9月24日発売『ロストジャッジメント』レビュー
こんにちは、リプ斉トンです。いちばん好きな木村拓哉さんの出演作は『HERO』です。
『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』の前作にあたる『JUDGE EYES:死神の遺言』が発売されたのが2018年12月。セガで『龍が如く』シリーズを手掛けてきたクリエイター陣による最新作ということで、個人的にかなり興味を引かれていました。
また、その主人公である八神隆之を、あの木村拓哉さんが演じることも話題になりましたよね。俳優・アーティストとして畏敬の念を抱いている木村さんですが、ゲームの声は当てられるのか? とちょっと不安にも思いました。しかし、その不安はゲームをプレイすると一瞬で拭い去られました。
八神は、まさに木村さんご本人なんです! 木村さんが声優として誰かのキャラクターを演じているのではありません。“出演:木村拓哉”の看板に偽りなく、八神隆之は姿も声も木村さんそのまま。まさに木村さんがそのままゲームに入っていったようなキャラクターとなっていたんです。
もう、この八神がめちゃめちゃカッコいい。そんな八神が活躍するリーガルサスペンス『JUDGE EYES:死神の遺言』は、先の読めない展開、大ボリュームなゲーム内容が魅力で、ストーリーもミニゲームもかなり楽しむことができました。
その続編である『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』が2021年9月24日、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One用向けに発売を迎えます(※)。いちファンとして、いちライターとして、本作をレビューしないわけにはいかない! と思い、筆(キーボード)を取った次第です。ぜひご覧ください。
※デジタルデラックス・エディションは9月21日より早期アクセスが可能。
『ロストジャッジメント』先行プレイ動画
また八神に会えるぞ! やっぱりカッコいい!
老若男女問わず惚れる大人の男、木村拓哉さんが演じる八神隆之にふたたび会えるというのが、まさに本作のいちばんのウリでしょう!
八神は、かつては弁護士として活躍していましたが、とある事情から探偵に身を移して生活しています。本作では活動の場を横浜にも広げ、前作にも劣らない多くの謎を秘めた事件を解き明かすために調査をしていくことになります。
そんな八神ですが、一挙手一投足が本当にカッコいい! 非常にクールな性格の八神ですが、そんなに堅物でもなくユーモアも持ち合わせています。しかも、子どものころから我流のカンフーを嗜んでおり、喧嘩の強さは折り紙つき! 頭もいいし腕も立つ。まさに男の中の男だと思っています。「好きなゲームの主人公は?」と聞かれたら、自分の中では八神がかなり上位にくることは間違いありません。
喧嘩をする八神、食事をする八神、走る八神、変装をする八神、猫と戯れる八神、パンティを犯人に突きつける八神……、後にも先にも八神八神八神。いろいろな八神がゲームに登場しますが、どれもバツグンにカッコいいんですよね。
その八神を操作してアクションゲームがプレイできるというのだから、主演を務める木村拓哉さんファンには堪らない内容なのではないでしょうか。
アクションシーンは爽快感バツグンだぞター坊
さて、ゲームの中にも触れていきたいと思います。本作は『JUDGE EYES 死神の遺言』の続編ということで、基本的なゲームシステムは、前作を踏襲しています。しかし、さまざまな部分が進化を遂げ、とくにバトルの爽快感がさらにアップしているのもお伝えしておきたい要素です。
前作では、八神は“一閃”と“円舞”というふたつのバトルスタイルを使い分けて戦うことができましたが、本作ではそれに加えて“流(ながれ)”という新スタイルを獲得。この流は、合気道のような、文字通り流れるような体さばきで戦うのがポイント。投げ技による攻撃が強化され、多くの敵を巻き込みながらダメージを与えることができるほか、敵から武器を奪うことができるのも特徴です。
さらに、流のスタイルでは、EX・サレンダーという相手を降参させる新アクションを使うこともできます。前作にもあった、強力な一撃を叩き込むEXアクションと同じように、EXゲージを消費してくり出すことができます。“恐れ状態”になっている相手に対してしかくり出せない技ですが、技が決まれば一撃で相手を戦闘不能にできるのがポイントです。
前作では、一撃の攻撃力が高い一閃に頼ることが多かったのですが、本作では円舞はアクションの性能が強化され、攻撃力も上がった印象。それぞれのスタイルの長所がさらに強化されているので、集団戦では円舞、強敵との戦いでは一閃、武器を持った敵との戦いは流と、自然とスタイルを切り換えて戦うことが多くなりました。
また、スタイルのチェンジは方向キーの下で切り換えられますが、前作よりもやりやすくなっている印象。前作では攻撃の最中に一閃から円舞に、円舞から一閃に切り換えて戦うといったことはあまりやらなかったのですが、本作では通常攻撃の最中にスタイルを切り換え、休む間もなく相手を攻撃し続けるといったアクションを自然と行えるようになりました。
さらに、八神の身体能力を超強化するEXブースト中は、あらゆる行動を強制的に中断して問答無用でスタイルを切り換えられるようになるので、ブースト中はさらに休む間もなくゲージが続く限り攻撃を出し続けることが可能となっています。これがかなり気持ちいい!
また、新システムとして“バトルリワードシステム”が搭載されていることも見逃せません。本作の成長システムは前作同様、手に入れたSpを消費してスキルを獲得していくというものになっています。ですが、前作から比べると、スキルの数も獲得に必要なSpの量もかなり増えていることがわかります。「ならSpを獲得する手段は?」と気になると思いますが、それこそがバトルリワードシステムなんです。
これは、バトル中に起こした行動によってバトル終了後にSpが獲得できるシステム。このボーナスが獲得できるように戦うことで、より多くのSpを手軽に入手できるようになります。その条件のひとつに、“一閃・円舞・流のそれぞれで敵を倒す”といったリワードもあるため、本作では自然と3つの流派を使い分けて戦いたくなる仕掛けにもなっているんですね。ひとつの流派で戦い続けるよりは全然お得ですから。
バトルシーンでは、前作で不便だった要素がほぼすべて解消され、より爽快感溢れるバトルが楽しめるように進化しました。バトルの難易度も簡単なものから難しいものまでが用意されているので、アクション初心者でも熟練者でも楽しみやすいこともポイントですね。
八神氏~調査アクションもパワーアップしていますぞ
バトル以上に進化を遂げているのが、調査アクションです。八神は探偵を生業としており、メインストーリーやサイドケースで、さまざまな依頼が舞い込みます。その調査を行うために必要なのが、多種多様な“調査アクション”となっています。
基本的に、前作に登場した調査アクションはすべて登場。本作ではアスレチックやスティールといったアクションシーンのほか、集音器、電波探知機といった“探偵ガジェット”が追加され、より自由度の高い調査が楽しめるようになりました。
行動の幅が広がったため、何を使ったら先に進めるのかを考える必要があり、前作よりもプレイヤーの閃きが重要に。また、イベントや依頼中でないフリーのときに街中で探偵ガジェットを使うとイベントが発生することもあり、ゲームプレイの自由度もかなり上がった印象を受けました。
ユースドラマも見どころだよね八神さん
本作のもうひとつの見どころとして登場するのが、“ユースドラマ”です。これは、八神が潜入調査をしている誠稜高校を中心に発生するイベントです。ミステリー研究会やダンス部、ロボット部など、さまざまなコミュニティに潜入して、仄暗い願望を持った生徒達を次々と非行に導くという都市伝説的な存在である“プロフェッサー”の謎を解き明かすというものになっています。
このユースドラマも、かなりのボリュームが収録されているのが特徴。このシナリオだけでゲーム1本作れるんじゃないないかというくらいです。メインシナリオの攻略の合間にユースドラマをプレイして、ある程度シナリオが進んだらメインシナリオにも戻ってくるというちゃんぽんプレイで気分を切り換えることによって、いつまでもプレイすることができます(個人の意見です)。
この要素で注目なのが、本編では見られないコミカルな八神の姿が見られることでしょう。八神は、ミステリー研究会の外部指導員となり、部長の天沢鏡子とともに伊勢佐木異人町の高校生の間で囁かれる都市伝説の解明に挑みます。その一環としてさまざまなコミュニティに潜入するのですが、郷に入れば郷に従えと言うように、その活動を生徒といっしょに体験することになるのです。
つまり、ダンスをする八神やロボットの操作を楽しむ八神が見られるということ! 本編では殺人など、凶悪な犯罪の調査をするシリアスな展開が続きますが、このユースドラマはもう少し緩くて、コメディードラマを見ているような感覚で楽しむことができます。
最初に潜入調査をするダンス部のミニゲームは、かなりオススメです。最初は「ダンスなんかやったことがない」と語る八神ですが、持ち前の運動神経を活かしてノリノリかつキレキレなダンスを披露してくれます。あのクールな八神が、笑顔でダンスをしている……。そのギャップには、どのプレイヤーでも「フフッ」と笑みがこぼれること間違いなしでしょう。
そのほかにも、暴走族に潜入し、特攻服を着てバイクレースに興じたり、スケボーでトリックの鮮やかさを競ったり、ガールズバーで女性とお話したり、本編とは異なるさまざまな八神の姿が見られます。そして、その八神を演じるのは、あの木村拓哉さんとなれば、もう見るしかないでしょ! プレイするしかないでしょ!
八神さん。街歩きもしっかりやってください
さらに魅力を語るとなると、精巧に作られたフィールドの“街歩き”も語らないわけにはいきません。さまざまなお楽しみ要素のある街歩きと、さまざまなミニゲームが楽しめるプレイスポットの存在は、本作にも健在。本作では、シリーズおなじみの神室町に加え、横浜・伊勢佐木異人町を探索することができます。
この伊勢佐木異人町、神室町よりもかなり広大な面積を有しています。歩き回るだけでも楽しいことも、『龍が如くスタジオ』作品の魅力のひとつですよね。本作では、街中でネコを見つけたり、リスの絵柄のグラフィティーを探したりするミニゲームが用意されているので、街を巡りつつ、収集要素を楽しめるのがポイントです。
また、実在するお店がそのままの姿でゲーム中に登場するのもおなじみの要素。本作では、筆者がこの世でいちばん美味いと思っている吉野家さんが登場しており、体力が減ったらすぐに吉牛を食べに行ってしまいます。タクシーで。
こちらもおなじみの要素ですが、お店にある食べ物を制覇するとボーナスでSpがもらえるシステムも、本作に搭載されています。街巡りを楽しみつつ、食事を楽しみ、ネコやリス探しに興じる……。これがおもしろすぎて、「このゲームなんだったっけ?」と思うこと間違いなしの内容とボリュームになっています。これ1本買えば、しばらく遊び続けられるほどのポテンシャルを秘めていますから、かなりお買い得とも言えるでしょう。
バトル、シナリオ、フィールドワークと、すべての要素が前作よりパワーアップした『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』。宇宙最強クラスにカッコいい主人公、八神がシリアスに、そしてコミカルに活躍する様子が楽しめるアクションゲームとなっています。
前作と比べ、表情のクオリティーも格段にアップ。イキイキとした演技が楽しめるようになっており、もはや木村拓哉さんがゲームの中に入り込み、演技をしているようだといっても過言ではないくらいです。その木村さんが、敵と戦ったり、全力疾走したり、壁を上ったりと、アクション映画さながらの大活躍を見せるだけでなく、ダンスをしたりロボットを動かしたりといったふだんの八神からは想像できないコミカルな姿も見せてくれます。
木村拓哉さんのファンの方には、“これこそ木村拓哉!”と思える数々の演技を堪能できる本作は間違いなくおすすめです。また、シリーズの魅力である豊富なサブシナリオや街歩きのボリュームは「龍が如くスタジオ」作品の中でも屈指のものになっていて、『JUDGE EYES:死神の遺言』や『龍が如く』シリーズを楽しめた人も、必ずや本作の魅力のとりこになるはず。
いよいよ発売を迎える『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』。“主演:木村拓哉”で描かれる至高のリーガルサスペンスを、ぜひ楽しんでみてください!