画面の向こう側に“実在”する少女を描くということ。
2017年4月12日より配信開始となった完全新作RPG『拡張少女系トライナリー』。本作は、これまでに『サージュ・コンチェルト』や『アルトネリコ』シリーズなどで、少女との“心の交流”をとんでもなく深いレベルで描いてきたクリエイター・土屋暁氏の最新作だ。配信開始以降、家庭用ゲームに勝るとも決して劣らない、本作のただならぬボリュームと奥深さを感じているプレイヤーは多いことだろう。その概要については、本日(2017年4月27日)発売の週刊ファミ通や最新のPV(リンクは下記)をご覧いただくとして、当記事では、週刊ファミ通2017年3月23日号(2017年3月9日発売)で掲載した、土屋氏へのインタビューを一部修正のうえ全文掲載。また、最後にひとつ新たな質問をしているので、本作を遊んでいる人や、気になっている人もぜひ読んでほしい。
『拡張少女系トライナリー』PV第2弾

(コーエーテクモゲームス・ガストブランド)
──独創的なゲーム作りで知られる土屋さんの最新作、『拡張少女系トライナリー』がついに配信開始となりました。本作への手応えはいかがでしょうか。
土屋 『拡張少女系トライナリー』は、アニメ(※アプリ内で毎週配信されるほか、YouTubeやバンダイチャンネルでも順次配信)をご覧になって興味を持ってくださった方や、少女たちとのコミュニケーションに注目なさった方など、どんなきっかけで始めても難しさを感じることなく満喫していただきたい作品です。私がこれまでに手掛けた作品や、世にある数多のゲームとは構造がだいぶ異なるので、どういうシステムや導入を用意すれば遊びやすいものになるか、試行錯誤を重ねました。現在(取材時点)は、きっと皆さんに楽しんでいただける作品になるとの手応えを感じています。
──本作は、いわゆる恋愛ゲームのような側面もあるようですが、それだけではない?
土屋 はい。一般的な恋愛ゲームと本作が決定的に違うのは、プレイヤーと少女との関係性です。アニメのメインストーリーは、彼女たち自身の意思による戦いや日常を描くものであり、それ自体にプレイヤーが介入するわけではありません。ただし、特別な使命を帯びているとはいえ、彼女たちも“実在”する人間ですから、心の中では往々にして思い悩むようなこともあるでしょう。そんなとき、プレイヤーの方にはぜひ、彼女の素顔と本音に接していただき、皆さんなりに助言やエールなどを送ってあげてほしい。そうすることで、結果としてメインストーリーが進むきっかけになったり、プレイヤーと彼女の個人的な関係が深まることにもつながります。彼女たちをプレイヤーが操作あるいはプロデュースするのではなく、彼女たちのやりたいこと、やるべきことに対して、パートナーとして“支えてあげる”立ち位置なんですね。陰ながら彼女を支えてメインストーリーを進めること、そして個人的な関係を築くこと──このふたつが、本作のお楽しみの柱となります。
──メインの展開とは別に、個人的なエピソードも進んでいくという構造でしょうか。
土屋 端的に言えば、そうです。エピソードの内容は、展開に関わる重要なものや、日常系らしい他愛のないものまで、家庭用ゲーム機向けの作品に勝るとも劣らない莫大な総ボリュームがあります。メインストーリーの進行、または関係の深まりに応じ、エピソードが続々と追加されていきますので、日々さまざまな交流を楽しんでいただけるはずです。
──遊び甲斐がありそうですね。ところで、このキービジュアル(下の画像)は……!?
土屋 具体的な言及は避けますが、本作ではあえて、一般的な恋愛ゲームであれば異端とされるような構成になっています。たとえば、相手との個人的な交流を重ねて、関係が“深まった”としても、それがすなわち友だちから恋人になるような、画一的なステップアップであるとは限りません。すぐに仲よくなれる相手もいれば、逆になかなか関係が進展しなかったり、思わぬ方向への深まりを経ていく場合もあるでしょう。それは、彼女たちトライナリーの仲間どうしにおいても同様で、激動のメインストーリーが進む中、5人の立ち位置や関係、考えかたなどがどんどん変わっていきます。アニメでの言動と、ゲームで見られる素顔とのギャップがだいぶ大きい子もいます。これは恋愛要素のある作品としてどうなのか、という意見も開発中に出ましたが、いろいろな顔を秘めているほうが、人間として自然ではないですか。直接操作する対象ではないキャラクターとストーリーが存在し、そのうえで、彼女たちを支えてあげることこそが本作の根幹。ですから、その観点において、彼女たちをデジタルではなく、血肉の通った人間として描き通しているんです。
──なるほど。それにしても、配信前の情報では“仲よし”と紹介されていたこの2人のキービジュアルを見るに、けっこう重そうな……?
土屋 これが意味するところは作中でぜひお確かめいただきたいと思いますが、本作に限らない私のスタンスとして、キャラクターが最終目的に到達するまでのいきさつ、成長過程において、たとえ最終的にはハッピーエンドであろうとも、必要とあらば衝撃的な描写も迷わず入れていく、というものがあります。さらに言うと、ゲームを始めても、プレイヤーの立ち位置からはすぐにコミュニケーションを取れない相手がいます(※「卯月神楽」のこと)。それはけっして、のちの限定イベントや大型アップデートで追加するから、などという理由ではありません。ストーリー上の必然性と、作品をいちばん楽しめる形で触れていただきたいとの思いがあるからです。全員と交流するのも、誰かひとりに集中するのも自由ですので、どうぞお好きなように遊んでほしいです。
──いま、本作を楽しんでいるプレイヤーのあいだでは、非攻略対象キャラクターにして“ラブラブトレーナー”を自称する千羽鶴(ちはる)への人気が高まっています。彼女に関して、ちょっとだけお聞かせください。
土屋 千羽鶴が攻略対象にならない状況につきまして、申し訳ございません。いずれ、TRI-OS(プレイヤーと少女たちをつなぐアプリ、すなわち本作そのもの)のスポークスマンでもある当人より釈明があるかもしれませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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『拡張少女系トライナリー』iOS版/Android版/公式サイト
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●ガスト×東映アニメーション『拡張少女系トライナリー』“実在”する少女たちを描く、ゲームとアニメのかつてない“融合”とは?(ガスト・土屋暁氏インタビュー)
『拡張少女系トライナリー』PV第2弾
『拡張少女系トライナリー』オープニングアニメ
(C)コーエーテクモゲームス・東映アニメーション
※記事で掲載のゲーム画面はAndroid版のものです。