2018年12月にXbox OneとPC版が配信開始された『Ashen』(“アッシェン”と読む)は、ニュージーランドのAurora 44が開発を手がけるオープンワールドのアクションRPG。その独特の世界観が注目を集め、海外では“ダークソウル・ミーツ・ジャーニー”(注『ジャーニー』は『風ノ旅ビト』)とも称されるタイトルだ。ここでは、『Ashen』のアニメーション・アンド・キャラクターズ リードを務めるサイモン・ダサン氏にゲームの魅力などを聞いてみた。まずは、『Ashen』のローンチトレーラーからお届け。

サイモン・ダサン氏

Aurora 44/ animation and characters lead on Ashen

――ローンチトレーラーを見る限りでは、“骨太のアクションRGP”との印象を受けますが、ゲームプレイでもっとも注力したポイントを教えてください。

サイモン注力した点としては、『Ashen』をスタミナベースのバトルRPGとして制作したことです。『Ashen』にはパッシブなマルチプレイヤー要素があり、プレイヤーは旅の道中で、ほかの放浪者とシームレスにつながります。ほかの放浪者たちは、プレイヤーの町に連れ帰ることができるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)として現れます。町はゲームの過程で成長し、活気に満ちたコミュニティに変わりますよ。

――海外では、“ダークソウル・ミーツ・ジャーニー”と表現されることもあるそうですが、『DARK SOULS(ダークソウル)』や『風ノ旅ビト』にインスパイアを受ける部分はありましたか? 受けているとしたらどのような点でしょうか?

サイモン私たちは間違いなく多くのゲームからインスピレーションを得ました。私たちのチームは『SOULS』シリーズや『風ノ旅ビト』のようなゲームも大好きです。たとえば、残忍な住民や混沌とした世界観は、両タイトルから得たインスピレーションを反映していると言えます。しかし、同様に、私たち自身のオリジナリティーを注ぎ込むためにも多くのことをしました。オープンワールドにおけるスタミナベースの戦闘は、このジャンルにおいて新しい要素であり、プレイスタイルに高い柔軟性をもたらします。

『Ashen』は“関係を築く”ゲーム、独特な世界観を持つオープンワールドのアクションRPGの魅力を開発者に聞く_02

――本作は、協力プレイがある程度必要になるようですが、協力プレイを重視した理由を教えてください。また、協力プレイを盛り込むにあたって、ゲームプレイの部分で、「ほかのゲームにはない、協力プレイならではの、こんな要素を盛り込んだ」といった点などありましたら、教えてください。

サイモン『Ashen』のパッシブなマルチプレイヤー要素は、間違いなくゲームの中核部分であると言えます。これは純粋にポジティブな点であり、たとえば、『Ashen』にはPvPはなく、ほかのプレイヤーを崖などから落とすようなこともできません。 世界は過酷な場所であり、仲間の放浪者を手助けする必要があります。これは、ゲーム制作初日からゲームの重要な点だと考えられており、すべては協力を念頭に置いて構築されています。
 注目すべき点のひとつとして、ゲーム中、あなたと同じように見えるほかのプレイヤーと会うことは決してありません。マルチプレイヤー要素を通じてつながる人々は、プレイヤーの町に連れ帰ることができるNPCとしてしか現れません。理由としては、個々のプレイヤーを自身の旅のHero(ヒーロー)として保つためです。そのため、マルチプレイヤーの友人はプレイヤーにとってNPCのように見え、逆もまた同じです。

――顔を描かない独特のキャラクターが印象的ですが、そういったアートワークを採用した理由を教えてください。もしかして、いずれかの画家に影響を受けた部分もあるのですか?

サイモン『Ashen』は、基本的には関係を築くことを目的としているため、旅をともにしている人々について先入観を持ってほしくありませんでした。顔をなくすことで、マルチプレイにおけるプレイヤー間の相互作用が大きく影響されるということがわかりました。人々は互いの行動によって相手を判断するようになり、もっと他者を助けるようになる傾向があります。また、ラッキーなことに、ゲームのアート性にも非常によく合った結果となりました!

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――太陽がない世界の物語で、唯一の自然光は灰にまみれた大地を覆う溶岩だけ……という設定が斬新ですが、この設定を思いついた経緯は? Aurora44さんのあるニュージーランドは太陽が燦々と輝いているという印象で、『Ashen』の世界とはあまりに対照的なのですが、あえてその世界観を採用した理由を教えていただけますでしょうか。

サイモン太陽のない世界でありながら光源自体は確保できるという考えは、プロジェクトの非常に早い時期から存在していたました。灰自体も光を作り出し、世界に栄養を与えます。私たちがいるニュージーランドからも多くのインスピレーションが生まれました。険しく、過酷な世界に置かれた美しい自然は、まさにニュージーランドそのものとも言えるでしょう。世界の美しさは危険もはらんでいます。

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――本作の主人公の目的は“故郷を探す”とのことですが、ユーザーの楽しさを損なわない範囲で、本作のストーリーラインをお教えください。

サイモンあなたは故郷とする場所を探している放浪者です。ゲームが進むにつれて、あなたはBataranと呼ばれる聞き手とともに旅をするようになります。 世界は暗く絶望的な場所であり、多くの人間は決して光を知りません。 突然、近くの山から光の噴射があり、世界で起こっていることを知るためにあなたの旅は始まります。

――ずばり、本作のテーマは?

サイモン『Ashen』の中核的なテーマは“関係を築くこと”です。 これは、パッシブなマルチプレイヤーたちと、また、拡張し続ける町でも起こります。 『Ashen』を通して、プレイヤーはプレイヤーの町を、土の中にあるいくつかの小屋から、活気に満ちた共同体へと変えるでしょう。

――“Ashen”というのは“灰色”という意味のようですが、その意味するところは? やはりテーマや世界観を象徴しているのでしょうか?

サイモン世界に太陽がなく、灰に浸されているという基本的な考えは、私たちが世界観を構築した初期の内容のひとつでした。しかし、『Ashen』は実際にはある存在(being)であり、そして、それはゲームにおいても重要な役割を有しています。あまりストーリーをスポイルしたくありませんが、それがなぜゲームの名前なのかは追々明らかになっていきます。

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――最後に……本作をプレイするかどうか検討している日本のゲームファンにメッセージをお願いします!

サイモンありがとうございます! 『Ashen』を世界中の多くの国にもたらすことができるということは、私たちにとって大きな意味があります。 がんばってください!
(※「ありがとうございます!」と「がんばってください!」は日本語でした)

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