『Reload』、アニメ、そして新展開も……!?

 
 先日、衝撃的に発表されたプレイステーション Vita用ソフト『ダンガンロンパ1・2 Reload』。本作は、プレイステーション・ポータブル(以下、PSP)で発売された、ハイスピード推理アクションの『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』と『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』をセットにして、新規要素を加えた新作だ(詳しくは【→コチラ】)。

 週刊ファミ通2013年7月4日号では、本作の発表と合わせて、プロデューサーの寺澤善徳氏とシナリオライターの小高和剛氏にお話をうかがった。今回ファミ通.comでは、そちらのインタビューに、ページ数の都合でカットした部分も加えた完全版を掲載! 『Reload』はもちろん、間もなく始まるアニメのお話、そして新たな展開についてもうかがった。

全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_01
▲プロデューサー
寺澤善徳氏(右)
(※文中は寺澤)

シナリオライター
小高和剛氏(左)
(※文中は小高)

PS Vitaで甦る、『ダンガンロンパ』シリーズ

全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_02
全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_03
全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_04
全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_05

 
――まずは、『Reload』を作ることになった経緯をお教えください。
寺澤 テレビアニメの放映に合わせて、『ダンガンロンパ』を知る方が増えると思いますので、そういった新しいお客さんに、ゲームもプレイしてほしいなと。もちろん、そこでプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)版を遊んでいただいてもいいのですが、せっかくなので、高解像度でキレイなプレイステーション Vita(以下、PS Vita)版で遊んでもらおうかなと考えました。
――アニメは『1』の物語ですが、『2』も収録された理由とは?
小高 『1』のアニメを観たら、絶対に『2』が遊びたくなると思うんです。セットにしたほうが喜んでいただけると思いますし、『1』と『2』は物語が継続した続編ですので、セットになっていることに必然性がありますよね。
――PS Vitaの高解像度グラフィックで見ると、印象は変わりますか?
寺澤 高解像度でクッキリ見えて、発色も違うので、すごくキレイですね。文字もとても読みやすくなっています。
小高 いちばん大きな違いは、『2』の学級裁判です。『2』ではカメラを大胆に動かしたぶん、キャラクターが粗く見えるところも多かったんですが、本作ではキレイに表示されていますね。
寺澤 あとは、画面が大きくなって遊びやすくなったし、迫力も増したよね。
――新たに対応したタッチ操作は、どのような場面で活用するのでしょうか。
寺澤 学級裁判などで、相手の発言を直接触れて遊べるので、とても遊びやすくなったと思います。それと発言をジャマする“ガヤ”は背面タッチで壊せるので、スティックとボタンでの操作感とはひと味違った感じになるのでおもしろいです。もちろん、いままで通りのボタン操作でもできますよ。
――オリジナル版でクリアーした人も、違った感覚で楽しめそうですね。ちなみに、『Reload』というタイトルはすんなり決まったのでしょうか?
寺澤 候補はそんなになかったですね。奇をてらいすぎて、新作のように思われると問題なので、わかりやすさ優先で決めました。“スーパー”をつけるという案もありましたが、いろいろと混乱を招きそうなので、やめました。
小高 最初、寺澤が「“スペシャルパック”はどう?」って提案してきたんですよね。でも、あまりにふつうすぎたので、「つまらないからヤダ」と拒否しまして(笑)。それで、『Reload』というタイトルを考えたのかな。
――なるほど(笑)。あと、『1』の体験版が入っていますが、製品版に体験版を収録するのは珍しいですね。
寺澤 PS Vitaだと体験版がプレイできないので、初めてプレイする方のために入れています。ご存知の方も多いかもしれませんが、いろいろと話題になった体験版を、できれば本編をプレイする前に遊んでいただきたいですね。

『1』に追加された新要素、スクールモードの魅力

全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_06
全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_07

 
――PSP版を遊んだユーザーは、とくに新要素が気になる部分だと思いますが?
小高 『1』に追加されたスクールモードが、新要素になりますね。キャラクターとの会話を楽しみたいというユーザーさんの要望から、『2』にはアイランドモードを入れましたが、『1』にはなかったので、それならばこのタイミングで入れようじゃないかと。
寺澤 『2』にアイランドモードを入れたことで、「『1』にもこのモードが欲しかった」というご意見をたくさんいただきまして、今回での追加になりました。
――基本的な内容は、『2』のアイランドモードと同じなのでしょうか?
小高 はい。お題を出すのがモノクマになっていたり、学校内から物を集めてくる設定になっていますが、基本はアイランドモードと同じですね。
寺澤 『2』のときは、島の向かう場所によって、体力の減りかたに違いがあったのですが、スクールモードでは、4階などの離れた教室に行くと、疲れやすくなっていますね(笑)。
――階段の上り下りで疲れると(笑)。
小高 内容は、本編にはなかったほのぼのモードですし、『2』と同様にココロンパ(相手の心の発言を肯定か否定するシステム)や、デートもあるので、本編をプレイした後に長く楽しんでもらいたいですね。
――デートなどのセリフは、書き下ろしになりますか?
小高 はい。『2』のアイランドモードのときと同じように、僕が監修をして、別の方に書いていただいています。かなりいい感じに仕上がっていますよ。
――それは楽しみですね。ほかに新要素はあるのでしょうか?
小高 新要素ではありませんが、学級裁判で難しいと指摘があった部分などの調整をして、遊びやすくしています。

尖りまくった『1』と、洗練された『2』

全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_08
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――改めて『1』と『2』をプレイされてみて、印象はいかがですか?
小高 アニメ化に合わせて久しぶりにプレイしましたが、『1』はいろいろなものが凝縮されて尖っていて、『2』は洗練されているなと思いましたね。
寺澤 『1』だからできたという勢いはあると思うね。逆に『2』は、洗練されて遊びやすくなっているよね。
小高 あと、僕が言うのもなんですが、客観的に見てキャラクターがよくできているんですよ(笑)。とくに『1』は、媚びていない。女の子の人員枠があるとして、通常は人気が出そうな子を配置するものですが、『1』は腐川や大神のように、明らかに何人かの枠でセオリーを無視していると思います(苦笑)。
――確かに、キャラクターが立っていますね。寺澤さんはいかがですか?
寺澤 『1』と変化をつけるために、『2』は明るい要素を増やしましたが、改めて『1』をプレイしてみると、じめじめとした感じが際立つよね。空気が重い。
小高 あと、『1』の設定はバラバラに見えて、ちゃんとつながっているんですよね。超高校級の設定も個性につなげるために考えていたり、死んでしまうキャラクターに感情移入させるために、好感度のシステムを導入したり。
――『1』、大絶賛ですね!
寺澤 いやいや。いま見ると際立っているけど、遊んでみると『2』のほうが遊びやすいと思います(笑)。
――なるほど(笑)。『1』は、2010年発売ですので、開発時期になると2009年ころでしょうか。そのころの思い出などはありますか?
小高 『1』のとき、しんどかったですか?
寺澤 いや、そうでもない。『1』のときは、作っていて楽しかったね。まわりから「売れない」って言われていたから、ヘンなプレッシャーはなかったし、開発のみんなが作りたいものを作り上げるために、いつも以上の力を出していたし。何より、みんな前向きだったよね。
小高 『1』と『2』で力の出しかたは変わりましたよね。『2』はいいものを作らないといけないので、モチベーションの持ちかたが違いました。ただ、それを乗り越えて『2』を作れたのは、自信になりましたよね。「『2』のほうがおもしろい」って言われるのがうれしいですし。
寺澤 それはうれしいよね。『1』は、前評判などもなかったので、ユーザーさんの顔を見ながら作っていないんです。それに対して、『2』はユーザーさんのことを考えながら作っているので、そこのプレッシャーを超えたのは大きかった。ユーザーさんの期待値が高かったので、出してみるまでは不安でしたけど、最終的にはいいものができたなと思う。とはいえ、ユーザーさんも意外と「前作を超えるのは無理だろ」って言ってくれていたから、気楽な部分もありましたけどね(笑)。
小高 ユーザーさんのほうが「(前作を)超えられないだろうから、やさしくやってやろうぜ」って言っていましたから(笑)。でも、改めて『1』をプレイした後、思いましたよ。このあと『2』には続かないなって。
寺澤 だから、「続きは書けない」って言ってたんでしょ(笑)。
小高 いやー、『2』はよく作ったもんだ(笑)。ただ、やり直していて、感動するのは『2』のほうが多かったですね。『1』は最後にグッと来ました。

テレビアニメ放映開始! そして、つぎの展開は……

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全部聞きます! 『ダンガンロンパ1・2 Reload』インタビュー完全版_14
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――間もなくテレビアニメが始まりますが(アニメの詳細は【→コチラ】)、アニメの内容はゲームに忠実なものになっているのでしょうか?
小高 そうですね。当初は、アニメオリジナルの展開も考えましたが、アニメのスタッフが『ダンガンロンパ』のファンで、原作に忠実にやろうと言ってくださったのと、新しいストーリーは『1』ありきのものになってしまう可能性が高かったので、間口を広げることを重視して、いわゆるゲームのアニメ化にしていただきました。
寺澤 アニメを観た後にゲームをプレイしたときにどう感じたのか、むしろそういう感想を聞いてみたいね。どういう感覚でゲームを楽しんでくれるのかが気になります。
小高 アニメは凝縮していて、スピードが早いので、ゲームを遊ぶと「裏にこういうことにあったから、こういう風になったのか」って感じてもらえるかも。『ダンガンロンパ』は複線を散りばめているタイトルなので、アニメを観てからゲームを遊んでも十分おもしろいと思います。でも、アニメを観たら『2』を先にやりたくなるかもしれないですね。「十神、なんで太ったんだ」とか、「このピンク色の生き物はなんだ」とか(笑)。
――では、アニメを観た感想は?
小高 これだけ情報が詰まった凝縮されているアニメは、昨今にはなかなかないんじゃないでしょうか。目を離す隙がないので、Twitterなどの実況はできないと思いますよ(笑)。
寺澤 そうだね。とにかく展開が早いハイスピードアニメだと思います。
小高 あと、モノクマがとにかくよく動く。モノクマ専用の作画担当の方がいるぐらいがっつり作っています。モノクマはアニメオリジナルのネタもあるので、注目してください。 
――あのボリュームがアニメで入りきるのか、心配な部分もあります。
小高 『ダンガンロンパ』をアニメ化するときに、キャラクターがいちばん大事だと思っていまして、そこを最大限残すようにして、ほかの部分は極限までそぎ落として作っています。ゲームとは違う、キャラクター押しの『ダンガンロンパ』を再構築したイメージですね。もっとも違うのは謎解きの部分。彼らが、自分たちでどんどん謎を解いていく、キャラクタードラマに重きを置いています。
寺澤 ゲームでも学級裁判が始まらないとわからない部分があったと思いますが、アニメの場合は、映像のほうから「そういうことか」ってわかると思います。
小高 1話の苗木くんと○○さんのやり取りは効きますね……。あれを観た後、2話を観ると、「はぁ……」って溜め息が出る(苦笑)。
寺澤 フルボイスになったことで、ゲームではインパクトがなかった部分も、すごく衝撃的に表現されていますね。
小高 説得力が出てしまったために、非常に重いというか。
寺澤 ゲームを作っている側の僕らでも、鳥肌が立つというか。
小高 処刑シーンも、ゲームと違う部分が見られるので、衝撃的です。何と言うか、アニメを観ると「『ダンガンロンパ』はここまで来たんだ」って感じますね。
寺澤 アニメ化はひとつの夢だったからね。
小高 作っているときから妄想はしていましたけどね。ベランダでタバコ吸ってるときに「これだ!」って思いついて。モノクマを作っているときも覚えていますし。
――最初に思いついた部分はどういうものでしたか?
小高 高校生たちが、バトルロワイヤルをしながら推理をして、だんだん人数が減っていくというイメージですね。みんなで作りながら、「ファミ通でプラチナ殿堂取って、販売数10万本突破して、アニメ化するんだ」って考えてました。あと実現していないのは、ハリウッド映画化ですね。モノクマがスタローンで。
寺澤 女子高生に見えないような、グラマーな女優が出て。
小高 キャメロン・ディアスとかね。
――ハリウッド映画化もお待ちしています(笑)。アニメも気になりますが、今回PS Vitaにハードを移した、ゲームのその後の展開がどうなるのかもうかがいたいのですが……?
寺澤 気になりますよね。まだ言えませんが、じつはもう何かが動き出しています! アニメと『Reload』を堪能しつつ、期待してお待ちください。
小高 『ダンガンロンパ』ですから、皆さんの期待をいい意味で裏切れるようにしたいですね(笑)。
――期待しています! では最後に、読者へメッセージをお願いします。
小高 『ダンガンロンパ』らしい独特なゲームが作れるようにがんばっていきますので、アニメ、『Reload』ともども、ぜひ応援をお願いします。
寺澤 ファンの皆さんの期待に応えられるようにしたい……のですが、小高があまのじゃくなので、あえて外すこともあるでしょう(苦笑)。それも含めて楽しんでほしいですね。