大塚角満の熱血パズドラ部!アーケード版

ゲームのプレイ日記を書き続ける大塚角満の『パズル&ドラゴンズ』ブログ“大塚角満の熱血パズドラ部”の出張版。稼動開始となったアーケード版『パズドラ バトルトーナメント -ラズール王国とマドロミドラゴン-』をプレイ!

  1. ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com>
  2. 企画・連載>
  3. 大塚角満の熱血パズドラ部!アーケード版>
  4. 大塚角満の熱血パズドラ部!アーケード版【第5回】

大塚角満の熱血パズドラ部!アーケード版【第5回】

2014-06-30 12:45:00

01

前回は→コチラ

●認め合うふたり

 「『パズドラ バトルトーナメント』がゲームセンターに並んだら、昔を思い出して足げく通うようになるのかなぁ」

 漠然とそんなことを考えていたが、いま実際にそうなりつつある。と言っても、俺も家庭を持つ40過ぎのおっさんなので、「今日は仕事を6時に切り上げてゲーセンに行く!!」とか、「この土日はゲーセンに籠る!!」という、20代前半のころの熱きパッションのカタマリ時代とはちょっと違うことになっている。

 もっとも多いのは、酒を飲みに繁華街にくり出したとき、ふとした瞬間にゲームセンターの看板が目に飛び込んできたら、「あ、そうだ」ってんでトコトコと門をくぐるパターン。ちょっと心の鼓動が速くなり、ほんの少し早足になって、手はカバンの中のNESiCAを探している……。多少のお金と引き換えに自由に使える時間の多くを失ってしまったが、だからこそ“ふとした瞬間”の喜びが大きい気がする。そして「ゲーセンいこ!」と決めたときのトキメキは、貧乏だった学生時代に感じていたそれとなんら変わりはない。
 
 先日も、そうだった。

02

 その日は、パズドラシリーズの山本大介プロデューサーと、俺もよく知っている女性イラストレーターさんの3人でお酒を飲んでいた。ざっくばらんな会食で、話題のほとんどはゲームに終始していたと思う(あと、「健康診断どうでした?」とかいう体調のこと^^;)。俺と山本さんがゲーム好きなのは当たり前なのだが、そのイラストレーターさんは我々に輪をかけた“超ゲームマニア”で、「ネオジオの本体を持っていました!」、「ゲーセンのダンスゲームは、超ハードモードでもノーミスでクリアーできました!」などと言うではないか。俺と山本さんはそろって度肝を抜かれ、「か、完全にガチ勢ですね……」、「ちと、俺たちは足元にも及ばないかも……」と歯切れが悪くなる。しかし、イラストレーターさんは目をキラキラと輝かせて、「ひさしぶりに、ゲーセン行きたいなぁ……」と夢見るような目つきでつぶやいたあと、「あ、そうだ!!」と鋭く叫んでこんなことを言ったではないか。
 
 「ゲームセンターに行ったら、『パズバト』がありますよね!! この近所にも、あると思いますか?」
 
 俺は軽くうなずいた。
 
 「もちろん! 俺と山本さんがよく行くゲームセンターが、ここから歩いて30歩くらいのところにありますよー」
 
 イラストレーターさん、「わー♪」とかわいらしく合掌のポーズを作り、こぼれるような笑顔を作って俺たちふたりに提案してきた。
 
 「ゲームセンターに行きましょー! で、山本さんと大塚さんに『パズバト』の対戦をしてほしいな♪」
 
 俺はもともとそのイラストレーターさんの大ファンなので、異論があるわけがない。そこで間髪入れずに、
 
 「おっしゃ!! やりますか!!!」
 
 と吠えると、山本さんも呼応してきた。
 
 「いいでしょう……!! こてんぱんにしてやりますよ!!!」
 
 敵対心むき出しのふたり……。でも、バチバチと飛び散る火花とは裏腹に、「いやあ、ワクワクしますね^^」、「仲のいい人と連れ立っていくゲーセンって、じつに魅力的ですね^^」と、全員がニコニコ顔である。子どものころ、「ゲームセンターは、夢の国だ」と思っていたが、やっぱりそれは大人になったいまも変わらないことのようだ。
 
 3人でランララランとスキップをしながら繁華街のゲーセンに入ると、ありましたありました『パズバト』の筐体が! 大きな6台の筐体がズラリと並んでいて、なかなかの迫力である。俺と山本さんは財布からジャラジャラと100円玉を取り出し、隣り合ったふたつの筐体にちょこんと座った。座ると同時に、山本さんが言う。
 
 「店内対戦の、一発勝負といきましょうか!」
 
 握り拳を作りながら、俺が応じた。

03

 「望むところ!! まったく負ける気がしない!!!」
 
 そう言いつつ、そこそこ育っているパーティーの編集を始めようとすると、山本さんが急に声のトーンを落として懇願口調の声を出した。
 
 「あ……でも、対決は“ランダムチーム”にしましょうね^^; 大塚さんのチーム、あまり育っていないでしょうから^^;;;」
 
 俺はすべてを察し、山本さんに答える。「……なるほど。何が言いたいのかは、よくわかりました」。
 
 というわけで、費やした時間よりも実力差がモロに反映される(と思われる)、ランダムチームによる対戦が始まった。ランダムでどんなモンスターを引くかで勝敗の天秤は大きく傾くのだが、奇しくもふたりが引いたのは木属性メインのチーム。
 
 「うわwww そっくりな構成ですね!!ww 負けたら言い訳できないですよ、大塚さん!!www」
 
 笑う山本さんに、俺は噛みついた。
 
 「ふっふっふ!! 木属性がメインである以上、プラントアーミーズの使い手である俺に勝てるわけないでしょう!!www さあ、いきますよ!!」
 
 イラストレーターさんが「きゃー!」と黄色い声を出した。ここはエエかっこしなければ!!
 
 そんな1回戦、まずは俺が先勝した。山本さんのパーティーに木属性が多いと見るや速攻で控えの火属性モンスターを前線に出し、属性の相性のよさを利用して勝利したのである。これぞ戦略! これぞテクニック!!
 
 「大塚さん、うまくなってる!w これはヤバい!!」
 
 山本さん、顔面蒼白。(勝った!)と俺は思った。
 
 しかし、第2回戦。今度は山本さんが勝利を収めた。それも、ほとんど俺に何もやらせない“完勝”と言える内容で、“パズドラの作者”の意地をみせた形となった。
 
 「うっそ……。完敗じゃんいまの……。つ、強ええ……」
 
 今度は俺が呆然自失である。山本さんはこまめに狙いのモンスターを変え、火力を一点集中させて相手を叩きのめす戦法のようである。
 
 「これで1対1ですね!! つぎで決着ですよ!!」
 
 イラストレーターさんが、嬉しそうに叫んだ。よし、すべての因縁にケリをつけよう!!

04

 そんな、運命の3回戦は、削り削られの大デッドヒートになった。どちらかが回復のタイミングをミスったり、またはスキルの使いどころを間違えたりしたら一気に逆転されてしまうようなヒリヒリする展開で、終盤まで残り体力も同じくらいだった。
 
 デカいコンボを先に決めたほうが、勝者となる……!
 
 それほど突き詰められた熱戦を制したのは……!!
 
 「うおっしゃあああ!!! 勝ったあああ!!!!」
 
 なんと、勝ったのは俺だった。残りの体力は数ミリしかなく、まさにドロップから指を離すタイミングだけで勝負が決したようなギリギリの戦いであった。敗れた山本さんはしばし呆然としていたものの、激闘を物語る汗を滴らせながら俺に右手を差し出してきた。そして、言う。
 
 「いやあ、いい勝負でした。大塚さん、強くなりましたよ。すばらしいプレイでした!」
 
 山本さんの右手をがっちりと握りながら、俺も山本さんをほめたたえる。
 
 「山本さんこそ、さすがでしたよ。さすが、強かった! 今回は、たまたまです。また、やりましょうね!!」
 
 ライバルを認め合う、屈強なファイターふたり――。イラストレーターさんも、感動の面持ちで俺たちが握手する様を眺めていた。
 
 でも、そんな俺と山本さんは……。
 
 全国モードに出た瞬間にボコられて、泣きながらストーリーモードに逃げ込んでいるんだけどな!!!
 
 嗚呼……。山本さん以外の人にも勝ちたい……(苦笑)。


大塚角満Twitterアカウント→@otsuka_kadoman

大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズが2作品ある。現在、ファミ通.com上でブログ“大塚角満のゲームを読む”、“『ドラゴンズドグマ』で暮らす”、アメーバブログで“大塚角満のブログ”などを連載中

※『大塚角満の熱血パズドラ部(改訂版)』好評発売中!
Amazonでの予約はこちら

[関連記事]
大塚角満の熱血パズドラ部 ~本日も斜め移動日和~ バックナンバー

パズドラ バトルトーナメント -ラズール王国とマドロミドラゴン-
■メーカー スクウェア・エニックス
■対応機種 アーケード
■稼働日 2014年4月24日より稼働開始
■プレイ料金 1プレイ100円[税込]、コンティニュー100円[税込]
■ジャンル パズル・RPG/対戦・育成
■備考 プロデューサー:門井信樹、運営プロデューサー國澤 仁、メインキャラクターデザイン:野村哲也、ストーリー&世界観設定:井上堅二、田口仙年堂、日向悠二、音楽:伊藤賢治、田中公平、監修:ガンホー・オンライン・エンターテイメント



(C)GungHo Online Entertainment, Inc. / SQUARE ENIX CO., LTD.