マリオの世界が画面から飛び出した!? レゴで再現された『スーパーマリオ』の魅力に迫る!
2020年3月10日、レゴジャパンの公式Twitter(@LEGO_Group_JP)にて突如発表された、レゴと任天堂のコラボレーション玩具“レゴ スーパーマリオ”。
その後、2020年8月1日の世界同時発売(日本は2020年7月10日に先行発売)されることが発表されたが、レゴは発売を前に世界最速で本製品に触れて、その魅力を体験できるオンラインメディア体験会を実施。
実際に“レゴ スーパーマリオ”に触れてみてわかった本製品の遊びかたや楽しさも含めた魅力と、開発者インタビューなどを紹介していこう。
子どもだけでなく大人も引き込まれてしまう“レゴ マリオ”の完成度
今回、発売を前に実際に“レゴ スーパーマリオ”に触れてみて、実際に感じた本製品の大きな魅力を簡単にまとめると、以下の3点に尽きるといえる。
- とにかくレゴ マリオがかわいい!
- ゲームが苦手な人でも、マリオの世界観を気軽に楽しめる!
- 親子でいっしょにマリオに触れあい、楽しむことができる!
まずはレゴから借り受けた“レゴ スーパーマリオ”の基本セットともいえる“レゴ マリオとぼうけんのはじまり 〜 スターターセット”を開封しながら、レゴ マリオをチェック!
本商品の肝となるレゴ マリオは、本体にオーバーオールと帽子、ボタンと耳のパーツを装着するだけで完成。パーツさえ見つけられれば、説明書を見なくても組み上げられるだろう。電源を入れると、お馴染みのかけ声とともにマリオがお目覚め。それまで無機質な感があったレゴのフィギュアが、急に生き生きとした存在に早変わりする。
このレゴ マリオは、さまざまな動きを感知する加速度センサーやジャイロセンサー、踏みつけたブロックなどを識別する光学センサーを搭載するなど、思った以上のハイテクぶり。これらのセンサーによって、“レゴ スーパーマリオ”独特のインタラクティブな体験(レゴ マリオを持ってアクションをしたり、さまざまなレゴブロックに乗せたりすることによって変化するマリオの表情や音声、サウンドなど)がもたらされるというわけだ。
このレゴ マリオがじつに表情豊かで、とにかくかわいい! 見た目がレゴブロックらしく角張っているので、初めて目にしたときはちょっと違和感を覚える人もいるかもしれないが、実際に手にとってみたら、そんな不安は一蹴されるはず。
電源オン時には「LEGO MARIO TIME」という音声で起動し、手に取ってジャンプするようなアクションをするとおなじみのジャンプ音とともに「ヒャッホゥ」といったかけ声を聞くことができる。何もしなくてもしきりに瞬きをしたり、目をキョロキョロさせたりと、とにかく抜群のマリオ感を放ってくれるのだ。
とくに液晶で表示されるマリオの表情とおなじみのかけ声によってもたらされる感情表現は、まるでゲームの世界から飛び出してきたかのような存在感を与えてくれる。
横にして置いておくと「 I'm tired(疲れた)と言ってイビキをかいて眠ってしまったりと、(手足は動かないが)その一挙手一投足が本当に愛らしい。たとえが相応しくないかもしれないが、可愛いペットがそこにいるような気分が味わえる。
レゴ マリオが用意できたところで、今度はコース作りに挑戦!
『スーパーマリオ』シリーズが好きな人にとっては、このレゴ マリオだけでも十分な満足度が得られると思うが、ここでスターターセットを使って実際にコース作りに挑戦。
この“レゴ スーパーマリオ”だが、対応のスマホアプリが用意されており、レゴ マリオとBluetooth接続することで、さらに楽しい体験をもたらせてくれる仕組みも用意されている。ちなみにこのアプリは、本商品の発売と同時に提供されるとのこと。
最近のレゴは、スマホを用いたデジタル組み立て説明書が用意されているが、この“レゴ スーパーマリオ”もアプリを利用して、さまざまなキャラクターやコースの作り方を見ることができるようになっている。
できあがったクリボーについているカラーバーコードをマリオの足下にある光学センサーで読み取る=マリオが敵キャラを踏みつけるアクションを行うと、それに応じたアクションをレゴ マリオが見せてくれる仕組み(この場合は、敵を踏みつけた音とコインを獲得する音を発する)となっているのだが、これもまたとても楽しい!
さらにデジタル説明書の手順にそってレゴブロックを組み立てていき組み合わせてみると、なんとなく『スーパーマリオ』で見たことがあるようなコースが完成。
スターターセットで組み上げたコースの要所には、先ほどの敵キャラについていたものと同じようなカラーバーコードが付いている。このバーコードをマリオが踏むと、その場所に応じたさまざまなアクションを見ることができるというわけだ。
とくに、本コースの土管の中にあるスタート用カラーバーコードを踏むと、「Here we go!(さぁ、行くぞ!)」のかけ声とともに、マリオのテーマ曲が流れるとともに、60秒のカウントダウンがスタートし、制限時間内にできるだけ多くのコイン獲得を目指す”コイン獲得モード”に突入する。
コイン獲得モードになったら、コースの中を好きなようにレゴ マリオを駆け巡らせ、さまざまなアクションをくり出しながらコインを集めていく……という遊びが楽しめる。
今回のスターターセットには、以下のカラーバーコード(ギミック)が付属してくる。
“レゴ スーパーマリオ”の世界と楽しさを大きく広げてくれる拡張セット
続けて、拡張セットとして登場する“レゴ スーパーマリオ パックンフラワーのバランス チャレンジ”の組み立てにも挑戦。
この拡張セットは、“レゴ スーパーマリオ”の世界観を文字通りに拡張してくれる商品で、さまざまなギミックやキャラクター、フィールドがセットになっている。ゲームでお馴染みのフィールドを簡単に再現してくれるというわけだ。
ちなみに、こういった拡張セットを使わなくとも、通常のレゴブロックがあれば(カラーバーコードの仕掛けこそ用意できないが)コースはいくらでも発展させることはできる。このように、レゴならではの間口の広さがあるのも、本商品の魅力のひとつだろう。
“レゴ マリオとぼうけんのはじまり 〜 スターターセット”と“レゴ スーパーマリオ パックンフラワーのバランス チャレンジ”を組み上げ、ひと通り遊んでみたが、オリジナルコースの創作が楽しめる『スーパーマリオメーカー』を現実世界で楽しむといった説明が、いちばんイメージが近いかもしれない。
ただ、『スーパーマリオメーカー』とは異なり、レゴブロックで再現されたステージになるので、ゲームのうまい下手が関係なく楽しめるというのは、本製品の特徴のひとつ。この自由な体験は、ルールも制約も自分で決められるレゴならではといったところ。
マリオもレゴも、登場から長い年月が経過しており、そのため多くの世代から愛されてきた玩具・コンテンツとなっているが、それ故に親子でいっしょに遊べるというのも、本作の楽しみ方のひとつ。
親子でいっしょにステージを作ってもいいし、お互いが作ったコースでコイン集めを競い合うなど、いろいろな楽しみかたができるはずだ。
これまでもマリオ関連のフィギュアや玩具は数え切れないほど製品化されているが、ここまでインタラクティブにスーパーマリオの世界観を楽しめるものはなかったのではないだろうか。
メディア体験会で“レゴ スーパーマリオ”を使ってコイン獲得競争に挑戦
オンラインにて行われた今回の体験会では、実際に作った“レゴ スーパーマリオ”のコースを使ってのコイン獲得数を競い合うアクティビティ“LEGO Super Mario Championship”を開催。通常コースでのコイン獲得数競争、“パックンフラワーのバランス チャレンジ”を用いてのコイン獲得競争、そしてコースの独創性を審査する3つの競技が実施された。
最後のコース審査はジョナサンの基準で順位をつけ、1位は獲得コインを2.5倍、2位は2倍、3位は1.5倍になるというルールを採用。筆者は最初の競技ではコインを29枚、2回目の競技では21枚獲得で、ふたつの競技を終えた時点では3位以内に入っていなかったのだが、最後のコース審査で1位に選んでもらい、コインの総数が2.5倍にアップ。最終的に2位という成績で競技を終えることができた。
競技が終わったあと、ジョナサンは“レゴ スーパーマリオ”は創造力を働かせてコースを作ってもらう”ことをコンセプトに作られたが、世界的に有名なゲームをレゴで再現することがいちばんの難関だったと語ってくれた。
ハテナブロックや、敵を踏みつけるといったアクションは比較的容易に再現することができたが、それ以外の部分でどうやって『スーパーマリオ』の世界を再現するのか? 任天堂とレゴの開発チームでかなり細かな部分まで話し合いが行われ、現在の形に漕ぎ着けたというエピソードを披露。
また、今回の“レゴ スーパーマリオ”の開発に協力してくれた任天堂の手塚(卓志)氏(※)から、子どもたちのやることを支配しないようにアドバイスされたことについても言及。ゲームではプレイヤーの操作ミスによってマリオを失ってしまうことがあるが、子どもたちが悲しい思いをしないように、“レゴ スーパーマリオ”ではマリオを失う(ミスによるゲームオーバー)といった要素は排除されている。
たとえばコイン獲得モードを遊んでいるとき、コースのギミックなどからマリオが落下してしまうとマリオは目が回った状態になるが、3秒後には回復しコイン集めに復帰することができる。どうやら、これが“レゴ スーパーマリオ”ではいちばん厳しいペナルティとのこと。
ジョナサンいわく、レゴブロックの世界では何かをしてもそれが間違いにはならず、すべてが正しいという考えのもとに、“レゴ スーパーマリオ”を制作したことが語られていった。
※……任天堂 執行役員(企画制作本部 上席統括)。1985年発売のファミコン用ソフト『スーパーマリオブラザーズ』でアシスタントディレクターを務めて以降、ほとんどの『スーパーマリオ』シリーズの制作に参加。ほかにも『ゼルダの伝説』シリーズ、『どうぶつの森』シリーズなど、多くの作品に携わっている。
“レゴ スーパーマリオ”のクリエイターに気になることを聞いてみた
最後に、ビデオ会議を通してジョナサン・ベニングに開発のきっかけや苦労話、発売直前の気持ちなどお話を聞く機会が得られたので、ここで紹介していこう。
ジョナサン・ベニング
レゴグループ レゴ スーパーマリオ デザインリード
――なぜ、レゴで“レゴ スーパーマリオ”の世界を作られようと思ったのでしょうか? 制作のきっかけを教えてください。
ジョナサンいまから5年ほど前になりますが、任天堂とレゴ、両者の経営陣が会合を持つ機会があり、いっしょに何かをやりませんか? という話がでました。そこで、任天堂と我々がプロジェクトチームを立ち上げ、いくつかアイデアを出し合うことになったのです。その中のひとつに、ディスプレイやスピーカーを搭載したインタラクティブなフィギュアを使うアイデアがありました。さっそくプロトタイプを作ってみたところ、とてもイキイキとしたマリオができたのですが、このフィギュアを使って何をするかが決まるまでは、さらにそこから1年ほどかかりました。そこで生まれたのが、自由にコースを作っていき、60秒という制限時間の中でできるだけ多くのコインを集めるというものです。まさに、好きなものを何でも作れるというレゴのDNAと、『スーパーマリオ』のデジタルなゲームの部分の融合ですね。
――“レゴ スーパーマリオ”を発表されてから、ユーザーからの反響はどうでしたか?
ジョナサンこれまでに寄せられたユーザーの声はとてもポジティブで、非常に好意的な反応を示してくれました。レゴファンもマリオファンもみな、任天堂とレゴがコラボするのを待ってくれていたんでしょうね。実際にこのレゴ マリオを手に取っていただけたら、さらに気に入ってくれると思います。我々スタッフも開発中はとても楽しんでいたので、この楽しさを早くファンの方たちにお届けしたいです。
――本製品の開発は任天堂の手塚卓志氏のチームといっしょに行われていますが、どのような協力体制で開発は進められたのでしょうか?
ジョナサン企画の立ち上げ当初は任天堂側が5〜6人、レゴ側が6人でチームを組み、毎週電話会議でミーティングですね。それからさまざまなプロトタイプを試作し、実際に子どもたちに触れてもらって反応を見たり、さまざまな質問をするなどしてブラッシュアップを進めていきました。そうやって密な打ち合わせをしながら開発を進めていったのですが、製品化にゴーサインがでるまでは2年ほどかかりました。ここまで時間を要したのは、任天堂とレゴがお互いの信頼関係を構築するために必要なことだったんです。マリオは任天堂にとってとても大事なIP(知的財産)であり、大切なブランドですので、信頼がなければ任せてもらうことはできません。そういったわけで、最初の2年ほどは細かく話し合ったり、お互いを行き来したりしていました。でも、プロジェクトが軌道に乗ってからは任天堂も信頼を寄せてくれるようになり、打ち合わせの回数は減りました。
―― 4年間、任天堂といっしょに制作をしてこられて、任天堂はどんな会社だと思われましたか?
ジョナサン私自身、任天堂のゲームは幼少期から遊んでいましたので、その任天堂といっしょに仕事ができるというのは夢のようなできごとでした。しかも、マリオの父親のような存在の手塚さんといっしょに仕事ができるなんて、とても光栄です。任天堂の印象ですが、細かいところまでこだわりと情熱を持つ会社だと思いました。とくにおもしろいと思ったのは、コアな部分に力を入れ、魅力を高めるやりかたの部分です。新しいアイデアをどんどん足していくのではなく、ときには引き算をして、その中間にある魅力を底上げすることに注力するというやりかたは、とても印象的に残っています。
――そんな“レゴ スーパーマリオ”ももうすぐ発売になります。発売を控えたいまの率直な気持ちを教えてください。
ジョナサン開発は4年前から始まっていますが、発表までずっと口外できなかったので、ようやくお披露目することができて、いまはワクワクしているのと同時に、ホッとした気持ちです。ただ、ひとつのプロジェクトにこれだけ長く携わる機会はなかなかないので、実際に商品を手に取ってくれた子どもやマリオファンたちがどうやって遊んでくれるのかはとても気になりますね。どのようなフィードバックがいただけるか、楽しみにしています。
―― それでは、最後に発売を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
ジョナサンあともう少しの辛抱です。いまはお待ちいただきながら、どんなコースを作るのか、想像を膨らませてください。私たち開発チームもとても楽しんでつくりました。ですので、私たちと同じようにこのレゴ マリオに恋をしていただき、楽しんでもらえたらと思います。