもらえそうな水着だと感じたので、スタッフたちにお願いをしながら専用のポーズを用意したり、家具も登場させて、なんとかギリギリの中でリリースすることができました。女の子たちもみんなすごく似合っていて、ファンの方々にも喜んでいただけたと思います。
――ゲーム部分では、成長要素の“ヴィーナスボード”が改善され、一括受け取りが可能になりました。あらゆる部分で遊びやすさがどんどんアップしていると思うのですが、とはいえまだ改善すべき点はあると思います。と、モノ申すのは別の機会にできればと思うのですが、作田さんが個人的に改善したい要素はありますか?
作田さきほどの質問でもいただいてましたが、ショップの操作性は改善したいですね。
5周年のアップデートでイベントショップでの一括交換機能を追加したことで、だいぶ操作が楽になったなぁ、と感じています。もちろん私だけでなく、一括交換機能の実装を発表した際にオーナーの皆さんも喜んでいただけていました。とはいえ、さきほども指摘いただいたように、よく使うイベントショップでしか一括交換機能に対応していないため、別のショップでは従来通りの不便な状況のままです。この中途半端な状況を改善できるように、ほかのショップでも対応できるようにしたい、と思っています。
ルナをもう1度、見てほしい
――ではここから、ルナのトゥルーカラーコーデについてお聞きしていきます。トゥルーカラーコーデは、以前「いちばんいい方法で送り出せる」と決まった女の子から、実装されていくとお聞きしました。という中で、前回のマリー・ローズは、トゥルーカラーアップデート前から動いていた企画が、トゥルーカラーコーデに内包された形で実装されたので、別ケースでした。ルナは初の追加ヴィーナスなので登場順にも見えるのですが、実際にはなぜこのタイミングでルナが選ばれたのでしょうか?
作田最近登場した女の子を除いて、トゥルーカラーアップデートを行ううえで、「この女の子ならこういうのがいいんじゃないか」と、スタッフと意見交換をしながらコンセプトをまず考えるようにしています。そのコンセプトが、ルナが早めに固まったから決定しました。ちなみに、ルナに関するコンセプトは私のほうで考えさせてもらいましたが、早く固まったのは理由があります。
その理由を説明するうえで、ファンの方々に誤解されてしまうかもしれませんが、ここでお伝えしておかなくてはいけないことがあります。それは、サービスイン直後に初めての新ヴィーナスとして登場したルナは、私のせいで不憫な女の子にさせてしまった、という思いをずっと持っていたことです。
――僕としては不憫という印象はありませんが、具体的にはどのような……?
作田サービス開始直後は、毎週の運営自体をいろいろと模索しながら続けていきながらも、新ヴィーナスの制作や、新ヴィーナスをどのような形で皆さんにお届けするのかなど、すべてが手探り状態でした。ルナはサービス開始よりも前に、制作が進んでいた女の子です。実際に『DOAXVV』に対してどんな反応が貰えるのかわからない中で、作っていたんですね。
さらに、ルナが新たに登場する際、有償限定ガチャで登場させることにしました。この仕様に皆さんがどう反応をされるのかも予想はできますが、運営を続けていくうえで重要な判断だったと思います。ですが、ルナが登場時のガチャは、現在の新ヴィーナスが登場するスターコーデガチャと異なり、ガチャのおまけにアイテムの“スター”が付属しておらず、いわゆる“天井”と呼ばれる方法では入手できなかったのです。実施した結果、さまざまなご意見をいただきましたし、そのご意見や、私自身がプレイして感じたことを受けて、ルナのつぎに登場する“たまき”からスターが付属する仕様に変更させていただき、それ以降の流れが生まれたと考えています。
ルナは、初めて追加される女の子であったため、オーナーの皆さんも「このガチャを回すべきなのか?」、「入手するとどんなメリットが?」と、何もわからない状態でした。そのため、慎重に見ていたオーナーさんも多かったと思います。
ほかにもありますが、新ヴィーナス関連の施策は、我々もやることなすこと初めてで、何もかもが手探りだったため、ルナはそれ以降に登場する女の子よりもいろいろな部分で、受け入れてもらえにくい状況になってしまったと思っています。そうさせてしまったのが、当時のディレクターであった私の責任です。
だからこそ「もう1度ルナの魅力を皆さんに見てほしい」という想いが強くありました。それもあって、2018年4月に初めての無償化ガチャで登場した際は新髪型の“ショートボブ”を追加し、ルナの印象をガラッと変えてお届けしてみたり、ルナ用にデザインしていたかわいい水着とあわせて登場させてみたり。それ以降も運営の中で少しずつルナのことを見てもらえるような仕掛けを取り入れていったつもりです。
――その想いが派生した結果、トゥルーカラーアップデートにつながったと。
作田はい。皆さんのおかげで、ルナは皆さんに愛してもらえていると思っています。ただ、トゥルーカラーアップデートのテーマである“彼女感”とは、いちばん離れた女の子だと思うんですよ。彼女というよりは、大切な家族と言いますか、やさしく見守ってあげたい存在といいますか。
――感覚的にですが、そうかもしれませんね。ルナはミステリアスさ、コミカルな要素がありつつも、シンプルに清楚でかわいい魅力がある、全体的に不思議な魅力に包まれた女の子でありながらも、関係性という部分が曖昧と言いますか。
作田宇宙人なのでは? と言われるくらいのミステリアスでコミカルなところから、ふと「あれ、ルナが笑った?」と気づくことの喜びや、まるで人形のような見ているだけで癒されるキュートな面があり、本当に不思議な女の子です。ただ、そこに“彼女感”みたいなものは少なくて。
“彼女感”を出しながらも、ルナが求められている存在感を出したいなと考えながら、今回トゥルーカラーアップデートに取り入れていきました。
――トゥルーカラーコーデ“プレシャス・シャイン”についてお聞きします。水着のモチーフやデザインの方向性を教えてください。
作田トゥルーカラーエピソードで描かれる内容に、深くリンクしています。エピソードではオーナーさんに自分のことを好きになってもらうために、ルナがルナなりにいろいろと考えて、書物を読んでテクニックを学んだりしながらアプローチしていきます。その中で「こういう水着だったら、オーナーさんに喜んでもらえそう」と考えたのが、“プレシャス・シャイン”です。
ですので、デザインの方向性としても“ルナが自分なりにオーナーのことを考えてデザインした水着”の方向性で考えていきました。そのため、これまで自分で着ていた水着とはテイストが少し異なっています。
というのが、設定のベースです。実際の制作としては、それに沿う形のデザインはどのようなものがいいのかは、悩みどころでした。ルナは最初に登場した専用水着“フォークロア”が印象的ですが、もうひとつ印象に残るのが、自身のイメージチェンジのために、たまきがデザインした設定の水着“ワンダーランド”です。
その印象も取り入れたいとデザイナーといろいろとやり取りしながら、セクシーさや高級感も出していったのが、いまの“プレシャス・シャイン”の原型に近い形です。
――そこからさらに、発展していったと。
作田前面部分は、いまとほぼ同じです。背面部分が大きく違っていて、それまでは正直、ルナ以外の女の子が着ていても不思議じゃないような水着でした。オーナー攻略用水着だったので当然なんですが。……でも、本来のトゥルーカラーコーデのコンセプトは女の子のためだけにデザインされた水着です。これは絶対改善しなくてはならないなと、課題として感じていました。
あるときデザイナーが、これまで議論して作ってきた流れを大胆に無視して、背中にウサ耳が付いたアイデアを提出してくれました。オリジナリティがあって、しかもルナっぽくて、「これはいいな」と。なぜウサ耳をルナが付けたのか考えましたが、ルナにとっての“最強のかわいい”は、ウサギなんです。
ルナが自分なりにいろいろと勉強して、オーナーさんを狙うために作った水着なんですが、最後は自分にとって最高にかわいいウサ耳を付ける、というのがとてもルナらしいなと。
――トゥルーカラーコーデらしく、カスタマイズ性の高さもあるんですよね。
作田はい。ワンピース部分を取り払って、よりセクシーな水着にすることもできますし、ウサミミがないほうがいい、という人もそれらをオフにすることもできます。オーナーの皆さんの好きな形で楽しんでもらえればと思います。
――また、新たに髪型も追加されました。マリーは『DOA』シリーズでの魅力を『DOAXVV』でお届けするという特殊なケースだったかと思いますが、やはりトゥルーカラーアップデートでは新髪型が今後追加されるのでしょうか?
作田女の子たちの新たな魅力をお届けするというテーマの中で考えると、できる限りは新しい髪型を用意したいです。じつはルナの新髪型についても、登場させるか迷いました。ショートボブを取り入れたとき、髪型によって女の子の印象がすごく変わるという手ごたえは感じていましたが、もう1度さらに印象を変えるというのはなかなかに難しいです。
ただ、ルナの髪型はショートボブのほかに、ヘアピンありのおでこを出したものと、ヘアピンなしのいわゆる片目隠しのものあります。
――ルナは髪型の人気がバラけていて、ファンの方々もどれか1個を根強く好きになっている印象です。
作田はい。ですから、既存の髪型の中で、どれかひとつに絞ってトゥルーカラーアップデートに内包するのはよくないなと。だったらせっかくなので、新髪型を取り入れようじゃないかと。また、エピソードではルナが過去に「髪型を変えたらオーナーさんの反応が変わった」という経験をしています。その知識を活かして、オーナーさんに近づくためにルナが髪型を変えるということであれば、新髪型を出してもいいだろうと判断しました。
――なるほど。ウェブ上では“オーナーさん攻略作戦”と題して、女の子たちとの思い出をふり返りながら、ティザー的にエピソードを展開する施策が行われました。どのような狙いで展開したのでしょうか?
作田ルナは職業が学者ですから、すごく知性のある女の子です。知性がある女性が、どのようにオーナーさんを好きになっていくのか考えたのが、トゥルーカラーエピソードの発端でした。そのとき、ルナならきっとオーナーさんを攻略するために、しっかりと作戦を考えると思ったんです。
そのアイデアをどう練っていくのかはトゥルーカラーエピソードでも描いているのですが、その前日譚と言いますか、事前に作戦を考えていることをリアルタイムにオーナーの皆さんに知ってほしかったんです。それを宣伝チームと相談して、現在の形になりました。
――ルナの魅力を振り返る、という意味合いも含まれていたように感じました。
作田先ほども言ったように、ルナはファンの皆さんに愛されています。ただ、愛しかたはいろいろあると思うんです。彼女感が薄いとは言ってしまいましたが、彼女だと思って接しているファンの方々もいるでしょう。彼女というよりは、かわいらしく愛でる女の子、おもしろい女の子、またはミステリアスな女の子として愛している人もいるはずです。
オーナーさんによって、ルナの印象ってすごくバラバラなんですよね。そんな中、いきなりトゥルーカラーエピソードで「ルナがオーナーさんに近づきたい」と言われても、「自分の思っているルナと違う」と戸惑うオーナーさんも出てきてしまうと思ったんですね。
そうならないように、始まる前に「ルナの印象を一回整理して、まとめてみよう」という意識も“オーナーさん攻略作戦”に含まれています。これまでやってきたルナのチャレンジや想い、考えかたを振り返りながら、トゥルーカラーエピソードにつなげようと思いました。
――また、ルナは基本的には無表情な女の子です。その中で、トゥルーカラーアップデートをするにしても、表情豊かではないので、なかなか演出や表情面の制作はたいへんだったのではないでしょうか。
作田たいへんではありますが、トゥルーカラーアップデートは“アップデート”です。何が言いたいかと言うと、何をアップデートしてもトゥルーカラーアップデートに含まれるわけです。これまでも、ルナが少しだけ笑っているシーンに喜んでいたオーナーさんもいると思いますが、それに気づかないオーナーさんもいます。
その魅力に気づいてもらいたい、そしてルナにより心を開いてもらいたい。と思って、もう少しわかりやすく笑う表情などが追加されています。ようは技術的な話をすると、ルナのフェイシャルアニメーション自体をアップデートしました。
――なるほど。つまりトゥルーカラーアップデートでは、新リアクションなども含めて、表情面のアップデートも含まれているのですね。
作田皆さんに喜んでもらうためにやっているので、オーナーの皆さんが「ココが欲しい」と思っている部分は、やはりトゥルーカラーアップデートで追加したいです。もしかしたら、今後もそういったアップデートがあるかもしれません。
――あと、“プレシャス・シャイン”を手に入れると、新勝利演出が解放されるんですよね。
作田はい。新勝利演出も複数追加しています。しかも、そのうちのひとつの勝利演出は、トゥルーカラーエピソードで描かれる、ルナの核となる部分に紐づいています。“プレシャス・シャイン”を持っているオーナーさんだけが体験できる要素として入れさせていただいたので、ぜひ楽しんでほしいです。
――トゥルーカラーアップデートは、2022年11月にみさき、2023年3月にマリー、8月にルナと、このペースで続けていくと、すべてを終えるのは10周年を超えるペースに見えます。もちろん運営型タイトルですので未来のことは分かりませんが、それくらいの覚悟で挑んでいる企画なのでしょうか。
作田前提としては、トゥルーカラーアップデートは半端なものは出せないと思っています。とにかく絶対に喜んでもらえる内容・コンテンツ・コンセプトが固まらないと、そしてそれを実現するための開発時間がないと作れません。それを踏まえて考えると、製作時間はどうしても必要にはなります。
ペースを優先するために、納得できていないものをお届けするのがいちばんよくないと思っていますので、ここはどうしても時間が掛かってしまいます。仕方なく、お待たせしてしまう女の子も出てくることでしょう。そこに関してはたいへん申し訳ないのですが、我々としてはより長く運営を続けられるように努力していますので、いちばんいい形のものをお届けしていきたいです。
――最後に、これからルナのトゥルーカラーアップデートに触れるオーナーの皆さんにメッセージをお願いします。
作田トゥルーカラーエピソードについてもう少しだけお伝えすると、PVでも紹介している通りルナの作戦は失敗してしまいます。その失敗にルナが向き合ったときに、ルナの新しい魅力への一歩が始まります。そんなルナをぜひ見てあげてほしいです。
先ほどから申している通り、ルナはオーナーの皆さんそれぞれのイメージがあると思いますが、「えっ、ルナのこんな一面が見られるの!?」という期待に応えられるようなアップデートになったと感じています。エピソードはもちろんのこと、“プレシャス・シャイン”も手に入れて、いちばんいい状態でルナの新たな魅力を感じてもらいたいです。これからも『DOAXVV』をよろしくお願いいたします。
KT Appでアフターインタビュー
本記事はコーエーテクモゲームスの公式アプリ“KT App”との連動企画。KT App内ではアフターインタビュー記事が掲載され、今回のインタビューを読むことで、よりルナを深堀りした開発秘話などが楽しめます。気になる方はぜひダウンロードして、読んでみてください!