「どろぼー」と呼ばれて大後悔

 1993年(平成5年)6月6日は、ゲームボーイ用ソフト『ゼルダの伝説 夢をみる島』が発売された日。本日で発売から30周年という大きな節目を迎えたことになる。

 『ゼルダの伝説 夢をみる島』は、任天堂から発売されたアクションアドベンチャーゲーム。現在も世界で圧倒的な支持を得ている『ゼルダの伝説』シリーズの4作目で、初めての携帯型ゲーム機向けタイトルでもある。

GB版『ゼルダの伝説 夢をみる島』が発売30周年。ヨッシーやカービィも登場する独特な世界が忘れられない、初の携帯ゲーム向けシリーズの名作【今日は何の日?】

 かなり初期の作品となるが、2019年にNintendo Switchでリメイク版が発売されたので遊んだことのあるプレイヤーは多いんじゃないだろうか。シリーズの中でもとくに異質な世界観なうえ、メタ的なネタが散りばめられていたり、コミカルな雰囲気を出しながらも物語は切なかったりして、とても印象深い作品に仕上がっている。

 ストーリーは『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』から続く後日譚、あるいは外伝的な位置付け。異国での修行を終えたリンクは、懐かしいハイラルの地へ戻る航海のさなかで大嵐に遭って遭難。気が付くとコホリント島に漂着し、マリンという少女に助けられていた。

 そこは神の眠る島で“かぜのさかな”が目覚めない限り、島の外へは出られないという。リンクは探索する中で出会った不思議なフクロウの導きに従い、島からの脱出を試みるが……といった導入でゲームはスタートする。

GB版『ゼルダの伝説 夢をみる島』が発売30周年。ヨッシーやカービィも登場する独特な世界が忘れられない、初の携帯ゲーム向けシリーズの名作【今日は何の日?】

 何より驚かされたのは、任天堂のほかの作品から登場するキャラクターたちの存在だろう。なんと本作には、『スーパーマリオ』などでおなじみのクリボー、ワンワン、テレサ、パックンフラワー、ヨッシー、『星のカービィ』のカービィ、『カエルの為に鐘は鳴る』のリチャード王子、『シムシティ』のドクターライトなど、どこかで見た誰かに“すごく似た雰囲気”のキャラクターが多数出てくるのだから驚かないほうが無理がある。

 『ゼルダの伝説』としてはちょっと異質なのだが、『夢をみる島』というタイトルや設定を考えればピッタリだし、ちょっとしたお祭り感覚で楽しんだプレイヤーが多かったんじゃないかな。

GB版『ゼルダの伝説 夢をみる島』が発売30周年。ヨッシーやカービィも登場する独特な世界が忘れられない、初の携帯ゲーム向けシリーズの名作【今日は何の日?】

 謎解きや冒険は、ゲームボーイになっても遜色なし。AとBのふたつのボタンに装備品やアイテムを任意に割り振って、『神々のトライフォース』ばりの操作を実現。切り替えは若干手間もあったが、爆弾と弓矢を組み合わせて爆弾矢を飛ばせるなど、特殊なアクションをくり出せるところが光っていた。

 “ロック鳥の羽”を使えばリンクがジャンプできたので、ダッシュジャンプやジャンプ回転斬りといった独自の技もくり出すことが可能。いままでのシリーズにはなかったアクション性にエキサイトしたんじゃないだろうか。

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 思い出深いエピソードとして“どろぼー”がある。『夢をみる島』では村の道具屋さんで代金を支払わずに外へ出ることができるのだが、そんな悪事を働くと途轍もない罰が下る。

 プレイヤーの名前が強制的に“どろぼー”となり、以降、村人からは自分で付けた名前ではなく、生まれたときからそうであったように自然な感じで「どろぼー」と呼ばれるようになってしまうのだ。

 いたたまれない気持ちになるのはもちろんだが、ストーリーの雰囲気もすべて台無し。店に戻れば店主から「しかたがない しんでもらう!」と即死攻撃を受けるという衝撃展開が待っている。軽い気持ちで泥棒してしまったプレイヤーは、さぞ後悔の念に駆られたに違いない。

 1998年12月12日には、ゲームボーイカラーに対応したパワーアップ版とも言える『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』が登場。こちらの作品は2023年2月9日からNintendo Switch Onlineで配信されているので、オリジナル版に近い『夢をみる島』で遊びたいプレイヤーにおすすめだ。

 2019年9月20日に発売されたリメイク版『ゼルダの伝説 夢をみる島』のほうはビジュアルが一新。まるでフィギュアを動かしているかのような質感は一見の価値ありなので、オリジナルにこだわりがないプレイヤーはこちらで遊ぶのがいいだろう。

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