2021年9月2日~3日の2日間、国内最大規模のインディーゲームの祭典“BitSummit THE 8th BIT (ビットサミット ザ エイト ビット)”が開催された。

 さまざまなタイトルが展示されていた会場の中から、本記事ではUndercurrent Gamesの『Slumhack / スラムハック』を紹介していく。

 本作はパンデミック後の世界を舞台に、近代スラムの廃都に住む少女ネリコが、大都市のさまざまな場所をハッキングしていくというストーリーが描かれる作品だ。

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今回体験した学校のステージでは、ネリコの通う学校でスラム出身の学生に対する採点差別が発生。みんなの成績をもとに戻すべくハッキングを行っていく。

 ハッキングはパズルゲームになっているのだが、本作の大きな特徴として、プレイヤーはキャラクターを直接操作することができない点が挙げられる。基本的には矢印が描かれたアイコンを動かすという操作を駆使してギミックを作動させて、ステージにいるネリコをゴールへと導いていくというルールのパズルゲームとなっているのだ。ブースで今回遊んだステージは、矢印が描かれたアイコンを心電図のような線の上に置き、その方向に応じてネリコが動くというギミックだった。

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画面上部の線のギザギザ部分にアイコンが重なると、アイコンの矢印に対応した方向にネリコが動いてくれる。アイコンを認識するギザギザの部分は等間隔で右から左へ流れ続けているので、アイコンを置きっぱなしにしてしまうと、ずっとその方向に動き続けてしまう。なので、行きたい方向へ進んだあとはアイコンを線の外に置き、また違う方向に進みたい場合はその方向が描かれたアイコンを線の上に置くという操作をくり返していく。

 この操作のアイデアはかなり新鮮で、最初は左右に移動してゴールを目指すような簡単なものから始まっていくのだが、次第にステージの構成も複雑になり、ジャンプ(矢印のアイコンだと“↑”)などの新しいアイコンも登場した。

 このジャンプがなかなかの曲者で、右方向にジャンプしながら進む場合は、“↑”、“→”のアイコンを線上に置かなければいけないのだが、アイコンどうしの間隔でジャンプの飛距離が変わるため、細かい調整が必要になっていくる。何度も失敗しているときは自分で操作できないもどかしさを感じるときもあるが、そのぶん調整がうまくいったときの喜びは大きく、すぐにつぎのステージに挑みたくなってしまうほどだった。また、失敗してもその場ですぐに復活するため、テンポよく遊び続けられる印象を受けた。

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一見簡単そうに見える、小さい足場からジャンプで登るだけのステージも、“↑”と“→”のアイコンが離れているとうまく飛び移れない。こういったアイコンどうしの間隔の調整も必要になってくる。
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今回プレイしたステージのほかにも、一度配置を決めるとアイコンが動かせなくなり、同じ動作の繰り返しだけでゴールへと導くというギミックのステージもあるそう。なかなか頭を使いそうだが、クリアーできたらかなり気持ちよさそう。

 ブースにいた開発者のJiaxing Wei氏に話を聞くと、もともと本作は2020年に行われた“GMTK Game Jam 2020”用に作った作品で、それを製品版としてブラッシュアップしたものなのだそう。このときのゲームジャムのテーマが“Out of Control(制御不能)”ということで、本作のような直接プレイヤーがキャラクターを操作できない作品を作ったとのことだった。

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左からUndercurrent GamesのJiaxing Wei氏とGuanpeng Chen氏。おふたりは日本在住で、開発は仕事の空き時間を利用して制作しているといることも教えてくれた。

 そんな本作は2022年のリリースを目標に、現在最終調整中。SteamとNintendo Switchでの配信を予定しているそうだ。

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