シリーズ初のオンラインゲームとして話題に
いまから9年前の2012年(平成24年)8月2日は、Wii用ソフト『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』が発売された日。
『ドラゴンクエストX』は、スクウェア・エニックスから発売されたMMORPG。言わずと知れた『ドラゴンクエスト』シリーズ10作目で、ナンバリングタイトルとして初のオンラインゲームとなっている。プレイヤーは5つの種族からキャラクターを選び、広大なアストルティアの世界でさまざまな冒険をくり広げていく。同シリーズは『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』以降、土曜や日曜に発売されるのが通例となっていたが、本作は珍しく木曜日の発売となった。なお、続編の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』では再び土曜の発売に戻っている。
『ドラゴンクエストX』の発表会が行われたのは2011年9月5日。ティザー映像が流され、ゲームデザイナーの堀井雄二氏の口から『ドラゴンクエストX』がオンライン対応であることが知らされたときは、ゲームファンの誰もが驚いたはず。前作でマルチプレイに対応していたこともあって「つぎはオンライン対応になるのではないか」という噂はあったが、それが現実となった際の衝撃はかなりのもの。ネット界隈ではしばらくのあいだ、その話題で持ち切りだったと筆者は記憶している。長年のシリーズファンであれば、「ついに『ドラゴンクエスト』もオンラインか」と感慨深いものがあったかもしれない。
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本作がユニークなのは、MMORPGでありながらもオフラインゲームの感覚でも遊べる点。冒険者の酒場で“サポート仲間”を雇えば、AIキャラクターをパーティメンバーに加えて気楽に冒険が楽しめる。しかもこのサポート仲間はオフライン状態のほかのプレイヤーキャラクターということもあり、緩い繋がりができて非常に心地いい。筆者は積極的にほかのプレイヤーと交流するタイプではないくせに真の孤独はイヤなので、この手のシステムは大助かり。強敵と戦うときはフレンドと、ひとりで気楽に探索するときはサポート仲間とといった具合に、多くのユーザーがその日の気分で遊ぶスタイルを選んで冒険を満喫しているのではないだろうか。
シリーズの伝統的なコマンド式バトルは本作でもまさかの健在。MMORPGなのに「いったいどうやるんだ?」と思ったプレイヤーもいたことだろう。コマンド式とは言え、つねに時間経過があるのでプレイ感覚は従来とはかなり異なる。しかもバトル中は敵味方とも自由に移動可能で、プレイヤーはモンスターと干渉して移動の阻害もできるのがほかのナンバリングタイトルにはないおもしろさ。一般に“相撲”と呼ばれており、敵の攻撃が仲間に届かないようにブロックするなど重要なテクニックのひとつとなっているのも変わっている。
現在、最初に発売されたWii版のみハード性能の都合でサービスを終えてしまったが、Nintendo Switchやプレイステーション4、Windowsなどをはじめ、じつに多彩なプラットフォームで本作をプレイできる。
『眠れる勇者と導きの盟友』、『いにしえの竜の伝承』、『5000年の旅路 遥かなる故郷へ』、『いばらの巫女と滅びの神』といった4つの追加パッケージも発売。本作のCMにあった“終わらないドラゴンクエスト”というフレーズ通り、遊びの幅がどんどん広がっていくのはオンラインゲームならではの魅力と言えるだろう。
なお、5月27日に行われた、シリーズ生誕35周年を記念しての“「ドラゴンクエスト」35周年記念特番”にて、『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン』が発表された。本作は、“オフライン”とあるとおり、インターネット接続をせずにプレイできるタイトル。現行のオンライン版からビジュアルを変更し、親しみやすく遊びやすい『ドラゴンクエストX』を目指して開発が進められているという。現時点での日本版の発売時期は、2022年のなるべく早い時期を予定しているとのことで、楽しみです!
※本記事は、2020年8月2日に公開した記事を再編集したものです。