2009年12月3日にリリースされ、世界中のゲームファンの心をつかんだステルスアクション『アサシン クリードII』。その続編が、いよいよ登場する! 物語の舞台は15世紀末のローマ。前作のラストで“マスターアサシン”の座に上り詰めたエツィオ・アウディトーレが、腐敗しきったローマの街を再建するべく、ボルジア家と戦うのだ。本記事では、本作の魅力的な世界設定と、おもなゲームシステムについてお届けしよう。
前作のラストで、家族の仇であるロドリゴ・ボルジアを取り逃してしまったエツィオ。彼はその後、叔父のマリオとともにモンテリジョーニの町に戻り、平穏な暮らしを送っていた。しかしある日、ロドリゴの息子であるチェーザレ・ボルジアが大軍を率いて現れる。エツィオの必死の抵抗もむなしく、叔父のマリオはチェーザレに殺されてしまうのだった……。やがて、エツィオは叔父の復讐のためにチェーザレ討伐を決意する。最大最強の敵を相手に、果たして勝機はあるのか!?
本シリーズの主人公は、デズモンド・マイルズという青年である。本作では、“アニムス”と呼ばれる特殊な機器を利用し、暗殺者の一族の末裔であるデズモンドのDNAの記憶に秘められた謎に迫ることになる。物語は、デズモンドを操作する現代パートと、デズモンドのDNAに眠る15世紀末の暗殺者“エツィオ・アウディトーレ・ダ・フィレンツェ”を交互に操作して進めていく。
アブスターゴ社に拉致され、アルタイルやエツィオなどのアサシンのDNAの記憶とシンクロさせられた青年。彼は、アブスターゴ社がアサシンの末裔たちを集め、秘宝“エデンの果実”の謎を暴こうと企んでいることを知り、ルーシーの協力でアブスターゴ社を脱出。今度はルーシーらとともに秘宝に関するより詳細な情報を得るため、エツィオの記憶とシンクロするのだった。
デズモンドのDNAの奥底に眠っている記憶。15世紀末のイタリアの貴族の家に生まれたが、陰謀により家族を失い、復讐を果たすために暗殺者となる。そしてレオナルド・ダ・ヴィンチらの協力を経て、さまざまな障害を乗り越え、ついには“マスターアサシン”と呼ばれる存在に上り詰める。本作では、ローマの街を支配する、チェーザレ・ボルジアと対決することになる。
エツィオは、ボルジア軍の統治によって腐敗したローマの街を再興するべく、さまざまなミッションに挑む。その内容は、要人の暗殺から人捜しなど、多岐にわたる。ここでは、数あるミッションの中から特徴的な3つをピックアップしてお届け。
それぞれのミッションには、さまざまな達成条件が設定されているが、一部のミッションでは、より難しい条件を満たしてクリアーすると“フルシンクロ”とみなされ、報酬がアップするものもある。なお、前作では、一度クリアーしたミッションはやり直すことができなかったが、本作から“リプレイ機能”が追加されたので、好きなミッションにいつでも挑戦可能。活用して効率よくゲームを進めよう。
……誤解してました! じつは筆者は、本作のリリースが発表された時点では、「今回はナンバリングタイトルではないし、シリーズ初登場のマルチプレイがメインの要素で、シナリオモードはおまけ程度に添えられている感じかな」と勝手に思い込んでいた。しかし、サンプルROMを実際にプレイしてみて、その認識は覆されることとなった。
……今回、シナリオモードの出来映えがじつにすばらしいのだ! エツィオの宿敵として登場するのは、チェーザレ・ボルジア。彼は、類い希なる才能と冷酷な決断力の持ち主で、日本では織田信長と比較されることも多い乱世の英雄だ。そんな強大な力を持つ相手を討つべく、エツィオはさまざまな策を立てて暗躍する。しっかりとした歴史的背景のもとに綴られる、史実を織り交ぜた展開から目が離せない。一方、エツィオの人生を“体験”しているデズモンドは、前作でエツィオが拠点としていたヴィラ・アウディトーレの跡地に移動。エツィオにゆかりのある地でシンクロを行うことで、さらに詳細な情報を集めようと試みる……。デズモンドとエツィオのエピソードが交差しながら進行していく、先の読めない2重構造のシナリオにグイグイ惹き付けられる。
また、肝心のゲーム部分もよくできている。第1作よりも遊びの幅が広がり大幅にパワーアップした『?』だが、今回は新しいゲームシステムがさらに増加! たとえば、“アサシンの弟子”を育てて共闘したり、ローマ市中に点在する“ボルジアの塔”という高警戒エリアを攻略したり、銀行や名所などの施設をアップグレードしてローマを復興させたり、リプレイ機能で“フルシンクロ”にチャレンジしたり……などなど、プレイヤーを楽しませるさまざまな要素が盛り込まれており、バラエティーに富んだゲームプレイが楽しめること請け合い。筆者は、「あれもこれも」と新要素に手を出しているうちにあっという間に時間が過ぎていき、メインのシナリオが遅々として進なまいという状況に陥ってしまった。これはなんともうれしい悩みだ。
このように充実したシナリオモードに加え、ネットワークを介したマルチプレイも楽しめるというのだからたまらない。マルチプレイは数回のテストプレイに参加しただけなので、ゲームの全貌はまだ不明だが、“暗殺”と“隠密活動”をテーマとした、じつに『アサシン クリード』らしい内容となっている。独特なルールに最初は戸惑ったが、操作系がシンプルにまとまっているので、多くのプレイヤーが気軽に駆け引きを楽しめるだろう。
『アサシン クリード ブラザーフッド』は、あらゆる部分が進化を遂げており、まさにシリーズ作品の集大成といっても過言ではない作りに仕上がっている。ナンバリングタイトルではないが、シリーズのファンなら期待を裏切られることなく、安心して楽しめるはずだ。