●E3会場で時田貴司氏に直撃インタビュー!
2012年6月5日~7日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのコンベンションセンターにて開催中の世界最大のゲームの見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2012。このE3 2012のスクウェア・エニックスブースには、多数のスマートフォン用新作が出展されている。ファミ通ドットコムでは、iOS、Android用タイトル『ファイナルファンタジー ディメンションズ』、『DEMONS’ SCORE』(いずれも2012年夏配信予定)の2タイトルのプロデューサーを務める、時田貴司氏にインタビューを行った。
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スクウェア・エニックス プロデューサー |
――今回出展されている2タイトルについて、お話を伺いたいと思います。まずは『ファイナルファンタジー ディメンションズ』について、どのようなゲームなのか、あらためて教えていただけますか?
時田 日本では『ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士』というタイトルで、フィーチャーフォン向けに配信していたものです。『ファイナルファンタジーIII』や『ファイナルファンタジーV』のジョブチェンジシステムを搭載した、“2Dの『ファイナルファンタジー』新作”というコンセプトで作ったもので、一昨年の夏から昨年の夏まで、毎月シナリオを配信していました。本作をスマートフォン化するにあたり、海外でも配信することにしたんです。日本・海外ともに、今夏の配信を目指しています。
――スマートフォン版では、どんなところが変わったのですか?
時田 フィーチャーフォン版では、連載漫画のような形で毎月シナリオを配信していたのですが、スマートフォン版はある程度シナリオがまとまった状態で配信しますので、パッケージ版に近くなりますね。
――シナリオはすべてまとまった状態で配信されるのですか?
時田 その点については現在調整中で、ユーザーさんが選べるような形にしたいと考えています。すべてのシナリオがすぐ欲しいという方には、まとめて一括購入していただき、試しに途中まで遊んでみたいという方には、途中までのシナリオを購入していただく……という風に。
――スマートフォン版になったことで、グラフィックはどのように変わったのでしょうか?
時田 まず、解像度が上がりましたね。とはいえ、描き込みをしすぎてしまうと、ドット絵らしくなくなってしまうので、その塩梅は難しかったです。また、フィーチャーフォン版では、ジョブのグラフィックパターンが男女別の2種類しかなかったのですが、今回はキャラクターごとに用意しました。『ファイナルファンタジーV』以来のおそろしいパターン数になりましたよ(笑)。ちなみにドットを打っているのは、おなじみの渋谷員子(※)お姉さまです。
※渋谷員子氏……スクウェア・エニックスのデザイナー。『ファイナルファンタジー』シリーズの開発に第1作から携わっている、ドット絵の名人。
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▲『ファイナルファンタジーIV』や『ファイナルファンタジーV』の延長線上を目指したというグラフィック。 |
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――ドット絵ファンにはたまりませんね。
時田 ぜひすべてのパターンをご覧いただきたいですね。
――操作方法はどのように変わったのですか?
時田 操作は基本的にすべてタッチで行います。フィールドでは、指を置いたところが方向キーになります。戦闘時にターゲットを選ぶときは、モンスターの姿をタッチしてもいいですし、モンスターの名前をタッチしてもいいです。
――時田さんの考える、本作のポイントはどこですか?
時田 やはりジョブチェンジシステムですね。各シナリオには、そのシナリオを象徴するジョブのNPCが登場します。シナリオをクリアーすると、そのジョブが使えるようになるという仕組みです。本作では、ジョブチェンジとキャラクタードラマの融合を目指しました。
――キャラクタードラマは、時田さんが得意とされるところですね。
時田 本作ではメインキャラクターが8人いるのですが、最初は敵味方に分かれているんです。話が進んでいくと、キャラクターたちが入り乱れ、やがてふたつの世界に生き別れてしまう。分かれてしまったふたつのパーティーの物語を進めていくことで、最後に合流できるのですが、その二重のシナリオが見どころですね。
●“ドラマ”ד音ゲー”דアクション”=『DEMONS’ SCORE』!
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――続いて『DEMONS’ SCORE』について伺います。去年の東京ゲームショウで発表されて以来、続報がありませんでしたが……まさか音ゲーだったとは思いませんでした!
時田 最初に発表したときは、画面だけ見せて、ゲームの内容は公開していませんでしたからね。本作は、「アンリアルエンジン3を使ってスマートフォン用ゲームを作ろう!」というコンセプトから、開発が始まったものです。開発は『押忍!闘え!応援団』シリーズなどを手掛けたイニスさんが担当されています。スクウェア・エニックスで世界観やキャラクターを作り、イニスさんの音ゲーのノウハウを使えば、“ドラマ”と“音ゲー”と“アクション”を融合させたゲームができると考えたんです。
――本作ではどのようなドラマが展開するのですか?
時田 主人公は、セレニティという名前の女の子です。セレニティのお父さんは研究者なのですが、ある日セレニティがお父さんの研究所に行くと、なんと研究所が悪魔の館のようになっていて。そこでセレニティは、悪魔と合体する能力を得るんです。彼女はその悪魔の力を使って、敵の悪魔を倒していくことになります。彼女のそばにいるクマは、デイビットという、彼女の父親の助手だった人間です。研究の途中で身体を失い、クマのぬいぐるみに憑依しました。
――では、ゲームはどのように進行していくのでしょうか。
時田 各ステージをプレイし、ボスの悪魔を倒すことで進行していきます。リズムに合わせてタッチやフリックを行うと攻撃ができ、ミスをするとセレニティのライフが減ります。ライフがゼロになるとゲームオーバーですね。
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▲デイビッドは本作のナビゲーター役。 |
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▲ボスに行き着くまでは、一人称視点で進行する。赤のマーカーが出たらタッチ、水色のマーカーが出たらフリック(剣の向いている方向に指を払う)を行おう。ほかにもいくつかのアクションが存在する。 |
▲ボス戦に突入すると、セレニティの姿も映し出され、迫力のバトルシーンが展開する。 |
――操作方法がシンプルで、直観的にプレイできますね。ボス戦の演出もカッコいいです。
時田 倒したボスとは契約することができます。契約すると、その悪魔の能力が手に入ります。悪魔の能力の効果は、ライフが減りにくくなる、経験値が手に入りやすくなるなどさまざまです。
――悪魔と契約すると、見た目・人格も変わるようですね。
時田 その悪魔に憑依されているため、声もその悪魔のものに変わるんです。悪魔の声は、有名な声優さんが担当されていますよ。
――とすると、男の悪魔と契約した場合、主人公は男声で話すのですか?
時田 そうです。旬のフレッシュな声優さんから、ベテランの実力派声優さんまで、多数の声優さんにご出演いただいています。
――楽曲を作曲されているのはどなたなのでしょう?
時田 ステージごとに、ちがう作曲家の方々にお願いしています。『キングダム ハーツ』シリーズの下村陽子さんや、『サクラ大戦』シリーズの田中公平さんなど、こちらも豪華なラインアップです。スクウェア・エニックス作品で、田中公平さんに曲を書いていただくのは、今回が初めてのことなんですよ。
――ゲームの難易度は何種類用意されているのですか?
時田 イージー・ノーマル・ハードの3種類です。経験値を溜めてレベルアップすると、新たな難易度が解放され、戦える悪魔も増えていきます。ハードの後半ステージでは、恐ろしい数のマーカーが登場しますよ(笑)。
――本作をプレイされた各メディアの皆さんの反応はいかがですか?
時田 直感的にプレイできるということで、ご好評いただいています。イニスのことをご存知の方も多く、「あのイニスが作ったゲームなのか!」とよろこんでくださる方もいますね。悪魔が登場する現代ファンタジーという世界観にも、先入観なく入っていただけているようです。
――配信が楽しみです。それでは、最後に読者へのメッセージをお願いします。
時田 今回、ぜんぜん毛色の違う2タイトルを出展しました。スマートフォンで、パッケージに負けないクオリティーのゲームを、どのように遊びやすい形で提供していくかというのは、ゲームメーカーの命題だと思います。その命題に一生懸命トライしているところですので、ぜひ遊んでいただければと思います。
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