『INDIANA JONES ADVENTURE WORLD』制作のノウハウを語る
アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、2012年3月5日~3月9日(現地時間)に開催中のGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス) 2012。昨今の潮流となるソーシャルゲーム関連のセッションがGDC 2012でも大きなウエイトを占めているのは言うまでもない。開催2日目にあたる、2012年3月6日に実施されたセッション“INDIANA JONES ADVENTURE WORLD: Making Core Gameplay for Everyone”は、ジンガのFacebook用ソフト『INDIANA JONES ADVENTURE WORLD』を題材に、本来コアユーザー向けのゲームを、いかに一般向けにゲームデザインするかを解説したもの。登壇者は、Zynga Bostonのリードデザイナーであるセス・シヴァック氏。
プレイしたことがある人も多いと思うが、『INDIANA JONES ADVENTURE WORLD』は、冒険活劇映画『インディ・ジョーンズ』をモチーフにした、マップ内を探索してクエストをクリアーしていくという、アクションアドベンチャー。ストーリー性も加味されており、歯応えのあるゲーム性が魅力となっている。「自分たちは、『ゼルダの伝説』や『トゥーム・レイダー』などが大好きだが、これらのゲームはかなり難しい。いかにライトユーザーに訴求するかが本作のテーマです」とシヴァック氏。
講演でシヴァック氏は、具体的なマップの制作例を引きながら、ライトユーザーから学んだこととして30ポイントを例示。ユーザーからのフィードバックをもとにゲームに変更を加えていくのはソーシャルゲームでは通例となっているが、本作では最終的には612ヵ所の修正&変更を行なったという。“学んだこと”は以下のとおり。
1.プレイヤーは探検したらご褒美が欲しい。
2.ワールドのいろいろな関連性を確立する(プレイヤーが期待したとおりになっていること)。
3.すべてのことをもう一度教える(覚え足りないことが多いのでまた教える)。たとえば、段差があっても登れると思わない人が多いので、きちんと指導する。
4.すべてを一度に教える必要はない。
5.すべてのアクションが満足できるものでなくてはいけない。先にやって欲しいことがあれば、その邪魔にならないようにキャラクターの位置を変える。
6.一度に複数の目的を与えないで、ひとつの目的にフォーカスする。
7.ワールドの中の関連性は現実世界と同じにする。階段は階段らしく見えるようにわかりやすくする。
8.すべてのものを短くする。
9.キャラクターの人となりは必ず紹介する。
10.デフォルトのカメラズームは重要。生垣に入って迷ってしまうことが多い。
11.教えられないことはカットする。
12.ビジュアルが切れているところは隠す。崖が露出しているとプレイヤーは落ちそうな気がしてしまうので。
13.ステレオタイプのアイテムをガイダンス用のツールとして使う。刺は嫌なもの、悪いものだと思うので避けるようになる。
14.プレイヤーはサプライズや興奮するものが欲しい。罠や危険はなくそうと思ったが、それではつまらないということで止めた。
15.3つのルールを作る。4つではなくて、3つによいものが多い。
16.メカニックをないがしろにしない。
17.目的に向かう道ははっきりと示す。
18.プレイヤーには、「自分は頭がいい」と思わせる。
19.プレイヤーは、失敗したらそれなりの罰則がくると思っている。
20.目的地のあいだに休憩する場所を設ける。
21.ゲーム内の因果関係には一貫性を持たせる。これを変えると関係性が崩れてプレイヤーがとまどう。
22.ひとつの目的はひとつの画面に収める。
23.紹介、定義付け、チャレンジのくり返し。
24.つねに目的を見せておく。
25.その場所にいるかのような感覚を持ってもらう。プレイヤーはいろいろと見て感じている。
26.プレイヤーには特別なゲームだと感じてもらう工夫をする。
27.くり返しはつまらない。スケールを縮めたり、ときにはカットしてもOK。
28.例を提示する。スキルを見せておけば、いつでも使える。
29.一貫性を持たせる。何度も同じメッセージを伝える。
30.ワールドにはいろいろと詰まっているように作る(迷路や火山、滝など)・
『INDIANA JONES ADVENTURE WORLD』を開発してみてよかったことは「横道にそれることを恐れずに自由に思考したこと」、「聖域も疑問視して考えた」などとシヴァック氏。同作は、シヴァック氏にとって大きな挑戦となったようだ。