コーエーテクモゲームスより、DMM GAMESとSteamにて配信中のバカンス&コミュニケーションゲーム『デッド オア アライブ エクストリーム ヴィーナス バケーション』(以下、『DOAXVV』)。

 本作は南国の楽園・ヴィーナス諸島が舞台。プレイヤーであるオーナーが、対戦格闘ゲーム『デッド オア アライブ』(以下、『DOA』)シリーズの女の子や、本作オリジナルキャラクターたちとバカンスを楽しむゲームです。

 2022年11月より“トゥルーカラーアップデート”という新コンテンツが登場。これは、既存の女の子の魅力をさらに引き出すために用意されたもので、特別な水着のほか、新ボイスで描かれる追加エピソードなどが楽しめます

 そして3月29日より、『DOA』シリーズ屈指の人気キャラクターであるマリー・ローズのトゥルーカラーコーデが配信されます。デザインを担当したのは、『DOA』シリーズでマリーのキャラクターデザインをされたフリーイラストレーター・fubuki氏!

 本記事では『DOAXVV』のプロデューサーを務める作田泰紀氏と、fubuki氏にインタビュー。マリーのトゥルーカラーコーデのコンセプトについてなどを、たっぷりとお聞きしました。

作田泰紀 氏(さくだやすのり)

『DOAXVV』プロデューサー。2021年6月までは本作のディレクターを務めた。『DOA3』の開発からキャリアを始め、約20年にわたって『DOA』シリーズに携わる。(文中は作田)

fubuki 氏(ふぶき)

元コーエーテクモゲームス所属。現在はフリーランスのイラストレーターとして活動し、『シェルノサージュ DX』、『アルノサージュ DX』のパッケージイラストなども手掛けている。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
マリー・ローズ専用の新水着“トゥインクル・ローズ”
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

『DOAXVV』の近況について

――これまでも語られていた部分ではあると思いますが、2022年11月よりトゥルーカラーコーデが実装されました。登場させた理由をお聞かせください。

作田これまで女の子専用のデザインの水着というのは、初期の女の子では最初の1着、運営していく中で新たに登場した女の子たちはそのときの1着目、そしてそのあとの2着目か3着目の水着まででした。

 また、誕生日水着も一応女の子専用でカラーは違いますが、誕生月(ステラコーデは星座)が同じ女の子の水着は同じデザインでした。“女の子のためにデザインする”というよりは、あくまで“誕生月(星座)にあわせたデザイン”となっています。

 そのため「女の子限定の新しい水着が欲しい」というオーナーさん(※プレイヤーの総称)たちの声をこれまでいただいていました。そして、それと同時に「もっと女の子と仲よくなりたい」という声もありまして。女の子エピソードをすべて解放すれば、ゲーム的にはその女の子は攻略完了といっていい状況でした。新しいエピソードといっても、女の子ではなく水着がメインのイベントなどでしか楽しめませんでしたし。

 そういったふたつの要望に応えるために送り出したのが、“トゥルーカラーアップデート”になっています。

――最初にみさきのトゥルーカラーアップデートが登場しましたが、オーナーさんたちの反応はどうでしたか?

作田最初にみさきを選んだ理由としては、『DOAXVV』の顔であるということが大きいです。これまで以上にみさきがコチラにグイッと来てくれるようなエピソードに意図的にしたところ、「いままでのみさきよりドキドキする!」という声が多くて、狙い通りでうれしかったですね。

 また、ほかの女の子をとくに推しているオーナーさんでも、「みさきにはトゥルーカラーコーデが似合う!」と、新たな魅力のひとつとしてしっかり受け止められているのだなと実感しています。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
みさきのトゥルーカラーコーデ“ブリリアント・スター”

――ほぼ同時期に、新成長要素の“ヴィーナスボード”が実装されました。トゥルーカラーエピソードの解放もヴィーナスボードを使いますよね。いろいろな目的で使用できることに驚きました。

作田そういった狙いで、多数の要素を入れ込んでいます。ステータス成長要素もそうですし、それよりも水着を手に入れたい、新しいリアクションを実装してほしいなど、いろいろいただいたこれまでの意見を汲み取って、ヴィーナスボードにいくつかまとめました。

 これまで入手しにくかった初期のころの水着なども復刻したこともあり、概ね楽しんでいただけていると思っていますが、賛否があることも把握しています。

――賛の部分で考えると、たとえば“ヴィーナスコイン”が入手しやすくて、アイテム“時間停止ウォッチ”が手に入れやすくなるのがいいですよね。

作田ヴィーナスコインは女の子のSR水着を下取りに出すか、特定のイベント報酬でゲットできましたが、女の子が実装されたタイミングなどではなかなか入手が難しかったですよね。ヴィーナスボードに取り入れたことで、時間停止ウォッチが手に入れやすくなったのは、オーナーさんたちも喜んでいただけました。

――否の部分だと、ボードのマス1個1個の解放がたいへん×女の子人数ぶんなので、解放するにも膨大な時間が掛かります。個人的には、一括解放機能があるといいなぁと……。

作田そうですね。検討させていただきます。

――お願いします!! また、1月には音声操作機能のプロト版が期間限定公開されました。アンケートも募集していたと思いますが、どんな反応が返ってきましたか?

作田評価については、想定通りの意見をいただきました。“プロト版”と称していることからも、まだまだ機能が足りないことはわかっていて。これは「どういった方向性が望まれるのか」をオーナーさんに早めにアンケートでうかがったほうがいいと思い、コアとなる機能が入ったプロト版の時点で期間限定配信とさせていただきました。そもそも「こんな機能付けるなら、もっと新しい水着とか作ってよ」といった厳しいご意見もあるとは思っていましたし、実際いただいています。

 ちなみに、音声操作機能は、3周年の際にお伝えしたMR(Mixed Reality)コンテンツの技術研究が発端です。MR機能のほかにHololens2では音声操作にも対応していて。そこで研究を進める中で「音声操作で新しい体験ができるな」と可能性を感じました。

――発表された際、僕は取材で体験させていただいたので「MRコンテンツの音声操作テストなのかな?」と思っていました。

作田そうではなく、MRはあくまで研究開発でしたが、その際に感じた音声操作による新鮮な感覚だけでも皆さんに体験していただきたくて、実装を想定して試作を始めました。Hololens2はデバイス的に現実的ではありませんでしたが、PPC用マイクであれば、持っている人も増えてきているのではないかと思いまして。昨今はリモートワークも盛んですからね。

 あくまで音声操作という名の操作インターフェースが下地ではありますが、そこをベース何か新しい形に広げられないだろうか? と、企画しました。すべて完成してから「これはどうですか?」とお披露目するのもいいのですが、新しい体験ゆえにどう望まれるかわからないところも多かったので、オーナーの皆さんの声を、まずは聞いてみました。

 結果として、やはり「女の子とのコミュニケーションをもっととりたい」といった意見が多く、そこをどうすれば実現できるのか、検討しているのが現状の段階です。もちろん最初にお伝えした通り否定的なご意見もありますので、熟慮の結果として中止の可能性もありえます。これはあくまで個人的な考えですが、長く遊び続けていただくためには新しい体験の提供は重要だと思っていますので、引き続き慎重に考えたいと思っています。

――わかりました。また、3月には新女神“ゆきの”が登場しました。これまでとはまた別の魅力にあふれた女の子で、オーナーの皆さんも喜んでいるなと個人的には感じています。

作田やっぱり皆さん、ギャルがお好きなんですね! と思いました(笑)。じつはチーム内で不安なスタッフには、「みんなギャルが好きだから大丈夫だよ!」とよく言っていたんですよ。ただ、“ギャル”という属性にはかわいらしさ、明るいイメージなどがあるのですが、一種の“怖さ”みたいなものも含まれている可能性があるじゃないですか。そこを感じさせないよう、すごく慎重に制作を進めていました。

 結果的に楽しんでいただけていると思いますし、受け入れてくれているオーナーさんが多いので、結果的には“オーナーにやさしいギャル女神”というコンセプトは成功したのかなと、ひと安心しています。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
2月に登場した新女神・ゆきの

――個人的に驚いたのは、“好きなことが好き”という設定です。キャラクターの魅力というのはビジュアルや、いわゆる“属性”的なもので性格付けするところだと思います。ですがこの設定って、人としての考えかたのひとつじゃないですか。こういった形で、女の子の魅力が描けるんだなと。

作田まずギャル系の女の子を作りたいと言い出したのは、チームの若いスタッフでした。いろいろと設定を考えて話し合いをしていく中で、そのスタッフが「きっと彼女は、“好き”があふれているこの状況が好きなんです」と言いまして。なるほどたしかに、と“好きが好き”を、設定にもセリフにも取り入れました。ある意味、『DOAXVV』らしい女の子になったのかなと思います。

――ちなみに、国際版(海外版)では、対戦コンテンツの“ヴィーナスアリーナ”が恒常コンテンツになりましたよね。日本版では「実装するつもりはいまのところない」とのお話でしたが、やはりプレイヤー層の求めるものはかなり異なるのでしょうか?

作田国際版の運営スタッフたちが企画立案したものなのですが、聞いてみるとやはり「自分の女の子をいちばんにしたい」、「育てた女の子の強さをよりアピールしたい」という声は多いそうです。だったら、その場を設けなくてはいけないよねと、用意することにしました。

 ただ、恒常のコンテンツになりますから、同時にやることが増えてしまいます。日本のオーナーの皆さんのプレイスタイルの多くは、やることがあまり増えてほしくないと思いますし、「もっと競い合いたい」という声も大きくはないと感じているので、日本版での実装は現在も考えていません。やはり、文化の違いはあるのかなと思います。

――実際に国際版ユーザーからの反響はいかがですか?

作田そこは狙い通りに、楽しんでいただいているようです。ただやはり、ネガティブな要素だと感じられた方も少なからずいるようです。国際版はその名の通り世界幅広く展開しているので、全員が全員競い合いたいと思っているわけではないんだなとも感じました。そこは今後も慎重に、国際版の運営と話し合いをしながら進めていきたいです。

――個人的な肌感ではありますが、たしかに日本版には実装されなさそうですね。そもそもランキングイベント系が、正直嫌われているようにも思っていますし。

作田それは、感じています。よほど皆さんが強く望まれるならば、実装するかもしれませんが。

――すごく難しいところだと予想しますが、それでもランキングイベントを実施するのは、イベントとしてのアクセントや、いろいろな部分を考慮してのことですか?

作田本当に難しい部分です。現在のイベントサイクルの構造上、ランキングイベントをやらないとSSRアクセサリチケットvol.3を配布する場がなくなってしまいます。そうなると新規のオーナーさんの入手機会も減ってしまう。

 かといって別の形でSSRアクセサリチケットを簡単に入手できるようにすると、「これまでランキングイベントがんばってきたのに!」という気持ちになるオーナーさんも当然少なからずいらっしゃると思います。

 『DOAXVV』の運営では、がんばってきたこと、課金して入手した要素など、オーナーさんやってきたことが無駄になるようなことはできる限りしないようにしています。そういった考えかたから、現状のイベントサイクルでいかせていただいております。こちらに関しては引き続き慎重に判断していきたいと思います。

――5周年のタイミングでは「より女の子との絆がより深まる1年に」というお話でしたが、トゥルーカラーアップデート含めて着実に進んでいっているのでしょうか。

作田もっと新しいバカンスをお届けしたいと用意していたものが、ひとつひとつつながり始めているのかなと思います。あとは我々が、スケジュール通り開発を進めていければいいのですが、現状すでにキツキツなのが正直なところです(苦笑)。とはいえオーナーの皆さんをお待たせするわけにもいきませんから、がんばります!

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

マリーのトゥルーカラーコーデの発端

――それでは今回の本題です。今回、マリー・ローズのトゥルーカラーコーデが実装されます。みさきのつぎに、マリーを選んだ理由はありますか?

作田じつはマリーのトゥルーカラーコーデというのは、みさきよりも先に動いていた企画になります。マリーのトゥルーカラーコーデは、トゥルーカラーアップデートというフォーマットが決まる前から進んでいた企画なんですよ。

――えっ、どういうことですか!?

作田じつはもともと、「マリーについて、新しいことにチャレンジしたい」という気持ちがありました。4周年の公式生放送で、マリーの声を担当されている相沢舞さんが「マリーには、『DOA』シリーズと『DOAXVV』で別の魅力がありますよね」というお話をされていて。オーナーの皆さんもそう思っているでしょうし、僕自身も魅力に違いがあることは感じていました。

 ですが、その空気感はあまりよくないなと、個人的には感じていました。“マリー・ローズ”を好きな人は、どんなマリーでも好きでありたいはずです。また、『DOAXVV』だけを遊んでいる人にとっては、『DOA』シリーズで描かれている“マリー・ローズ”の魅力を知らないままになってしまいます。

 そこから、決して対戦格闘をさせたいわけではなく、『DOA』シリーズで描いているマリーの魅力を『DOAXVV』でもお届けしたい! というのが企画のスタートなのです。

――ですが、トゥルーカラーコーデということは決まっていなかったんですよね。

作田はい。『DOA』シリーズの魅力を詰め込むのならば、やはり専用の水着が必要です。そして、新たなボイスやモーションなども、しっかり作っていく必要があると考えました。では、それぞれどういったものを用意するのがいいのかを考えることから始めました。

 ちなみに、女の子たちには詳細の設定や要素があり、それを「今回のイベントエピソードではここを描こう」などと細かくお出ししているのですが、それでもフィーチャーできなかった要素は少なからず存在します。また、実際に運営していく中で、「この女の子はココがいいよね」と部分に気づいていくことはありました。ただこう言った要素は実際にはフルボイスのエピソードでは描けていない、という部分もあります。

 そういった“魅力に気づいてほしい”想いの部分と、オーナーの皆さんからの要望でよく言われていた「より女の子たちと仲よくなりたい」というエピソードの深堀り部分。このふたつが合体することで、トゥルーカラーアップデートという形になったのです。

――真の意味での、トゥルーカラーアップデートの開発経緯が、マリー発端だったと。

作田ただ、「トゥルーカラーアップデートはこういったコンテンツですよ」と知っていただく、体験してもらうのも、やはり『DOAXVV』の顔であるみさきが最適だろうと、みさきを先に披露しました。

――では、マリーのトゥルーカラーコーデについて詳しくお聞きしていきます。今回の水着は『DOA』シリーズで描いていた魅力をお届けしたい、というところで、マリーの持っているキュートな部分は健在ですよね。押し出しているのは、やはりキャッチコピーにあるような“小悪魔サーバント”の“小悪魔”的な部分でしょうか?

作田『DOAXVV』でも小悪魔的なところは描いているのですが、キュートな部分をフィーチャーしていて、幼なさのほうが強めの描きかたをしています。『DOA』シリーズではそれがありつつも、もっとミスリアスでクールな部分での“小悪魔”な魅力があると思います。今回はそこをぜひ感じてほしいです。

――マリーの代表的なセリフに「血の薔薇、咲かせてあげる♪」がありますが、まさにそういった魅力ですよね。ちなみに『DOA』シリーズでは問題ないんですが、『DOAXVV』だとビーチバレーで言うので個人的には笑ってました(笑)。

作田ミステリアスな要素が垣間見えるところ、ですかね(笑)。マリーが初登場したのは『DOA5 アルティメット アーケード』でした。当時、発表された後のマリー・ローズが作り出したムーブメントはものすごかったです。

――登場したとたん、マリーという存在がものすごく人気になりましたよね。

作田それだけの大きな魅力を持っているマリーを、『DOAXVV』でどれだけお届けできているのか考えると、マリーにはもっともっと可能性があるんじゃないかと思いました。その想いが今回の、マリーのトゥルーカラーアップデートにつながりました。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

マリーのキャラクターデザインを担当したfubuki氏

――その魅力を届けるために、当時マリーのキャラクターデザインを担当されたfubukiさんのお力を借りよう、となったんですね。

作田fubukiさんにご協力いただくことが、オーナーの皆さんがいちばん楽しんでもらえるだろうと判断しました。引き受けてくださって、ありがとうございました。

――fubukiさんはご依頼されたとき、どう思われましたか?

fubuki素直にうれしかったのと、同時にとても驚きました。フリーランスになってから、まさか『DOA』シリーズの仕事に関われるとは思っていなくて。私は元メンバーですが、チームを離れた時点で、今後仕事として『DOA』シリーズに関わることはないと覚悟していたんです。

 外側からいちファンの立場として、応援する立場でいようと思っていたところ、また『DOA』シリーズと、そしてマリー・ローズに関われることをうれしく思います。そして、数多くいるイラストレーターの中から私をフィーチャーしていただけたのも、恐縮ですがうれしかったです。

――今回のトゥルーカラーコーデにつながる話だと思うので、お聞きします。根本となるマリー・ローズ自体のキャラクターデザインは、どのようにして決めていったのでしょうか?

作田『DOA5 アルティメット アーケード』は日本のアーケードのみで展開される作品なこともあり、「まずは日本のプレイヤーに喜ばれる女性キャラクターを作ろう」というコンセプトを掲げました。そのコンセプトのもと複数人で集まって新キャラクターの企画立案を進めていました。その中のひとりとしてfubukiさんも参加されており、キャラクターデザインを担当されていました。

fubuki当時の『DOA』シリーズのキャラクターは全世界で発売されている対戦格闘ゲームですし、大人びていて、スタイルもよくて身長も高いようなキャラクターがほとんどでした。

 一方で、日本のアニメ作品の女の子は、もう少し若いキャラクターのほうが多く、そういった女の子たちに人気が集まっている印象でした。そこから、幼い外見のキャラクターに挑戦してみようと、デザインが始まりました。

――そこから、どのようにマリー・ローズの形に?

fubukiチーム内でデザイン公募などを進めていく中で、“ゴスロリ”のアイデアが多く募られたので、そこから“ゴスロリ系の幼い見た目の女の子”という要素を決めました。そしてゴスロリなら金髪ツインテールがいいのではと、ある意味王道的なところで属性を決めていきました。『DOA』シリーズにはすでにエレナなど、金髪のキャラクターは存在するのですが、幼い外見で金髪のキャラクターはいませんでした。

 ですので、“狙っているユーザー層”と、“『DOA』にはないもの”を考えたときに、自然とマリー・ローズの要素が固まっていったんです。誰かの趣味趣向でデザインしたのではなく、じつは理論的に構築されたキャラクターなんですよね。

作田そうですね。これまでのDOAのキャラクターにはなかった作りかただったと思います。

――『DOA』シリーズといえば、“やわらかエンジン”があるように、セクシーな体形のキャラクターが数多く登場する中、マリーのような控えめな体形になったのは、やはり幼い外見のキャラクターだからでしょうか?

fubuki最初から決まっていました。正直チーム内では「受け入れてもらえるかな? 大丈夫かな?」という不安の声もありましたね。ですが、キャラクターコンセプトやデザインが固まり、そして3Dモデルになった瞬間、あまりにもマリーがカワイすぎて「これは絶対イケる!」と、チーム全体も確信を持てました。こんなにカワイイのだから、絶対に受け入れてもらえると、披露するにあたっては不安の声はなかったです。

作田実際世界中で喜んでいただけてましたからね。

――マリーのコスチュームも、fubukiさんがデザインされたのでしょうか?

fubukiはい。初期に登場した、ゴスロリ衣装、バトルスーツ、学生服の3着は私がデザインを担当しました。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
マリーのゴスロリ衣装・コスチューム01(『DOA5 ラスト ラウンド』より)
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
マリーのバトルスーツ衣装・コスチューム02(『DOA5 ラスト ラウンド』より)
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
マリーの学生服衣装。こちらは『DOAXVV』では水着“パンククリムゾン”として取り入れられている。

デザインのコンセプト

――といった中で、今回のトゥルーカラーコーデ“トゥインクル・ローズ”は、マリーのゴスロリ衣装とバトルスーツを合体させたような水着に感じました。どのようにデザインしていったのでしょうか?

作田最初はマリーに着せたい水着というフリーテーマだったのですが、話し合いをする中で、fubukiさんにお伝えしたのが、先ほど言ったような“『DOA』シリーズの魅力を感じてもらえること”、“小悪魔やクールさの要素”でした。

fubuki私もマリーらしく、小悪魔っぽいデザインにしたいなと自分の中でもありました。最初はバトルスーツ系水着のものと、地雷系コーデみたいな水着の2軸で提案したんです。地雷系コーデのほうもスタッフさんたちに人気だったのですが、「マリーっぽいと言えば、やっぱりバトルスーツだよね」ということで、バトルスーツ系水着に舵を切りまして。

作田そこから「バトルスーツ系水着なら『DOA』のマリーらしさは出るのでとてもいいけど、『DOAXVV』のオーナーさんにも喜んでもらうために、セクシーさも残したい」といった感じの相談をしていましたね。

fubuki当初のバトルスーツ系水着は、もう少しフリフリしていたり、フワフワとした素材の多いような『DOAXVV』寄りのデザインでした。ですが対戦格闘ゲームに登場してもおかしくないデザインという話を聞いて、『DOA』シリーズを彷彿とさせるような衣装にしたくなってしまって。気持ちとしては、新たにイチから、『DOA』シリーズでの、マリーのデフォルトコスチュームを作るくらいの覚悟でした。

――バトルスーツ系に決まっていった中で、ゴスロリ衣装風の要素はどのように取り入れたのですか?

fubuki『DOAXVV』には水着“キムリック”としてバトルスーツ衣装がありますが、ゴスロリ衣装のほうは実装されていませんよね。だったらゴスロリの要素を取り入れたいと決めました。また、“キムリック”のシルエットは、マリー・ローズのアイコンとして広く認知されていると思います。

 そこで、“キムリック”のシルエットにマリーのゴスロリ衣装をミックスしたら、マリー・ローズらしい新衣装ができるんじゃないか。そう試行錯誤した結果が、“トゥインクル・ローズ”です。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
バトルスーツ風衣装をモチーフにした水着“キムリック”
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

――『DOAXVV』の水着には“着くずれ”状態があるのも特徴です。着くずれ状態のデザインはいかがでしたか?

fubuki最初は、着くずれというものに囚われすぎていて、完全に“水着破壊”バージョンのものを提案してしまいました(笑)。あまりにも着くずれしすぎていて、ちょっとやりすぎだという意見をいただいて、いまのシンプルな着くずれ状態に落ち着きました。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
デコルテの着脱(画像は外したもの)

――それはそれで……見たいですが(笑)。あと、デコルテパーツの脱着機能がありつつも、カラーバリエーションもあります。これはみさきのトゥルーカラーコーデのほうが、衣装のカスタマイズ性があったりするからですか?

作田それもあります。それと、マリーの原点の魅力を味わってほしいというところから、『DOA』シリーズにもカラーバリエーションがありましたし、カラー変更も重要だろうと考えて開発側から提案させていただきました。

――水着の一部を引っ張れる“おつまみ”機能まで搭載されていますが、これはなぜ……?

fubukiじつは私のほうから「どうしてもココを引っ張りたい」とお願いをしまして。お願いしてみたら、実装していただけました(笑)。デザインしているときに、どうしてもどうしても「ここをつまんでみたいなぁ……。そういえばこのゲーム、おつまみってあるなぁ……」と思ってダメ元でお願いしてみたところ、スタッフさんたちが私の欲望を叶えてしまったという(笑)。

作田fubukiさんからご要望いただいたらやらないとダメだよね、と即時具体的な仕様提案を準備しました(笑)。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
カラーバリエーション・黒
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
カラーバリエーション・赤
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
カラーバリエーション・白

――また、詳しくは語れないと思いますが、トゥルーカラーエピソードはどのように考えていったのでしょうか?

作田これまでの『DOAXVV』に登場したマリーと、トゥルーカラーアップデートで追加するマリー。そのどちらも同じマリーだと感じていただかないといけないですし、そのためにトゥルーカラーエピソードでしっかりと描かないといけないと考えていました。それと同時にfubukiさん描きおろしのイラストが元となっているシーンをエピソードの山場に来るように構築したい。じつは製作の過程で、私からfubukiさんと相談させていただいたことがあって。「マリーってどんな風に告白すると思いますか?」という点でした。

fubuki私のほうで提案させていただいたのは、“恋愛勝利宣言”という要素です。マリーはオーナーさんが好きというよりも「私のこと当然好きですよね?」くらいの感覚だと個人的に思っていて。それをお伝えしたら、なんだかその通りのエピソードに仕上げていただけました(笑)。

作田ご提案いただいたものを私もイメージできましたので。

――今回、エピソードに合わせてマリーのオーナールーム家具も登場するんですよね。

作田はい。物語の中では、“トゥインクル・ローズ”はエレナが特別に仕立てた水着という設定になっています。マリーがオーナーに近づいていくためには、誰かが背中を押してあげなくてはいけなくて。だったらエレナがいいと判断したのです。やはり仕えているエレナが特別に仕立てた水着ですから、マリーにとっては本当に特別なものだと思います。

 そんな水着を着る機会ってどこなんだろうと考えたときに、エレナさえも入ったことがないマリーの部屋へ、オーナーを招待するという特別なシチュエーションを考えました。そのために今回のアップデートのひとつとして、オーナールームの家具としてマリーの部屋も用意しました。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”
マリーの部屋は、システム的にはオーナールーム家具として用意されている。
『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

――fubukiさんは、キャラクターデザインで言えば『DOA』シリーズからの、ほのか、女天狗。『DOAXVV』シリーズではカンナをデザインされています。今後のトゥルーカラーコーデはfubukiさんがデザインされるのかな? と、個人的ないちファンとして期待してしまいます。というか、そうしてください。

fubuki質問ではなくお願いになってる(笑)。

作田(笑)。今回マリーのトゥルーカラーコーデをお披露目して、オーナーの皆さんの反応しだいではありますが、もちろん検討させていただきます。そもそも、トゥルーカラーコーデがどの順番で追加していくのかは、明確な順番までは決めていません。とはいえ、登場が新しい女の子については後にはなります。

 その中で、この形であれば、きっとオーナーの皆さんが喜んでもらえると思えるモノが描けた女の子からお届けしたいです。その際に「やはりこの女の子のトゥルーカラーコーデはfubukiさんにやっていただいたほうがいいだろう」というものがイメージできたときには、ぜひお声がけさせていただきたいです。

fubukiお待ちしております! 

作田今回のマリーでの皆さんの反響もとても重要ですので、ご希望されるオーナーの皆さんもぜひSNSなどで投稿して広めていただけるとありがたいです。

――今後fubukiさんが、『DOAXVV』においてやってみたいことや、やってほしいことはありますか?

fubukiデザインの面では、先ほどのお話に関わらず、今後も何かしらの形で関われるとうれしいですね。何でもいいのであれば、私のイラストをもとにしたフィギュア化をしてほしいです(笑)。昔、マリーなどのフィギュアを監修したこともあるんです。そのときに思ったのは、もとが3Dモデルの女の子を忠実にフィギュア化するのって、造形や構造の面ですごく難しいんですよ。結果としては、原型師さんが超絶技巧ですばらしいフィギュアに仕上げてくださったのですが。ただ、イラストを元にすればそういった部分をスムーズに調整できますから、やりやすいはずです。そんな感じでフィギュア化できないかなぁ……って夢をひとつ(笑)。

作田そういった、ゲーム外で女の子の魅力を感じてもらえる施策は私たちもやりたいとは思っています。ただ、ファンの皆様からご要望を多数いただけているかどうかが基準となります。こちらに関してもアンケートやSNSなどでお声をいただければありがたいです。また当然ながらゲームが盛り上がっていることも重要ですので、今後ともぜひ応援のほど、よろしくお願いいたします。

『DOAXVV』インタビュー。マリー・ローズ用の新コンテンツと水着が登場。キャラクターデザイン担当fubuki氏と製作した新たなときめきと、原点となった“小悪魔性”

マリーをもっと、好きになる

――fubukiさんはチーム制作で開発に関わっていたと思います。フリーランスという立場から開発に関わってみて、いかがでしたか?

fubuki在籍時はチーム全体でデザインを作り上げる、という作りかたです。私の描いたものもほかのスタッフからのディレクションがあったり、会議でデザインが決まったりします。今回は、いちイラストレーターとしてデザインをお願いされるという立場です。そのため、私のほうからアイデアを提案する比重がとても大きいのが、いちばん違うところでした。

 もちろん、スタッフさんと意見交換しながら作業を進めているのですが、“みんなで作り上げる”のではなく、“私のクリエイティビティーを尊重して作り上げる”スタンスに変わったという感じでしょうか。

――古巣だからこその、やりやすさ、やりにくさみたいなものはありましたか?

fubukiやりやすさしかなかったです。たとえもともとメンバーだったとしても、今回はキッチリと外部のイラストレーターとして認識して接してくださって、私のやりやすいように配慮していただいたと感じています。むしろこちらのほうが「これも入れたい」、「あれも入れたい」と要望を出してしまって(笑)。

作田我々から提案した部分はありますし、難しいところは相談させていただいたところはありますが、基本的にはマリーのトゥルーカラーコーデに関してはfubukiさんの「こうしたい」を実現することこそが、ファンに喜んでもらうためにはいちばんいいことだと思ったので、いろいろと実現させていただきました。

――イラストレーター・よむさんコラボの水着も、タイツのデニールの濃さ変更機能が、よむさんの要望だったりしましたよね。

作田外部の方にお願いするいちばんの理由は、我々では作れないものを産み出してくれるからなんです。その要望にチャレンジしてみることで、たとえば新しいアイデアが見つけられるかもしれませんし、それが新たな機能につながることもあるので、いろいろな広がりを持てます。個人的には、そういった要望はどんどん叶えるべきだと思っています。

――では、これまで定期的に新女神が追加されていた中、トゥルーカラーコーデの要素が入り、ふたつの新要素の追加ペースなどが、なんとなく見えてきたかと思います。今後は、こういったペースで配信されていくのでしょうか?

作田これまで新女神の追加にはとても時間を割いていたのですが、その一部分をトゥルーカラーコーデの制作に切り換えている部分もあります。新しい女の子を求めている声もあれば、より“推し”の魅力を感じたい人も同時に多いので、できる限りがんばりたいと思っていますが、満足できるものに仕上げるためにはしばらくお待たせすることになるかと思います。スタッフ一同全力で製作しておりますのでぜひご期待ください。

――では最後に、マリーの新コンテンツについて、読者の方々にアピールをお願いいたします。

作田マリーのトゥルーカラーコーデは、みさきよりも先に始まった、『DOAXVV』としての新しいチャレンジの第1歩でした。すべてのマリーファン、そしてマリーを知らない人にも楽しんでいただきたくて、今回fubukiさんにご協力いただきました。開発チーム一同、全力で作ってきましたので、きっとオーナーの皆さんに「このマリーも好き」と感じていただけるものになったと思います。ぜひ入手してみてください。

fubukiスタッフさんの努力もあり、すごくマリーらしい魅力にあふれた水着になったと思っています。きっと、マリーのことが好きだから『DOAXVV』を始めたというファンの方も、たくさんいると思います。ただ、最近登場した女の子たちは、さらにたくさんの魅力にあふれていますよね。ほかの女の子に推し変されたオーナーさんに「やっぱりマリーがいちばん!」となってもらえると嬉しいです。そして、すべてのオーナーさんが、マリー・ローズのことをもっと好きになるはずです。

KT Appでアフターインタビュー

 本記事はコーエーテクモゲームスの公式アプリ“KT App”との連動企画となっており、KT App内では今回のインタビューでのこぼれ話や、アフタートークが読めちゃいます! 気になる方はぜひダウンロードして、読んでみてください!

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