2021年9月2日(木)、カリプソメディアジャパンからプレイステーション5、プレイステーション4、Nintendo Switch、ならびにPC(SteamとEpic Games)で発売される『ポート ロイヤル4』。
『ポート ロイヤル』は、ヨーロッパの大航海時代、そのなかでも各国家の海軍や海賊が実際に衝突をくり返したカリブ海を舞台とした人気シリーズだ。本作はそのシリーズの、8年ぶりにリリースされる新作となる。
グラフィックが美麗になったのはもちろん、UIやシステム面でもよりプレイヤーにわかりやすい進化を遂げている本作。正直なところ、
「海洋交易とか、商機を掴むとか、難しいのでは?」
「昔の帆船とか、操作が複雑そう……」
そんな風に思われる人も多いかと思うが、本作ではちょっとコツさえ掴めば、そんな心配は無用だ。
大航海時代、それは大国が他国の船に対して海賊行為を許可するような混沌とした時代。植民地との危険な交易では莫大な富が得られ、海賊はただの犯罪者ではなく、一国の重鎮さえ目指せる時代だった。
そんなロマンあふれる時代の成り上がり、その快感をわかりやすいシステムで体感できる本作。今回はひと足先にプレイできた本作の、魅力についてお伝えしていこう。
目指すは大造船所。港町を交易ルートで結んで稼げ!
本作の基本中の基本となるのは、港町のあいだでの交易。町の生産品を船に積み、それをほかの町で売って金貨を得る。この金貨でさらに町を発展させていくわけだ。
町を発展させ、人口を6000人以上にすることで、その町には“大造船所”が建造できる。この大造船所があるかないかで、本作のおもしろさやカリブ海での生きかたが大きく変わる。この大造船所ができれば自由に商船や戦艦を建造し、自分好みの船団を組めるようになるのだ。
では、人口6000人を目指すにはなにをすればいいのか。それぞれの町で安く仕入れられるものを買い、それを高くなっている町で売り払う。このくり返しだ。
その町で十分得られているものは安くなり、逆に足りないものは高くなるのは当然のこと。本作では、その町の生産事情がひと目で分かる。
この画面で見ると、それぞれの生産物の横に4本の緑、あるいは赤のゲージが並んでいるのがわかるかと思う。緑色のゲージが2本、赤のゲージが2本の状態が、その町でその生産物の需要と供給がバランスよく成り立っている状態を示す。
緑ゲージが3~4本の生産品は、その町では在庫が溢れており、安い値段で扱われている。逆に赤ゲージが多い生産品は不足しており、その町では高値で扱われる。
そしてこのゲージの左に歯車のマークがついている生産品は、その町で生産されている。この歯車がついており、需要と供給が安定しているものをつねに売っていけばいいわけだ。
では、どれくらいの量をどうやって売ればいいのか。本作ではその辺を細かく設定する必要はなく、“交易ルート”を設定すればあとは町に寄港する船任せにすることができる。
本作で登場する船は帆船なので、風向きに大きな影響を受ける。交易ルートは基本的には、上記の生産事情などはさておき、この風向きに合わせて町を結ぶだけでいい。
風向きを表す矢印が白い部分が、安全な海域。矢印が赤い海域は暴風域で、船がダメージを受けたりする危険地帯だ。
ルートを設定したら、そのルートを通る船が各町で何を購入し、何を売るかなどを個別に設定できる。ここも項目が多く難しそうに見えるが、さきに説明したとおり、歯車がついている緑ゲージが多いものを購入し、ほかは販売する、というくらいの単純な設定でも、十分な利益が出る。
さらに購入量などを“自動”にしておけば、需要と供給に合わせた量をほどよく購入してくれる。
交易ルートを設定したら、あとは“船団”を組んでそのルートを任せるだけだ。船団はルート上を航海し、船団ごとの積載量をフル活用して交易を自動で続けてくれる。
大造船所ができる前でも、町でお下がりの商船を買えたりと、新たな船を入手して船団が増える機会は多い。だが船が増えても既存のルートに登録するだけでOKなので、交易の再設定の手間はまったくない。
ここまでの説明のとおり、本作では大規模な海洋交易が分かりやすく行なえる。この交易で得た金貨と、その町やほかの町から得た特定の生産物を消費することで、それぞれの町に建物を増やすことができる。
各町の領地は、六角形のヘクスを組み合わせたものとなっている。その空きヘクスへ自由に建物を配置できるわけだが、特定の種類のものと隣接させるとボーナスやペナルティーが発生するなど、箱庭的な楽しみの要素もある。
基本的には各町の長所を伸ばしつつ、十分な住居や病院、そして住民の満足度を上げる公園などの施設を置いていくだけでもオーケーだ。町が何を求めているかもひと目で分かるので、難しさはまったくない。
また、建物はいつでも撤去しある程度返金してもらえるほか、交易でかなりの金貨が稼げるため、建物の置き直しがほぼ痛手にならないのも嬉しいところ。いろいろと試行錯誤することができる。
いざ海戦!両舷の大砲を活用できるかがカギ
こうして交易と町の発展をくり返し、大造船所で戦闘用の戦艦が造れるようになったら、いよいよさらなるロマンを追い求めるときだ。商船は大砲を一切積んでいないので戦闘自体が不可能だったが、戦艦の船団さえあればほかの船を攻撃できるようになる。
戦闘は町と同じようなヘクスマップでの、ターン制となっている。自分と敵でそれぞれ交互に1隻ずつ船を行動(移動と攻撃)させることになるが、片方の船の数が相手より多い場合、すべての船が動き終えるまで相手にターンが回らない。数の優位性が大きいわけだ。
この時代の戦艦は、船の両舷(左右側面)に固定大砲を装備している。現代の戦艦のように砲塔で砲身を回転させることはできず、また射程も短いので、相手に側面を見せつつほぼ隣接する位置に移動しないと攻撃できない。
攻撃に必要な方向転換などの難しい部分も、相手を指定するだけで全部やってくれるため、海戦は非常にテンポよく進む。プレイヤーがとくに気にすべきは敵艦との位置関係くらいのもので、言い換えるとそれが本作の海戦の最大のキモでもある。
各艦の大砲は左右それぞれが、1ターンに1回ずつ砲撃できる。相手との位置取りや船の小回りの利き具合によっては、左右それぞれの大砲を1ターンのあいだに撃つという、2回攻撃のような動きができるわけだ。
また、戦艦は砲撃だけではなく、隣接した敵艦に乗員を送り込んで制圧する“移乗攻撃”も行なえる。この攻撃は船員の数の差によって成功率が変わり、成功すれば相手の船を鹵獲できる。こうなるとその艦は行動不能になり、戦闘終了後に自軍のものになる。
また、船団や船長が使用できるスキル“戦術”も重要だ。再使用できるまでに長めのクールタイムがあるが、問答無用で大ダメージを与えたり、移乗攻撃中のように行動不能にしたりと、これひとつで戦局が大きく傾くくらい強力なものばかりだ。
船団が使える戦術は、船の種類や船長によって異なってくる。戦術をどう使うかも考えつつ、さきほどまで触れてきた2回砲撃や移乗攻撃なども考えていくと、船団編成がどこまでもおもしろくなっていく。
名声を得て躍進!好きなモードで海を征すべし
ここまでゲームの核心となる、交易、町の発展、海戦の3つを解説してきたが、これらの基本を理解できていれば本作のどのゲームモードも十分楽しめる。本作にはおもに3つのゲームモードがあるので、それぞれの解説もしていこう。
チュートリアルモード
ここまで解説したとおり、本作のシステムはそこまで複雑ではない。それでも不安があるなら、丁寧にいちから教えてくれるチュートリアルモードをプレイしてみよう。
画面の見かたから交易と海戦のコツまで、本作を楽しむために必要な項目はすべてここで解説してくれる。
キャンペーンモード
スペイン、イングランド、オランダ、フランスの四大国家ごとに、別のシナリオが用意されたモードがこちら。
所属する国家の提督から適宜期限が設けられた任務が発生し、それらをこなしていくことで自然と町や交易が発展し、やがてシナリオは海賊との対決や、国家間の戦争などに発展していく。
また、キャンペーンモードとつぎに解説するフリーモードでは、プレイヤーキャラクターを選択することができる。冒険家、商人、バッカニア、海賊の4タイプが用意されており、その固有の能力によっても戦略が大きく変わる。
町の行政権や船長の雇用など、さまざまなことに使用するリソース“名声ポイント”は、モードを問わずこの提督の依頼をこなしたり、海賊や敵国の船を撃退したりすることで入手できる。その提督の依頼がわかりやすく、またシナリオに沿って決まっているので、本作をプレイし始めたばかりの人でも遊びやすいモードだ。
フリーモード
名前のとおり、あらゆる部分が自由なモード。提督からの依頼がランダムな内容となるので、名声がやや稼ぎにくい。いち早く交易や町を発展させておき、名声を稼ぐ体制を整える必要がある、ゲームに慣れた人向けのモードだ。
このフリーモードの最大の魅力は、キャンペーンモードと違って名手に反抗したりしてもゲームが進められる点だろう。本作では海賊行為を働くことも可能で、各国を敵にするばかりか名誉を失っていくものの、町を襲って支配したりと、自由気ままに振る舞うことができる。
盟主に逆らわなくても、この時代には“私掠船(しりゃくせん)”という、国が認めた海賊船が存在しており、本作でもそれは再現されている。盟主から私掠許可証を買い取り、他国の商船を襲って損害を与えつつ自国に利益をもたらすという、名誉と略奪の両方を堪能できる立場にも立てるわけだ。
このように自分に合ったモードで、しかも壮大な交易や海戦をかなりわかりやすくなったシステムで体感できる『ポート ロイヤル4』。こうした交易メインのシミュレーションゲームはとかく難しい印象を受けがちだが、本作では自動機能のサポートが充実しており、難しく考えずともロマンを味わえるようになっている。
もちろん、自動機能を外して細かくプレイしてみるのもおもしろく、むしろそうしてこだわっていくと、どこまでも突き詰めて遊べる奥深いタイトルだ。香辛料の一粒、酒樽ひとつが人生を狂わせることすらあったこの混沌の時代、それゆえの夢とロマンをぜひ味わってみてほしい。