『アサシン クリード シャドウズ』混乱の安土桃山時代を生きる侍・弥助と忍・奈緒江のダブル主人公、リアルに再現された日本に迫る国内独占インタビューを公開!

byジャイアント黒田

by坂本ビス太

更新
『アサシン クリード シャドウズ』混乱の安土桃山時代を生きる侍・弥助と忍・奈緒江のダブル主人公、リアルに再現された日本に迫る国内独占インタビューを公開!
 日本の安土桃山時代を舞台に、忍と侍のふたりのメインキャラクターの視点から、まったく新しいプレイ体験が堪能できるシリーズ最新作『アサシン クリード シャドウズ』(以下、『シャドウズ』)。

 “コードネーム RED”の名で発表されていたが、このたび正式タイトルが公表され、発売日が2024年11月15日予定であることが明らかになった。対応ハードは、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC。

 プレイヤーの分身となるのは、オリジナルキャラクターの伊賀の忍・奈緒江(なおえ)と、織田信長に仕えた異人の侍・弥助(やすけ)のふたり。奈緒江は伊賀者にして抜きんでた技量を持つ忍/アサシン。しかし、とある勢力により故郷を滅ぼされ、父も無残に殺害されてしまう。遺された奈緒江は、父とのある約束を果たすため旅立つのだった。一方、弥助は実際に歴史に名を遺す屈強なアフリカ人の侍。主君である織田信長を死に追いやった組織を追い求めて戦乱の世を駆ける。

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 今回、日本メディアでは独占となるスタジオツアーと主要開発メンバーへのインタビューの機会を得た。下記のメンバーに本作ならではの要素やこだわりを伺ったので、ぜひ最後までチェックしてほしい。

KARL ONNÉE氏

プロデューサー (文中はKARL)

JONATHAN DUMONT氏

クリエイティブ・ディレクター (文中はJONATHAN)

CHARLES BENOIT氏

ゲーム・ディレクター (文中はCHARLES)

BROOKE DAVIES氏

アソシエイト・ナラティブ・ディレクター (文中はBROOKE)

SACHI SCHMIDT-HORI氏

ナラティブ・コンサルタント (文中はHORI)

THIERRY DANSEREAU氏

アート・ディレクター (文中はTHIERRY)

STÉPHANIE-ANNE RUATTA氏

歴史監修・ワールドディレクター (文中はSTÉPHANIE-ANNE)

『シャドウズ』は『アサシン クリード』として、つぎなる一歩を踏み出す作品

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KARL ONNÉE氏(プロデューサー)

――まずは日本が舞台の『アサシン クリード』がやっと出るということで、日本人の私たちから「ありがとう」と伝えさせてください!

KARL
 今日は来てくださってありがとうございます。何年もやりたいと思っていた作品なので夢が叶いました。

――本作の舞台に、なぜ安土桃山時代を選んだのですか?

KARL
 歴史上とても内容豊かな時代であることから選びました。戦争と政略の時代、農村から都市への変化の時代であるとともに、芸術が生まれました。また、天下統一がスタートしたことも選んだ理由です。日本にとっては極めて重要な瞬間ですから。これらの要素がいっしょになって、ストーリーを描くためのすぐれたキャンバスを提供してくれました。

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――安土桃山時代にどのようなイメージを持っていますか?

KARL
 この時代は戦国大名が天下統一という名のもとに権力争いを展開していましたが、同時に貿易統制の争いでもありました。ポルトガル宣教師と商人がいっしょに渡来したのです。そして美しい国土と平和を望む人々。私たちが持っているイメージはこんな感じですが、さまざまな文化や、人々の思惑が交錯していたのだと思います。そしてもちろん戦国大名たちの存在もあります。これらはストーリーを描くすばらしいキャンバスとなっています。

――『アサシン クリード』として継承すべきことと、本作独自の部分があると思いますが、これまでのシリーズとの違いを教えてください。

KARL
 『アサシン クリード』と言えばステルスを思い浮かべますが、忍のファンタジーは『アサシン クリード』のゲームにうってつけなだけではなく、『アサシン』ブランドのDNAにもピッタリ合います。

 『アサシン クリード シャドウズ』で私たちがやりたかったのは、ステルスをさらに推し進めることでした。この取り組みは前作の『アサシン クリード ミラージュ』でスタートしましたが、新しい機能とともにさらに進めたいと思いました。光と影、鉤縄、腹這い移動、そしてゲーム内で手に入るさまざまな道具などのシステムによって、新たな体験を得られます。

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 また、忍の奈緒江、侍の弥助というふたりのキャラクターがゲームプレイをより豊かにしています。プレイヤーは地元民である奈緒江と、日本人ではないひとりのアウトサイダーの目を通じて日本を探索し、日本を発見します。本作ではこれまで以上にダイナミズムを追求し、技術の限界を押し広げ、初の最新機種だけの体験を提供しています。

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――2020年発売の『アサシン クリード ヴァルハラ』は"ヴァイキング”というテーマで、大成功といえる売り上げを記録しました。日本人として世界から見ると、日本の"忍"という題材はさらにニッチなテーマだと感じますが、現在の手ごたえはいかがでしょうか。

KARL
 "ヴァイキング”ファンタジーと比較した場合についてお話しします。忍と侍はいずれもパワーを持ったファンタジーとして刺激的で称賛の対象とされ、ポップカルチャーで広く取り上げられていますし、私たちも大いに刺激を受けています。

 忍は『アサシン』ブランドに合致すると考えたので最初から注目していましたが、力強い侍を取り入れることでふたつの異なるゲームプレイが生まれ、ふたつの視点からストーリーを語る機会になると考えました。これは、"ヴァイキング"に対抗できる強力なモチーフだと感じています。

――最新機種で作る題材として、日本という舞台はどうでしたか?

KARL
 ぴったりだったと思っています。光と影を例に挙げると、"グローバルイルミネーション"という技術のおかげで光の反応を追求することができました。コンソールによってはいまだ"Baked GI"と呼ばれるものがありますが、ダイナミック・ライティングと新ハードのパワーを使うことで、クリエイティビティーを追求することができました。

 光と影だけではなく、自然のダイナミズムもより細かに表現できるようになりました。日本が舞台なので当然ですが、過去のシリーズ作でこれほどの多くの木々、つまりこれほど多くのデータを扱ったことはありません。また、季節の変化もあるのでシームレスにいろいろなものを同時に動かすための、より多くのデータが必要でした。最新機種のおかげで私たちのビジョンを実現することができ、本作、そして『アサシン クリード』への私たちの野心はこれからも続いていきます。

――『アサシン クリード ミラージュ』は15周年の記念的作品となりました。本作は次世代の『アサシン クリード』として、つぎなる一歩を踏み出す作品として捉えていいでしょうか?

KARL
 おっしゃる通りです。『ミラージュ』は既存作品へのオマージュでしたが、本作では新時代への最初のステップが構築されています。私たちは最新機器の時代に入っています。新世代に入った弊社エンジン"Anvil"に加え、最新コンソールのパワーを使うことで新たな時代を築く機会を得て、本作『アサシン クリード シャドウズ』では私たちがやりたかったことを実現できるようになったのです。

 グローバルイルミネーション、ダイナミズムなどの技術によって、私たちはいま本当に作りたいと思っていたゲームを作っていると言えます。

――本作の開発を進めるうえで、とくに注力しているところは?

KARL
 4つの柱にフォーカスしています。まず本物らしいダイナミックなワールドをしっかり構築することです。ふたつ目は物語で、異なるストーリーと視点を持つふたりのキャラクターを取り入れることで、『アサシン クリード』に新しいストーリーテリングの形を導入しました。

 3つ目は、ふたつの異なるアクションです。侍と忍がそれぞれの育成要素と独自の武器を持っています。たとえば城では、それぞれが得意とするポジショニングが異なるため、プレイにも大きな差が出ます。そして最後にステルスです。光と影、環境にある物、うつ伏せ、鉤縄などの新しいシステムを使って、これまで以上にステルスの重要性を推進しています。

――今回、発売が2024年11月15日予定であることも発表されました。現在の開発状況を教えてください。

KARL
 開発はとてもうまくいっています。いい仕事ができたと自負していますが、もちろん未完成であり、まだ不具合もあります。本作はこれまで積み重ねてきたものの成果なのです。いまの状況はとても順調ですし、さらなる続報を期待してお待ちいただけるとうれしいです。

――以前のUbisoft Forwardで『アサシン クリード インフィニティ』が発表され、それに本作も含まれるとのことでしたが? また、そちらの開発状況は……?

KARL
 『アサシン クリード インフィニティ』はアニマス・ハブ(※シリーズの入り口として将来的に機能するハブ)と紹介していますが、後日お話ししたいと思います。

――世界のファン、そして日本のファンに向けてメッセージをお願いします!

KARL
 私たちは、このような設定でゲームを作るという夢が叶ったことを謙虚に受け止めています。ファンの皆さんが長い間期待していた設定ですが、私たちにとっても作りたいと思っていたゲームを手がけることができ、すばらしい経験になりました。

 本作は私たちの愛情の賜物と言えます。ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいです。今後数ヵ月、さらに本作についてお話しできることを楽しみにしています。

忍のアサシンと伝説の侍。ふたりのキャラクターが生み出す異なる戦闘スタイルの体験

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(左)JONATHAN DUMONT氏(クリエイティブ・ディレクター)、(右)CHARLES BENOIT氏(ゲーム・ディレクター)

――本作の開発はいつごろスタートしたのですか?

JONATHAN
 開発は4年ほど前に始まり、舞台となる時代の調査もすぐにスタートしました。クールな題材が数多くあり、すばらしいキャラクター、ストーリープロットをもたらしてくれました。これはとてもいいゲームになると直感しましたね。

――開発前の段階から、時代設定として安土桃山時代が選ばれたのでしょうか? 日本の歴史が大きく動くポイント、たとえば幕末などの案もありましたか?

JONATHAN
 日本の歴史を学ぶところからスタートしましたが、学生の気持ちで読み始めました。ソクラテスの原則に従って、何も知らないという姿勢で臨みましたね。読み進めていくと、いくつかの非常に興味深い設定が出てきました。

 安土桃山時代にフォーカスした理由は、日本にとって極めて重要な時代だったと感じたからです。戦国の世にあって天下統一を必要としていましたし、増大する諸外国の影響力に対して自衛する必要がありました。

 壮大で複雑な時代なので、異なるアングルから語ることのできるストーリーがたくさんあります。天下統一の英雄たち、日本の歴史上、傑出するキャラクターたちの中で徳川家康、豊臣秀吉、織田信長はもっともよく知られています。

 戦争だけではなく、政治がからみ、いずれ訪れる平和に向かって進み、いいエンディングがどこかに待っています。これは取り上げるに相応しくてすばらしい、興味深い時代だと強く感じました。

 また、芸術の基礎が作られた時代でもあります。城下町が作られ世の中が変わり、人々の関係性や芸術との関係、人々の内面も変化していきました。ここを探っていくのはとてもおもしろいですし、この時代を生きたキャラクターたちに強く惹かれました。

――『シャドウズ』というタイトルになった理由を教えてください。

CHARLES
 私から見るとふたつの理由があります。忍は影に隠れるので、『シャドウズ』はもちろんそこからインスパイアされています。これはある意味、『アサシン』ブランドと忍を包含していると言えます。

 また、『シャドウズ』にはほかの側面もあります。ゲームの中には"隠れているもの"があり、プレイヤーはそれを発見しなければなりませんが、それらは何らかの方法で闇の中に隠れています。

JONATHAN
 両方のキャラクターはある意味この時代の裏の世界で生きる、影のヒーローであることにつながっています。このように考えていただければいいと思いますが、クールなタイトルです。

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――メインキャラクターと戦闘スタイルをふたつに分けた理由は? また、忍と侍はそれぞれどんな戦闘アクションが体験できますか?

JONATHAN
 奈緒江で肉弾戦もできますし、弥助である程度ステルスを行うこともできるのですが、このふたつのスタイルに分けたひとつの理由は、開発初期から侍と忍というふたつの明確でクールなアーキタイプでプレイしたいと考えていたからです。

 そして、このファンタジーができる限り希釈されることなく、リアリティーや期待に近づくようにしたいと思いました。また、ストーリーを展開するうえで、明確に白黒がつくことが歴史ではほとんどないため、ふたつの視点が必要だと感じることが多々ありました。ふたりの主人公は、どのようにゲームにアプローチするかという点で、興味深いダイナミクスと視点を提供してくれました。

CHARLES
 戦闘において、侍と忍の両者が特殊なタイプの武器を持っていることは非常におもしろいと思います。従って本作の戦闘のスタイルは、より武器をベースにしたアプローチで構築しています。

 侍のみが使うことのできる武器があり、忍も同様です。プレイヤーはふたつの異なる戦闘スタイルをしっかりと感じることができます。そしてそれをスイッチすることも可能です。

――奈緒江と弥助が使える武器をそれぞれ教えてください。

CHARLES
 両者はそれぞれ異なるタイプの武器を持っています。奈緒江については、私たちはより古典的なファンタジータイプの忍を目指しました。鎖鎌は広範囲をカバーする武器で、奈緒江のみが使えます。

 さらに、彼女は至近距離で使う短刀も持っており、これは隠し刃(ヒドゥンブレード)と組み合わせることができます。奈緒江はこれらを使って非常に素早く効率よく戦うことができます。

 一方、力での圧倒を得意とする弥助にはより多くのタイプの武器を与えており、火縄銃タイプの武器もあります。また、典型的な侍の弓も持っています。

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――忍の奈緒江をオリジナルキャラクター、侍の弥助を歴史上の人物にした理由は?

JONATHAN
 日本ではよく知られていても、少なくとも北米では農民の話、彼らに何があったのか、忍はどこから生まれたのかなどはあまり知られていません。

 そこで伊賀出身で、ミステリーに包まれた人物を登場させることにしました。この地域の歴史的人物を検討しましたが、ミステリアスに感じられるほうがいいので、実在したかどうかが定かではない人物として奈緒江を考えました。

 弥助については、当初からポルトガル人渡来にまつわるストーリーを描くことが、日本の危機を語る際に非常にすぐれた方法だと考えていました。チームはこの弥助というキャラクターを気に入ってくれましたし、彼を使って日本を発見することが期待できると考えました。

 すでに日本の社会にいる侍からスタートすれば、私たちが必ずしも知っているわけではない概念も持ち合わせており、非常におもしろく好奇心をそそるキャラクターになると思いました。そして彼に何が起きたのか、興味も湧きます。すでに歴史に根付いたキャラクターとしてスタートし、彼に何かが起きるのかがわかっていくので好奇心をくすぐられるわけです。

 このふたりがいっしょになるとストーリーテリング、体格や家柄といった点においてもお互いを補う形になり、クールなチームになると思いました。

――ふたりのメインキャラクターが切り換わるシナリオを作るうえで意識したことは? また、どのような苦労がありましたか。

JONATHAN
 「両者が主人公である」と感じてほしいと思いましたが、これは見かけ以上に複雑でした。ふたりの物語はところどころオーバーラップするけれど、ゲームが進むにつれてだんだんと、ふたりのキャラクターについての発見があるようにしたかった。ふたりは似通ったゴールや動機を持っていますが、100%同じではないので、それぞれの個性を保つのが複雑で難しいところでした。

 当然、クエストはどちらのキャラクターでもプレイ可能です。ひとりのキャラクターでクエストを開始して、もうひとりのキャラクターで完了する必要がある場合、設定は両方のプレイスタイルに対応していなければなりません。従って複雑にはなりますが、片方ずつの視点からストーリーを語る機会がたくさんあります。

 ふたつの異なる視点を持つのはとても楽しいですが、会話ツールで新たな技術を使わなくてはいけないなどの複雑さはありました。しかし、クールなこともありました。会話のシーンでは、どちらの主人公が話すのかをプレイヤーが決めるのはおもしろいですし、彼らは違うことを求めてきます。これはある意味クールです。

CHARLES
 両方のキャラクターが城を攻撃していて、ある時点でプレイヤーは弥助で続けるか、奈緒江で続けるか問われるのですが、どちらもおもしろいです。さまざまな場面でプレイヤーはこのような選択をしなければなりません。

 ストーリーは独立した形になっているので、奈緒江、あるいは弥助の過去をもっと知りたいと思えば、ひとりのキャラクターでプレイして、そのキャラクターのストーリーを掘り下げることもできます。

――忍の奈緒江のみが入れる場所があるなど、行動範囲が異なることはありますか?

JONATHAN
 奈緒江、弥助それぞれ行動範囲が異なる部分はあります。いくつかサプライズがあるので詳細はお話しできませんが、奈緒江は鉤縄を使えるため、ほぼ彼女のみが入れる場所はあります。

 ワールドは両方のキャラクターで楽しめるように作られており、プレイヤーはふたりのキャラクターを自由に切り換えて楽しめます。

 もちろん、ワールドの最終地点に到達する、あるいは廃墟を通って山頂を目指したいのであれば、おそらく奈緒江のほうがいいでしょう。しかし、単独で砦を正面突破して道を開きたいのであれば、弥助がよさそうに思えます。もちろん、どちらのキャラクターでもプレイ可能です。

CHARLES
 それぞれのキャラクターに特定のアクションもあります。奈緒江は鉤縄を特定の場所に引っ掛けて振り子のように移動したり、鉤を高所へ引っ掛けて縄を登ったりすることで、弥助より早く行きたい場所へアクセスできます。しかし、弥助はショルダーバッシュを使って、強化されたドアを破壊できます。

 また、弥助はより大胆な方法で非常に効率よくパルクールを行うことも可能です。弥助がパルクールを行う際に感じられるのは、群衆がどのように反応するかです。弥助は侍であり、上の階級としての威厳を放つため、群衆はそれに見合った反応を見せます。一方、奈緒江はワールドにより溶け込んだ印象を与えます。

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――ヒドゥンブレードや鷹の目など、アサシンの能力はふたりとも使えますか?

CHARLES
 ネタバレしないようにお話しすると、アサシンの伝統的なスキルはおもに奈緒江に向けたものになります。しかし、敵や対象の人物を見つけたいときに使える“観取”(仮称)という別の仕組みがあり、これは両者とも使えます。

 フリーエイムを使って周囲を見回すことができますが、壁などは見通せません。また、弥助はステルスで殺すこともできますが、より直接的で容易な方法になります。ステルスであっても多少音が出てしまうので、“ステルスっぽい”アプローチと言えます。

JONATHAN
 観取(仮称)を使うといまいるところでいろいろなものを見つけられます。一定範囲に対してのとてもいいガイドとなりますが、探検の楽しさをすべて奪ってしまうようなものではありません。行きたい場所について、もうすこし知ることはできますが、何かを発見するサプライズは残されているので、ちょうどいいガイドなのです。

――奈緒江をより戦闘寄りにするスキルツリーや、弥助のステルスを強化するスキルツリーはありますか?

CHARLES
  戦闘寄り、ステルス寄りのスキルは両者とも持っています。また、装備には攻撃されたときに抵抗力を上げるなどの効果を持つものもあります。戦闘時の能力を引き上げるパークも用意しています。

 戦闘寄りに強化した奈緒江は、ステルス寄りに強化した奈緒江と比べて、近接戦では有利に戦えます。両者とも幅を持たせていますが、完全に反対の方向に行くことはできません。両者でオーバーラップする部分もありますが、それぞれの能力の特徴をきちんと感じられるようになっています。

――育成システムについて説明をお願いします。

JONATHAN
 ふたりのキャラクターは、両者とも統合した育成システムを持っています。XPを共有していていっしょにレベルアップしますが、それ以外の部分は『アサシン クリード オデッセイ』の育成システムに少し近いものになっています。

 XPとキャラクターのアビリティーがあり、武器は多少製作することが可能で、ゲームを進めていくといろいろなものをアップグレードできます。武器は単体ではなくふたりぶんなので、それぞれの武器が独自の育成システムを持っています。プレイヤーの皆さんが違和感を覚えることはないはずですが、これはこれまでとは大きく違う部分ですね。

CHARLES
 育成の面で私たちにとって非常に重要だったことがふたつあります。まず、アーキタイプをしっかりと認識することです。日本には鎧をまとった侍、それとはまったく異なる一揆を起こした僧侶、山賊など明確なアーキタイプがあります。プレイヤーには誰が強いのかがはっきりわかるようにしており、レベリングではその部分をできるだけ大切にしています。侍はつねに山賊より強いのです。

 ふたつ目はプレイヤースキルがそこに加わっていることです。タイミング、攻撃の読み、武器の理解などにすぐれていれば、よりうまくなって、先手を打つことができるようになります。

――過去作と比較してフィールドのボリュームは? 本作の規模はどのように決めたのかも知りたいです。

JONATHAN
 最大の違いは縮尺の比率です。山の大きさは実際のサイズではありませんが、森林の中にいると感じられるような、一定の大きさの木々からなる本当の森林にしたかった。そのためには空間が必要でした。

 また、現実味のある規模に近づけると決めたことで、いろいろなものの息遣いが感じられるようになりました。私たちが日本を訪れて城を見たとき、この決断をして本当によかったと思いましたね。日本の城はものすごく大きい! もちろん、以前に城の写真は見ましたし、大きくて立派だと思いましたが、実際に見たらびっくりするほど大きかったです。

 そして、城を探索するための空間が欲しいと思いました。城は大きな戦闘拠点となれるように作られたわけですからね。防衛のための入り組んだ壁を作るには空間が必要です。

 全体的なマップの規模は、『オリジンズ』のマップのサイズに近いです。しかし、縮尺比率によってよりリアルに感じられます。開けた場所からゲームの中で人里離れた場所へとつながっていき、探索の楽しさを味わえることでしょう。本作のこの規模感は、私たちにとってとても興味深い側面です。

CHARLES
 ストーリーに導かれて、日本の中のどの場所を選ぶかが決まっていきました。京都、大阪周辺、そして安土城周辺での大きな出来事は同じ地域で起きたので、そこに集中することができました。

JONATHAN
 もちろん、ゲームに合致したサイズを選択しなくてはならないわけですが、本作のストーリーとゲームのタイプにぴったりの大きさになったと思っています。

――戦国時代を舞台にしていますが、プレイヤーが合戦に参加できるシステムはありますか?

JONATHAN
 ストーリーの中でいくつかの合戦を見ますが、伊賀での戦いはプレイ可能です。ほかにもありますが、いまはお話しできません。戦国時代が舞台ではありますが、戦いだけのゲームではありません。その世界を旅することができ、その世界を発見できるゲームになっています。

――本作は、完全に最新機向けの作品となっています。だからこそ実現できた部分や、苦労した部分があれば教えてください。

JONATHAN
 完全に最新機向けという大きな決断を下し、"Anvil"エンジンにかなり高いレベルを求めることで、パーティクル数が増加し、現実味のある雰囲気、変化する季節などグラフィックスの可能性は広がりました。

 そのおかげで私たちは、新鮮味溢れる新しい『アサシン クリード』に取り組むことができました。これはすばらしいことです。今回はこのようにグラフィックスを大きく躍進させるに相応しい機会でした。

CHARLES
 また、リアルタイムRTG、リアルタイム・ライティングのおかげで光と影を駆使できるようになり、これがゲームプレイとステルスアプローチに大きなインパクトを与えました。たとえば、敵はこちらの影で存在に気づくようになったり、冬には火のもとで暖を取るために敵が集まっていたり、あるいは障子越しの影で敵の存在を描写したりと、ステルスに新しい側面が生まれました。

主人公をふたりにすることでより幅広いアングル、異なる視点で見せることが可能に

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(左)BROOKE DAVIES氏(アソシエイト・ナラティブ・ディレクター)、(右)SACHI SCHMIDT-HORI氏(ナラティブ・コンサルタント)

――開発前の段階から、時代設定として安土桃山時代が選ばれたのですか?

BROOKE
 私は時代設定の選択が終わってから参加したので、すでに安土桃山時代と決まっていました。この時代はナラティブ視点から見ると、じつに多くのすばらしい機会を提供してくれました。その複雑性、二重性は奈緒江と弥助のキャラクターによく反映されています。

――ふたりのメインキャラクターが切り換わるシナリオを作るうえで意識したことや苦労した点は?

BROOKE
 ストーリーテリングの視点からは、苦労と言うよりすばらしい機会と捉えています。ストーリーを書くときは語るのではなく、見せるということを意識していますが、ふたりのキャラクターがいるので、そこで何が起きているのかをより幅広いアングル、異なる視点で見せることができます。これによってプレイヤーが、彼らと気持ちを共有したいと思ってもらえるとうれしいです。

――オリジナルキャラクターと歴史上の人物をゲームに登場させるうえで、とくに重要だと思うポイントを教えてください。

BROOKE
 両者はそれぞれに異なるユニークな機会を提供してくれます。弥助に関して、歴史的にとてもおもしろいと感じたのは、彼についてある程度はわかっているが、不明な点が多いからです。ストーリー上で空白の部分を埋めていく必要があったわけです。弥助が歴史上の人物であることは重要です。

 そして、オリジナルキャラクターである奈緒江の場合もある程度、自由にストーリーを描けました。彼女が藤林家の一員であり、父親が藤林長門守正保であることにより、私たちは彼女を設定の中にしっかりと置くことができました。弥助は実在の人物ですが外国生まれの侍として登場するため、日本生まれの奈緒江は弥助とは異なる視点を持ちながらも対等の立場にあります。

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――歴史上の人物は、織田信長や弥助のほかに登場しますか?

BROOKE
 安土城での会議ではルイス・フロイス(イエズス会の宣教師)に出会えます。あとは、寧々、お市の方も登場します。安土桃山時代に始まった日本のアート・ルネッサンスは江戸時代に開花しますが、千利休、狩野永徳などの重要人物にも会えるでしょう。

――ストーリーは何年頃まで描かれるのか教えてください。

BROOKE
 プレイヤーが何を見ることになるのかはお話しできませんが、安土桃山時代の妥当な期間をカバーしていると思います。1579年から1584年です。

――歴史を考慮しつつ、アサシン教団とテンプル騎士団の抗争を描くのがシリーズの魅力だと思いますが、安土桃山時代をそこに落とし込む際に苦労した点があればお聞きしたいです。

BROOKE
 テンプル騎士団についてネタバレは避けたいので触れませんが、この時代の魅力とダイナミクスはとても興味深く、ストーリーテリングのすばらしい機会を提供してくれました。

――安土桃山時代の雰囲気をリアルに感じられる世界は、どのように作り上げていきましたか?

BROOKE
 ワールド・チームといっしょに仕事ができたことはとてもラッキーでした。彼らが作り上げたゲームのビジュアルは、ストーリーを語るうえで非常にすばらしい背景を提供してくれました。

 ワールド内の体験はストーリーに多くのことをもたらしました。この時代のストーリーとキャラクターから見えてくるのは、複雑性です。また、このワールドを取り巻く多くの人々は、それぞれに苦悩を抱えていたのだと思います。

 歴史的に非常に困難な時代で、二重性も見えます。白黒はっきりしたものはないのです。戦ではふたつの集団が対峙し、異なる視点に直面することになります。しかしその中に、私たちの知る未来への希望が垣間見え、後に開花することになるのです。

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――HORIさんは、「16 世紀日本の文化、社会、宗教的背景を深く掘り下げ、歴史的・文化的の忠実性とファンタジーの表現のあいだの微妙な境界線を歩むためのアドバイスをクリエイティブチームに提供している」とお聞きしました。実際にどのようなアドバイスをしたのか教えてください。

HORI
 印象に残っているのは、信長の妹・お市の方が柴田勝家と再婚するシーンです。当初いただいたストーリーでは、お市の方の思惑を無視して両家が勝手に決めてしまったと考えられ、勝家はお市の方よりも20歳以上も歳上の男性ということで、ネガティブに描かれていました。

 そこでBROOKEさんたちと話して、変更してもらうようにお願いしました。夫の浅井長政を亡くしたお市の方には幼い子どもたちがいたので、再婚相手が信長に仕えていた信頼ある勝家ならば、当然のように嫁いだと思います。ポジティブに描いたほうがいいことを説明したら、BROOKEさんたちにとっては新しい発見だったみたいで、とても感動してくれて。書き直したバージョンのエピソードは、感動的な内容になっていました。

あとは、千利休が登場する茶の湯のシーンです。茶の湯はティーセレモニーと翻訳されていて広く知られているのですが、専門家には誤訳と言われています。誤解されているところをこっちで調べてから、わかる範囲で、たとえばティーポットやお茶の葉は使わないといったことをアドバイスしました。

――日本人の我々でさえ、“忍者=ファンタジー”のイメージが強いですが、歴史再現の忠実性を高めるうえで、“忍”というテーマで苦労した点はありますか?

HORI
 忍者はたしかにファンタジー的な存在なので、誰にも遠慮することなく、クリエイティブに表現できるのはいい面だと思います。ただ、世界には熱心な忍者ファンやコミュニティーも存在していて、私は彼らがどこまで忍者のことをリアルな存在、歴史上実在した存在として捉えているのか~わかりません。

 ですから忍者をどこまで表現するかは、熱心な忍ファンがどれくらい許容してくれるかとの兼ね合いですよね。それは開発チームのメンバーと話し合いました。どこまで表現するか、具体的な方針はなくて、ケースバイケースで判断していきました。これはクリエイティブな表現をしてもオーケー、これはステレオタイプなのでやめましょうといった感じです。

――参考にされた文献は数多くあると思いますが、とくに印象に残っているものは?

BROOKE
 最初に目を通したのは太田牛一(※安土桃山時代の武将、軍記作者)の『信長公記』でした。詳細を語る、彼の個人的な観察眼が印象的でした。私たちは歴史書を読んで多くの史実を知ることはできますが、この著者は自分の見解を取り込んでいるので、彼の性格までわかるように感じましたし、その時代に生きるとはどういうことなのかが理解でき、完全に引き込まれました。この時代とこの本に登場する人々を描がけることにワクワクしました。

――近い時代設定のドラマ『SHOGUN 将軍』がヒットしていますが、同じように本作がゲームファンに注目されることに期待したいです。歴史の解説とともにゲームの世界を自由に歩き回れる“ディスカバリーツアー”も用意されていますよね?

BROOKE
 今日はディスカバリーツアーについてはお答えできませんが、本作の設定と時代への関心が高まっているのはうれしいです。本作を皆さんにお届けできる日を楽しみにしています。

16世紀の日本を再現し、生きたワールドを構築するために多くの情報を収集

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(左)THIERRY DANSEREAU氏(アート・ディレクター)、(右)STÉPHANIE-ANNE RUATTA氏(歴史監修・ワールドディレクター)

――安土桃山時代のフィールドやキャラクターの衣装を表現するために、どのような資料を参考にしたのか教えてください。

THIERRY
 専門家やコンサルタントとはずっといっしょに仕事をしてきましたが、キャラクターについては外見や衣装など、美術館の展示と書籍を参考にしました。いくつかの美術館を訪れ、リサーチを行ったのち、STÉPHANIE-ANNEと資料を照合しました。

 それらをもとにキャラクターを制作しました。また、書籍の中にある色や人々が持っていた旗などに関する記述も参考にしました。複数の情報源を使っていますが、歴史的正確性は確認しています。

STÉPHANIE-ANNE
 数年間、専門家の助けを借りていましたが、日本のスタジオとチームでも調査を行いました。異なる種類の情報源を使ってチームが正しく理解し、16世紀の日本の様子を再構築するために必要なすべての情報を持っているかを確認しました。

 THIERRYが言ったように美術館のデータベースを使いましたが、碑文や科学書、記事、中世の供述書も使いました。たとえば、
『信長公記』は英語に訳されていますので、それを参考にして16世紀の日本を描写するために使いました。また、同時代のルイス・フロイスの文書はヨーロッパと日本の社会を比較しているのでこちらも参考にしています。

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――この時代は渡来人が多く流入した時代でもありました。弥助もそうですが、そういった人々(宣教師や商人など)のエピソードや暮らし、文化も描かれるのでしょうか?

STÉPHANIE-ANNE
 そうです。16世紀におけるポルトガル宣教師や商人など渡来人の存在を紹介することは重要です。彼らはこの時代の戦の行方、また日本における特定の商人の力の変化に影響を及ぼしました。

――ゲーム中には、安土桃山時代を象徴する城や神社仏閣は、どのようなものが登場するのか気になります。関西を舞台にしていますが、豊臣秀吉が築いた大坂城は……?

STÉPHANIE-ANNE
 さまざまな城と城下町の構築に代表される時代なので、プレイヤーは多彩なタイプの城や、戦で破壊された城を発見することになります。時代の名称に関係している安土城も登場します。

THIERRY
 姫路城、大坂城、竹田城などもあり、プレイヤーがこれらの城を訪れてプレイできるのはすばらしいと思います。これはフランチャイズの強みだと思いますが、すべての城は実際の歴史的設計図をベースとしていますので、体験としても学習の機会としてもとてもユニークだと思います。

 高野山奥之院墓所は日本最古の墓域で、こちらもゲームで見られます。たくさんあって全部を紹介することはできませんが、STÉPHANIE-ANNEと専門家のおかげできちんと描写されていると思いますし、プレイヤーの皆さんがこれらの場所へ旅をすることができるのはすばらしいと思います。

――建造物の建築様式や装飾は、これまでのシリーズ作品とは異なる文化だと思います。再現するうえで意識しているポイント、また苦労している点は? “しゃちほこ”に乗ってダイブできるかどうかも気になります。

STÉPHANIE-ANNE
 建築物のチームは十分にリサーチを行い、その結果を専門家と照合し、すばらしい城を築くために必要な要素を増やすように依頼しました。城だけでなく寺院、神社の装飾を再現するために調査を行い、どんな材料で作られているのかも調べました。

THIERRY
 時代とともに色も変化しますのでその調整もしました。もちろん本作は『アサシン クリード』ですので、どこにでも登ることができますし、ほぼどこからでもジャンプできます。探索は楽しいですよ。

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――日本の時代物は、ともすると地味になりがちですが、ワールドワイドの作品として仕上げる際の壁はなかったでしょうか?

STÉPHANIE-ANNE
 歴史に基づいたゲームであり、プレイヤーには歴史と戯れる機会を持ってほしいと思っています。この時代は非常に魅力的で称賛の対象であり、ポップカルチャーに多大な影響を与えています。16世紀の日本を忠実に再現にするため、著名な専門家の助けを得て、中世日本を再現するために必要なすべての情報を持っているかどうかを確認できたことは幸運でした。

 私たちが本作で歴史的忠実性を保った理由は、非常に多くの話題に彩られた豊かな時代だったからであり、変える必要を感じなかったからです。豊かな舞台なのでファンタジーに入り込む体験もありますが、本物らしくすることは私たちの主要なゴールでした。

――メインストーリーでは、安土桃山時代の有名なエピソード(長篠の戦い、本能寺の変、小牧・長久手の戦いなど)は体験できますか?

STÉPHANIE-ANNE
 それについてはもう少しお待ちください。

――近年のシリーズ、『オリジンズ』、『オデッセイ』、『ヴァルハラ』では、神話とのつながりや、神話をテーマにしたファンタジー要素が楽しめます。本作にも、日本の神話や妖怪など架空の生物をモチーフにした要素が入っているのでしょうか?

STÉPHANIE-ANNE
 とてもいい質問だと思いますが、こちらも後日お答えします。

――本作は日本の四季も再現されていますが、春夏秋冬のいつから開発を始めたのですか。また、とくに表現するのが難しかった季節は?

THIERRY
 春から始めました。桜の花は知っていますし外国人からしてみれば、もっとも象徴的な日本の要素だと思います。そして大きく異なるのは冬です。冬はさまざまな表情があるので、より複雑とは言いませんが、春、夏、秋とは大きく異なり課題も違いました。

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――滝、川、湖など、水の表現でこだわったところは?

THIERRY
 水に関するトピックは、どれも私たちにとってとても重要でした。神道では滝や川への信仰があり、日本のエコシステムの中で重要な場所であることを知っていたからです。郊外の設計図でも用水路が張り巡らされ、家の中にまで入っています。従って水は、とくに農業にとって日本文化の鍵となる構成要素であることを知っていました。

 これが本作であらゆる場所に排水溝を設置した理由です。日本の風景の中の水の存在はこれまでとは違うものでしたので、真剣に受け止め、日本の風景と生活様式における不可侵なものとして扱いました。

――作品に登場する場所や城、文化でとくに気に入っているものを教えてください。

STÉPHANIE-ANNE
 難しいですね。

THIERRY
 私が気に入っているのは竹田城です。高い山の上にあり、天空の城と呼ばれていますが、このロケーションがいいですね。自分たちで作っているので公平とは言えませんが、ほかにも多くのすばらしいところがあります。

 森を作るのはたいへんでしたが、風景を見るのは本当に楽しいです。天候システムの雲などすべてのエコシステムが相互に作用しているところもいいですね。ロケーションではありませんが、ゲーム全体を包むものなので楽しんでいます。

STÉPHANIE-ANNE
 私はこの時代の日本の屏風絵"洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)"が印象的でした。見ているだけでこの時代の生き生きとした世界に接することができるということに魅了されました。

 その芸術的なタッチは特別なものです。これほどアートに満ちたものを見たたことがありませんでした。この時代のアーティストたちを心から称賛しています。

THIERRY
 あと、私にとってもっとも印象的だったのは、自然と建造物のハーモニーだと思います。現地を訪れていろいろな場所を見つけましたが、すべてのものがいかに意図的に構成されているかがわかりました。

 当時は、仏塔を建設しているあいだに木々を植えたと聞きましたが、すべてが完璧に見えました。また、経年を愛し、そこに価値を見出す文化なので苔やそこに根付いたものを大事にします。日本はこうした場所を維持してきたので、いまでも存在し、使われています。

 私たちは長い歴史を持つ題材を扱っているのだと実感しました。また、空間、生きている空間を大切にする文化でもあります。以上が日本を旅していてもっとも刺激的な発見でした。
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