コロナ禍でテレワーク需要が増していることもあり、PC、とくにノートPCの売り上げが堅調なようだ。日常生活でも便利に使えて、動画配信サイトではゲーム実況が花盛り。そういう状況もあって、こう考える人も少なくないだろう。
せっかくPCを買うならゲームも遊びたい。
CPUとは別に高性能なGPU(※)を搭載したPCなら3Dゲームもさくさくプレイ可能だ。ゲーム用途のPCは“ゲーミングPC”と呼ばれる。ノートPCもあるが、パワー重視だけに毎日持ち歩くにはちょっと重いものが多く、価格も高めだ。「ゲームも遊びたいが、あくまでもメインはビジネス」といった用途で考えると、ゲーミングPCには選びづらい面があるのは否めない。
※GPU:Graphics Processing Unitの略で、画像処理に特化した専用チップ。これを搭載したパーツはグラフィックボードと呼ばれる。
そこで注目したいのが、このモバイルPC。
※この記事は富士通クライアントコンピューティングの提供でお送りします。
『FMV LIFEBOOK UH90』シリーズは850gを切る小型軽量ノートPC。持ち運びしやすいノートPCは1kg以下をウリにすることが多く、その中でも900g以下はかなり軽い部類に入る。
個別のGPUは非搭載のため、ゲームには不向きなように思えるが、カプコンの人気ハンティングアクション『モンスターハンターライズ』(以下、モンハンライズ)Steam版がプレイ可能だという。
果たしてどれだけ快適に『モンハンライズ』を遊べるのだろうか?
さっそく『モンハンライズ』を遊んでみた
『FMV LIFEBOOK UH90』シリーズは、2021年10月に『UH90/F3』が発売。前モデル『UH90/E3』をベースにした最新モデルだ。
※本稿では『UH90/E3』を試用しております。ハードウェア構成は同じなので『UH90/F3』でも同等の結果が出るものと思われますが、多少の差異が出る可能性があることをご了承ください。
『モンハンライズ』公式サイトで1080P/30FPS(フルHDの解像度で毎秒30フレームの映像を表示すること)での最低環境(グラフィック設定“低”が前提)を調べてみると、CPUとは別にNVIDIA GeForce GT 1030 (DDR4)かAMD Radeon RX 550以上のGPUが必須であると記載されている。
注目は、備考欄にある“※グラフィックカードはオンボードでの動作は保証対象外となります。(「インテル(R) Iris(R) Xe グラフィックス」については、弊社にて動作検証済みです)”という記述だ。
本来ならばSteam版『モンハンライズ』はCPUとは別に個別のGPUを搭載した環境での動作しか保証されていない。だが、インテル製の最新CPUである“第11世代”のインテル Coreプロセッサー(以下、Coreプロセッサー)に内蔵されたGPU“インテル Iris Xe(以下、Iris Xe)”の環境下でだけは例外的に動作が確認されているわけだ。
詳しい仕様などは後述するが、『FMV LIFEBOOK UH90/F3』には“インテル Core i7-1165G7”、まさにこのIris Xe内蔵の第11世代CPUが搭載されている。
PCの利用歴が長い人ほど、CPUに内蔵されたGPUと聞けば「3Dグラフィックが処理できなくもない」といったオマケ程度の性能と思いがちではないだろうか。しかし、インテル Core i7-1165G7に内蔵されたIris Xeは96基もの演算ユニットを搭載し、およそ2.0TFLOPSもの演算性能を誇る。これはPS4の1.84TFLOPSをも凌ぐ値。
演算性能だけで言うなら、第11世代のCore i7プロセッサーに搭載されたIris Xeは家庭用ゲーム機レベルのグラフィックが処理できるということになるのである。
【2022/02/21 18時32分訂正】
インテル Core i7-1165G7に内蔵されたIris Xeの演算性能を2.07TFLOPSとしていましたが、実際はおよそ2.0TFLOPSとなります。お詫びして訂正いたします。
しかも、Iris XeはCPUに内蔵されたGPUであるために、別メーカーのGPUを搭載するよりもハードウェア構成がシンプルに済み、設計や製造のコストが比較的かからないうえ、バッテリー消費の面でもメリットが大きい。ある意味、パワフルなノートにぴったりの仕様であるとも言える。
実際にシングルプレイで『モンハンライズ』のクエストに挑んでみると、グラフィックの品質を“中”にしても、複数の小型モンスターが入り乱れ、派手な斬撃のエフェクトが出ているようなときでもFPSが40を切ることはなかった。“低”にすればFPSはさらに上がり、アケノシルム程度が相手ならばわりと激しい戦闘中でも90FPS前後をキープしていた。
このように、設定しだいでは十分にプレイ可能。現実問題として、13.3インチの画面で遊ぶ際にものすごく高精細なグラフィックを求めることは少ないだろうから、“中”や“低”でさほど困ることはない。
短いプレイ時間しか取れなかったので断言ははばかられるが、グラフィック品質を“低”にしている限り、『モンハンライズ』ならではの楽しさが阻害されるほど遅い(動作が重い)と感じることはないだろう。
Iris Xe、侮り難し、である。
850g以下と軽量でありながら拡張性の高さも魅力
さて、ここで『FMV LIFEBOOK UH90』シリーズの仕様について詳しく説明しておこう。
CPUは前述のように、第11世代にあたるインテル Core i7-1165G7を搭載。メインメモリはデュアルチャネル対応のLPDDR4X-4266を8GB、ストレージにはPCIe接続のSSDを512GB搭載している。メモリが若干少ないようにも思えるが、メインストレージがSSDであることとCPUパワーを考えたら、多くのユーザーがその弱点を意識せずに済むのではないだろうか。
『UH90』シリーズは3つのカラーバリエーションが用意されている。塗装や表面の処理によって重量が変わるようで、詳細は以下の通り。
- ピクトブラック:約818g
- ガーネットレッド:約828g
- シルバーホワイト:約834g
どの色も850gを切る軽量さであり、厚みも最大で15.5mmに抑えられているため、非常に可搬性が高い。
この軽さは日常的な使用において、圧倒的なアドバンテージとなりうる。家の中ではデスクに縛られることなく作業ができるし、外に持ち出しても大きな負担とならないのだ。
しかもこのシリーズがすばらしいのは、軽さを重視するあまりに何かを大きく犠牲にしている感じがしない点。わかりやすいのは外部ポートで、USB4(GEN3)規格のType-Cポートが2、USB3.2 Type-Aポートが2と、USBポートだけで4つもあるのだ。それに加え、フルサイズのHDMI出力、SDメモリーカードに対応した“ダイレクト・メモリースロット”、さらにRJ45規格の有線LANポートまで備えている。
昨今はType-Cポート経由でHDMI出力を取り出すアダプターが各社から発売されている。こういった製品を利用すれば、本体、HDMI端子、Type-C経由と、簡単に3画面以上のマルチモニター環境を構築できるのだ。
モバイルノートだけに本体に搭載されている液晶モニターは13.3型のフルHDと、いまとなっては最低限のレベルではある。しかし、外出時はともかく、自宅で利用するときなどは、マルチモニター環境を構築したうえで、外付けキーボードやマウスも併用し、さらに有線LANまで活用すれば、かなり強力なテレワーク環境を構築可能だ。
個人的には、ふたつあるType-CポートがどちらもUSB PDに対応、電源ポートとして利用できるという点が気に入った。Type-Cに前述のようなUSBハブ兼HDMIアダプターのような機器を接続している場合、たいていはその機器を経由しての充電もできはする。しかし、USBハブもまた電力を消費する。このとき、空いているもう一方のType-Cポートを使えば、効率を犠牲にすることなく充電しながらPCを動かすことができるのだ。
本体のキーボードも高評価
前項では“外付けキーボードを”などと書きはしたものの、LIFEBOOK UHシリーズに搭載されたキーボードはとても評価が高い。完成度の高いパンタグラフ構造を持ち、キーを押し下げるのに必要な圧力はそれぞれの指の力に合わせて2段階に設定されている。また、キースイッチは“押した感覚”が明確にわかるものを採用。モバイルノートとしてはかなり快適な打鍵感を実現している。
余談だが、UHシリーズのキーボードをそのまま独立させたようなモバイルキーボード『LIFEBOOK UH Keyboard』の製品化を目指したクラウドファンディングが、2021年12月に実施された。500万円の目標金額に対し、なんと4525人から1545%にあたる7700万円以上の支援を獲得したというその実績から、UHシリーズのキーボードがいかに多くのユーザーを魅了しているかがわかるだろう。
軽く、早く、拡張性も高く、キーボードは打ちやすく、カラーバリエーションも豊富でスタイリッシュ。『FMV LIFEBOOK UH90』シリーズは正直なところ、筆者自身がかなり欲しくなっているほど魅力の多いモバイルPCなのだ。
PCゲームを体験するのに最適な機種とキャンペーン
じつは筆者の私物ノートPCもインテル Core i7-1165G7を搭載しているのだが、あくまでも外出時の仕事用として割り切った使いかたしかしてこなかった。これには「3DCGを使ったゲームを遊ぶなら、ノートにせよデスクトップにせよ、高性能なビデオカードが必須」という思い込みがあったことも大きく影響している。
しかし、今回の記事を執筆するにあたって改めてインテル Core i7に搭載されたIris Xeの威力を目の当たりにし、悔い改めた。自分はどれだけもったいない使いかたをしてきたのだろう。
Iris Xeは第10世代のGPUと比較して約2倍の処理能力を誇る。逆に言えば、第11世代になってようやっとゲームが遊べるレベルの性能を獲得したとも言えるわけで、筆者が抱いていた思い込みも「半ば当然と言えるのでは?」というのは詭弁だろうか。
850g以下のモバイルPCでこれだけの3D大作ゲームが遊べる時代になった、と思うと非常に感慨深いものがある。Iris Xeの性能の高さもさることながら、同時に、これに対応した『モンハンライズ』もまた評価すべきなのかもしれない。
ちなみに、2022年2月18日から、富士通FMVの対象モデルを購入するとSteam版『モンハンライズ』デラックスエディションのダウンロードコードがプレゼントされるキャンペーンが実施中だ。もちろん『FMV LIFEBOOK UH90/F3』も対象に含まれている。
PCでゲームをやってみたいけれど、いきなりゲームに特化した高価なゲーミングPCを買うのは気が引ける。あるいは、せっかくノートPCを買うなら家の外にも持ち出して使いたい。
そういった思いを抱いているなら、この『FMV LIFEBOOK UH90/F3』はかなりいい選択と言えそうだ。Steamでは7041円[税込](通常版は5990円[税込])という価格が設定されている『モンスターハンターライズ デラックスエディション』のダウンロードコードがもらえるキャンペーン期間はとくに狙い目だろう。