実はマルチエンド方式のデモを出展
アメリカのテキサス州ダラスで、現地8月24日から27日朝にかけて行われたゲームイベント“QuakeCon”。本来はFPS『Doom』や『Quake』などを生み出したid Softwareのファンイベントだが、近年では同グループのパブリッシング部門であるベセスダ・ソフトワークスの関連タイトルも出展されている。
10月19日に発売予定のサバイバルホラーアクション『サイコブレイク2』も、海外版『The Evil Within 2』として試遊台が出展されていたゲームのひとつ。デモは恐らく同時期にドイツで行われたGamescom版と同じもので、チャプター2と3が遊べるというものだった。というわけでその内容をご紹介しよう。なお、あくまでプレイしたものは海外版であるため、本記事で訳をあてている各名称や機能名の表記は正式なものではないのをご了承いただきたい。
その前にあらためて本作の概要を確認しておくと、本作は2014年に発売された『サイコブレイク』の続編。前作で、謎の組織“メビウス”が開発していた精神世界を繋げる装置“STEM”にまつわる事件から生還した主人公セバスチャン・カステヤノスは、死亡したと思われていた娘リリーが新たなSTEMとともに生きている可能性を知らされ、ふたたび認識や記憶が空間を歪ませる危険な精神世界へと舞い戻ることになる。
なお今回のデモでは、カジュアル・サバイバル・ナイトメアの3段階の難度と、エイムアシスト(照準アシスト)機能のオン・オフが選択肢として用意されていた。本作を開発するTango Gameworksのエグゼクティブ・プロデューサー三上真司氏と、ディレクターのジョン・ジョハナス氏に現地でインタビューを行うことができたのだが、そこでの発言に従えば、それなりにハードな調整だった前作に対して、オプションを増やすことで、より幅広い技量のプレイヤーに対応する模様だ(詳細は別途お届けするインタビュー記事でご確認頂きたい)。
ビーコン精神病院らしき空間と、比較的自由に歩き回れる町“ユニオン”
舞台は大きく分けて、前作の発端となる事件が起きた“ビーコン精神病院”を思わせる場所と、比較的自由に歩き回れる広めの住宅地エリア“ユニオン”の2種類。
それぞれプレイの性質も異なり、前者はこの世の空間とは異なる論理で構築された歪んだ空間で、異形の怪物から逃げるという内容。基本的に一本道ながら、行き止まりかと思って後ろを向くとこれまで来た道が消えていて、ふたたび正面に向き直ってみるとさらにおかしな事が……という、本シリーズならではの異常空間を特徴とするエリアだ。
そして後者は、比較的自由に歩き回れるミニオープンワールド的な構造で、武器も手に入れて本格的なサバイバルと探索が楽しめる。メインの目標は、無線機に流れてくるリリーの声を頼りに、何者かに追われているらしい彼女(の幻影)を追っていくというもの。それだけならそこまで時間はかからないのだが、サイドミッションやちょっとしたイベントなどが複数仕込まれており、探索によってプレイ内容が結構変わってくる。2回プレイして気がついたのだが、実はデモとしての終わり方も複数あるという、マルチエンディングなデモになっていた。
新たなカスタマイズにより、幅広いプレイスタイルを支持
ここで紹介しておきたいのが、本作でのカスタマイズ要素。セバスチャンの能力のアップグレードと武器のアップグレードが切り離され、前者は敵を倒したりすると手に入る怪しい液体“グリーンジェル”を使用し、コンバット・ヘルス・アスレティシズム(運動能力)・ステルス・リカバリーの5系統のスキルツリーから、能力向上や追加効果・アクションなどをアンロックしていく(上位の項目は少量の“レッドジェル”を必要とすることもある。恐らくボス級などから手に入る希少品だろう)。
後者の武器アップグレードでは、探索で手に入る“武器パーツ”を使用。例えばハンドガンなら火力・リロード時間・弾倉内の弾数・ファイアレート(次を撃てるまでの間隔)を改善していくことができる。
重要なのは、能力アップグレードの項目が増え、一方で武器アップグレードと必要なリソースアイテムを分けたことで(※前作では一律グリーンジェルでやっていた)、プレイスタイルの特化の幅が広がっていること。動き回って手数で勝負するとか、近接強化で勇敢に立ち向かうとか、ステルス重視にするとか、プレイヤーの好みや技量に合わせたスタイルが可能なはずだ。
なお武器アップグレードは、素材から弾や回復アイテムを作り出すクラフト要素とともに、マップ内に点在する“ワークベンチ”で実行可能(ワークベンチは、安全な“セーフハウス”や民家のガレージなどにある)。一方の能力アップグレードは……特定の鏡を経由して行くことができる別空間で、前作に引き続き女性看護師“タティアナ”に行ってもらうことができる。また、クラフト要素は何もない場所でも実行可能。ただし必要な素材の数が増えるので、緊急的なものと考えるのがいいだろう。
そのほか、セーフハウスなどにはワークベンチやセーブポイント以外にコーヒーポットが存在することがあり、飲むと体力が全快する。ただしコーヒーが補充されるには時間がかかるので、間を空けずにすぐに利用することはできない。
マッチで焼く要素はカット。一方でステルスミニゲームなども
戦闘では、前作にあった“ダウンさせた敵をマッチで焼いてトドメをさす”(※)という要素がなくなっている。なおユニオンではクリーチャー化した人間“ホーンテッド”が数体固まってうろついていることも多いので、ステルスで必要な敵だけ倒して余計な接触を減らすのが有効だ。
ステルスについては前作同様、敵がセバスチャンを見えているか/探しているかは目のアイコンの状態で判断できるし、空き瓶を投げて誘導することができたり、ちょっとした茂みなどに隠れると完全に隠れ判定がつく(もちろん衝立などの障害物に身を隠すこともできるが、実は別の角度から丸見えだったりすることもあるので注意)。
(※2017年8月29日9時10分追記:当初、前作の仕様について誤った記述をしていたため、訂正致しました。)
またユニオンで鍵となる無線機は、リリーの声以外に、メビウスの死亡した隊員からの信号や、さらに別の人間からの無線などをキャッチすることもある。なお新たな無線をキャッチした際はアイコンでわかるようになっていて、無線機を取り出せば、その信号が来ている方角や内容などを知ることができる。死亡したメビウス隊員の場合は遺体からアイテムや武器などを回収することができ、別の人間からの無線の場合は、それがサイドミッションなどにつながっていることもある。
記者が遭遇したのはそういった無線と紐付いたサイドミッションのひとつで、助けを呼ぶ声をキャッチしてとある住宅に向かったところ、部屋の奥から女幽霊が出現し、廃病院のような場所にぶっ飛ばされるという事態に。スニーキングで見つからないようにしながら部屋をめぐり、奥の部屋でカードキーをゲットして、元の世界に戻る扉を開けるというステルスミニゲームになっていて、クリアーすると昔ながらのスライドをゲット。
なお道中で入手したスライドは、鏡から進む異空間に存在するセバスチャンの部屋(ここからタティアナの空間に行ける)にあるスライド映写機で閲覧することができ、それによってよりストーリーを深掘りできるようだ(はっきりと答えられないのは、まさにこれが今回のデモに用意されたエンディングのひとつで、住宅から出た瞬間に強制的に女幽霊に襲われてゲームオーバーだったからである)。
あなたなりのプレイスタイルで、あなたなりの恐怖体験を
というわけで、突然のシーンチェンジに空間認識をぶっ飛ばされ、その上でのクリーチャーの出現に叫ばされ、1回目と2回目でユニオンでの探索ルートを変えてみたら内容が結構変わったことに唸らされ、すっかり楽しまされてしまった。全体的に、プレイの幅を増やすとともに、同じエリアでプレイヤーが味わう体験のバリエーションも増やすという、面白いディレクションになっていると感じた。