――本作はどのようなコンセプトを持ったゲームですか?
Patrick 詰め込みたかった要素は、70年代のアクションムービーの中でアクロバティックなシューティングをするってことだったんだ。銃や刀をシームレスにひとつの戦闘システムに組み合わせることによって、プレイヤーは多くの敵を最高のアクションで倒すことができる。壁を走りながら、床をスライドしながら、空中を飛びまわりながら、さらに梯子を逆さに降りながらだってね! ルビはいつでも、どんな場所でも攻撃ができ、華麗に敵を倒すことによって多くのボーナスが貰えるのがこのゲームのシステムなんだ。
――ゲームの世界観でもっともこだわった点は?
Patrick ルビはクリント・イーストウッドのマカロニ・ウェスタン映画にでてくる“名無しの男”に通ずるところがある。よくあるヒーローでもなければ世界を救おうとも思っていない。彼女は自分のために仕事をする、彼女自身の価値観によってね。一旦引き受けた仕事は絶対止めないし、とことんやり続ける。名声や勲章のためじゃなく、自分の信念に基づいて行動し、数々のシチュエーションを生き抜いてきた彼女は、“正しい、正しくない”の判断を一般的な人よりももっと哲学的な基準で判断しているんだよ。
――アクション部分に映画の影響などが見られますね。
Patrick そのとおり。ゲーム内にはいたるところにインスピレーションが詰め込まれてる。例えばシームレスでアクロバティックなゲームの流れは、『デスペラード』(※)や『キル・ビル』中の“Crazy 88”との対決にあったような、バトルのペースやリズムを取り入れようとしたんだ。ゲームのルックス的なイメージについては、70年代の映画“グラインド・ハウス”をよく研究したね。カメラの汚れやフィルムスクラッチ、投影方法、画像に入るノイズなどなど……。
※『デスペラード』はロバート・ロドリゲス監督の映画。とにかく撃ちまくる。
※『キル・ビル』のCrazy 88は、タランティーノ監督の映画に出てくる殺人集団。劇中ではユマ・サーマン演じる主人公に大勢で襲いかかるが、刀でバッタバッタなぎ倒されてしまう。
――ここはぜひ見てほしい、という点はありますか?
Patrick ゲームの核となるシューティングのメカニズムは気にいってる。僕たちは操作を直観的にしたかったんだけど、ハードコアゲーマーたちも満足できるものにもしたかった。そこで思いついたのがオートロックとマニュアル照準を併せ持つ“ハイブリッドシステム”さ。ルビが空中に飛び出したらすぐセカンドガンを取り出し、もっとも近い敵にオートで照準をロックする。画面中央には別のマーカーがあり、これはメインガンでもう片方の手にリンクしている。これを右スティックで操作することで、ヘッドショットしたり別のターゲットに合わせて2人同時に倒すことが可能なんだ。とても誇らしいメカニズムだと思ってるよ。プレイすればするほどスキルアップしてクレイジーなマニュアルショットを出すことことができ、それで沢山のポイントを稼ぐことができるんだ。ちなみに、ポイントを溜めれば新しいアクションをアンロックしたり、武器のアップグレードもできるよ。
――日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。
Patrick 『WET(ウェット)』はウェスタンでクラッシックなタイプのアクションゲームだ。スタイルと演出、’70年代のグラインドハウスの影響を強く受けたストーリーと内容を見てほしい。僕は子供のころからアクションゲームをプレイしていた。僕が日本のユニークなゲームを楽しんだように、日本のファンも“ノースアメリカン”テイストの本作をエンジョイしてほしい。