シリーズを追うごとにその荒唐無稽さと「ヒャッハー」なノリが加速している、2Kの大人気シューティングRPG『ボーダーランズ』シリーズ。

 その最新作『3』にて、ただいま配信中の最新第5弾DLC(シーズンパス2に収録)"デザイナーズ・カットでヒャッハーだ!"が配信開始となった。

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主人公チームも含め、どの登場人物も頭のネジが飛んだ「ヒャッハー」な連中しかいない世界。このぶっ飛んだ世界で大暴れする快感がたまらないシリーズだ。

 この最新DLCだが、英語名は“Designer's Cut”となっている。それが日本語名ではわざわざ“ヒャッハーだ!”と言い直している以上、相当ヒャッハーさに自信があるDLCであるに違いない。

 そこで今回はこのDLCの内容がどれくらいヒャッハーなのか、シリーズを通してヒャッハーしてきた筆者が直々にプレイして検証してみた。なお、そんな記事内容の都合上“ヒャッハー”という単語が一生分くらいの回数出てくる可能性があるので、ご了承いただきたい。

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ここまで言っておいてなんですが、ぶっちゃけるとふつうにDLCの内容とおもしろかったところを紹介していきます。

よりヒャッハーできる新スキルツリー&メイヘム!

 ヒャッハーなところに触れる前に、細々としたところから軽く紹介していこう。まずは各ヴォルト・ハンター(主人公である4人のプレイアブルキャラクター)に追加された、新たなスキルツリーについてだ。

 こう書くと「自分が使っているキャラ以外のスキルツリーとか興味ないわー」とか言って、記事を読み飛ばす人が必ずいる。だが今回は待ってほしい。今回のDLCでは、“いままで遊んだことがないキャラでも遊びたくなる”感が結構あるので、未使用キャラについても学んでおいて損はないはずだ。

・アマーラ
新スキルツリー“エンライトゥンド・フォース”

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 さまざまなエレメンタル(炎や酸などの各属性)効果を駆使して、オールラウンドに戦えるアマーラ。新スキルツリーではこれまでのスキルツリーにはなかったクリオ(氷)属性に関わるスキルが登場する。

 また、自身や他人のライフを回復できる手段も登場し、近接攻撃で新たなメリットを得ることができるスキルも追加される。さらにヘイト(敵視)を集めるといった新たなスキルもあり、いままでにない遊びかたが可能になる。

・モズ
新スキルツリー“ベアの母”

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 モズがお母さんになった。新スキルツリーではこれまで召喚していた巨大な相棒“アイアン・ベア”ではなく、小さな“アイアン・カブ”を召喚できるようになる。

 これだけでもバブみ溢れる内容だが、アイアン・カブは燃料消費量が少ないためより長時間追随してくれるという長所を持つ。ただし、小さいため敵に与えるダメージは小さい。アイアン・ベアと使い分けることで、異なるプレイスタイルを楽しめるはずだ。

 なお、新スキルツリーのほかのスキルには、アイアン・ベア強化用とアイアン・カブ強化用のスキルが混在している。一定条件で攻撃力が上がったり、燃料消費がゼロになったりと、なかなか強力なスキルが揃っているぞ。

・FL4K(フラック)
新スキルツリー“トラッパー”

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 FL4Kの新スキルツリーでは、敵を宙に浮かせて一定時間無力化するトラップのほか、ペットの各能力を強化するスキルが豊富に揃っている。FL4K自身のシールドをペットにコピーするなど、ペット愛好家が渇望していた強化スキルがずらりと並んでいる。

 また、あらゆるタイプのペットを召喚して戦えるFL4Kだが、ついに原生生物ではなく、ゲーム内でもおなじみの敵ロボット“ローダー”のミニ版を召喚するに至った。このミニローダーはスキルでさらにアップグレードでき、もはやこのキャラはFL4Kではなくモズなのではないだろうかと思えてくる。

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これはもはや、ペットなのだろうか。ちなみにローダーはショック(雷)属性に特化したペットとなっており、敵のシールドを破壊するのに便利だ。

・ゼイン
新スキルツリー“ザ・プロフェッショナル”

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 さまざまなガジェットを駆使して戦うゼインに、新スキルツリーではショルダー・キャノンという新装備が追加された。さらにほかのスキルでは、弱点を撃つと発生する“クリティカル・ヒット”に追加効果を与えるものや、射撃ダメージを直接上昇させるスキルなど、ふつうにプレイすると攻撃力が伸び悩みがちなゼインには嬉しいスキルが多く追加されている。

 また、ダッシュ中にも射撃ができるようになったりと、既存のスキルと組み合わせると非常におもしろい戦いかたができるようになるスキルも用意されている。射撃精度を上げるスキルも多いため、一見すると弱点を狙い撃ってクリティカルを狙うことに特化したスキルツリーだが、活用法はほかにも多々ありそうだ。

・メイヘム“11”が登場!

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 4人のヴォルト・ハンターに新たなスキルツリーが追加されるのと同時に、今回のDLCでは“メイヘム”にも新たな段階“11”が追加された。

 メイヘムとは、プレイヤー自身が好きな値に設定することですべての敵の強さが上がり、同時に敵や各種アイテムボックスからドロップする装備のグレードが上がるシステムのこと。ヴォルト・ハンターの拠点である“サンクチュアリIII”の端末で、ゲームプレイ中いつでも値を変更することができる。

 ただし、高い値のメイヘムでは“メイヘムMOD”という、プレイヤーに不利に働く(中にはボーナスになるものもある)特殊な効果がランダムで発生する。これらはある程度プレイヤーの手で厳選もできるのだが、強烈なダメージゾーンがやたらめったら発生したり、敵どうしが互いを強化し合ったりと、ただでさえメイヘムで強くなった敵がとてつもなく厄介になる。

 ところが今回追加されたメイヘム11では、これらの厄介なメイヘムMODが発生しない。その分、敵からドロップするレアアイテムなど、報酬は半分になってしまうが、メイヘム10と同等のアイテムが出現する。

 つまり、いままではメイヘムMODが強烈すぎてメイヘム10で最高ランクの装備をトレジャーハントするのがたいへんだったという人にも、メイヘム11では時間こそかかるようにはなるが、比較的安全かつ快適に最高ランクの装備を探すことができるわけだ。筆者的には、非常にありがたい。

まったく新しい(多分)ゲーム体験でヒャッハーだ!

 続いて、今回のDLCの目玉とも言える新ゲームモード“シュルーティング・スプリー”について、実際にプレイした流れに沿って解説していこう。

 こちらのモードでは、過去『ボーダーランズ』シリーズでプレイアブルキャラクターとして活躍した、アクストンとサルヴァドールのふたりが司会進行を務める殺人ショー“シュルーティング・スプリー”にプレイヤーが参加し、優勝を目指すことになる。

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サンクチュアリIIIでクエストを受注すると、即座にファスト・トラベルで現地に飛んでゲームを始められる。

 いざゲーム開始! ……と意気込んでみたものの、よく見るとプレイヤーの装備が一切ない。さらに各ヴォルト・ハンターの必殺技とも言うべき、“アクション・スキル”も発動できない。

 そう。このモードではキャラクターのレベルやメイヘムこそそのまま引き継がれるものの、装備とスキルはすべてゼロの状態からスタートとなるのだ。

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武器どころか、身を守るシールドもなし。逆に言えば、装備が揃っていない作りたてのキャラクターでも遠慮なく遊べる。

 いざ施設の電源をオンにし、ワープ地点に飛び込むとゲーム開始。戦いのフィールドとなるマップのある程度ランダムな位置へと、ヴォルト・ハンターたちは投下される。

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落下地点は選べないが、たいてい中心付近に落ちるので問題はない。

 というわけで、身ひとつで使える攻撃手段は近接攻撃と、デフォルト状態のグレネード(弱い)だけという状態でゲームが始まる。さて、武器はどうすればいいのか……と、その辺をうろついてみると。

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降りてすぐのトンネル内に入ろうとしたら。
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なんかやられた。

 このモードではこちらが武器を持っていなくても、敵は容赦なく銃撃してくる。そして復活のチャンスである“セカンド・ウィンド”を逃して死亡してしまうと、問答無用でゲームオーバーとなり、スタート地点に戻される。なお、複数人でマルチプレイ中なら、ほかのプレイヤーが倒れても蘇生することができるため、即座にゲームオーバーになるということは少ない。

 これは本当にヒャッハーなのか? と疑問に思いつつももう一度チャレンジしてみると、落下地点のすぐ近くに武器や弾薬が入ったボックスがあることに遅ればせながら気付いた。

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 さらに敵を倒せば装備やお金などがドロップし、どんどん装備を強化できる。装備が揃うまでに敵に遭遇するとかなり苦戦するが、いざいい装備が手に入ればかなりヒャッハーな感じで敵をなぎ倒せる。

 そんなノリで、これはいい装備を探しまくるしかない、とフィールド内をうろついて敵の掃討とボックス探しに興じていると……。

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マーダーケーン?
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慌ててマップを確認してみると、なんだか既視感がある円形の範囲が表示されている。

 このゲームモードでは、一定時間ごとにフィールド外周を“マーダーケーン”という猛吹雪のエリアが浸食していく。だんだん活動できる範囲が狭まり、最終的には中心部にいるラスボスとの決戦を余儀なくされるわけだ。

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当然ではあるが、マーダーケーンの範囲内に入るとごりごりとシールドやヘルスが削られる。あれ? なんで当然だと思うんだろう?

 スタート時に身ひとつでフィールドに投下され、装備を現地調達し、敵をなぎ倒し、一定時間ごとに狭まっていくフィールドを駆け抜けて生き残りを競う……。なんだろう? ものすごくどこかで見たようなゲーム内容で、初めて遊ぶゲームモードなのにノウハウが蓄積されている気がする。

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ショック属性の爆発物……なのだが、なぜかこのモードを遊んでいると、シールドをリチャージできるアイテムに見えてくる。

 とぼけ続けるのもアレなので、正直に“ソレ”系のゲームと比べてみると、敵はすべてCPUで頭が悪い。よって、十分な武器さえあれば簡単に制圧できる。
 “ソレ”系のゲームの対戦相手が、すべて頭がパーになっていて弱くなったものと考えればいいだろうか。ふだんそういったゲームでなかなか勝てないフラストレーションが溜まっている人には、無双感が味わえるのでオススメかも知れない。

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シールドは自然回復するし、ライフ回復アイテムも山ほど出る。筆者はわりと“ソレ”系ゲームで負けがこむことが多いので、このゲームモードではだいぶ気持ちいい思いができた。

 フィールド各所に一定時間で投下される“エアドロップ”の補給物資を取りにいったら、敵の襲撃がセットだった……などといった、そういう系のゲームではおなじみのシチュエーションも随所に散りばめられている。

 また、入り口がロックされているレアアイテム部屋なども随所にあり、マーダーケーンを気にしつつもそれらを探していくのも、なかなかスリルがあっておもしろい。

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補給物資は地味に罠でもあるので、ちゃんと装備が整ってから回収に向かおう。
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周辺の敵を全滅させるなど、特定のギミックで解放されるレアボックス。このモードでしか手に入らない装備が手に入ることも。

 そうして装備を充実させたら、いよいよこのモードの最終フェイズに突入だ。マップの中央、つねに固定の位置にこのモードのラスボス“ヘビーウェイト・ハーカー“が待ち受けている。

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ラスボス部屋の入口(落下すると戻ってこれない穴)付近には、弾薬やライフを補給できる自販機が置いてある。拾ったお金で補給を済ませよう。
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ヘビーウェイト・ハーカーは、ショック(雷)属性が有効なシールドと、コロッシブ(酸)属性が有効なシールドで2重の守りを固めている。できればこのふたつの属性の武器は用意しておきたい。

 ヘビーウェイト・ハーカーは攻撃力こそ高いものの、そこまで攻撃は激しくなく、ステージ内に配置された柱に身を隠しつつ戦えばわりと楽な相手だ。むしろ、定期的に呼び出される手下たちのほうが厄介だ。

 ここまで持ち込んできた武器をフル活用して手下を処理しつつ、2枚のシールドをはがしてしまえば、あとは勝ったも同然だろう。

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ボスは最初、原生生物に乘っていて機動力もあったりするが、シールドが全部なくなるころには身ひとつになる。こうなればもはや木偶も同然。

 ボスを撃破すれば、このゲームモードはクリアーとなる。メイヘムの値などにもよるが、ボスは体感的にはかなりの確率でこのコンテンツ限定の最高レア“レジェンダリー“のアイテムをドロップしてくれる。

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武器だけではなく、各キャラクター専用の新たな"クラスMOD"などもドロップする。これらはボス以外にも、フィールド各所の特別なボックスからもドロップするぞ。

 ただし、このモードで拾ったアイテムの中から持ち帰れる数は限られている。ボス撃破後には部屋の奥にある端末で、持ち帰りたいアイテムを選ぼう。選ばれたアイテムはキャラクターの金庫へと送られるので、改めて回収しておきたい。

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筆者も最初にやらかしたのだが、ここに登録して“取り出す”ボタンをクリックしないと、アイテムは置き去りになってしまう。とりあえずレジェンダリーは全部持ち帰ろう。

ヒャッハーな周回で、よりヒャッハーなハンターライフを!

 新モード“シュルーティング・スプリー”はここまで解説してきた通り、なんだか既視感がありつつも、『ボーダーランズ3』従来の遊びかたとはとはまったく異なる楽しみかたができるモードとなっている。さきに触れたが、いままで使っていなかったキャラクターでもすぐに遊べるあたり、じつにヒャッハーで自由なモードだと思えた。

 ただ このモードではとくにピストルやサブマシンガンの強力なものがほしいのだが、それらがなかなかドロップしないときのジリ貧感もまたかなりのもの。ソレ系のゲームをプレイしている人には、この感覚は痛いほど理解してもらえるかと思う。

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弱い武器ばかり出てくるときの、この絶望感よ。

 だが、先述したとおり、本モードのフィールドで出会うのは他プレイヤーではなく、あくまでヒャッハーな頭のCPUエネミーだけだ。障害物を巧みに使ったり、挟撃を謀ったりしてもこない。漁夫の利を狙って息を潜めたり、こちらが箱を漁るのを待って襲ってきたりもしない。ふだんのソレ系ゲームなどで神経をヒリつかせているプレイヤー諸兄にこそ、息抜きに楽しんでみてほしいモードだと言えるだろう。

 レアドロップ狙いの周回自体も、ある程度装備が揃ったらボスに直行してしまってOKなので、気軽に手早く済ませることができる。

 また、このコンテンツ限定のレジェンダリー装備以外の、ほかのコンテンツでも入手できる共通レジェンダリーアイテムもこのモードでは手に入る。新たに使用し始めたばかりのキャラの装備を充実させたいときなどにも、こちらのモードはオススメできる。

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アクション・スキルが使えず銃だけで戦うことになるデメリットも、不慣れなキャラを使う際には、むしろ気軽に遊べるようになる要素に早変わりだ。

 それでも苦戦する! という初心者の人のために、ちょっとしたコツもお伝えしておこう。筆者のように何度かプレイしてみた人はたいてい気が付くと思うが、このモードではやたらとティーディオール社製の武器が輝く。

 このメーカーの銃は、リロードするときに武器そのものを投げつけて爆発させ、銃の中に残っている弾の残数に応じたダメージを与えるという特徴を持っている。投げても武器のコピーが即座に手元に発生するので、武器自体はなくならない。

 とくに弾数が多いティーディオール製サブマシンガンを1発だけ撃ってからリロードして投げつけると、とんでもないダメージが出るのだ。

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この戦法は弾の消費量が非常に多いが、弾はボックスから大量に入手できるのであまり問題にならない。通常の敵程度なら、あっという間に倒せる。
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ふつうの武器ではボスに1300程度のダメージしか与えられないのに、最低レアリティーのティーディオール社製サブマシンガンを投げつけたら28k(28000)ダメージ。ショックやコロッシブの属性武器が拾えなかった場合の、最終手段として覚えておこう。

 『ボーダーランズ3』内ではこれまでになかった遊びかたで、いままで以上にヒャッハーできるこちらの新モード。記事冒頭で紹介した新スキルツリーや、ストレスフリーとなるメイヘム11も加味すれば、そのヒャッハー度合いは従来の数倍に膨れ上がったと言えるだろう。

 新モードだけでなく、新スキルを使って従来のコンテンツを遊んでみるのもまた楽しい。ゲーム全体が見事によりヒャッハーとなっている本DLC、ぜひ体験してみてほしいところだ。『ボーダーランズ3』はプレイステーション5やXbox One Series X|Sといった、家庭用の次世代機への対応はもちろん、今後もまだまだ豊富なアップデートを重ねていくことを予告しているので、そちらもぜひお楽しみに!