2019年7月26日に稼働一周年を迎えた『Fate/Grand Order Arcade』(以下、FGOアーケード)。5月にはマスターが50万人を突破したほか、新たなサーヴァントが次々と実装されていき、その勢いは増す一方です。

 しかし、“興味はあるけどまだプレイしたことはない”という方や、“以前はプレイしていたがやめてしまった”、という人も多いのではないでしょうか。私自身も『Fate/Grand Order』(以下、FGO)が大好きなのですが、『FGOアーケード』については興味はありつつもプレイしたことがありませんでした。そこで本稿では、初めて『FGOアーケード』に触れた『FGO』プレイヤーとしての目線から、『FGOアーケード』の現状と独自の魅力を紹介します!

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“キャラクター好き”ほどプレイすべき。サーヴァントの存在感をこれ以上ないほど味わえる!

 『FGOアーケード』は、その名の通り、iOS/Androidで配信されているアプリ『FGO』を原作としたアーケード用ゲームです。『FGO』の説明はここでは省略しますが、多彩なサーヴァントが登場することが魅力の一端であることは疑いようがありません。この記事を読んでいる方にも、お気に入りのキャラクター……いわゆる“推しサーヴァント”が1騎や2騎いるのではないでしょうか。

 『FGO』ではサーヴァントたちの姿はイラストや2Dモデルで表示されますが、『FGOアーケード』では3Dの立体モデルとなって登場します。モデリングにも非常に強いこだわりが見て取れ、まさにイラストがそのまま3Dになったかのようなクオリティには、思わず舌を巻きました。

 元のイラストからして、多くのイラストレーターの方々が手がけているわけですが、画風の違いを違和感なく3Dモデルとして作り上げていることに感心します。しかも、当然ですがかわいく、カッコよく動くんです! 戦闘中はもちろん、マイルームでの何気ない仕草にもサーヴァントごとの違いを感じることができ、「あぁ……“推し”が生きている……」とため息をつくこと必定です。

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戦闘中に条件を満たすと、カットインが挿入されることも。キリっとしたキャラクターの表情と、迫力あるアクションを見ることができます。

 対戦型アクションゲームである『FGOアーケード』では、実際にプレイヤーがサーヴァントを操作して遊ぶことになります。これが想像以上に楽しい!

 正直、ゲームに触れるまでは「ただサーヴァントを動かせるだけでしょ」といった気持ちがありました。確かに言葉にしてしまえばその通りなのですが、実際に動かしてみると感じ方が大きく違います。サーヴァントごとに攻撃や回避といったモーションが異なり、それぞれの動作がそのサーヴァントらしさをよく表しているのです。

 「そうそう、こういう動きをしそうだよね!」とか、「このサーヴァント、思ったよりイケイケだな……」とか、さまざまな感想がこぼれます。モーションによっては「これ『FGO』で見た!」というものもあり、『FGO』プレイヤーとしてはうれしくなる瞬間も。

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クー・フーリン(キャスター)などは、敵との距離によって攻撃アクションが変化! 多彩なモーション変化は、めまぐるしく動き回る『FGOアーケード』ならではの魅力です。

 サーヴァントの見せ場とも言える宝具演出も必見です! カットインの追加など『FGO』でも年々演出が豪華になってきている宝具演出ですが、『FGOアーケード』では3DCGを生かしたモーションや演出、カメラワークなど見どころとなる点が異なり、同じサーヴァントの宝具でも新鮮な気持ちで楽しめます。

 カメラがズームインしたり、回り込んだりと画面が目まぐるしく動きながら再生される宝具は、何度見ても見ごたえがあります。

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宝具演出は『FGO』のアニメーションを参考にしつつ、独自のアレンジがされています。

 先にも少し触れましたが、マイルーム機能もキャラクター好きにはたまらない要素です。『FGOアーケード』ではマイルームでサーヴァントのモデルをぐるぐると回転させられるため、横や背後といった普段あまり見られない角度からサーヴァントを眺めることができます。

 『FGO』同様、サーヴァントをタッチするとさまざまなセリフをしゃべってくれるのですが、毎回動きが入るのが『FGOアーケード』ならでは。この“そこにいて実際にしゃべっている”というような感覚・感動は筆舌に尽くしがたいため、もし“推し”サーヴァントが『FGOアーケード』に実装されている方は、ぜひ一度見てほしいです!

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マイルームのモーションは数パターンあり、体や表情の動きが大きいため見ていて飽きません。
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サーヴァントの見た目を一部変更することができる“転身霊衣”も登場しました。画像は、清姫をポニーテールにできる“活発愛憎の竜尾”を適用したときのもの。

 物理カードも『FGOアーケード』の特徴のひとつ。召喚で手に入れたサーヴァントや概念礼装は、実際のカードとしてプリントされ、排出されます。これらのカードを集めて自分のパーティーを編成してゲームに臨むわけですが、見知ったデザインのカードが手元にあるというのは、なんとも心地いいものです。お気に入りのサーヴァントが手に入った日には、家に帰ってからもカードを眺めてニヤニヤしてしまうほど……!

 ハロウィンやクリスマスなど、特定の時期には特別な枠が付くことがあるため、『FGO』のセイントグラフとは少し違った印象になるという仕組みもおもしろいですね。

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見慣れたセイントグラフも、物理カードとなって手元に置いてあると、特別な感情が生まれてきます。

初心者が入りやすいだけじゃない。プレイしてわかるゲームの奥深さ

 『FGOアーケード』が発表されたとき、筐体のシンプルさに驚いたことを覚えています。移動に使うスティックと、攻撃ボタン1つ、そして宝具を撃つときに使う大きなボタン。ゲームに慣れていない人でもプレイできるようにと配慮されたことは理解しつつも、いちゲーマーとしては「このボタンの数で満足にゲームができるのだろうか」と思ったのです。

 それは今回プレイする直前まで心の片隅で思い続けていたことでしたが、実際に触れてみると評価は一変。プレイヤー側が行うコントロールは最小限に、ゲーム内の要素でうまく駆け引きを作り出している印象を受けました。

 コマンドカードの選択を例にあげると、仕組み自体は『FGO』とほぼ同様なのですが、『FGO』と違う点は“攻撃しても必ず当たるとは限らない”ことです。例えば、『FGO』では1stボーナスの恩恵によって総ダメージを上げるべくBusterカードを1枚目に選ぶことがあるかと思います。

 『FGOアーケード』でもこの方式自体は有効なのですが、Busterカードによる攻撃モーションは大振りなことが多く、敵に回避やガードをされやすいという欠点があります。そのため、Busterより攻撃の発生が速いQuickカードを1枚目に置く、といった『FGO』とは異なった戦略でのコマンドカードの選び方があります。通常攻撃の射程や間合いも各サーヴァントのコマンドカードごとに異なるため、それについても考慮する余地があります。

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ブレイブチェインは、同じサーヴァントのコマンドカードのうち、枠が豪華なものを3枚選ぶと発動します。『FGO』同様、1回の攻撃アクションが追加される強力なチェインです。

 本作において攻撃とガードは同じボタンで行うことになります。“相手の攻撃を受けている最中にボタンを押すと自動でガードに切り替わる”仕様なのですが、攻撃やガードにはコマンドカードが必要。

 一連の攻撃を終えた後や、攻撃をミスしてしまった場合にはコマンドカードが消費され、一定時間無防備な時間が発生してしまうため、いつ攻撃を出すかといったタイミングも考えなければなりません。ただコマンドカードを選ぶだけでなく、自分の扱うサーヴァントの特色を理解して、その強みを生かした立ち回りをするのが『FGOアーケード』ならではのおもしろいところですね。

 ボタンの多さを生かしたアクション性よりも、各サーヴァントの個性やチームバトルという点を生かした戦略性に比重が置かれていることを実感し、ボタンの少なさから受けた印象とは真逆の、ゲームとしての確かなクオリティを感じています。

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敵が攻撃してきたとき、とりあえずこちらも攻撃していれば自動的にガードになるため、大ダメージを受けることを避けることができます。

 一方で、初心者でも入りやすい調整をされていることも確か。ボタンの数が少ないのは前述の通りで、ものすごくシンプルに考えれば、プレイヤーがやることは、移動、攻撃&ガード、ダッシュ&回避、ターゲット切り替え、宝具発動のみ(&で表示しているものは同じボタンで行います)。

 正確に言えば画面タッチでコマンドカードの選択やスキルの使用などもできますが、操作に慣れてからでも構いません。とりあえず移動して、ボタン連打で攻撃する、という操作方法でもプレイができるのです。もちろん、ほかのプレイヤーとの対戦においてはこれだけでは勝てませんが、ひとりでプレイできる“グランドオーダー”であれば、ガチャ押しでも十分楽しめます。

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各ステージの初級であれば、サーヴァントのレベルを少し上げるだけでクリアできる難易度。上級などになると敵の体力が増えるため、強化や編成も考えなければなりません。

 当然、サーヴァントの強化や霊基再臨、クラスごとの相性といった『FGO』的な要素もあるため、現在の自分の腕前だと突破できないと感じたら、サーヴァントの強化や編成を変えてみるといった工夫で進むことができます。こういった、ゲームに不慣れな人でも遊びやすい配慮がありますし、操作自体はシンプルなので、そのあたりを気にしている方は、ぜひ恐れずにプレイしてみてもらえればと思います。

プレイにかかる金額はいくら? 実際に確かめてみた!

 『FGOアーケード』をこれから始めようと思っている方で、もっとも気になるのが“プレイにかかる金額”だと思います。私がそうでしたから! では実際に楽しむためにはどれくらい必要なのか、この機会に確認してみました。

 結論から言ってしまうと、お金がかかる要素はあれど、思ったよりはかからないという印象。お金がかかると感じたのは霊基召喚……いわゆるガチャです。『FGOアーケード』でガチャを引けるタイミングはいくつかあり、バトル終了後に獲得できる“クエスト報酬呼符”、バトルを繰り返すことで獲得できる聖晶粒を消費して行う“10回召喚”、フレンドポイントを消費する“フレンドポイント召喚”、キャンペーンなどでプレゼントボックスに贈られる呼符を使った召喚などがあります。

 ガチャを引く際は、『FGO』と違い、呼符の使用であってもカードの枚数に応じたクレジット(現実通貨。1クレジット=100円)が必要になります。聖晶石などの“集めることで実質無料で引けるガチャがない”ことが、『FGO』とのいちばん大きな違いです。なので、新しいサーヴァントが欲しい場合は、その都度お金が必要になります。

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当然ですが、時期によって開催されているピックアップ召喚は異なります。自分が欲しいサーヴァントがピックアップされていないときは、グッとこらえることで金額を大きく抑えることができるでしょう。

 一方で、ゲームを楽しむぶんには、500円あれば一時間くらいはしっかり遊べます。

 まず、バトルに挑む際にはGP(ゲームポイント)が必要になります。換算レートは1クレジットで300GP。1ステージに150GP(最終局面など大きなステージでは300GP)かかるため、通常ステージであれば100円で2ステージ遊べる計算になります。1ステージにかかる時間はステージ難度によってまちまちですが、編成や強化などを行う時間を加えると、大まかに100円分使い切るのに10分程度はプレイできました。

 ゲーム開始時に最大で1500GP(500円)を一括購入できるため、これを使い切ろうとすると約50分は遊べることになります。もちろん操作に慣れてくると余計な時間をカットできるぶん、もう少し短縮されるかもしれません。ですが1000円あれば召喚を数回するとしても約1時間は遊べるのではないでしょうか。

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各ステージには、達成すると報酬として素材や聖晶粒がもらえるミッションが用意されているため、クリアー済みの場所でも再プレイする意味はあります。

 これらを踏まえたうえで、最初はあまりお金をかけずに遊んでみるのもひとつの手だと思います。プレイ開始時に必ずもらえるマシュを強化していけば、ある程度はひとり用モードの“グランドオーダー”を進めることができました。

 通常、バトルには3騎までのサーヴァントを編成していくのですが、持っているサーヴァントが3騎未満の場合はゲーム側で自動的にサポートサーヴァントを追加してくれます。ただし彼らはレベル1で編成されるため、過度な期待は禁物。どこかで少しは霊基召喚を行なったほうが、スムーズにゲームを進められると思います。

 といっても、“グランドオーダー”を進めるために星4以上のサーヴァントが必要ということはありません。星3以下の、いわゆる低レアサーヴァントたちでもクリアは可能です。オススメは、どんな相手でも有利を取れるバーサーカーのカリギュラ。実際、彼をレベル45まで強化したところ、現在実装されている“グランドオーダー”のバトルは楽々クリアー(最低難易度ですが)できました。『FGOアーケード』の最新章である第2章セプテムの魔神柱もカリギュラ1騎だけで勝てたほどです。

 彼に加えて、召喚できた星3以上のサーヴァントを中心に育てていけば、シングルプレイにおいて苦労することはないかと思います。なお、霊基再臨をする際はカードを発行する都合上、1クレジット必要になるため、100円玉の用意を忘れずに。

 そのうえで、欲しいサーヴァントがピックアップされていたら“クエスト報酬呼符”や“ピックアップ召喚”で狙ってみる、というスタイルで遊んでみてはいかがでしょうか。私は普段はあまりゲームセンターには行かないのですが、気が向いたときに1000円分のプレイ代と10連召喚1回ぶん、合わせて2000円くらい使って帰る、というサイクルで楽しんでいます。

 キャラクターが動くことによって、これまであまり興味のなかったサーヴァントたちの新たな魅力に気付くこともありますし、ぜひ他の『FGO』ユーザーにも本作をプレイしてみてほしいです。

一年かけて調整が繰り返された今、始めるためのハードルはかなり低い!

 『FGOアーケード』では定期的にアップデートが行われており、新規サーヴァントや概念礼装の追加に限らず、さまざまな新要素や既存要素のバランス調整などにも熱心です。私は昔のプレイ環境を体験してはいませんが、今始めてみた感想としては、かなり遊びやすくチューンされていると感じました。

 とくに“グランドオーダー”の拡充は大きい要素のひとつ。『FGO』で体験したメインストーリーを追う形で自分のペースで楽しめる安心感は、初めてゲームセンターに足を運ぶ人でも遊びやすいと思います。

 加えて、『FGO』とは少し異なる展開が用意されているのも興味深いですね。第1部の第一特異点“邪竜百年戦争 オルレアン”では、本家『FGO』では登場しなかった魔神柱が出現するなど、『FGOアーケード』ならではのシーンが存在します。ただの『FGO』のストーリーの後追いにならず、『FGOアーケード』のアクション性を生かしたバトルギミックなども楽しめるため、とても新鮮でした。

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ボス戦となる魔神柱戦は、通常のバトルとは仕組みが大きく異なります。敵の怒涛の攻撃を避けながら反撃していく、ボスバトルに相応しい熱い戦いを味わえます。

 ワイバーンやゴーレムなど、人型でない敵も再現されているのも個人的に感動したポイントです。『FGO』ではただ殴る対象としか見ていなかったゴーレムが、『FGOアーケード』ではのしのしと巨体を揺らしながら近づいてくるので、より強そうな印象を受けました。ゲームセンターに慣れ親しんでいない人の中には対戦に恐怖感を抱いている人も少なくないと思うので、こういったシングルバトル用の演出にも力を入れてくれるのはうれしいですね。

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初級ではそれほどではありませんが、ステージ難易度が上がるとゴーレムやワイバーンもガードなどを多用してくるようになり、より手ごわくなります。

 細かいところでは、バトル時に消費されるGPの値が150 or 300に統一されたり、霊基再臨に必要な素材のドロップ率が上昇したりと、一年前と比べるとプレイヤーにとって遊びやすい環境が作られてきていると言えます。

 ほかのプレイヤーと協力してAIの敵を倒すレイドイベントなども開催されましたし、今後は対戦だけでなくソロプレイや協力プレイを楽しめる要素がもっと増えていくのではないでしょうか。結果として遊ぶにはお金は必要になりますが、アーケードでしかできない体験だと考えると納得感のある値段設定だと思いますし、サービスには対価が必要なのは世の常です。個人的にはそれだけの価値はあるタイトルだと思いましたので、もしお金のことが気にかかってプレイを悩んでいる方がいれば、ぜひ一度遊んでみてもらえればと思います。目の前で動いて喋る“推し”は本当にいいぞ!

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