先月末に映像配信された、プレイステーションプラットフォームの新作発表番組“State of Play”。そこで発表されたクンフーテーマのアクションゲーム『Sifu』を紹介しよう。
本作を開発するのは、Devolver Digitalから日本発売もされた格闘系アクションアドベンチャーゲーム『Absolver』のSlocap。本作はフランスを拠点とする同スタジオの自主パブリッシングタイトル第1弾として、2021年にプレイステーション5/プレイステーション4/PCで発売予定となっている。
しかし、スタイリッシュなアートスタイルで1対多数の状況を切り抜けるクンフーアクションを楽しめそうだということはわかるものの、まだまだ不明な点が多い本作。そこで今回、Slocapで本作のリードデザイナーを務めるJordan Layani氏にメールインタビューを行い、本作のディテールを掘り下げて聞いてみた。
Jordan Layani
開発元Slocapのリードデザイナー。
周囲の環境も駆使しながら悪漢達を倒していく、面クリアー型のアクションゲーム
――現代を舞台にした格闘メインの3Dクンフーアクションのようですが、ゲームの進行はどういった形式になるのでしょうか? 『ベア・ナックル』のような直線的に進む感じでしょうか? それともオープンワールド的な作りなのでしょうか?
Layani『Sifu』は面ごとに進んでいくタイプのゲームになります。進行の点でいくつか捻りはありますが、各面は直線的な繋がりを持ちます。
――『龍が如く』シリーズや『スリーピングドッグス 香港秘密警察』のように周囲の環境を攻撃に利用できるようですが、周囲のものを利用できるとプレイヤーに知らせるための表示などはありますか?
Layaniキャラクターが投げられるものや武器にできるものなどの近くにいると視覚的に教えてくれる仕組みがあります。名前が挙がったタイトルとの比較で言うと、環境を利用したアクションは格闘のゲームプレイにもっとシームレスに組み込まれており、視覚的な表示はよりわずかなものとなります。
――『Absolver』には技を組み合わせてセットするエディターがありましたが、今回はどうでしょう? どうやってキャラクターを作り上げられますか? またアンジェラ・マオやノラ・ミャオのような女性ファイターや、サモ・ハン・キンポーのような異なる体型のファイターは作れますか?(※いずれも有名なクンフー映画の名役者)
Layaniプレイヤーはメインキャラクターを男性と女性から選べます。ただし体型は同じタイプになります。一方で敵はさまざまな体型やサイズを持っています。
またプレイヤーキャラクターは、ゲームの開始時点で異なる特性を持つさまざまなコンボを持った大きな技セットを持ち、それらをさまざまな状況に合わせてどう使って優位を取るか習得するのがひとつのチャレンジになります。そこから先はゲームの進行に応じて新たなスキルやテクニックがアンロックされていき、より可能性を広げます
――映画『少林寺三十六房』のような特訓シーンはありますか?
Layani我々の主人公は単独で彼の復讐に挑むこととなり、仲間や相棒はいません。なので“集団”的な特訓はないのですが……ゲームを遊べば何か目にするかもしれません。まだ全部を明かすわけにはいかないので!
――公開されている映像にはバールや棍のような長い棒を使って戦う場面が見られました。ヌンチャクやサイや三節棍なども期待していいでしょうか? 映画『片腕カンフー対空とぶギロチン』みたいなフィクションの必殺武器はどうでしょう?
Layani主人公のメイン武器は己の肉体です。武器は主に一時的なもので、いずれ壊れます。ですので武器は基本的に周囲にあったその場しのぎのもの(金属の配管とかバールとか瓶など)ですね。道中で出会ういくつかの敵はいま名前が挙がったような具体的な武器を持っていたりもします。
主人公はやられても加齢して復活
――発表動画で倒れている間に髭が伸びているシーンの意味はなんでしょう? 敵がそのまま周囲にいたので「あれから3年が経った……」的な表現ではないんじゃないかと推測しますが。
Layani主人公は、戦闘で死亡すると彼の年齢と引き換えに蘇る魔法のペンダントを持っています。蘇生は瞬間的に起こり、敵がそれを目撃して反応することもあります。老化は主人公のみの問題として起こります。
――本作はシングルプレイのゲームなのでしょうか、それともマルチプレイ要素もありますか?
Layani『Sifu』はシングルプレイに特化したゲームです。我々の目標としているのは、クンフーの達人が危険な状況に対峙し、単独で多数の敵を相手に戦う没入的な体験を作り上げることです。
――本作はサイズ的にどれぐらいのゲームになりますか?
Layaniこのゲームは主人公の5人の標的の根城を5面で構成しています。プレイ時間はプレイスタイルごとの最終調整によって変わってくるので、まだ明確な想定時間を設けてはいません。
――このゲームがどんな感じになるかを想像するために、いくつかクンフー映画などを挙げてください。
Layani完全にこの通りというリストではないですが、没入感やインパクトの雰囲気という点で:『ザ・レイド』(ギャレス・エヴァンス監督)、『ジョン・ウィック』(チャド・スタエルスキ監督)、『SPL/狼よ静かに死ね』(ウィルソン・イップ監督)、『トム・ヤム・クン!』(プラッチャヤー・ピンゲーオ監督)
次にジャッキー・チェン映画の対多数の戦いと環境を使った戦い方という点で:『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(ジャッキー・チェン監督)、『サイクロンZ』(サモ・ハン・キンポー監督)、『奇蹟/ミラクル』(ジャッキー・チェン監督)
そして最後にクンフー映画とは限らないものの、ストーリー的に参照したり影響を受けたもの:『SPIRIT』(ロニー・ユー監督)、『ブレード/刀』(ツイ・ハーク監督)、『無限の住人』(沙村広明)、『キル・ビル』(クエンティン・タランティーノ監督)
パートナー企業の支援により、自社パブリッシングで日本展開も予定
――Devolver Digitalからパブリッシングされた『Absolver』と異なり自主パブリッシングとなるようですが、なぜでしょうか? トレイラーにはSIEやエピック・ゲームズやゲーム系ファンドのKowloon Nightsの名が挙がっていましたが、彼らはどう関わるのでしょう? 作品の権利は誰にありますか?
Layani自主パブリッシングはチャレンジでもありますが、スタジオを成長させるにあたっていい道だと感じています。Kowloon Nights、エピック・ゲームズ、SIEといったパートナー各社は、いずれもこのプロジェクトを現実のものとするのを助けてくれます。またSlocapが『Sifu』の権利を保持します。
――発表トレイラーはプレイステーションジャパンのチャンネルにもアップロードされていました。日本市場での計画を教えて下さい。PS5/PS4/PCで日本語ローカライズを期待してもいいでしょうか?
Layani我々は間違いなく日本のプレイヤーにこのゲームを楽しんでもらいたいと望んでいます。主要言語すべてに対応する声優さんを揃えられるほど大きくないので吹き替えまではできないのですが、もちろんテキストローカライズ版を日本向けにリリースする計画があります。