当時の常識を覆した極上のエンタメ

 1992年(平成4年)3月26日は、PCエンジン SUPER CD-ROM2用『天外魔境II 卍MARU』が発売された日。本日で発売から30周年という大きな節目を迎えた。

 『天外魔境II 卍MARU』は、ハドソン(当時)から発売されたRPG。CD-ROMという当時大容量を誇った最先端のメディアを用い、ふんだんなアニメーションやボイス、高品質なオーケストラ楽曲などを使ってゲームの常識を覆した『天外魔境』シリーズの第2弾となる作品だ。アニメやゲームなどで幅広く活躍するクリエイターの広井王子氏が企画・監修していたことでも知られている。ディレクター・シナリオは、最近では『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』で副監督を務めた桝田省治氏。

 シリーズ1作目の『天外魔境 ZIRIA』では楽曲制作に坂本龍一さんが関わり大きく宣伝されていたが、本作ではスタジオジブリ作品の常連でもある久石譲さんが携わり話題となっていた記憶がある。また、映画やテレビの劇伴で知られる福田裕彦さんも多数の楽曲を手掛けている。筆者的には爆風スランプでの“エンペラー福田”名義やポケットビスケッツのウッチャンのソロ楽曲『青の住人』での影武者としておなじみだ。

PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】
PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】

 やはり本作で印象深いのは、セールスポイントのひとつでもあったアニメーションだろう。テレビアニメのようなコマ数多めの映像が随所で挿入されるのは、1作目から3年経っていてもスゴイことだった。ムービーのような特別なイベントじゃなくてもボイス付きでしゃべってくれることが多く、感動したプレイヤーは多かったはず。筆者はオープニングの映像が好きで起動するたびに観ていた覚えがある。

 火の一族の末裔である主人公の“戦国卍丸”が宿敵“根の一族”を倒すことが『天外魔境II』の目的となるのだが、その旅の中で仲間になるキャラクターたちも個性的で大いに魅力だった。自称ジパングいちの伊達男“カブキ団十郎”はウザさも凄まじいが、後半になるにつれて頼もしさもアップ。『天外魔境 風雲カブキ伝』や『カブキ一刀涼談』といった名前を冠した作品も作られたほどのキャラクターに成長した。怪力な大男“極楽太郎”はカブキのせいで若干影が薄い気もするが、一途でやさしいヤツだった。

PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】
PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】

 そして何よりヒロインの“絹”のエピソードは、当時キッズだった筆者にはあまりに衝撃的で忘れることができない体験だった。このあと、少しネタバレになるのでご注意を。

 最初は“地味で使えない”イメージしかなかったのだが、覚醒イベントを経た後では見る目が180度変わったという人も多かったのではないだろうか。母親の死の真相を知って激昂し、真の力を解き放ったときのセリフ「鬼が怒ると書いて鬼怒……それが私の本当の名前」はいまでも鮮明に覚えている。敵に許しを請われるも「駄目!」と一蹴。敵の体を引き千切り惨たらしく殺してしまうのは本当に恐ろしかった。絹役を演じていたのは『君をのせて』や『となりのトトロ』などの楽曲でおなじみの歌手、井上あずみさんだ。

 卍丸は聖剣を手に入れたときに奥義を習得するのだが、聖剣と奥義の名前が当時は非常にカッコよく感じられてお気に入りだった。法水院紅丸を入手すると“紅丸斬”を、いろは宮静なら“静乱斬”を覚えるといった感じで、最終的にはみずからが大霊院卍丸を打ち、“卍卍斬”を覚えて感動的だった。

PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】
PCエンジン『天外魔境2 卍MARU』が発売された日。アニメを使った革新的な演出に目を見張った名作RPG【今日は何の日?】

 本作はゲームキューブ、プレイステーション2、ニンテンドーDS、PSPなど、さまざまなハードに移植。その際には若干の改題がされており、タイトルの“卍MARU”の部分が“MANJI MARU”になっている。もしいま本作で遊ぶのであれば、PCエンジン miniがおすすめとなるが、手に入りにくくなってきているので要注意だ。

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これまでの今日は何の日?

※画面はPCエンジン mini版のものです。