世界中に人気を博しているオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)。全世界の冒険者数が3000万人を突破(2024年1月時点)するなど、『新生エオルゼア』のサービス開始から10周年を迎えても、いまなお躍進を続けている人気オンラインゲームだ。

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【FF14】TRPG制作スタッフは『旧FF14』からのヒカセン。会話とダイスを使ったエオルゼアの冒険に、TRPG初心者も大はしゃぎ【体験会リポート】
2024年1月に開催された大型リアルイベント“ファンフェスティバル2024 in 東京”の様子。

 そんな『FF14』のTRPG(テーブルトップ/テーブルトークロールプレイングゲーム)作品『FINAL FANTASY XIV TTRPG』(以下、『FF14TRPG』)が2024年5月25日に発売予定。発売に先駆け、都内某所で体験会が開催された。

 TRPGとはルールブックに記されたルールに従い、会話中心で進めていくアナログゲームのこと。正式名称にある“TTRPG”とは英語圏での表記の仕方で、日本では“TRPG”という表記が一般的だ。

【FF14】TRPG制作スタッフは『旧FF14』からのヒカセン。会話とダイスを使ったエオルゼアの冒険に、TRPG初心者も大はしゃぎ【体験会リポート】

 ファミ通.comも体験会にお誘いいただいたので、『FF14』プレイヤーの筆者・バーボン津川と、そこまで『FF14』に詳しいわけではないミス・ユースケのふたりで参加。実際に遊んでみた感想はもちろん、『FF14TRPG』に携わる方々に興味深い話を聞くことができたので、リポート記事をお届けします。

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参加者は広めの部屋に集合。ここから4人ひと組にマッチングされる。時間まで展示イラスト等の撮影タイム。
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テーブルについて向かい合い、鉛筆や消しゴムなどの筆記用具を駆使して冒険にくり出す。
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体験会に参加したファミ通.comのミス・ユースケ。とても小柄に見えますが、横にある20面ダイスの方が大きいんです。

酒飲みに麻雀打ち、前途多難なパーティが誕生

 メディア向け体験会には、ファミ通.comの編集者のミス・ユースケ、『FF14』担当ライターのバーボン津川が参加。我々を含む3媒体でパーティを組むことになった。

 ゲームは、自分の分身となるキャラクターを作るところからスタート。今回の体験会では、スターターセットに収録されている戦士、白魔道士、竜騎士、黒魔道士の4ジョブからそれぞれが1ジョブを選び、自分好みの種族を選択。

バーボン(白)自分は『FF14』ではヒーラーをメインにプレイしているので、白魔道士にしようかな。回復は任せてください。

ユースケ(黒)僕は黒魔道士で行きます。敵を全員焼き殺します! 任せてください!

バーボン(白)初手の殺意じゃないぞ。

 ジョブと種族を決めたらキャラクターシートが配られる。ジョブごとにステータス、使用できるアクションが異なるが、ストンラやケアルラなどゲームでもおなじみのものなので、光の戦士なら効果を想像しやすい。

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シートにはジョブごとのイラストも描かれている。あくまでイメージイラストなので、違う種族を選んでもいい。筆者はルガディンにしました。

ユースケ(黒)TRPGには詳しくないんですけど、キャラになり切って会話を進めるのも大事なんですよね。酒好きという設定も書き加えておこう。

 ゲームマスター(進行役)を務めたスタッフさんによると、「そういうこだわりも大いにあり」とのこと。キャラ設定をもりもりにして演じるのも楽しいし、あまり気にせずさらりと遊んでもいい。

 なお、ミス・ユースケは設定厨なので「設定を練るのであと2時間ください」と言っていた。他メディアさんを困らせるな。

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酒は飲んでも飲まれるな! どうも、酒飲み黒魔道士ことミス・ユースケです。

 そして生真面目な戦士、ドマ式麻雀に人生を捧げる竜騎士を加えた4人でパーティを結成。まだ冒険が始まっていないのにクセが強すぎるメンバーに不安だらけ(とくにDPSのふたり)。大丈夫かこのパーティ。

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TRPGでは自分の位置を示す駒があると便利。体験会ではジョブごとにアクリルスタンドが用意されていた。これはあくまでも一例で、ジョブピンバッチなどで代用可能だ。

ダイスを振って大の大人が大はしゃぎ

 いよいよ冒険が始まった。進行役のゲームマスターがシナリオを読み上げ、特定のポイントに差し掛かったところなどで選択肢を提示。プレイヤーが自分の行動を宣言することでゲームは進んでいく。

ゲームマスター時は昼過ぎ、ひと仕事を終えたあなたたちはウルダハにある酒場、クイックサンドで祝杯をあげていました。

ユースケ(黒)酒場? 僕は酒好き……。伏線か……?

バーボン(白)絶対違う。

ゲームマスターそんなあなたたちに酒場の女将であるモモディが話しかけてきました。「荷物の受取証を渡し忘れてしまって、届けてくれる人を捜しているんだけど……タダとは言わないわ。届けてくれたらお礼に1杯奢るから引き受けてくれないかしら?」

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このような感じで、会話相手のビジュアル付きで説明されると状況が頭に入りやすい。助かります(このスクリーンショットの人物はモモディさんではありません)。

ユースケ(黒)お酒のためなら仕方ない。やりましょう!

竜騎士ドマ式麻雀の負けぶんを取り返すためにも、いっちょやってやりますか!

バーボン(白)元気がいい。

 依頼を引き受けた一行は、目的の人物を探すためにウルダハ:ザル回廊のサファイアアベニュー国際市場で調査をすることに。

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体験会ではイメージしやすいようにミニマップの写真も用意されていた。こういった小道具があれば、より一層物語に没入できる。

ゲームマスターここから配達人の行方を探ることになるのですが、どうやって情報を集めるかは皆さんの自由です。道行く人に力づくで聞き出すもよし、温厚に接して教えてもらうもよしと、どんなやり方でも大丈夫です。

 コンピューターゲームではつぎに何をするかが決まっていたり、選択肢が用意されていたりするが、TRPGでは自分の思うままに行動できる。要するに、こういった進行や選択肢の提示をコンピューターに任せているのが、読者のみなさんもよく遊んでいるであろうコンピューターRPGなのだ。

 人間同士のやり取りなので自由度はとても高い。プレイヤーからつぎの行動を提案してもいいし、TRPGに慣れていなくてもゲームマスターの案に乗っかれば安心してプレイできる。

ゲームマスターただし、行動が必ずしも成功するとは限りません。何をするかを決めた後にダイスを振って、出目が低いと失敗することもあります。

 行動の成否は、メインステータスとダイスの出目によって決定。たとえば今回の調査では、忍耐強く話を聞き出すならVIT、愛想よく会話をするならMNDと、プレイヤーが取った選択によって異なるパラメータが参照される。

【FF14】TRPG制作スタッフは『旧FF14』からのヒカセン。会話とダイスを使ったエオルゼアの冒険に、TRPG初心者も大はしゃぎ【体験会リポート】
メインステータスとダイスの出目の合計値が特定の値を上回っていると、その行動は成功とみなされる。20面ダイスには『FF14』でおなじみのメテオマークが描かれている。

ユースケ(黒)いきなり暴力に訴えるのもどうかと思うので、まずはふつうに話を聞いてみましょうか。僕たち良識のある大人なので。

バーボン(白)一刻も早く酒を飲みたいから、トラブルの少ない方法を選ぶ嗅覚がすごいな。

竜騎士ドマ式麻雀をしているおっちゃんたちに話を聞いてみようかな。話を聞くのはどのパラメータを参照するんですか?

ゲームマスターふつうに話を聞くのであればMNDです。ドマ式麻雀を打ちながら手先でイカサマを仕込み、有利な立場を作ってから話を聞くというのもおもしろいですね。その場合はDEXにしましょうか。このように、話の聞き方でも参照するパラメータが異なります。

竜騎士ここで逃げたら雀士の名が廃る! というわけで、ドマ式麻雀を打ちながら話を聞いてみようと思います。

ゲームマスターわかりました。ドマ式麻雀をしながら話を聞き出すことになりましたが、はたして成功するのか。では20面ダイスを振ってください。

竜騎士(ダイスを振りながら)でぇりゃあ! ……4

ゲームマスターダイスの出目が4で、竜騎士さんのDEXは3なので、合計は7ですね。残念ながらイカサマがバレて、話を聞き出すことに失敗したようです。

竜騎士ひえぇ……! お役に立てずすいましぇん……。

ユースケ(黒)何をやっとるんだ君は!

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ユースケ(黒)麻雀プロリーグの“Mリーグ”でサクラナイツの打ち方を勉強したまえ!

バーボン(白)宣伝に余念がない(ファミ通はサクラナイツのスポンサー)。

ユースケ(黒)しょうがない、僕がトークで情報を聞き出しましょう。社会に揉まれて培った本当の愛想笑いというものを見せてやりますよ。

ゲームマスターその場合ですとMNDを参照する形ですね。ではダイスを振ってください。

ユースケ(黒)せいっ……18

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一同 うおおおお! たけええええ!!!!

ゲームマスターMNDは4なので合計値が22。見事、話を聞き出すことに成功しました!

ユースケ(黒)これが愛想道を極めた大人の力。愛想笑いに始まり、愛想笑いに終わる。

バーボン(白)奥が深いぜ。愛想笑いの世界。

 まだ最初の街から出ていないのに、はしゃぎまくりの一同。手がかりを得た我々は、つぎなる目的地に向かうことになるが、みなさんにも新鮮な気持ちで遊んでほしいので、ストーリー部分はスキップしてお届けする。

バトルパートでは“頭割り”攻撃もバッチリ再現

バーボン(白)いろいろあってアマルジャ族とのバトルパートにやってきました。

ユースケ(黒)ジャンプしてシーンが切り替わるやつだ。

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ゲームマスターここからはアマルジャ族とのバトルになります。まずはプレイヤーが行動して、その後に敵に順番が回るのが基本。今回は、戦士、白魔道士、黒魔道士、竜騎士の順で行動を選択していきましょう。

 TRPGでは素早さなどのステータスによって行動順(イニシアチブ)が変動するが、『FF14TRPG』では基本的にプレイヤー、敵の順で行動していく。

 特定のバトルでは、プレイヤーが奇襲されて、敵からいきなり攻撃を受けるというシチュエーションも用意されているという。明確なルールはなく、「こうしたほうがおもしろくなりそう」というゲームマスターの裁量で、あえてそういったバトルを演出してもいいのだとか。

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アクションをじっくり読むのも楽しい。

 プレイヤーのターンになると、キャラクターシートに書かれたアクションを使って敵と戦っていく。使用できるアクションはジョブごとに異なり、ざっくりと説明すると今回の4ジョブは以下のような感じ。

  • タンク/戦士
    • 攻撃を与えた敵に敵視のデバフを与えて注意を引きつける盾役。複数の敵に対して敵視をばら撒くオーバーパワーのほか、単体の敵に対してのコンボアクションも。
  • ヒーラー/白魔道士
    • MPを消費して仲間のHPを回復できるパーティの癒し手。離れた敵を“ストンラ”で攻撃することも可能。体験会では使えなかったが、状態異常効果を解除する“エスナ”、仲間を蘇生する“レイズ”も使用できる模様。
  • DPS/竜騎士
    • ウェポンスキル(WS)のコンボで単体の敵に大ダメージを与えられる。おなじみの“ジャンプ”は高威力のアクションだが、1フェーズ(1回の戦闘。ボスが第2形態に変身するときなどもフェーズが進行する)で1回しか使えない制限が設けられている。
  • DPS/黒魔道士
    • 魔法を使った遠距離攻撃を主体に戦うアタッカー。ブリザド系の魔法では追加でMPを回復できる“アンブラルブリザード”のバフ、ファイア系の魔法では火属性の魔法で与えるダメージを増加させるがMP回復効果を失う“アストラルファイア”のバフが付与される。

 いずれのアクションも光の戦士ならおなじみのものばかり。ゲームと同じような効果を備えているので、『FF14』のみならずファンタジー系のRPGを遊んでいる人ならすぐに順応できるだろう。

 アクションは"メインアクション"、"サブアクション"、"インスタント"の3種に分類。好きな順番で使用でき、1回ずつ使うアクションを選択する。インスタントは任意のタイミングで使用できる仕組みだ。なお、体験会では一部のメインアクションのみが使用可能だった。

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今回の体験会で使用できたのはメインアクションのみで、使用できないものは黒く塗られていた。「いきなり全開放すると混乱するから」という配慮に基づいており、製品版ではすべてのアクションを使用できる。

ゲームマスターバトルはこの盤面上で行います。移動先とアクションを選択して、敵と戦うことになります。

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バーボン(白)マスで区切られたフィールドが戦場になるわけですね。ボードゲームみたい。

ゲームマスターしゃべるのが苦手という人でも楽しめるように、ボードゲーム風の作りになっているんです。

ユースケ(黒)それいいですね。寡黙なキャラという設定にすれば違和感なさそうですし。じゃあ基本的なルールは理解できたし、さっそく焼き殺しましょうか!

バーボン(白)常識的な発言からノータイムで殺意が出てくるサイコパス。

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「魔法で吹っ飛ばしてやるよ」と意気込む。

ゲームマスターバトルに突入……と同時に、いきなり奥にいるリーダー格と思わしきアマルジャが、白魔道士をターゲットに頭割り攻撃を仕掛けてきました

ユースケ(黒)な、なんだってー! 仕方ない。バーボン(白魔道士)のことは諦めましょう

バーボン(白)まずはその攻撃の効果を聞いてもらえません?

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バーボン(白)おお、ゲームでよく見る頭割りエフェクト。盤面上でもバッチリ再現されていますね。

ゲームマスターただ、このままだと盤面が把握しづらいので、簡易的なものも用意しています。

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攻撃範囲を示す外枠もスターターキットに封入されている。

バーボン(白)これはわかりやすいですね。邪魔にもならないし。

ゲームマスターこの頭割り攻撃は、範囲内にいるパーティメンバーで攻撃を受けてダメージを分散させるものです。ひとりで被弾すると大ダメージを受けますが、4人で頭割りをすればそれぞれの被害は軽微。これを考慮したうえで戦ってみてください。

ユースケ(黒)なるほど。わかりました。

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ユースケ(黒)白魔道士のことは諦めよう。

バーボン(白)効果を聞いても諦めるんだ。決意の固さを侮っていたな。

戦士さすがにかわいそうなので、今回は全員が頭割り攻撃の範囲内に入るように動きましょうか。

竜騎士さすが、タンクは冷静ですね。

ダイスの出目はすべてポジティブな要素に関係する

戦士まずは周囲の敵に敵視のデバフをばら撒くために、近づいてからオーバーパワーを撃ってみます。

ユースケ(黒)ちゃんとタンクっぽい。

ゲームマスターでは20面ダイスを振ってください。パラメータとダイスの出目の合計値が、物理攻撃の場合は敵の物理防御力を、魔法攻撃の場合は魔法防御力を越えているとダイレクトヒット。基本効果のダメージに加えて、ダイレクトヒットの追加分、今回でいうと6面ダイスをひとつ振ってください。この合計が最終的なダメージとなります。

 ダイスの出目によって敵に与えるダメージや仲間への回復の効果量が変動。バトルパートではダイスの出目が低いからといってアクション自体が失敗することはない。アビリティの基本効果は発動し、出目が高いとさらに追加の効果が得られるというポジティブなものになっている。

ゲームマスターこのあたりのバランスは、『FF14』らしさを意識しています。ゲームでは基本的に攻撃をミスしないので、『FF14TRPG』もそれに倣おうと。

 ダイスの出目は、あくまでも上振れの要素。出目が悪くて何もかも失敗するということはなく、最低限の効果は保証されているので、戦術も組み立てやすい。

ユースケ(黒)今度は僕の番ですね。ファイア→ファイラ(※)で敵に大ダメージを与えたいけど、MPがなくなってつぎのターンに何もできなくなるから悩ましい。

※ファイア→ファイラの追加詠唱:黒魔道士は“追加詠唱”付きアビリティを所持。移動しない場合に限り、メインの詠唱系アビリティを再度使用可能。ブリザドやファイアはこれにあたる。

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ブリザラやファイラは範囲攻撃。アマルジャ族の初期配置は狭い範囲に固まっていたので、一気に大ダメージを狙う。

竜騎士敵のHPがわからないので、まずはブリザド→ブリザラで様子を見てもよさそうですね。

バーボン(白)単体魔法で1体の敵を集中攻撃するのもありですかね。

ユースケ(黒)敵の数も多いし、ここはブリザド→ブリザラでまとめて攻撃しようかなー。あ、そうか。最初にブリザド食らわせたやつもブリザラの範囲に入れればいいんじゃん。

 ひとりで決断してもいいし、仲間に助言をもらいながら行動してもいい。都度、話し合いながら戦術を組み立てていくのが『FF14TRPG』の醍醐味だ。

 そしてバトルパートは最終局面。残す敵は3体というシチュエーションで、ミス・ユースケの番に。

ユースケ(黒)もう敵も少ないし、ここはファイア系の魔法を使ってMPを使い切る。一気に焼いてやる。ダイスを振って……4! INTと合わせて9! くー、中途半端!

ゲームマスター9だと……ダイレクトヒットしません。追加ダメージはなし! ……ですが、アストラルファイアが付いたので、火属性魔法を使うとダメージが上がります。

竜騎士てことは、まだ追加詠唱で大ダメージ狙える!?

バーボン(白)追加詠唱のファイラは……12! INT込みで17

ゲームマスターダイレクトヒット入ります!

ユースケ(黒)だあっしゃ!! おら!!!!!!

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「見たか! これが酒飲みの力なんだよ!」

 このシーンのグルーヴ感はすごかった。その後も神懸かり的なダイス運を見せ、我々はアマルジャ族の殲滅に成功した。クエストをコンプリートし、脳内にはおなじみのファンファーレが鳴り響く。たたたたーたーたーたーたったたー。

 筆者もミス・ユースケもTRPG経験が浅い。最初は身構えていたものの、初心者でも楽しめるシンプルなルールが採用されていて、すんなりと流れを理解できた。ゲームでおなじみのキャラクターや地名が登場するなど、『FF14』ファンにはニヤリとする要素も多々用意されているのもうれしい。

 バトルも『FF14』らしいシステムを取り入れつつ、TRPGならではの戦略性が際立つ作り。『FF14』のゲームで、初見で未予習のコンテンツに話し合いながら攻略していくのに近しい感覚が感じられた。ダイスの出目がポジティブな効果にのみ影響するため、ストレスなくゲームを進められるのもいい。

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 『FF14』という人気オンラインゲームの世界観を取り入れつつ、シンプルなルール性で楽しめる『FF14TRPG』。光の戦士はもちろん、『FF14』、TRPGともに初心者という人にもぜひ遊んでほしいと感じた。製品版ではどのような冒険が楽しめるのか……ほかのシナリオも早くプレイしたい!

選ばれた“光の戦士”ではなく、一介の冒険者として生きるおもしろさ

 今回の『FF14TRPG』の体験会を主催しているホビージャパンの方々に話を聞くことができた。本作の解像度が高まる回答をまとめたので、ぜひチェックしてほしい。

体験会の参加人数

 2月17日、18日の東京の体験会では200名のプレイヤーが参加。そしてこれから各地での体験会を予定。TRPGの体験会という枠組みとしては、ぶっちぎりの応募があったという。

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『FF14TRPG』でのプレイヤーの立ち位置

 ゲームでは世界の危機を救う光の戦士として活躍するが、『FF14TRPG』ではいち冒険者としてのエオルゼアでの物語が楽しめるという。制作中のテストプレイでは、“イシュガルドの没落貴族で金策に勤しんでいる冒険者”というユニークな設定を作った人もいたとか。

 どのようなキャラクター設定にするかはプレイヤーの自由で、たとえばゲームで雇用している“リテイナー”として冒険をすることも可能。「リテイナーベンチャーでこのアイテムを拾ってくるのには、じつはこういう物語があったから……」みたいな設定でゲームを進めるのもおもしろそう。

『FF14TRPG』を作った人も光の戦士

 『FF14TRPG』の制作に関わっているスタッフは、『旧FF14』からプレイをしている光の戦士。『FF14』プレイヤーなら感覚的にわかるような作りを意識しているという。世界観などは『FF14』公式世界設定本から踏襲されている。

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戦士、白魔道士、竜騎士、黒魔道士以外のジョブは?

 スターターセットでは戦士、白魔道士、竜騎士、黒魔道士の4ジョブがプレイ可能。冒険を広げていくためのスタンダードルールブック(別売り)では『蒼天のイシュガルド』までの13ジョブで遊べるとのこと。

スターターセットの概要

 5月25日に『FF14TRPG』スターターセットが発売予定。以下の内容が同梱される。

  • プレイヤーブック(入門用)
  • ゲームマスターブック(入門用)
  • 作成済みキャラクターシート(4ジョブ)
  • ルールサマリー&ストラテジーガイド
  • オリジナルダイス16個(20面体×6、6面体×10)
  • マップ
  • キャラクターチット
  • 予兆マーカー
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 スターターセットからより深く冒険を広げていくためのルールブックであるスタンダードルールブック、シナリオ&ゲームマスターガイドも、2024年に発売予定。

 スターターでは『新生エオルゼア』のメインストーリーにも関連する3篇のシナリオ、スタンダードルールブックでは新規の3つのシナリオ、シナリオ&ゲームマスターガイドではオリジナルシナリオ数編と、ゲームマスターとしてゲームを進行するためのガイドが収録予定。詳細は、今後ティザーサイトで告知されるとのこと。

ゲームマスターの負担が大きそう。TRPG初心者でもゲームマスターをやれる?

 ゲームマスター用のルールブックが用意されていて、操作説明などの解説も書かれているので、TRPG初心者でも十分楽しめる作りになっている。基本的な流れは記載されているものの、「こうしなければならない」という明確なルールはなく、ゲームマスターの裁量次第で自由に冒険を展開できるのがTRPGの魅力だ。

 慣れるまではシナリオの流れに沿ってきっちりとゲームを進め、慣れてきたらアドリブを入れつつ、プレイヤーの自由な発想を汲み取るように臨機応変にゲームを展開するといったように、さまざまな遊びかたを楽しめるようだ。

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戦闘不能になったらその時点で脱落?

 HPがゼロになっても蘇生手段が用意されているので、戦闘不能になっても冒険から脱落といったことにはならない。

 バトルパートは“フェーズ”で区切られていて、いくつかのシチュエーションを連続して戦うことも。参加者全員が了承すれば、全滅した時点でそのフェーズから再挑戦するといったように、『FF14』らしく遊ぶこともできる。

 なお、従来のTRPG作品ではHPやMPを継続的に管理する必要はあるが、『FF14TRPG』では戦闘が終わったらHPやMPが回復する。これも原作を踏襲した作りだ。

同じシナリオを何度もくり返し遊べる?

 何度でも同じシナリオがプレイ可能。昨今流行っているマーダーミステリーは1回だけのイメージが強いが、同じシナリオを1回しか遊べないということはないようだ。

 『FF14』の、ゲーム中にジョブやクラスを自由に切り替えられる“アーマリーシステム”も踏襲されていて、戦闘中などの特定の場面を除き、途中でジョブチェンジできるという。ジョブごとに使用できるアクションがまったく異なるので、同じバトルでも、ジョブを変えれば新鮮な気持ちで楽しめそうだ。

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キャラクターの育成要素

 スターターセットには、レベル30、40、50までのキャラクターデータが収録されている。シナリオに応じて遊びたいジョブを選び、レベルシンクして冒険をするというイメージが近い。

 冒険を進めることでキャラクターとの出会いや知見を得ることがある。そういった“これまでの道程”によってキャラクターの深みが増したり、そのほかの成長要素も存在。スターターキットではその導入部分を楽しめるようになっており、よりキャラ造詣を深める要素は後日発売の“スタンダードルールブック”や“シナリオ&ゲームマスターズガイド”で収録予定とのこと。

 キャラクターシート欄にある所持品は、冒険を進める過程で手に入れたアイテムを記載。たとえばHPを回復する“ポーション”、MPを回復する“エーテル”、戦闘のときに特殊な効果を発揮するアイテムなどが用意されているらしい。もちろん、冒険の進め方によって入手アイテムは変わってくる。

TRPGの入り口として

 取材というよりただ遊んだだけとなってしまったが、素直に楽しめたのは事実。『FF14TRPG』スターターセットは2024年5月25日に発売予定。価格は6001円[税込]。現在、公式ストア“e-STORE”ほかで予約受付中だ。『FF14』らしい冒険が堪能できるTRPG作品となっているので、興味のある人はチェックしてみよう。

『FINAL FANTASY XIV TTRPG』公式サイト
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