輸送システム経営シミュレーションとしてPCで人気の『トランスポートフィーバー2』(以下『TF2』)が、いよいよ2023年5月18日にプレイステーション5とプレイステーション4で発売される。プレイヤーはインフラを整備する会社のトップとして、思うがままに道路や鉄道などの交通網を整備。そして、都市の成長に必要な商品などを運搬するルートを結び、世界で唯一の輸送帝国を作り上げていく。
そんな『TF2』にはチュートリアルを兼ねたミッションクリアー型の“キャンペーン”、自由度の高いプレイが可能な“フリーゲーム”、“マップエディター”の3モードが用意されており、目的をもって遊びたい派も空想都市作りを楽しみたい派も満足できる内容となっている。今回のレビューでは『TF2』の初心者に向けた基本システムを解説しつつ、経営シミュレーション好きの目線でおもしろさをお伝えしよう。
【こういう人におすすめ】
- 経営系のシミュレーションゲームが好き
- 海外の鉄道や航空機にあこがれがある
- 近代世界史に興味があるor知識が深い
“なにをどこに向けて運ぶか”を見極めてのサプライチェーン構築がアツい!
『TF2』の大前提として知ってほしいことは、ジャンルが都市経営シミュレーションではなく、輸送システム経営シミュレーションであることだ。たとえば『シティーズ:スカイライン』などの都市経営シミュレーションは、プレイヤーが住宅や職場の需要をコントロールしたり、公共サービスや税の収支を設定したりするなど、いわゆる市長的な目線での運営が醍醐味となっている。
一方『TF2』は商品や乗客を輸送する(トランスポート)を軸とした遊びのゲームであり、“なにをどこに向けて運ぶか”を見極めて路線を設定してサプライチェーンを構築し、配送料や運賃でいかに儲けるかが醍醐味だ。都市が成長する楽しみは、あくまでその過程で発生するものである。
マップ内には大小さまざまな規模の都市があり、商業建築物、産業建築物、住宅の3区画が設定されている。住宅ならばバスや鉄道などの公共交通機関で職場への通勤網を整備、商業建築物や産業建築物ならば商品を配送し、需要(ニーズ)を満たすことで都市が拡大していく。
このとき、細かい配送をカバーするならばトラック、遠方から一度に大量に輸送したい場合は鉄道や海運、超長距離の移動や輸送は空輸というように、選べる手段はさまざま。都市ごとのニーズはそれぞれ異なるため、都市の周囲にある原材料生産地と工場をどういったルートで結び、いかに適切な量を都市に届けられるかが腕の見せどころとなる。
路線の設定はどの移動手段も共通で、停留所や駅などを主要な場所に設置し、停車する順番に停留所や駅などを選ぶだけと簡単。このとき必要なのが車両を購入する車庫で、路線にアクセスする場所に設置する必要がある。路線には名前を付けることが可能なので、たとえば“鉄鉱石配送”のようにしておけば、路線の管理もしやすくなるのでオススメだ。
なお、都市内の道路は都市の拡大に合わせて自動で作られていくが、基本的にこちらが望むような形で拡がっていかない。輸送時間を極力抑えた路線を設定するには、あえて自分で道路を整備することも重要だ。
個人的には効率重視派なので、碁盤の目のように道路を敷くプレイになりがちだが(同意する方も多いはず)、景観という面ではどこも似通った印象になるのが悩みどころ。なので、最近は「どうしても!」というポイント以外は、地理的な歴史を脳内設定して「ここは旧道だから道が狭くてくねっている」なんて想像しながら遊んでいる。都市が自動発展する『TF2』だからこその遊びかたも、ぜひ試してみてほしい。
“キャンペーン”のミッションは世界史をなぞる内容で遊びごたえバツグン!
PC版では800時間以上プレイしているが、じつは“キャンペーン”を遊んだことがなく、今回初めてプレイをした自分。プレイする前は「チュートリアル色が強いモードで自由度も低そうだし、家庭用ゲーム機向けでも気ままに遊べる“フリーゲーム”で遊ぼうかな」と考えていたが、いざ始めてみるといままで遊んでいなかったことを後悔するぐらいおもしろい。
概要を簡単に説明すると、このモードは輸送の歴史上重要な節目の、歴史的背景に沿って再現されたミッションをクリアーしていく内容となる。舞台となる地域はヨーロッパ、北米、アジアで、マップの地形や都市配置は現実に合わせて再現。そして、ゴールドラッシュや第一次世界大戦といった、世界史でターニングポイントとなる事象がチャプターとして用意されている。
歴史&乗り物好きとしては馬車の時代から蒸気機関へ移り変わり、航空産業が発達してモータリゼーションが起こり、現代へとつながっていくという世界史の“一大スペクタクル”が味わえるこのモードは大満足だった。
なお、チャプターにはクリアーに必須な“ミッションタスク”と、寄り道的な“ボーナスタスク”が用意されており、とくに“ボーナスタスク”はひとひねりされたクリアー条件があるなど、見事クリアーできたときの達成感はひとしお。コンプリートを考えながらプレイするだけでも、相当なボリュームがあるので、クリアー目的のない箱庭プレイは途中で飽きがちな人にはオススメだ。
ジオラマ的な遊びかたを追求して究極の空想都市作りにいそしむのもよし!
指定された条件達成を目指す“キャンペーン”とは真逆で、自由気ままに遊べるのが“フリーゲーム”と“マップエディター”。“フリーゲーム”はマップのサイズ(大、中、小)、都市や産業の数、峡谷や水域の比率など、細々とした設定で生成したマップで遊べる。
さらに、トロフィーは取得できなくなるが、詳細設定で費用なし、都市の成長関連のパラメータ設定(交通渋滞や交通公害が成長に影響を与える比率など)、都市や産業を自由に追加できるといったカスタマイズも可能だ。
そして“マップエディター”は地形をゼロから好きに作ることが可能で、よりジオラマプレイに向いたモードとなる。
これらのモードの醍醐味と言えば、“キャンペーン”では時代や地域の制約で作るのが難しい、複雑かつ長大なサプライチェーンの構築。マップのサイズを大にして比率を1:3などにすれば、縦長で移動距離も多く取れるようになり、超高速鉄道や航空路線といった輸送網も活躍させやすい。
なお、個人的には超ロングの貨物列車にロマンを感じる派なので、600m級の貨物車両に重連やプッシュブルで牽引車をつなぎ、等速で踏み切りをゆっくり通過する様を定点カメラで眺める……なんて遊びかたも(笑)。
総評:サプライチェーンの構築をアレコレ考えるだけでなく、実際に停留所や貨物駅から商品などが積み込まれたり、乗客が大勢鉄道に乗り込んだりする様子を眺める、箱庭感も味わえる『TF2』。用意されたさまざまなモードで、ぜひ激動の“陸・海・空”の大輸送時代を体験してほしい。
なお、もとがPC版なのでコントローラでの操作に不安を覚える人もいると思うが、マウス&キーボードプレイになじみがある自分でもスムーズに遊べたこともお伝えしておく(マウス&キーボードプレイも可能)。
トランスポートフィーバー2
- プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4
- メーカー:3goo
- 開発:Urban Games
- 発売日:2023年5月18日発売
- 価格:各6820円[税込]、デラックスエディションは各7920円[税込]
- 対象年齢:CERO 12歳以上対象
- 備考:PC版はGood Shepherd Entertainmentより2019年12月11日配信で4500円[税込]