2020年11月20日、亜咲花さんによるオンラインライブイベント“亜咲花ワンマンライブ2020 ~ERA~”が開催。ファミ通ではゲーム情報番組『ファミ通LIVE』のMCを務めるなどマルチに活躍する亜咲花さんだが、この日は自身が軸足を置くアニソンシンガーとしての顔を存分に発揮し、ファンを楽しませた。
声帯ポリープ手術の影響で、今年の4月より1ヵ月ほど活動を休止していた亜咲花さん。手術後初のワンマンライブということで、多くのファンが心待ちにする中、いよいよライブの開演時間を迎える。
この日のオープニングナンバーは、10月に発売されたばかりの最新シングル“I believe what you said”より、『Last Friday Night』。アップテンポな曲調の楽曲を熱く歌い上げるその様子からは、手術を経て喉の調子が万全になったであろうことが感じられた。
2曲目に披露されたのは、『Never ending true stories』。今回のライブが生バンド構成による生演奏ということもあり、電子音楽的なサウンドが特徴的な本楽曲に大幅なアレンジが加えられていた。
トークでは、自身初となるオンラインでのライブ開催について語られた。通常のライブだと会場のファンがすぐにレスポンスをくれるが、オンラインではそれがないため、「とても新鮮な気持ちになっています」とコメント。
また、活動復帰後初のワンマンライブということで、どのように歌を届けていこうかまだ手探りであるとしつつ、「手探りながらもステージ上で感じたことを届けていこうと思います」、「いままでポリープがあって歌えなかった曲も今日は歌っていきながら、生まれ変わってパワーアップした亜咲花を、このライブでたっぷりと証明していきたいと思います」と改めて本ライブへの意気込みを語った。
MC明けに披露されたのは、『I believe what you said』。これはテレビアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』のオープニングテーマで、ダークな世界観と歌詞が特徴。作詞作曲を手掛けるのは、『STEINS;GATE』や『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』などの楽曲を手掛けている志倉千代丸氏だ。
亜咲花さんはこの曲を、どこか妖艶さも感じさせるようなヴォーカルで披露していく。続いては、同曲のカップリングとして収録されているハードロックな楽曲『SCREEEAM!!!』。パッション全開で、曲中にバンドメンバーのギタープレイに合わせて大きく体を動していたのが印象的だった。
本ライブ5曲目となる『Round of new thing』は、会場のファンといっしょにタオルを振り回しながら曲中のフレーズを合唱し、会場一体となって楽しむ演出がおなじみ。このライブでももちろん、歌唱に合わせてタオルを回し、パワフルで熱い思いを画面越しのファンに届けていた。
エネルギッシュな5曲が続いたため、「もうヒットポイントが30しか残ってない!」と疲労の色を見せるほど全力全開なステージとなっていたが、ここからは少し毛色が変わり、しっとりとしたバラード曲の『Marine SNOW』と『Singbird』を披露。
「この2曲は思い入れのある楽曲です。私も心を込めて歌うので、ぜひその魂、思いを受け取ってほしい」と語っていた亜咲花さんは、その言葉通り、1フレーズ1フレーズにしっかりと思いを乗せながら歌唱し、ファンに楽曲を届けていた。
続いては、ファンクラブ会員限定チケットを購入した中から抽選で当選したファンをオンラインでステージ上のスクリーンに映し出し、いっしょに楽曲を楽しむという特別企画。オンラインならではのこのパートで亜咲花さんは、フォークソング調の『The Sunshower』(ショートアニメ『へやキャン△』の主題歌)を披露。参加していたファンは、優しい歌声に浸るようにペンライトを振り、大いに楽しんでいた。
ここからはライブ後半戦へ。まずは、亜咲花さんのライブではおなじみの、アニソンカバーのコーナー。「リスペクトをたくさん込めて歌わせていただきます」との言葉を皮切りに披露されたのは、テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のオープニングテーマ『冒険でしょでしょ?』と、『天元突破グレンラガン』オープニングテーマの『空色デイズ』。終始笑顔であり、アニソンを心から楽しんで歌っている様子が伝わってきた。
「この瞬間だけオタクに戻るんだわ!」とカバーコーナーを振り返った亜咲花さん。アニソンシンガーになることを目指してオーディションに参加したり、ボイストレーニングを行ったりしていたそうで、「アニソン歌手を目指してよかった。努力が報われた瞬間です」と、大好きなアニソンをライブで歌えている喜びを語っていた。
カバーコーナーを経て、亜咲花さんが歌手として参加しているテレビアニメ『ゆるキャン△』シリーズより、『SHINY DAYS』、『Isn’t It Fun?』と、亜咲花さん自身が作詞を担当し、書き下ろした『1000miles』の歌唱も。カントリー調のサウンドが特徴的な3曲ということもあり、心温まるステージとなっていた。
ここまで13曲を歌い上げてきた亜咲花さん。手術明けのライブということもあり、「(期待よりも)不安のほうが大きかった」と明かしながらも、本ライブを通して「歌手になってよかった」と、これまでのステージを振り返った。
続けて、「これからもっといろいろなアニメに関わってアニソンを歌っていきたいし、私のように、アニソンを聴いて、アニソンシンガーっていいなと思って目指してもらえる、夢を見せてあげられるようにがんばります」と今後のアーティスト活動への意気込みを語る。そして、「アニソンシンガーになってよかったという感謝の気持ち、今日のライブを支えてくれたスタッフさん、ライブを見てくれたファンへのありがとうの気持ちを込めて伝えたいと思います」と話した後、『終わらない夢』、『Eternal Star』の2曲を披露し、笑顔いっぱいでライブ本編を締めくくった。
本編終了後は、ファンクラブ会員限定チケット購入者のみが観覧できるアフターショーへ。1曲目は、バンド構成では初披露となった『GET DOWN』。そして2曲目は、バンドで歌うのはじつに3年ぶりだという『ILLUMINA』で、ファンにとってはうれしい楽曲となった。
『ILLUMINA』は、デビューシングル“Open your eyes”のカップリング曲。歌唱後は「収録当時、歌詞の意味を上手く汲み取れていなかったけど、いまはとても深い歌詞だと感じられて、(収録時と比べて)大人になったなと思います」と述べ、自身の成長を振り返っていた。
これらの歌唱を終えた後、亜咲花さんはオンラインライブへの思いを吐露。「みんなに会場で直接歌を届けたかったという気持ちはありますが、ライブが終わった後もみんなに安全に生活してほしいという思いもあったので、今回の(オンラインで開催する)決断をしたことは後悔していません。むしろ、このライブをいい経験として、つぎにオンラインで開催する機会があったら、今日培った経験や学んだことを活かして、もっともっといいステージを届けられるようにしたいです。今後もアニソンシンガーとして、世界中にアニソンを届けていきたいと思っていますので、これからも応援よろしくお願いします」とファンへメッセージを届けた。
最後に披露したのは『Edelweiss』。最後まで全力で走り切った2時間のライブは、これで幕を閉じた。
活動再開後初のワンマンライブということで、トークでも「当初は不安だった」と明かしていた亜咲花さん。しかしながら、久々にファンの前で歌唱できたことに「歌手になってよかった」と語っていた通り、力強く、1曲1曲に感情が込められていたと感じる。筆者自身も大きく心を揺さぶられたライブとなった。
そんな今回のライブは、11月23日22時までの期間、アーカイブでの観覧が可能となっている。この記事で本ライブを観覧してみたいと思った方や、当日参加できなかったファンの方々は、亜咲花さんのソウルフルな歌声をぜひライブで聞いてみてほしい。
■亜咲花オンラインライブ“亜咲花ワンマンライブ2020 ~ERA~”セットリスト
- 01.Last Friday Night
- 02.Never ending true stories(ゲーム『勇者ネプテューヌ 世界よ宇宙よ刮目せよ!! アルティメットRPG宣言!!』エンディングテーマ)
- 03.I believe what you said(テレビアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』オープニングテーマ)
- 04.SCREEEAM!!!
- 05.Round of new thing
- 06.Marine SNOW(テレビアニメ『ISLAND』エンディングテーマ)
- 07.Singbird
- 08.The Sunshower(ショートアニメ『へやキャン△』主題歌)
- 09.冒険でしょでしょ?(カバー)
- 10.空色デイズ(カバー)
- 11.SHINY DAYS(テレビアニメ『ゆるキャン△』オープニングテーマ)
- 12.Isn’t It Fun?(テレビアニメ『ゆるキャン△』シリーズ イメージソング)
- 13.1000miles
- 14.終わらない夢
- 15.Eternal Star(テレビアニメ『ISLAND』エンディングテーマ)
■アフターショー
- 01.GET DOWN
- 02.ILLUMINA(ゲーム『A lot of Stories』挿入歌)
- 03.Edelweiss(テレビアニメ『セントールの悩み』エンディングテーマ)