既報の通り、プレイステーション5向けに『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』が、2021年6月10日に発売されることが発表。また、同時に『FFVII』関連ではスマートフォン向けに『ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー』(『FFVII FS』)、『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』(『FFVII EC』)の2タイトルもアナウンスされた。

 発表時にはその3タイトルの詳細について、ディレクターの野村哲也氏(『FFVII EC』、『FFVII FS』ではクリエティブディレクター)のインタビューを掲載したが、今回、さらなる疑問点に答えていただける機会を得たので、急遽、その内容を公開。

※本インタビューは新型コロナ感染症拡大防止の観点から、メールインタビューという形で実施しました。

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野村哲也氏に追加インタビュー

野村哲也(のむら てつや)

『FF』シリーズなどさまざまなスクウェア・エニックス作品でキャラクターデザインを務め、『FFVII リメイク』や『キングダム ハーツ』シリーズではディレクターも担当。

追加部分を“DLC”という呼びかたで分ける必要が出たが、もともとはPS5版の『FFVII リメイク』を作るという主旨

――まずは新キャラのソノンですが、デザインコンセプトを教えてください。

野村紹介にもあった通り、ソノンはウータイ出身でアバランチに身を置いています。アジア系の容姿だったりアーミー系の服装に甲冑のモチーフを取り入れているのはそのためです。またユフィとのバランスで棒術を使うキャラにしたいと提案し、格好も動きやすそうな軽装にしました。当初はもっと繊細で線の細い美少年のような設定でしたが、クラウドやヴィンセントとも違うユフィとの組み合わせのほうが新しい側面も見られるかと思い、いまのような男っぽいキャラに振りました。

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――ユフィとソノンのペアバトルも少し公開されました。合体技のような攻撃も見られましたが、バトルのコンセプトもお伺いできれば。また、ゲージ左に小さく付いているアイコンのようなものは何を意味しているんでしょうか?

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野村プレイヤー操作キャラがユフィだけになるため、ソノンとのコンビネーションも意識しつつ立ち回ることで仲間を感じられるようになっています。ソノンは自発的に動くモードと、ユフィの指示のもと連携して動くモードを選んで戦うことができます。このアイコンはL2を押すことで、ソノンとの“連携モード”に切り替えられることを意味しています。

――マテリアや召喚獣の追加などはあるのでしょうか?

野村ユフィの新規エピソード編のみマテリアと召喚獣の追加があります。

――今後のDLC(ダウンロードコンテンツ)の予定は?

野村アップグレードの都合上、結果的にユフィの追加部分を“DLC”という呼びかたで分ける必要が出てしまいました。しかし、もともとはPS5版の『FFVII リメイク』を作るという主旨であって、“DLCを作る”という主旨ではありません。ですので、いまのところDLCの予定はありません。今回、『FFVII リメイク インターグレード』でPS5での環境を整えることで続編開発への移行もスムーズに進みました。完結までのロードマップを最優先にしていますので、もしDLCとして考える必要があるなら完結後だと思っています。

『FF』自体プレイしたことがない層が多くいる、いまいちばん熱いジャンルに挑戦

――『FFVII FS』は、『FF』シリーズではまさかの(?)バトロワアクションということで、『FFVII』ファンの方はもちろんですが、それ以外の方にも訴求できる作品という意味合いが強いのでは、と感じました。一方で、『PUBG』や『Fortnite』、『Apex Legends』、『荒野行動』など、バトロワゲームもかなりライバルが多めですが、どのような層をターゲットとした作品なのでしょうか?

野村『FFVII』に限ったことではありませんが、長く続くIPのファン層はある程度固定されていき、逆にそれ以外の層への訴求力は我々の課題となっています。『FFVII』という大看板にあぐらをかいていられないという思いは強く、いまいちばん熱いジャンルに挑戦者として参加しようという気概で『FFVII FS』を開発しています。ジャンル的にも『FFVII』を知らない、『FF』自体プレイしたことがない層が多くいるジャンルだと思っています。本作をきっかけに、『FFVII』の世界観に興味を持っていただければという気持ちはありますが、当然やるからには半端な物は出せないので、内容的にも全力で挑んでいます。また、我々にとっても初めて経験するジャンルですが、『FFVII』ファンの方々の多くの方も経験したことのないジャンルかもしれません。ぜひいっしょに挑戦してみていただきたいです。

――画面左上の3人の一般兵は仲間を表しているんでしょうか。また、拳、剣、杖のアイコンはジョブを表していると思いますが、ジョブはバトルごとに変えることはできるんでしょうか。

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野村『FFVII』本編にジョブチェンジの要素はありませんが、『FF』ならではの要素はこのジャンルの中で個性を強く出すために、多分に用意しています。お察しの通り、各プレイヤーはスタイルというジョブに似たプレイスタイルを設定してバトルに臨むことが可能で、アイコンはそれを示した物です。スタイルはそれぞれ特別な能力やスキルを持っており、バトル毎に設定が可能です。ひとつのスタイルを使い続けることの利点もありますが、それはまた別のタイミングで公開させていただきます。

――ベータテストなどは予定されているのでしょうか?

野村クローズドベータテストの実施は予定はしているので、今後の情報をお待ちいただければと思います。

――『FFVII FS』について、野村さんがこだわっている点はどこでしょうか?

野村ほとんどがゲームプレイで構成されているので、自分自身も手触り感等のプレイに重きを置いています。ただ、バトロワプレイヤーの皆さんがいちばん気にされるのはバランス部分だと思います。本作の立案者のひとりであるプロデューサー市川自身がバトロワのヘビープレイヤーなので、本人が皆さんの代弁者的にこだわって調整に意見しています。自分は下手なりの意見もしていますが、彼がかなり詳しく、自分が出すアイデアに対しても、それがバトロワのバランスにどう影響するかを答えてくれているので安心して無茶を言っています。後はグラフィックに関して、スマホ用ということでがっかりされないレベルまで叩いてもらっています。

配信される章は無料でプレイが可能。自分が思い描く夢のパーティでのバトルも楽しめる

――では最後に『FFVII EC』についてうかがいます。前回のインビューでは章仕立てでの配信ということをお伺いしました。配信される章は無料なのでしょうか? 物語自体は無料で楽しめる? どこが課金要素になるのでしょうか。

野村配信される章は無料でプレイが可能です。課金は基本、武器ガチャになります。特別な武器には原作にはない本作オリジナルのコスチュームがセットで入手できるなど、原作にない楽しみかたが付随しています。

――各章のボリュームは? たとえば、『FFVII』だと何章くらいの構成を想定しているのでしょうか。

野村原作『FFVII』だと10章くらいにまとめようとしています。もう少し具体的に言うと3章でミッドガルを脱出します。他作品もそれを目安にしていただくとイメージできるかと思います。

――『FFVII EC』オリジナルのエピソードなどが入ることは?

野村はい、当然その用意はあります。まずは同時に発表した『FFVII FS』の設定をストーリー化したものを『FFVII EC』のオリジナルエピソードとして配信を準備しています。『FFVII FS』自体が本編の約30年前のソルジャー設立時代の物語なのですが、そうなると、当然若き日の英雄も登場しますし、後の神羅役員たちや、今後の『FFVII リメイク』続編にも登場する人物たちの若き日も描かれています。本編で描き切れないキャラクターたちの厚みを増す内容になると思います。

――発表時での映像でガードスコーピオンとのバトルは『FFVII』冒頭の壱番魔晄炉でのバトルだと思うのですが、とすれば、エアリスや召喚獣がいるのは紹介用の映像だからでしょうか。それとも物語の進行とバトルは別モノに?

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野村本作では、クラウドたちの旅をなぞるストーリーモードとは別に、コンピレーションの垣根を超えて挑戦できる特別なダンジョンやバトルを用意します。自分の思い描く夢のパーティーでストーリーでは戦うことのできなかった強敵とのバトルを楽しむことができるようになっています。

――音楽はアレンジされたものが使われるのでしょうか?

野村はい、原作(『FFVII』)のサウンドをベースにしつつ、音楽も本作用にアレンジの予定です。

――『FFVII EC』で野村さんがこだわっているポイントは。

野村原作の『FFVII』のイメージに合わせて、フィールドはデフォルメ、バトルでは等身が上がる、という部分です。原作以外のコンピレーションタイトルはこのルールで構成されていないですし、バトルシステムもまったく違います。それを今回は統一したフォーマットで構成しつつも、各タイトルのイメージを損なわないようにするという部分はこだわっています。また、バトルのおもしろさは蔑ろにはできない部分なので、厳しく意見をさせてもらっています。各タイトルを現CS機で遊びたいという要望も当然届いてはいますので、『FFVII EC』はその代わりではなく、あくまで気軽に『FFVII』の各タイトルを触れていただくことをコンセプトに設計しています。

――3月は『FFVII リメイク』のフリープレイもあり、今年は『FFVII』シリーズ関連の話題には事欠かなそうですね。

野村今年だけではなく来年も再来年も、しばらく忙しい年が続きそうです。『FFVII』関連に関しても今回は第一報という形です。今後の情報も期待してお待ちください。まずは6月10日の『FFVII リメイク インターグレード』の発売をよろしくお願いします。また、そのタイミングで『FFVII リメイク』の配信禁止区間を大幅に開放せていただきます。『FFVII リメイク インターグレード』も極力限界まで開放の方針です。自分も実況動画は好きなので、ぜひこの機会に再び大勢の方と楽しさを共有していただければ幸いです。

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