2024年2月5日で5周年を迎えた『Apex Legends』(エーペックスレジェンズ)。これを記念して、2月24日・25日に幕張メッセで特別イベント“Apex Legends Asia Festival 2024 Winter”が開催された。

 会場では、『Apex』の開発を手掛けるJohn Larson氏とAshley Reed氏にインタビューを実施。5周年を迎えた感想やこれからに向けての想い、日本のプレイヤーに対しての印象などを語っていただいた。

John Larson(ジョン・ラーソン)

『Apex』のゲームデザイナー。2020年11月から約3年4ヵ月『Apex』の開発に携わっている。レジェンドの調整やアーマーシステム、ランクマッチなどのゲームデザインを担当。(文中はJohn)

Ashley Reed(アシュリー・リード)

『Apex』のリードライター。2019年8月までElectronic Artsに所属、以降はRespawn Entertainmentでレジェンドどうしの会話などストーリー関連を制作している。(文中はAshley)

【Apex】開発者インタビュー。5周年を迎えた感想や日本のプレイヤーについての印象を語る
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日本での盛り上がりに感動。『Apex』がここまで多くの人に愛されている要因とは

――『Apex』5周年おめでとうございます。今回、2024年2月24日・25日の2日間にわたり幕張メッセという大きな舞台で大会が開催されて、会場は大きく盛り上がっていたと思いますが、実際ご覧になられてどう感じましたか?

John日本のプレイヤーたちの情熱を実際に感じられてすごく感動しました。

Ashleyじつは昔、ほかのゲームの取材でこの場所を訪れたことがあるんですよ。ですが、今回は開発に自分が直接関わっているゲームのイベントなので言葉にできない複雑な感情になりました。会場で大勢のファンを見ることができてとても感動してます。

――『Apex』が5周年を迎えたことの率直な感想をお聞かせください。

Ashley「やったぜ!」という感じです。

John最高でしたね。今回の新しいシーズンは、レジェンドや武器、クラフトシステム、ルートボックスなどいろいろな開発チームが協力し、ひとつになったことで実現したので。

――プレイヤーの私としてもすごくおもしろくて、また新しい体験だなっていうのを感じました。

Ashleyどういうキャラクターが好きなんですか?

――ふだんはランパートを使っているんですけど、もうシーラのスピンアップが速すぎてびっくりしました。

Ashleyほんとですか! ランパートのデザイナーがこれを聞いたら絶対喜ぶと思いますよ。

――ぜひ伝えてほしいです。では、『Apex』がここまで多くの人に愛され、プレイされている要因をどのように分析していますか?

Ashleyまず『Apex』の、ゲームコア部分がおもしろいからだと思います。戦闘面と動き、あと武器のシステムですね。初期の開発チームが確立したこれら3つを軸に、その後加入したメンバーもこの方向性をキープしつつ新しい要素を入れていっているので。

Johnあとはレジェンドですね。それぞれに人間性があって、私自身キャラクターとの絆を強く感じるほどです。

――確かにキャラクターの作り込みがすごいですよね。ストーリーもしっかりしてて、そこにも引き込まれるなっていうのはプレイしていて感じます。

Ashleyすごく光栄です。どちらかというとストーリーメインのゲームではないんですけど、それを共感してもらえるのはたいへんうれしいです。

いままでで印象に残っているのはシーズン9とシーズン16。タイタン登場のトレーラーが話題に

――開発に携わっていてやりがいを感じることや達成感のある瞬間があれば教えてください。

Ashley開発チームとしてはこの5年間、つねに新しい要素を出してユーザーに新しい体験や刺激を与えてきました。なので、実際にそういったコンテンツを出した後、楽しんでいるユーザーの反応を見てそこで達成感を強く感じています。

【Apex】開発者インタビュー。5周年を迎えた感想や日本のプレイヤーについての印象を語る

John先ほども話しましたが、今回のシーズン20はいままででいちばん印象に残っていますね。いろいろな開発チームと協力して作り上げたので。

 じつは、当初いろいろと議論されて強引に実装したものもあったんです。たとえば、アーマーをマップ上からなくすこととかですね。チーム内でたくさん議論したので、最終的にチームとしてシーズン20を出せたのはやっぱり感動しました。

――なるほど、では反対にこれまで苦労されたことは何かありますでしょうか?

Johnそうですね、『Apex』が世界的に人気なって開発チームにもいろいろな方が加入したのでどうやって話し合い、同じ方向性に行けるかというところにいちばん力を入れました。最終的にはチームのみんながお互いを支え合い、サポートしつつチームとしてシーズン20を迎えられましたが、それがいちばん苦労したことですね。

Ashley『Apex』はシングルプレイのゲームではないので、ライターとしてどうやってその物語を表現するかが難しかったです。やはり、いろいろな角度からユーザーに『Apex』の世界観とストーリーを伝えないといけないので。ただ、その分おもしろかった部分でもありますね。

 たとえば、キャラクターどうしの会話もいろいろな角度から着手して、トレーラーも出してどんどんユーザーに世界観、ストーリーを伝えるようにしました。今後もちゃんとストーリー、世界観をユーザーに伝えていきたいなと思います。

――開発者目線ではこれまでのどのシーズンが印象に残っていますか?

Ashley私は、ヴァルキリーが生まれたシーズン9がいちばん印象に残ってます。ヴァルキリーのバックグラウンドを紹介するという、ふだんと違った特殊なトレーラーを出したので。

 そのトレーラーの中で、『タイタンフォール』の要素をどれだけ入れるかチーム内で議論し、入れすぎないようにとバランス調整もしたので最終的にこのトレーラー出した後、ユーザーからいい反応を受けられて感動しました。その影響で、『タイタンフォール』のプレイヤーが増えたということもありましたね。

――私もタイタンが出てきたときすごく驚いて興奮しました。

John私がいちばん印象的に残っているのはシーズン16ですね。当時チーム内でいろいろと議論しましたけど、初めて新レジェンドを出さなかったシーズンなんですよ。そこからいろいろな研究をしてチーム内で話し合い、新レジェンドはちゃんと出せるタイミングで出すという方向性にもなりました。

日本のプレイヤーに対する印象とは。「もともと日本で成功できるとは思っていなかった」(Ashley)

――日本ではストリーマーをはじめ、コアユーザーからカジュアルなユーザーまで、さまざまな層に受け入れられていますが、現在の日本コミュニティについてはどのような印象を持たれていますか?

Ashley日本のユーザーには情熱を強く感じていますね。今日もこの会場で、10時開場にも関わらず朝の6時からドアの前に並んでいるファンの姿を見て感動しました。コスプレイヤーたちもほんとに素晴らしかったです。

 正直に言うと、もともと日本で成功できるとは思っていませんでした。なので、日本のプレイ人口や会場でのパフォーマンスを見て驚きましたよ。これからもそんな日本のユーザーに、すばらしいコンテンツを提供していきたいと思います。

Johnそして、日本は選手もすばらしいですね。YukaF選手が動きについて、つねに限界まで研究していつもすごいプレイを出していますので。それを見てインスパイアされていると思います。

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レジェンドはピック率や勝率を参考に調整。SNSでユーザーの反応もチェック

――リリース当初6人だったレジェンドも現在は25人にまで増えていて驚きました。その分、キャラクターごとのバランス調整が難しそうですがどうお考えでしょう?

Johnやはり、キャラクターの数が増えるとどんどん難しくなることもありますが、いつも新レジェンドを出すときには彼らがどういうユニークなゲームプレイをユーザーに与えられるかをつねに考えています。斬新な角度から、どのようにユーザーのゲームプレイを変えられるかという視点を持つことが大事だと思いますね。

――なるほど、では各シーズンのランクマッチやレジェンドのピック率などはどういったものを参考にしているんでしょうか? ユーザーの反応をもとに慎重な調整が行われていると感じます。

John開発チームはダッシュボードを持っているので、そこから各レジェンドのピック率や勝率などいろいろなデータを参考にしています。そしてSNSでユーザーの反応も聞きつつ、最後に我々がプレイヤーとして自分でちゃんと触ってみて調整を行う感じですね。それから、私は毎日『Apex』やってますので自分の感想も踏まえていろいろと考えています。

 優先順で言うと、まずピック率が非常に低いキャラクターをどうやって強化するかですね。あまり使われていないキャラクターの調整を優先的にいつも考えています。例として、レヴナントはピック率が非常に低い典型的なキャラクターだったので優先的に調整しました。

――そうだったんですね、『Apex』がシーズン20でまた大いに盛り上がっていますがその点についてはどうお考えでしょうか?

Johnそうですね、まずプレイヤー向けのメッセージとして、今回かなり新しい要素が追加されたのでいろいろなキャラクターを試してみてほしいです。先ほどお話ししたように、とくにキャラクターのアップグレードでまた新しいゲームプレイを体験できますので。それから、ランクシステムも大幅に変更されたのでランクも遊んでみてください。

Ashley我々開発チームとしては、いまはチーム内でお祝いしているという感じですね。日本のみなさんには、ぜひ機会があれば『Apex』ミュージアム(※)に来場していただきたいです。これからゲームに追加される要素やちょっとしたヒントも入っているかもしれませんよ。

※ゲーム内のエリア名称

John後は初心者のプレイヤーにひとつアドバイスで、『Apex』を怖がっている方もいらっしゃると思いますけれども期間限定のゲームモード“ストレートショット”(※)をぜひ試してみてください。通常のバトルロイヤルモードよりペースが速く、刺激のある撃ち合いが楽しめると思います。

※2024年2月24日時点

【Apex】開発者インタビュー。5周年を迎えた感想や日本のプレイヤーについての印象を語る

――わかりました、ぜひ試してみます。直近のシーズンでは、新レジェンドを追加したり仕様変更や既存キャラクターのリニューアルなどさまざまな調整が行われていますが、多くのことにチャレンジを続けるのはなぜでしょうか?

Ashleyユーザーにつねに新しい要素を提供し、新しい刺激を与えていきたいからです。我々のゲームを飽きないよう、つねに新しいアイディアをゲームに追加してテストしています。今後もいろいろな新要素をゲーム内に取り入れていく予定です。

Johnこれからも、『Apex』のコアの部分は残しつつ新たな限定モードなどで試し、バトルロイヤルモードをよりよいものへと改善していきます。

『Apex』ファンへメッセージ。今後のコラボイベントについても言及

――先日実施された『ファイナルファンタジーVII』とのコラボはすごく楽しくて驚きがありました。今後もストリーマーやデザイナー、有名な方々のコラボスキンなどは積極的に行われるのでしょうか?

Ashley私としても、『ファイナルファンタジーVII』(FF7)とのコラボはまるで夢のような経験でした。私も子どものころからずっと『ファイナルファンタジー』のファンなのでコラボが実現できてとてもうれしかったです。なので、これからもこういうすばらしいコラボの機会は前向きに検討したいと思います。

――というと、何か計画されていることがあるんでしょうか。

Ashleyまだ何も言えません(笑)。

――楽しみにしています! 最後に日本の『Apex』ファンの皆様へメッセージをお願いします。

John日本のみなさん、プレイヤーには感謝しています。今回、初めて日本に来日しましたが会場でみなさんの情熱に感動しました。5年前の自分は、絶対こんな風になっているなんて想像できなかったので本当に日本のファン、日本のプレイヤーに感謝の気持ちを伝えたいと思います。

Ashley私はふだんアメリカの家で在宅勤務をしているので、実際に会場でみなさんの姿を見て『Apex』が大勢の方に愛されているのを実感して感動しました。会場の写真を親友に送って自慢していますよ(笑)。本当に日本のみなさん、日本のプレイヤーたちに感謝しています。

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