中村彰憲のゲーム産業研究ノート グローバル編
立命館大学映像学部 中村彰憲教授による、その見識と取材などを元に、海外ゲーム情報を中心としたブログ連載!
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中村彰憲
立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。
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【ブログ】『アズールレーン』を成功に導くコミュニティマネジメントとは
2019-04-16 16:00:00
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Yostar代表取締役社長 李衡達氏(右)、同広報担当 運営M氏(左) |
2017年にリリースされ、その直後にブレイク。さらに2018年を通して多くの国内ファンから支持を受けた中国製アプリのひとつが、『アズールレーン』(以下、『アズレン』)だ。同作は2017年9月14日にローンチしたが、わずか2日で20万ダウンロードを達成した。その後、10月3日には100万、同月18日には200万とユーザー数は指数関数的に伸長し、2017年年末には売上ランキングでNo.1を達成。2018年も定期的に売り上げランキング50位以内を維持している。その成功の背景には、年間を通して展開されたソーシャルメディア及びオフラインによるプロモーション戦略があった。そこで、今回は、『アズレン』を日本国内で運営しているYostarの代表取締役社長である李衡達氏と広報担当 運営M氏に『アズレン』のコンテンツ展開のこれまでとこれからについてお話を伺った。
――2017年末にiOS売上ランキングでトップを獲得した後も、安定したランキング推移を推移出来たと伺いましたがその秘密は?
李:ユーザーに面白がっていただくことを大前提としていたからだと思います。弊社としては、課金そのものではなく、その前の段階を重視しています。イベントも、コメントをはじめとしたユーザーの反応で評価しました。
――2018年に新規に実装した機能でユーザーの皆さんに受け入れられたものは何でしたでしょうか?
李:「ケッコン機能」は2018年に実装したもので最も評価されましたね。また、計画艦も2018年の5月から実装しましたが、それもユーザーの皆さまに大変好評でした。
キャラクターに完全にマッチした声優のスケジュールがあるまで待つという配役へのこだわり
――本作には多くの声優が活躍していますがどのように配役が決定されるのか教えてもらえますか?
Yostar広報担当 運営M氏(以下、運営M):有名な声優さんでというより、このキャラクターだからこの声優でというキャラ選考を行っています。だからこの声優を入れられればキャラはどれでもいいというのはないですね。大切にしているキャラはこの声優でないとダメだね、というのがあるので、新キャラクターの実装時も「声無し」という場合もあるのです。
――声無し?
運営M:はい。「間に合わないからこの方でいいや」ということはしません。やはりそこがこだわりなので。
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戦艦ジャン・バール井上麻里奈さんの声が最高にマッチするキャラクターとしてしばらく「声無し」に |
――そのような実装はどの程度行われるのですか?
運営M:結構、多いですね。例えば戦艦ジャン・バールの場合、強さと見た目などから井上麻里奈さんしかいないということで、キャスティングできるまで「声無し」でした。昨年7月末に登場していたのですが、3ヵ月程、「声無し」だったのです。大切なキャラだからこそ間に合う声優さんではなく、こだわりをもって配役しています。ですので、ユーザーの皆さまには申し訳ないのですが、未だに声が実装されていないキャラクターもいます。某大規模掲示板などで、どのキャラクターが誰のボイスとあうか、話し合っていただいているようです。
――その他に『アズレン』を盛り上げるために行った活動は?
運営M:うーん、SNSなどを活用した施策だったり、変わったアプローチでの企画動画であったり。他には、キャラクターソングなども随時、制作していますね。
――その他の音楽展開に関する主要な動きはありますか?
運営M:キャラクターソングはあくまでのそのキャラの内面を表現したものだったので、2018年年末に、初期艦を担当する4人が歌う『アズールレーン主題歌 ~WISHNESS~』を公開しました。それぞれのキャラ性を活かしながら『アズレン』というタイトルにふさわしい曲になりました。中国で展開されているテーマ曲に負けないようなかっこいい曲になったと実感しています。
どのキャラを選んでもしっかりと遊びこめるゲーム性と拡大が進むメディアミックスが『アズレン』最大の魅力
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オフイベントも『アズレン』が提供する重要な付加価値のひとつ |
――『アズレン』がこのように長期的にユーザーに支持される背景には何があると思いますか?
李:キャラクターが魅力的なのもそうなのですが、勝敗がレアリティにそこまで左右されないデザインなっている点だと思います。もちろん、レアリティが高いキャラは強くはありますが、ある程度レベルや装備さえ整えていれば、勝てる仕組みになっています。また、キャラクター数が300体を超えるのですが、どのキャラクターにもファンがついていて、キャラが無駄にならない。つまり愛があれば、そのキャラを育てて使えるようになっているのが魅力なのだと思います。「可愛い」と感じた気持ちが無駄にならないゲームデザインになっていますね。
――なるほど! どのキャラクターも強くなる可能性があると。
李:あと、価値の均等性も魅力です。課金しないと進めないといったステージはありません。時間をかけて育成し、プレイすればクリアできます。またキャラクターセレクションにしても特定のキャラクターがいなければクリアできないといったステージもありません。ですので、しばらくお休みしていたユーザーさんでもまた、復帰して遊びやすい環境だと思います。
――他作品とのコラボの状況はいかがでしょう?
李:2018年は2月に『超次元ゲイムネプテューヌ』。6月に展開した『装甲騎兵ボトムズ』。12月には『うたわれるもの』とコラボしました。キャラクターの実装やガチャ、衣装、家具といったアイテムなどさまざまなコラボレーションを実施しました。
運営M:2018年の4月には『World of Warships』と相互コラボをしましたね。
――先方はガチの戦艦ゲームですよね。
李:我々ももちろんガチです! 萌えについては!
――そうですよね(笑)このコメントは入れないですけど。
李:入れてください!
運営M:まあ、生放送でけっこう言っているので、ユーザーの皆さまにはおなじみの意見ではあります(笑)
――ズバリ!これからの目玉は何になるでしょう?
李:天衝監督制作予定のアニメですね! 制作会社も同監督が率いるバイブリーアニメーションスタジオと決まっています。正確な放送時期はまだお伝えできませんが。
――では、今年はゲームに加え、アニメにも期待ですね! これからの活躍も見守っていきたいと思います。ありがとうございました!