“翔蟲(かけりむし)”や“操竜”など、これまでにない画期的なシステムの数々を導入し、爽快感抜群の狩猟アクションが楽しめる、カプコンのNintendo Switch用ハンティングアクションゲーム『モンスターハンターライズ』(以下、『MHRise』)。

 2021年3月26日の発売日が迫るタイミングで、最新の実機プレイ映像を視聴した。本記事では、その映像の内容を紹介するとともに、それによって発生した疑問点などを開発者にぶつけた、メディア合同インタビューの模様を掲載。

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カムラの里の風景と、2頭のモンスター討伐の様子をリポート

 今回視聴できたのは、計50分ほどのプレイ映像。これまでで露出はしていない、完全新規で収録された映像で、見ているだけで指がうずいてくるシーンばかり。ここでその内容を、順を追って説明していこう。

カムラの里~フルフル狩猟まで

 まずは案内するような形で、ハンターがカムラの里を練り歩く。里内はまさしく風光明媚な場所で、施設も所狭しと並んでいる。注目なのは、里内でも翔蟲を使っての移動が可能な点。忍者の如くビュンビュンと飛びながら移動できるので、複数の施設に用事があるときでもストレスなく回れそうだ。

 施設は里内の食事場や雑貨屋、さらにはオトモ広場での交易船、オトモ雇用窓口、オトモ隠密隊と非常に多く、実際にプレイするのが楽しみになる。

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里の中でも、翔蟲を使った移動が可能。高速移動でストレス皆無!
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食事場では、3種類の団子を選んで食事を摂れる。各団子にさまざまなスキルが備わっているようだ。
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団子を選択すると、茶屋のヨモギとアイルーたちが、歌いながら団子を作ってくれる。これは一見の価値アリ。
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オトモアイルーはもちろん、オトモガルクも雇用できる。
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広場にいる郵便屋に話しかけると、マルチプレイに移行できるようだ。ロビーを作ったり、すでに作成済みのロビーを検索することができる。

 ひと通り施設を覗いたら、マルチプレイへ。マルチプレイではさまざまなコミュニケーション手段が用意されているようで、これぞ『モンハン』という感じ。そして、その流れでフルフル狩猟のため、寒冷群島へ。寒々とした景観に加え、水場が多く、フィールド自体も広い印象。

 肝心のフルフルは、一見鈍重かと見せかけつつ、急な突進をしたり、首を伸ばしての攻撃、さらには過去シリーズで散々苦しめられた電撃攻撃など、行動はバリエーションに富む。途中でドスバギィ、ヨツミワドウを操竜しての攻撃や、フルフル自身の操竜などもあり、無事討伐に成功していた。

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集会所内でのコミュニケーション。『モンハン』のマルチプレイといえば、これがないと始まらない。
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強烈な電撃攻撃をくり出してくるほか、対峙してもBGMが鳴らないのは相変わらずで、とにかく不気味のひと言。

修練場でのマルチプレイからビシュテンゴ狩猟へ

 フルフル討伐から一転、場面は再びカムラの里へ。里内のオトモ広場からは、自由に操作の練習が可能な修練場へ行けるのだが、今回の映像ではマルチプレイで操作練習をしているのが確認できた。つまり、プレイヤーどうしでの連携なども修練場で思う存分練習できるということで、これには驚かされた。

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メニューには“里移動”の項目があり、各エリアへ素早くアクセスできる。
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修練場は、シングルはもちろん、マルチプレイでの利用も可能。トレーニング設定は、標的となる“からくり蛙”の挙動など、細かく設定できるようだ。

 ビシュテンゴ狩猟のため、水没林へ。水没林は、自然が多い反面、巨大な遺跡などもあり、モンスターとはどこで相対するかが重要になってきそうだ。ビシュテンゴは、尻尾を使ったパワフルかつスピーディな攻撃に加え、不規則な移動や柿を投げつけてきたり(!)と、かなりトリッキーなモンスターのようだ。

 ちなみに柿はビシュテンゴが落とすことがあり、落とし物として拾える。動きに慣れるまでは、かなり厄介なモンスターだろう。そしてビシュテンゴ討伐後、プレイ映像もそこで終了した。

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尻尾を使った攻撃や移動はかなり不規則で、注意して見ていないといいようにやられてしまう。

『MHRise』開発陣インタビュー。最新映像から見る、狩猟の進化

 最新映像を視聴したうえで発生した疑問点や興味深い点について、開発の中枢を担うおふたりにそれらをぶつけてみた。なお、インタビューは3つのメディア合同で執り行われた。

辻本良三氏(つじ もと りょう ぞう)

『モンスターハンターライズ』プロデューサー
※“辻”は、正しくはしんにょうの点ひとつになります。

一瀬泰範氏(いちの せ やす のり)

『モンスターハンターライズ』ディレクター

見るほどに興味が湧く、2頭のモンスターとふたつのフィールド

――プレイ動画に登場したフルフル、ビシュテンゴはそれぞれゲーム中ではどのくらいの進行度で登場するのでしょうか?

一瀬大体序盤~中盤にかけて登場するモンスターだと思っていただければ。位置付け的にはそこまで難度の高いものにはしてはいないですね。

――過去シリーズだと、フルフルなどは初心者が初期に手こずるような相手だったイメージです。

一瀬初代『モンハン』などは割と後半期に出てきますし、作品によっては立ち位置が変わってきますが、概ね最近の過去シリーズと似たような進行段階にはなりますね。

――フルフルの動き自体は、これまでに登場したものに近い感じなのでしょうか。

一瀬従来からあった攻撃などで懐かしさを感じつつも、今回プレイヤーに加わったアクションに合わせた行動の追加や調整などは行っていますので、ほかの復活モンスターも含めて、新鮮さもしっかりと感じられるようになっているかなと。

――それは楽しみです。対して新モンスターのビシュテンゴは、これまでになかったタイプの動きをすると感じました。見た目は天狗を連想させる感じですが、動きのモチーフになった生物はいるのでしょうか?

一瀬ほかの新規モンスターもそうなのですが、今回は妖怪の要素を取り入れたデザインで作っています。ビシュテンゴに関してはその通りで、見た目は天狗や烏天狗、生物として猿をモチーフにしています。また、“遊び”や動きとして日本の独楽(こま)も取り入れています。

――コマというと、正月に遊ぶ……?

一瀬はい。独楽を模倣した動きとして、尾を軸にして回転しながら移動したりとか、ですね。ほかにも違った個性として、ビシュテンゴ自身が柿を投げつけるなどアイテムを使うこともあり、全体的にかなりトリッキーなモンスターになっていると思いますよ。

――今回の新モンスターは、空想上の生物をモチーフにしつつも、実際にいそうなイメージもあります。その辺はやはり意識されていますか?

一瀬実際の動物の骨格に合った動きや生態を、妖怪などの空想上の存在と合わせてゲーム的に落とし込んだりとか、そういった工夫はしていますね。モンスターにも何かしらのキャラクター性を持たせたいというのがあり、今回は和やアジアのテーマが根底にあるので、妖怪といった要素をモチーフに入れ込んでいます。

――先ほどの復活モンスターに関係する質問なのですが、今回の翔蟲(かけりむし)アクションに合わせてモンスターの動きを調整した部分はありますか?

一瀬あります。例えば翔蟲にぶら下がっていることで回避できる、地面をなぎ払う攻撃などですね。もちろん翔蟲アクションを使用することによって攻略に幅ができるものと思ってもらえれば。

――かなり便利な翔蟲ですが、現状では移動アクションが納刀時にしか使えないですよね。こちらは何か意図があってのことなのでしょうか。

一瀬そこは開発内でも議論になったのですが、抜刀中でも使えるようにすると、武器ごとの個性がなくなってしまうなと。抜刀中に移動が遅くなる武器でも、翔蟲で移動して攻撃を仕掛ければいいやとなりますからね。ですから、納刀中は移動や軽快性を楽しんでもらい、抜刀中は武器ごとの特性や強みを伸ばした鉄蟲糸技で攻撃ができる形にしました。

――続いてフィールドに関してお聞きします。今回の映像では水没林と寒冷群島の様子が確認できましたが、それぞれどんなコンセプトで制作されているのでしょうか。

一瀬まず水没林ですが、こちらは高い崖の上エリアと、低い位置にある水面エリアのふたつで構成されています。それぞれで登場するモンスターのテリトリーが決まっていますので、うまく誘導して自分のペースに持っていけるかがポイントですね。

 寒冷群島は、かなり広めのマップになっていて、水場も多いのが特徴です。フィールド内にはイカ型の環境生物がいるのですが、それを入手することで、簡易的なバフが受けられるようになっています。フィールド自体の環境も含め、それらをうまく利用できるかがスムーズに狩猟をする鍵になりますね。

――イカ型の環境生物はかなりすばしっこい動きでしたが、あれはあえてそうしているんですか?

一瀬そうですね。そこも加味して、モンスターとの立ち回りにより幅が出るかなと。

――なるほど。ここまで3つの新フィールドを見てきましたが、どれも翔蟲アクションの使いかたが重要になってくると感じました。

一瀬翔蟲を使った移動アクションの使いかたはもちろんなのですが、体験版で確認されたユーザーも多いであろう、大翔蟲(※だいかけりむし。設置して使用することで、通常では行けない高所へ到達できる)も各フィールドごとに特定の場所で設置できるようになっています。

 それを利用したショートカットを使うことでより有利に狩猟が進められるので、ぜひ探してみてください。

――探す楽しみが生まれますね。寒冷群島といえば、本作ではホットドリンクがなくなっていますが、これはどうして?

一瀬開発当初は、グラフィックの質を高めるために、従来のエリア制も視野にあったんですよ。そして開発が進むにつれて今のシームレス制に落ち着いたのですが、同時に探索要素を増やした兼ね合いで、フィールドにいる時間が長くなり、ストレスになる部分はなるべく排除しようという話になったんです。そういった経緯でホットドリンクもなくなりました。

狩りの相棒オトモと、マルチプレイの賑やかさ

――体験版では移動速度という面でオトモガルクを活用しているユーザーが多い印象を受けたのですが、オトモアイルーならではのメリットはどういうところなのでしょうか?

一瀬移動の利便性やモンスターとの立ち回りではオトモガルクに軍配が上がるのですが、オトモアイルーはプレイヤーを回復したり、罠を仕掛けたりなどサポート行動を得意としています。近接武器だと背に乗って武器を研いだりといったことでガルク有利な面が目立つと思いますが、ガンナーだとオトモ2匹でサポート重視にすることでモンスターとの立ち回りがやりやすくなると思います。

 これがいいという正解はありませんので、その辺は自由に遊んでいただければと。個人的に、バランスがいいのはガルク1匹、アイルー1匹ですね。

――なるほど。あと、ガルクにおける過去シリーズのアイルーのような拡張性やカスタマイズ性は、どういった形になるのでしょうか。

一瀬ガルクには、“猟犬具”という武器以外に装備させられる特殊なアイテムが用意されています。ゲーム進行で増えていき、クエストに応じて付け替える形ですね。これまでのプロモーション映像にも、傘を広げたり、鎖鎌で攻撃したりといった場面があったのですが、あれらは猟犬具の一種ですね。

――オトモのカスタマイズにも期待が高まりますね。続いて、マルチプレイに関して。本作ではほかのプレイヤーの姿を視認できるのは集会所の中のみになるのでしょうか?

辻本『MHRise』では仕様が異なりまして、集会所の外であっても、複数人のプレイヤーが自由に互いの姿を確認しつつ歩き回ることが可能になっています。

――なんと!

辻本今回はみんなでワイワイと賑やかにマルチプレイでのコミュニケーションが楽しめると思いますよ。

――修練場でほかのプレイヤーとともに練習している場面も見られましたが、これは同じロビーにいるプレイヤーなら自由に出入りが可能ということですか?

一瀬そうなります。『MHRise』はカムラの里内のどのエリアであっても、ほかのプレイヤーといっしょに行動できるようになっています。オンラインであれば、どこかしらでほかのプレイヤーの姿を見かけるので、過去シリーズ以上に“世界の中にいる”没入感が得られるのではと。

――『モンハン』シリーズのマルチプレイ中は、武器の生産・強化など、個人でできることに制限があったりなかったりといったことがありましたが、今回はありますか?

一瀬極力自由に行動できるようにしていますが、要素によっては通信する関係上で制限している部分もあります。当然、武器の生産やアイテムボックスへのアクセスなど、使用できるものもあります。

――かなり自由に動き回れそうですね。ちなみに、マルチプレイに移行する際の仕組みはどのようなものになっていますか?

一瀬里の広場前にいるアイルーのセンリ(郵便屋)と話すことで、ローカル通信、またはインターネット通信のマルチプレイに移行できます。そのときに自分で部屋を作ったり、部屋を探したりもできますね。その辺の詳細は今後お話できればと。

やり応え抜群の『MHRise』

――本作では食事が“お団子”ですが、これまでの食事システムとの違いはあるのでしょうか? ほかにもメニューがあったり……?

一瀬3種類の団子があるのですが、各団子にスキルなどが備わっていて、それらを組み合わせて食事を行うことで食事効果が得られるようになっています。ゲームを進めると団子の種類も増えていき、それに応じて組み合わせかたも増える感じですね。

 ちなみに、クエストに出発してしまった後でもキャンプで食事ができますので、ゆっくり食事を楽しんでください。

――慌てなくて済みそうです(笑)。施設といえば、交易窓口のシステムも気になりました。こちらも解説をお願いします。

一瀬自分が欲しいアイテムカテゴリに応じて、オトモを派遣する先を選ぶ形ですね。また、過去シリーズにもあった“●●ポイント”と同じく、本作でも“カムラポイント”があり、それを使ってアイテムと交換する要素もあります。

――『MHRise』から“花結(はなむすび)”という装備品が登場しましたが、これはどういった位置付けのものなのでしょうか。

一瀬武器、防具以外に装備できるアイテムで、ブレスレットのようなものです。これを装備していると、クエスト中に環境生物であるヒトダマドリに触れると得られるバフの総量が変化します。攻撃力の限界値が高いもの、体力の限界値が高いものと種類はさまざまなので、プレイヤーのスタイルに合わせて選んでもらえればと。

――花結の入手手段はどのようなものに?

一瀬最初の花結はゲーム開始時にもらえるのですが、それ以降はゲーム進行度に応じて里長フゲンからもらえるようになっています。マメにフゲンさんに話しかけてください。

――きっと、頻繁に話しかけると思います。最後に、辻本さんから告知をお願いいたします。

辻本皆さんご存じの通り、2021年3月26日に『MHRise』のNintendo Switch版が発売になります。それに加え、兼ねてより海外からも要望の強かったPC版も、2022年初頭の発売を目安に開発を進めております。詳細などはまだまだ先になるとは思うのですが、決まり次第、お伝えできればと考えています。よろしくお願いします!