今回はあのダンディー商会が主催
2017年7月7日~9日、東京・浅草花やしき内“花やしき座”にて、“サクラ大戦歌謡ショウより~『花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場”が開催される。それに先駆け、7月6日には、“サクラ大戦歌謡ショウより~プレビュー!!!『花咲く男たち』だけ!!!本公演に先立ち、男だらけの前夜祭!ん?ゲストはいないのか?そんなんで大丈夫か!暑苦しいぞ!”と名付けられた(長い!)、プレビュー公演が行われた。
この公演は、7月7日~9日の本公演に向けた、いわばゲネプロ的な位置付け。しかし、本公演のチケットが発売後に瞬殺だったため、急遽チケットを販売しての有料公演となった。ちなみに本公演5回には、各回に帝国華撃団花組の女性声優がゲスト出演するのだが、プレビュー公演は文字通り“男だけ”! 脚本には広井王子氏を迎え、ダンディー団以下総勢6名の男性キャストによる公演が幕を上げた。
“サクラ大戦 歌謡ショウ”としては、約10年ぶりとなるこの公演。企画・制作・主催はなんとダンディー商会。ダンディーこと団耕助ら、歌謡ショウから生まれた人気(?)キャラクターによって結成された、もともとはギャング団ながら帝国歌劇団花組のファンという一面も持つ愉快な面々だ。ダンディーこと団耕助(演:園岡新太郎)、西村ヤン太郎(演:西村陽一)、ベロムーチョ武田(演:Velo武田)に加え、大神一郎(演:陶山章央)、金田金四郎(演:螢雪次朗)、マイケル・サニーサイド(演:内田直哉)という、ファンにはおなじみのキャラクターが熱演。
今回はストーリーも直球で、ダンディー団ら男だけの公演をやったらおもしろそうだという大神のアイデアから、帝国歌劇団の作家である金田がさまざまな妄想を膨らませたり、アメリカから“サニー”こと、マイケル・サニーサイドがやってきたり……と、あれやこれやと策を巡らせていく。
詳細なストーリーは割愛するが、舞台の“花やしき座”のサイズと客席の一体感が絶妙のバランスで、また、キャストも舞台上だけではなく、客席にふんだんに降りてくるなど、じつにアットホームな雰囲気。第二部では、まるでコンサートのごとく全5曲を熱唱し、会場もそのパフォーマンスに熱い声援で応えていた。とくに第二部冒頭は、ダンディー団とサニーさんによる圧巻の3曲連続メドレー。かなりパワーを使うため、メドレー終了後、大神君と金田先生による“一口浅草メモ”なる休憩時間が入るほど。最後に、『花咲く男たち(替え歌)』(※元歌は『花咲く乙女』)、『激!帝国華撃団』を歌って、プレビュー公演ながらやんやの大歓声だった。
これで終わりと思いきや、最後の最後はフリートークコーナー。どうやら、毎回キッチンタイマーで時間を計りながらのフリートークを行うらしい。今回は、“歌謡ショウ”の歴史についてで、それぞれの公演がいつ行われたとか、かつて大神役の陶山さんが武道館で奈落の底へ落ちた事件の話などが語られた。
劇場のサイズのおかげで、ステージや演者との距離が近く、かなりの一体感。また、客席に漂うなんともアットホームな雰囲気は“歌謡ショウ”ならではで、約10年というブランクを感じさせないものだった。
終演後に広井王子氏を直撃!
プレビュー公演が無事終わり、終演後、ホッとひと息の広井王子氏にお話をうかがった。
――プレビュー公演を終了して、率直な感想を教えてください。
広井王子氏(以下、広井) これほど盛り上がるとは思いませんでした。もう10年もやっていなかったので、どうなるかなと思っていましたが、お客様が待っていてくれたことがうれしかったです。それから、初めて“歌謡ショウ”をご覧になる方がかなりいたことにビックリしました。DVDなどで、以前のショウをご覧になってくれたようです。会場の規模は小さいですが、当時の“歌謡ショウ”の匂いは再現できたかなと思っています。
――ちなみに今回の公演を行うことになったきっかけは?
広井 ダンディー団の3人が相談に来たのがきっかけですね。ダンディー団がショウをやりたいというので、セガさんに相談してもらったところ「いいのではないか」というお返事をいただいたので、「広井さん、脚本を書いてくれないか」と(笑)。久々で(脚本が)書けるかなという不安と、出演が男だけなのでどうしようかと悩んだ末に、かつての浅草の雰囲気を出した内容にすることにしました。
――キャストが男性だけと最初に聞いて、いかがでしたか?
広井 いや、絶対に切符が売れないと思いました(笑)。しかし、10分で完売したので、主催のダンディー商会のほうから「プレビュー公演を有料にして、お客様を入れよう」と言われて。いやいや、ゲストもいないのに今度こそ売れないだろうと思っていたら、こんなにたくさんのお客様が集まってくださって、本当にビックリしました。本当に『サクラ大戦』ファンはありがたいですね。
――客席との一体感も、かつての歌謡ショウのようでした。
広井 最初は心配だったのですが、そんな心配は無用でしたね。客席とも近いので、フリートークではお客様とやり取りをしたり、密度が濃いショウになりました。日の丸を振ってもらうなど、実験的な試みもやってみました。
――とくに注目してほしいシーンはありますか?
広井 第二部で、ダンディーさんとサニーさんが3曲連続で歌うのですが、プロ中のプロですし、とてもかっこいいと思います。あそこまで踊って歌うのはすばらしい。パワフルで元気が出ます。
――ファンとしては、つぎの公演、それがダンディー商会主催になるのか、広井さんのアイデアになるのかはわかりませんが、期待していると思います。
広井 僕がメインでやることはないです。自分としては、10年前で一応終わっていますし、僕が動くと“公式”になってしまうので、いろいろと難しい面があるかもしれませんからね。
――では、今回のようにダンディー商会にがんばってもらって。
広井 そうですね。それをお手伝いする形ならできると思います。
――久しぶりに『サクラ大戦』のファンと触れ合う機会だったと思いますが、どんな感想をお持ちですか?
広井 歌謡ショウが終わり、会社も辞めて、台湾に5年ほど行っていて、戻ってきて「そろそろゲームでもやろうかな」と思っていたところにこんな話が舞い込んできて……。生でお客様と触れ合うのはワクワクしますね。やっぱり歌謡ショウが好きなんだな、と思いました。10年ぶりにこの格好になって、若返った気がします(笑)。始まるまではイヤだったんですよ。でも、会場から「待ってました!」とか、「広井!」とか声が掛かると昔に戻ったような感覚があります。
――話が戻りますが、昔のファンが年齢を重ねただけではなく、新しいファンが増えていたのにも驚きました。
広井 若い方がかなりいらっしゃってビックリしました。そういう意味では、違う形の“歌謡ショウ”を作ることができるかもしれませんね。すごく楽しかったので、ダンディー商会がまた企画してくれると、何か関われるかもしれません(笑)。
――楽しみにしています。ありがとうございました!