突然ですが。

※この記事は『ホグワーツ・レガシー』の提供でお届けします。

 2023年5月5日(金)にプレイステーション4(PS4)版が発売されたこの機会にいま一度語らせてください。

 『ホグワーツ・レガシー』は『ハリー・ポッター』の世界をかなりのクオリティで再現したオープンワールド・アクションRPGです。多くの魅力を秘めた本作ですが、筆者はスリザリン関連ストーリーの業の深さに感服しました。

 どことなく『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』以降のダークでシリアスな原作の空気を感じさせます。このスリザリンイベントだけずっと様子がおかしいんですよね……。ストーリー中にどんどんおかしくなっていくスリザリン生のセバスチャンと、その親友オミニスの魅力をハリポタファンにお届けしたい、共感したい、という思いから筆を取りました(原作ファン大歓喜な芸細ポイントだったり、PS4版の挙動のインプレッションなどについてもお届けします)。

 ちなみに、プレイステーション5(PS5)版、Xbox Series X|S版、Steam版はすでに発売されており、Nintendo Switch版は11月14日に発売予定です。また、原作を知らなくても楽しめるポイントはたくさんあるので、オープンワールド系のゲーム好きの方にも刺さるタイトルでもあります。

※本稿の画像は一部のパートを除きSteam版でのデータを利用しています。

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スリザリン関連クエストの湿度がずっと120%

 本作では“友情クエスト”という、特定のキャラクターをメインに据えて交流をはかるクエストがあります。中でも、スリザリン関連の友情クエストは強烈に印象が残っています。

 スリザリンは例のあの人(ヴォルデモート)が所属していたこともあり、悪役サイドのイメージが強い寮です。しかし、多くのファンから愛されるドラコ・マルフォイ君の存在もあってか人気の寮でもあります。

 本作のスリザリンへの力の入れ込み具合はすごいです。まず、寮からしてほかの寮より広い気がします。やはり純血の家系が多く所属するともなると、寄付金なども多いのでしょうか(邪推)。

スリザリン寮の談話室。地下にあるのは知っていましたが、窓から湖を見渡せるとは。海外の高級リゾートホテルじゃん。

 マルフォイ役を演じていたトム・フェルトンさんが『ホグワーツ・レガシー』をプレイする動画も公開されており、このクエストを楽しんでいました。

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 スリザリンの友情クエストでメインとなるのが、セバスチャン。メインストーリーにも絡んでくるキャラクターで、なにかと主人公に世話を焼いてくれます。

セバスチャン・サロウ。スリザリンのイメージを破壊する仲間想いのナイスガイ。ナイスガイ過ぎて厄介なことに。

 セバスチャンには、体調が悪くホグワーツを休学している双子の妹・アンがいます。彼女のことをずっと気にかけており、救う方法を模索しています。友情クエストでは、アンのために主人公も協力することに。

セバスチャンの妹のアン。かわいい妹のためだったらなんでもやっちゃうよね、お兄ちゃん……。

 セバスチャンと、妹のアンには親友がいます。オミニス・ゴーントです。彼は、あのヴォルデモート卿のご先祖様にあたる少年です。

オミニス・ゴーント。彼も心優しい好青年。

 双子の兄妹であるセバスチャンとアン、そしてオミニスの3人はいつもいっしょに行動していましたが、アンは病気のために休学。そんなタイミングで編入してきたのが主人公でした。

 「どんな手を使ってでもアンを治す」と言うセバスチャンは、その宣言通り、どんどんまずい方向に進んでしまいます。オミニスはセバスチャンを止めようとしますが、彼は聞く耳持たず。親友だったはずのふたりのあいだには亀裂が。そこに割り込む主人公。そう、割り込むのです。

 たとえるなら、女の子グループ3人のうちふたりがケンカしてしまい、ひとりが仲裁役になってあっちの機嫌を取り、こっちの機嫌を取り……という状況。やってて胃が痛い

 セバスチャンとオミニス、ふたりのあいだにある友情は変わっていないはずなのに、主人公の登場によってこじれていっている気がします。主人公は、まるでふたりのふくろう便(伝書鳩)になったかのよう。主人公を介してでないと、会話をしなくなるんですよね。思わず「家庭内別居中の夫婦か!」とツッコミました。

 オミニスも最初は主人公を警戒して、「セバスチャンの親友は俺なんだからお前はすっこんでろ」くらいの勢いだったのに、なぜか八方美人な主人公に懐柔されてしまいます

 スリザリンで純血主義のゴーント家出身だけどまっとうな良心を持った好青年なのに……。ぜんぶランロクのせいだ。

※ランロクとは本作の悪役のゴブリンで、主人公はことあるごとに「こうなったのはランロクのせいだよ」と吐き捨てます。

 スリザリン関連クエストは重い。とにかくぜんぶ重い。開発側は絶対に力を入れて作っています。なぜならセバスチャンだけ専用のトレーラーがあるのですから。

 気になった方はぜひとも『ホグワーツ・レガシー』を購入して湿度120%のスリザリンストーリーを堪能してください。

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モブも教師もクセが強い!

 勢い余って初っ端からセバスチャンとオミニスの話ばかりしてしまいましたが、本作はメインキャラクター以外もしっかりキャラが立っていて会話が楽しいのも魅力のひとつ。

 ホグワーツ城内を歩いていると、モブ生徒が吠えメールでお母さんからバチバチに怒られているシーンに遭遇することも。ホグワーツ外でやたらと出くわす“野良闇の魔法使い”たちの人間臭いやりとりも楽しめます。名前のないモブキャラにも少し愛着が湧いてきますね。

 また、『ホグワーツ・レガシー』には数名の教師が登場しますが、誰も彼もが個性的。教師たちが、教師になる前の経歴や昔話を語ってくれる場面があるのですが、印象深いものばかりでした。ゲーム中の登場場面を切り取るだけではなく、きちんとそのキャラクターの人生の一部を見ているのだと思えるのです。

 たとえば闇の魔術に対する防衛術のへキャット先生は、教師になる以前は神秘部で働いていました。神秘部は『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』にも登場する部署ですが詳しい業務内容は語られません。

 へキャット先生も多くは語りませんでしたが、先生が元神秘部ってだけでもファンとしてはアガります。こうしたバックグラウンドがひとりひとりに設定されているのはうれしいですね。

へキャット先生。とても強くてかっこいい。筆者の推しです。

 ほかにも、教師陣どうしのやり取りもおもしろいです。本作は探索中、手紙やメモなどを拾うことがありますが、その中でも筆者の記憶に残っているものはこちら。

 呪文学のローネン先生が、魔法史のビンズ先生に宛てた手紙です。ビンズ先生の授業は恐ろしいほどつまらないことで有名で、そのため授業中は居眠りする生徒ばかり。

 ビンズ先生は、このことを手紙の中で「生徒が無気力すぎるからだ」と語っています。ビンズ先生は自分の授業がつまらないなどとは、露ほども思っていなさそうです(笑)。ローネン先生のそれとない助言も空しく、ゴーストであるビンズ先生はこのつまらない授業内容のまま100年は教鞭を執ることでしょう。原作ではビンズ先生の授業を熱心に聞いていたのはガリ勉のハーマイオニーだけでした。

 脇道ばかり紹介してしまいましたが、メインストーリーについても。ネタバレになるのであまり語りたくないですが、謎が多くて、さまざまな要素が結びついていき、クライマックスはしっかりアガります。要は最高です。サイドだけでなく本筋もしっかりと楽しめる作品となっています。

原作ファン大歓喜! 圧倒的に作り込まれたホグワーツ城の芸細ポイント

 『ホグワーツ・レガシー』は、原作『ハリー・ポッター』シリーズよりもおよそ100年前の1800年代が舞台となっています。そんな本作の中で、もっとも作り込まれているのがホグワーツ城です。外観はさることながら、映画では見ることのできなかった細かい部分まで緻密に再現されています。

 原作ファンとしてとくにうれしいポイントのひとつが、4つあるすべての寮を探検できることではないでしょうか。映画ではおもにハリーの所属するグリフィンドール寮が映っていましたが、スリザリン寮、レイブンクロー寮、ハッフルパフ寮は想像するしかありませんでしたから。

グリフィンドール寮
スリザリン寮
レイブンクロー寮
ハッフルパフ寮

 原作で描写された場所を自由に動いて回れるのが本作の醍醐味。ゲームで聖地巡礼です。あまりにも「芸細だ!」って感動するポイントが多かったのでハリポタファンがグッときた芸細設定50発なんて記事も書いてしまいました。

 そこから少しだけネタをご紹介します。

芸細ポイント1:屋敷しもべ妖精たちが働く厨房

 ヘルガ・ハッフルパフが作ったというホグワーツの厨房。隠し扉である絵の梨をくすぐるとドアが開く、という演出まで含め原作完全再現です。

 テーブルに並べた料理がそのまま大広間のテーブルへ転送される仕組みなので、これだけのスペースが必要なんですね。

芸細ポイント2:ゴーストが集まる絶命日パーティーの部屋

 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で、ハリーがほとんど首無しニックに絶命日パーティー(いわゆる命日)に誘われていましたが、本作ではそのパーティー会場に足を踏み込むことができます。

芸細ポイント3:隻眼の魔女の像

 ウィーズリー家のイタズラ大好きな双子・フレッドとジョージは、ホグワーツ内の隠し通路をほとんど網羅していました。隻眼の魔女の像は、ハリーがふたりから教えてもらった隠し通路のひとつ。ホグズミードのハニーデュークスにつながっていて、ゲーム内でも移動可能でした。

 ほかにも原作ファンが「これは!」と思うポイントがいくつもありますので、本作で聖地巡礼をしてみてください。

発売されたPS4版をプレイ。思った以上にヌルヌル

 ここからは5月5日に発売された『ホグワーツ・レガシー』のPS4版をプレイしたインプレッションを簡単にご紹介します。以降はPS4版のスクリーンショットです。

 Steam版をプレイしていた筆者ですが、PS4版の画質はキレイで違和感を覚えずにプレイできました。

 懸念点としては、ロード時間が少し長いくらいでしょうか。遠くの景色や草のテクスチャがガビガビ、なんてことはありませんでしたのでストレスなく遊べると思います。

ハリポタファンなら入学しよう

 もう一度言います。

 『ホグワーツ・レガシー』は、この記事でご紹介したPS4版を含めPS5版、Xbox版、Steam版とさまざまなハードで展開しておりますので、『ハリー・ポッター』ファンの方はぜひプレイしてみてください。

 そしてスリザリンの沼につかってください。主人公をスリザリンに入寮させるもよし、あえてほかの寮にして“なぜかスリザリンのふたりに挟まれている○○生”を演出するもよし。湿度高めのホグワーツスクールライフをお楽しみください。

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