すでに発売済みの『シムシティ DS』を買おうか迷っている人や、発売前の東大脳開発ソフトの『ドラゴン桜DS』、遊園地経営シミュレーションの『テーマパーク DS』に興味のあるひとも多いはず。これら3本は、エレクトロニック・アーツが今春発売する、ニンテンドーDSの豪華ラインナップだ。
前回のVol.1では、“みどころ大紹介!”と題して、各ソフトのポイントを記事風に紹介したが、2回目である今回はプレイ感の伝わるようなレビュー記事でお送りしよう。
『ドラゴン桜』とは、『モーニング』に連載の人気漫画。主人公は、元暴走族で三流弁護士でもある桜木健二。彼が破産管財人になった、落ちこぼればかりが集まる私立龍山高校を、学力面で立て直し、東大合格者を多数輩出するエリート校へと導く物語だ。
『ドラゴン桜DS』は、その原作をベースにした外伝的な設定。高校運営の資金に困った桜木は、先生達の給料も3ヵ月もの未払いの状態。しかし、すぐに入るお金の宛もない。そこで思いついたのが、龍山高校の先生たちの教えを、学びながら遊べるゲームソフトにしようという考え。そこで開発されたのが、『ドラゴン桜DS』なのだ。
ゲームは、最近ハヤりの学習系ソフト。他の学習系ゲームの場合、“脳年齢アップ”や“検定合格”に“某テレビ番組風”など、さまざまなものがあるが、『ドラゴン桜DS』の目指す学習目標はズバリ、“東大脳開発”だ! 東大脳とは“東大受験に必要な力をつけた頭”であり、『ドラゴン桜DS』は他の学習系ソフトに多く見られる“雑学を遊びながら学ぶ”ソフトとは違い、“実際のテストの成績が上がるようなソフト”を目指して製作されているのだ。
ゲームに登場する教科は、国語・算数・理科・社会の4つで、モードは、学校モードとWi-Fi通信、通信対戦の3つが、用意されている。問題は、国語、理科、社会で3500問以上(算数は問題の出題形式により組み合わせ多数)も収録されて、かなりのボリュームだ(各教科の問題内容に関しては、Vol.1を参照)。気になるのは問題のレベルだが、原作にも登場する矢島勇介や水野直美が小学生として登場することからも分かるように、小学校高学年程度を基準に製作されている。
大人からしてみたら「ちょっと簡単な問題なのでは?」と思うかもしれないが、じつはそんなことはない。原作を知っている人なら分かると思うが『ドラゴン桜DS』でも、100点を取らないと合格としてもらえない。つまり、100点以外は正解ではないのだ。また、各問題には時間制限があり、書き直しさえも許されないほどシビアなに設定されている。このシステムを桜木先生風に説明すれば、「基礎的なものは“考えればできるもの”、“考える前にできる”でなければ意味がない」と、いったところだろうか。『ドラゴン桜DS』とは、まさに学習ソフトの上をいく、完全な正解を目指す“東大脳開発ソフト”なのである!
また、遊んでみると分かるが、一度に出題される問題数が少ないのは繰り返し遊ぶのにも非常に適している。社会や理科では、暗記問題も多く、1日数回を毎日遊ぶことで、自然と覚えられるようになるのだ。実際、ほとんど知らなかった天体に関しても、理科の“天体”を繰り返し遊ぶことで、多少知識として、身に付いた。正否に関係なく問題には解説が表示されるので、間違ったことにも、ちゃんとフォローが行き届いているのも、覚えられた理由だ。
『ドラゴン桜DS』は、毎日コツコツを遊ぶソフトと思ったら大間違い。2種類の対戦用モードが用意されており、みんなでワイワイを楽しみながらプレイすることもできる。
Wi-Fi通信では、全国のプレイヤーと点数を競える“全国模試”を搭載。成績の結果は、全国、地域、科目などの項目で確認でき、登録している友達の成績もみられるのだ。学校モードで勉強してきた成果をネットでチャレンジすることができる。
また、通信対戦では、DSを持ちより4人まで同時に対戦することも可能。遊びの感覚で、東大脳に近づけるってわけだ。
また、本作は、基礎を学ぶだけのゲームではない。遊んでいて非常に印象的なのは、桜木先生たちの語る格言だ。ふとした心の隙間に入り込むようなメッセージ性の強い言葉を、ことあるごとに紹介してくれる。小学生レベル問題と思ってプレイしていると、この言葉の深さにきっと心を打たれるはずだ。
『ドラゴン桜DS』には、“東大脳開発ソフト”とキャッチフレーズが付いているが、プレイしてみると大げさな内容でもないのではと思う。“基礎学力は決して間違わない、すべて正解する”というゲーム性の部分と、“自分を変えたければ、前向きに生きろ!”というキャラクターのメッセージが組合わさった時、『ドラゴン桜DS』は、本当に“東大脳開発ソフト”になるのでなはないだろうかとさえ思えるのだ。
最後に、ゲーム中の桜木先生の格言をひと言!
「日本のルールは東大を出た奴が作っている だから…東大に入れ!」
『テーマパーク DS』とは、自分の好きなテーマパークを経営できる“遊園地経営シミュレーション”だ。このシリーズの歴史は古く、最初の『テーマパーク』が日本で発売されたのは、1995年のこと。初代の製作には、名作を数多く残しているゲームデザイナー“ピーター・モリニュー”氏が担当。そして、シリーズも数を重ね、約7年ぶりに新作として登場するのが、本作である『テーマパーク DS』なのだ。
では、『テーマパーク DS』の大きな特徴とはどこなのだろうか? 最初にあげられるのが、ニンテンドーDSの特徴とも言えるタッチペンを使った分かりやすい操作だ。『テーマパーク DS』では、園内の敷地に、道を引いたり、アトラクションやショップを設置したりとさまざまな操作を行うが、そのすべてをタッチペンで対応できる。この変更は非常に『テーマパーク』のゲーム性に合っており、より一層“自分のテーマパークを作る”といった雰囲気を醸し出している。ほかにも“すれちがい通信”やアドバイザーの採用など、ニンテンドーDSならではの追加要素も多数用意されているのだ。
つまり、『テーマパーク DS』とは、“往年の名作のおもしろさを活かしつつも、より遊びやすい改良を加えた名作”といえるのだ。では、そのゲームの遊び方を細かく紹介していこう。
まずプレイヤーは、パートナーとなるアドバイザーと、テーマパークを開園する国を選ぶことから始まる。
アドバイザーはプレイヤーにテーマパークの開園方法から細かい部分での経営手段を教えてくれる非常に頼もしい存在だ。
テーマパーク開園時にすることは、“道の整備”と“アトラクションの設置”だ。この両方とも、簡単だけど、奥が深い。道が複雑になると、お客さんを上手に導くことができなくなるが、逆に考えなしでシンプルに設置すると、今後の発展のときに大きな足かせにもなる。このような状況はアトラクションにも発生する。建設時の時状況だけを考えてアトラクションを配置すると、区画が雑然とした発展のしにくいテーマパークになりやすく、逆に区画を重視しすぎると、客の利便性が悪くなりテーマパークへの不満にもなりかねないのだ。
この、“答えのない、ほど良いバランス探し”がこのゲームの醍醐味でもあるのだ。
ほかにもこのバランスで悩むところでは、“パークの入園料”や“アトラクションの過激さ”、“飲食物の味つけ”など、非常に細かい内容までプレイヤーの経営判断として設定することができるのだ。
道ができ、アトラクションが運行しはじめ、テーマパークが軌道にのると、その規模はだんだんと大きくなっていく。そこで問題になるのが、人の流れだ。入り口から遠いアトラクションほど人が行きにくく、また、あとから設置する施設が多くなるためテーマパークの奥に行くほど、目玉となるようなアトラクションも多くなる。この人の流れを誘導するように作るのもテーマパーク作りのおもしろさだ。
では、誘導方法のひとつの作例を紹介しよう。まず、お客さんの目のつきやすいところにアトラクションの入口を設置し、アトラクションの利用を誘導する。そして利用後の出口は、比較的足の運びにくい裏手通路にさせ、出口前にはニーズの多いショップを設置する。このアトラクションからショップへの誘導により自然な形でモノが売れる流れへと誘導することができるのだ。
また、アトラクションやショップ、施設には、相性もありその関係性も設定されているため、配置の塩梅は非常に難しい。分かりやすい例でいえば、食べ物屋の隣にトイレを配置するのはよろしくない、など細かい設定もされている。場合によっては、同じショップでも売上げが大きく違うことが起こるのだ。
ほかにも、お客さんの意見に耳を傾けて不満の多い箇所の改善や、安全で楽しく綺麗なテーマパーク運営のためのスタッフの配置、新アトラクション開発研究などなど、テーマパーク経営者としてやるべきことはたくさん存在する。もちろん、最初からすべてを行うのは非常に難しいため、難易度設定で権限を調整することも可能だ。そのため、初めての人でも、テーマパーク作りを充分に楽しめ、上級者にはとことん楽しめるようになっているのだ。
『テーマパーク DS』には、遊べば遊ぶほど生まれる「ここはどうしてこうなのか? ああ、こうすれば良くなるかも!」という、発見と改善の繰り返しがぎゅうぎゅうに詰まっている。
例えば、アトラクションに入場するための整列用の歩道は、ジグザグで作るとお客さんから不満が出やすい。では、どうすればいいのか? その改善案のひとつが、アトラクションを囲むようにしての整列用歩道の設置だ。一度は経験したことがあるのではないだろうか、テーマパークでジグザグに並ばされているときのストレスと、直線で並ばされている時のストレスの差を。
つまり、『テーマパーク DS』をプレイしていて悩む改善の方法は、自分たちが日頃経験しているような部分にも隠されている。その、日頃気づかないような部分を考える楽しさが、このゲームのおもしろい部分といえるのだ。
また、『テーマパーク DS』を遊んだらぜひ実際のテーマパークへ足を運んで欲しい。広い園内でどのように人の流れがコントロールされているのか、アトラクションとショップの配置の関係、整列用歩道の配置のしかたなど、『テーマパーク DS』の答えとなるような部分が見えるはずだ。また、『テーマパーク DS』を充分に遊んでから行けば、テーマパークに対する見たかもきっと変わり、別のおもしろさを新たに発見できるはずだ。
『シムシティ』と聞けば、ゲームファンなら「あのゲームね」と思い出すほどの名作。その『シムシティ』が、最初に日本で登場したのは1990年のこと。その当時、都市育成シミュレーションというものが存在せず、新しいジャンルのゲームとして大きな話題になったのだ。その後も、『シムシティ』の人気高く、多くの機種に移植され、いくつものシリーズを発表している。また、『シムシティ』は、後に登場するさまざまな育成シミュレーションにも影響を与えているのも見逃せないところだ。そんな“名作”とい言い切れる『シムシティ』シリーズに、ニンテンドーDS版が登場する。そこで、まずは『シムシティ』シリーズのゲーム内容について紹介していこう。
最初に都市として必要はものとは、道路などの“交通設備”と、その道路によって結ばれる“住宅”や“会社”、“工場”などの人が生活するために必要な施設。プレイヤーはこれらの要素を配置し、都市人口の増加を目指すのが、『シムシティ』の目的だ。
しかし、道路や施設はやみくもに配置するだけでは、人口増加は望めない。市民の住みやすさや利便性、インフラ整備の充実、安定感のある社会などが重要になるのだ。行き止まりの多い都市では、利便性の悪さから人口の増大は望めないし、住居と工場が隣接していると、環境の問題で人口増加が望めない。
また、人が増えはじめると、問題も増えていく。人口増加による交通渋滞や、工場の増加に伴う公害の問題、開発地域が広がることで増える地域の格差などがそれだ。また、住人から、「図書館が欲しい」や「スタジアムを建設してくれ」などの、さまざまな要望も発生する。プレイヤーである市長は、これらの原因をひとつひとつ潰していき、市民のニーズに答えて健全なる街づくりを目指す、これが『シムシティ』の遊び方なのだ。
『シムシティ DS』は、都市育成シミュレーションという、難しいと思われがちなゲームジャンルに、ニンテンドーDSのとっつきの良さを融合させたバランスの良い完成度に仕上がっている。
いちばんの特徴は、やはりタッチペンを使った遊びやすさと、ダブルスクリーンによる見やすさだ。ペンでなぞるだけで完成する道や区画は、コントローラーにはない親しみやすい操作感を実現し、ダブルスクリーンならではの“景観パネル”と“作業パネル”の使い分けも遊びやすさを手伝っている。
また、ダブルスクリーンによって、アドバイザーからつねに助言を受けられるのも遊びやすさを手助けしている大事な要素だ。ちなみに、アドバイザーは全部で5人存在し、それぞれに個性的で、彼らと対話するような感覚でプレイできるため、初めて遊ぶ人でも、すんなりとプレイに入れるはずだ。
ほかにも、ニンテンドーDSの機能をつかったイベントや、他の市長との交流を図る“すれちがい通信”なども採用し、ニンテンドーDSらしいアレンジがされているのだ。イベントの中には、イベントの中には、街を襲うモンスターをタッチペンで撃退するものや、マイクに息を吹きかけ火事を消すなど、ミニゲームとしても遊ぶことができるものも多くおもしろい。
また、『シムシティ DS』は、“日本人のためのシムシティ”を目指して開発されているところにも注目してほしい。
ゲームモードは、何もない土地から都市を育てていく“新市長誕生”と都市の抱える問題をプレイヤーの手腕で解決していく“都市を救え”の2種類がある。“都市を救え”では、各都道府県が舞台となっておりクリアーすることで、日本らしい建物を入手することができるのだ。ユニットのなかには、日本各地にあるお城も用意されている。世界遺産にも登録されている“姫路城”や青葉城の名でも知られる“仙台城”など、各地方のお城を多数収録。姫路城では鷺の舞うような美しさを、仙台城では独眼竜正宗の像も再現されており、各お城はユニットでもその個性を発揮しているのだ。また、お城によっては現存こそしないが、復刻されたものも含まれている。
ほかにも、ゲームを遊び込むことで、“浅草寺雷門”といった、お城以外のランドマークも入手できる。
また、スタンダード建造物の中にも、“昭和風一軒家”や“わらぶき屋根の家”など、どこか日本らしいユニットも多数収録され、画面の中に日本の町並みがしっかりと再現されているのだ。
『シムシティ』を遊んだことのあるユーザーの多くは、スーパーファミコン版ではないかと思う。基本的に、『シムシティ DS』でも、ゲーム性とシステムの中軸の部分では、あまり変更がないのは事実だ。しかし、だからといって、同じゲームとはいえない。それは、タッチペンやダブルスクリーンを使った、ニンテンドーDSらしいアレンジの部分だけでなく、ゲーム性のアレンジが大きく違っているからだ。
先に紹介したように、『シムシティ DS』には、国内の各地方都市にちなんだランドマークが採用されている。まず、このランドマークを集めるためのプレイが楽しい。ゲームに目的をもってプレイできるのだ。ユニットを入手したあとは、そのユニットを使用しての都市づくりがまた楽しい。自分の故郷を再現することできれば、景観の美しい観光都市なども作ることも可能だ。
「『シムシティ』は以前遊んだから、もういいや」と思っている人は、ぜひ『シムシティ DS』を再プレイして欲しい。遊びやすくなった『シムシティ』シリーズのおもしろさだけでなく、『シムシティ DS』で可能になった“見慣れた街を再現できる新しいおもしろさ”をきっと発見できるはずだ。