ファミ通.comの編集者&ライターがおすすめゲームを語る連載企画。今回紹介するゲームは、Meta Questで遊べるグラップルシューティング『Swarm』です。
【こういう人におすすめ】
- VRで手に汗握るガンアクションを体験したい
- ヒーローのように空中を自由に飛び回るゲームを求めていた
- 画面外に腕を伸ばして銃を撃つVRならではのアクションが好き
タワラのおすすめゲーム
『Swarm』
- プラットフォーム:Quest、Quest 2、Meta Quest Pro
- 発売日:2021年4月8日
- 発売元:Greensky Games
- 開発元:Greensky Games
- 価格:2490円[税込]
- 対象年齢:IARC 7歳以上対象
VRユーザーなら一度は遊んでほしい爽快ガンシューティング
プレイステーション VR2(PS VR2)が発売されてから、VRのクオリティはさらに上がったように思える。Meta Quest 2はPC不要、コードレスで遊べる手軽さが魅力だが、一方のプレイステーション VR2は値段こそ張るがグラフィックのクオリティや機能面が素晴らしい。
筆者もPS VR2のアイトラッキングの技術に感動したり、しばらくのあいだ機械獣との戦いに没頭していたわけだが、PS VR2とMeta Quest 2の両方を遊んでみて、それぞれの強みや魅力が明確に見えてきた気がする。表現力などはPS VR2が勝るように感じるが、Meta Quest 2のコードレスによる解放感も中々に捨てがたい。
どちらか片方だけでなく、ゲームによる使い分けが今後はできそうだなというのは正直な感想だ。そこで今回は、コードレスで遊べるからこその体験を与えてくれたガンシューティングゲーム『Swarm』を紹介していきたい。
『Swarm』はアーケードスタイルのFPSで、二丁拳銃とグラップリングフックを駆使して、空中を縦横無尽に動きながら敵を撃ち落としていくゲームだ。着地できる地面はなく、落下したらゲームオーバーというステージで、つねに落下する身体を制御しながら敵と戦うアクションスタイルが見どころ。
ポイントになるのはグラップリングフックの挙動で、ザックリと伝わりやすい説明をするならスパイダーマンになれる。宙に浮いた足場(パネル)にグラップルを刺してつぎつぎと飛び移っていくワイヤーアクションで、ハイスピードで空中を思うがままに動けるのだ。
操作はいずれも直感的に行え、グラップルを出すには照準を合わせてグリップボタンを押すだけ。命中すると刺さった場所に引き寄せられるように動き、ボタンを離すか一定時間が経過するとグラップルが解除される。
グラップルの射出スピード、引き寄せられる速度はかなり速く、慣れてくるとテンポよく足場を移動できるようになっていく。片手ずつ別々のパネルを掴み、素早く移動していくことで自分の移動速度を上げていくことも可能。
また、ワイヤーはゴムのような性質を持っており、逆方向に引っ張ると戻るときの力が強くなる。グラップルを刺す⇒腕を後ろにグイっと引くという動作をすることで、ハイスピードで移動し、より飛距離を伸ばせる仕組み。
この動作が中々に気持ちよく、両手で引っ張ったり、片方だけ強く引いて方向転換するなどテクニカルな挙動の制御も扱えるようになっていく。感覚を掴むまではたいへんだが、一度慣れると思うがままに空中を駆けまわる最高の全能感を味わえるのが魅力的だ。
これらのアクションを活用して、1ステージずつ攻略していくのが本作の遊びかた。ステージの内容はいくつかあるが、基本的には大量のドローンを相手に戦っていく銃撃戦がメインとなる。
一度ステージに入ったら、地面への着地=ゲームオーバーとなるため、落下しないようグラップルで宙を浮きながら、大量に発生する敵を処理していく。なお、難易度調整で落下してもゲームオーバーにならない仕様にすることも可能だ。
一見すると簡単なのだが、注意したいのがグラップルを出しながら銃は撃てないという点。敵を撃つときはどうしても落下しながらになるため、攻撃に夢中になっていると地面に落ちてしまう。もちろん片手でグラップル、片手で射撃という方法も取れるが、どうしても火力が下がるし、なにより両手で撃ったほうが気持ちいいので落下するギリギリまで射撃をしてしまいがちだ。
慣れてくると、空高くに飛んで上から狙い撃ちをしたり、速度をつけて落下を遅らせて射撃に集中など、工夫した立ち回りができるようになる。本作は調子に乗ってカッコイイプレイをするとより楽しくなり、テンションがピークに達すると画面外に腕を伸ばしてグラップルを刺したりと、高度なテクニックも難なく扱えるようになる。こういった技は、直感的な操作が可能なVRだからこそできる動きだなと感じる部分だ。
この時点でVRプレイヤーであれば察してもらえるかと思うが、本作は全方位に銃を撃って戦うゲームで、とにかく腕と身体をぐるぐる回す。時には調子に乗って上半身だけ反って後頭部の視点をチェックしたりもする、超アクティブに動くゲームなのだ。だからこそケーブルに阻害されず、何も気にせず動けるMeta Quest 2でのプレイは、より没入感を高めてくれる。
ちなみに、移動手段はグラップルがメインになるため、一度パネルへの狙いを外そうものならリカバリーはかなり難しい。落下間近で遠くのパネルを掴んでしまった場合、そのまま地面への直撃は免れないだろう。プレイしていると、射撃に夢中になりすぎて落下するというケースが何度も発生していた。操作こそ直感的、無意識に行える動作が多いが、ゲーム自体の難度はそこそこに高い。
登場する敵も先に進めるほど増えていき、一筋縄ではいかないボスなども登場する。たとえば序盤だとシールドを展開する敵が出現するのだが、グラップルアクションで対処すると爽快感がバツグンだ。シールドは前方にしか展開していないため、複数のパネルを転々として一気に後ろまで回り込み、二丁拳銃で撃てば難なく撃破が可能。アクション映画さながらのカッコイイ動きをみずからが再現できる高揚感が、ゲームをより盛り上げてくれる。
また、ある程度進めるといくつかのアクションも追加され、敵への対処が楽になっていく。ゲージが溜まると周辺をスローモーションにしたり、敵も含めて狙った場所にグラップルを刺して突撃するスキルを使用可能だ。
とくにグラップルでの突進は直線状に動けるため、落下間近でも緊急復帰ができたりと非常に便利。弱い敵なら突撃して一撃で倒せることもあり、攻略中は重宝した。
ある程度進めると登場するボス戦は、ここまで紹介してきた要素すべてを利用しないと勝てない強敵で、初見時は何度もリトライするほど難易度は高かった。ボスはドローンを呼び寄せるほか、大量のミサイルなども発射するため、ただ撃っているだけだとすぐにHPを削られゲームオーバーになってしまう。
相手の射撃をすべて回避するスピードでグラップル移動を続けてながら一体ずつ撃破、追尾ミサイルの迎撃、ボスの弱点破壊……と、処理すべきタスクがどんどん流れ込んでくるのだが、これをうまく対処できると全身が震えるような達成感を味わえる。
ボスによっては、触れるとダメージを受けるフィールドを各所に配置してくるため、これらをうまく避けながら移動していくグラップル技術の上手さを試されるのもおもしろい。実際にプレイしないとわからない感覚だが、グラップルはただ引っ張られるだけでなく、操作次第で向かう方向や高さ、スピードまで自在に操れるため、難易度が高いほど燃えてくるのだ。
ステージクリアー時には、かかった時間やミッション内容に応じたスコアが決定。オンライン上で、ランキングが表示される。極めれば極めるほど動きに磨きがかかるゲームなので、ランキング上位を目指して遊んでみるのも楽しそうだ。
グラップルを駆使したハイスピードかつ、全方位を縦横無尽に動く本作だが、意外なことにプレイしていて酔いを感じることはほとんどなかった。もちろん個人差はあるが、実際に遊んでいる最中は自在に動ける心地よさが勝っているため、違和感による酔いは発生しにくいはずだ。
本作はSteamでも近日登場となっているので、Questシリーズ以外のVR機器でも今後プレイ可能になると思われる。VRゲーマーなら体験して損はないゲームなので、興味を持った人はぜひとも遊んでみてほしい。
『SwarmVR』Steamサイト