『Halo Legends』の荒牧伸志氏、翻訳家の富永和子氏も登場
2012年8月24日と25日に東京で、同年9月1日に大阪で開催される日本マイクロソフトのイベント“Xbox 360『大』感謝祭 2012 夏”。会場では国内初プレイアブルを含め、Xbox 360の注目タイトルが数多く出展されているほか、さまざまなステージも実施されている。
東京会場の会期2日目に行われた、『Halo 4(ヘイロー 4)』のパネルディスカッション“-Halo ユニバースに関わる人々と広がり-”は、今回行われた各種ステージの中でも屈指の盛況ぶりとなった。ステージには、映像作品『Halo Legends』のクリエイティブ スーパーバイザーを務めた荒牧伸志氏、小説版『Halo』の翻訳を担当した富永和子氏、先日起用が発表されたマスターチーフ役の小山力也、コルタナ役の藤村歩に、『Halo 4』のプロダクトマネージャーを務める日本マイクロソフトの南雲聡氏を加えた計5名が登場。『Halo 4』の話題だけにとどまらない、全体的な世界観“Haloユニバース”に関するトークを行った。
最初のテーマは、荒牧氏が『Halo』シリーズと出会ったきっかけ。同氏が初めて触れたシリーズ作品は『Halo 3』で、それを勧めてきたのは同氏のご婦人だった。「Xbox 360を買って、何のゲームをやろうかなと考えていたときに、奥さんがネットの評価で「絶対にこれ(『Halo 3』)はおもしろいはず」と教えてくれたんです」。荒牧氏は、TPS(三人称視点のシューティングゲーム)はそこそこやっていたものの、『Halo』のようなFPS(一人称視点のシューティング)には苦手意識があったという。しかし、『Halo』をきっかけにFPSの楽しさに開眼。『3』から遡る形で第1作目と2作目もプレイし、その後の外伝的シリーズもすべて遊ぶほど魅了されることに。
「ゲームでここまでできるんだ、という驚きがあった」と語った荒牧氏。一方で、映像作品『Halo Legends』も手掛けることになった背景にはゲームの楽しさはもちろんのころ、『Halo』シリーズが持つ“世界観の広がり”も大きく影響した。「マスターチーフが戦っているところ以外にも、戦いがあることを予感させる」という作品の語り口に、創作意欲を刺激されたのだ。ちなみに、荒牧氏は『Halo 4』の開発を手掛ける343 Industriesのスタッフとも交流があり、とくにフランチャイズ デベロップメント ディレクターの フランク・オコナー氏とは多くの交流を重ねたという。そのため、343 Industriesが『Halo 4』の前に開発した、シリーズ第1作目のリメイク『Halo: Combat Evolved』のマスターチーフには、荒牧氏が手掛けた『Halo Legends』仕様のマスターチーフの影響が見られるという。
続いて話題は、富永氏が翻訳した小説版『Halo』へ。同書籍シリーズは現在までに3巻が発売されており、今後は第4巻が2012年9月25日に、第5巻が2012年11月25日に、第6巻が2013年1月25日に発売予定となっている。富永氏による翻訳は、日本マイクロソフト執行役 インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネジャーの泉水敬氏もかねてから望んでいたそうで、日本での展開はまさに念願叶ってのものなのだ。その期待に応えるように、小説版はファンも納得のクオリティーに仕上がっている。さぞかし富永氏もゲーム版がお好きなのだろう……と思いきや、じつはほとんど遊んだことがないという。しかし、小説版『Halo』はゲームを知らなくとも「小説として非常におもしろい」らしく、1ヵ月に1冊ペースで翻訳するというタイトなスケジュールにも関わらず「1巻を読んだらつぎを読まずにはいられない」と半分趣味に近い感覚で楽しみながら仕事していたことを明かした。
最後のテーマは、音声を含む『Halo 4』のオーディオに関して。南雲氏は最初に同作のオーディオディレクターを務める343 Industriesの戸島壮太郎氏、そして日本のローカライズチームがすばらしい作品を届けるためにがんばっていることを熱弁。戸島氏のビデオメッセージも公開され、その中で同氏は「日本語版は僕にとって大事な作品。僕と日本の優秀なローカライズチームの目標は“ローカライズと感じさせない”ことです。日本語版がオリジナルなんじゃないか? と思ってもらえることを目指しています。また、343 Industriesでは日本の文化が本当にリスペクトされている。日本のみんなに遊んでもらいたいというのは343 Industries全体の思いでもあるので、『Halo 4』は特別な日本語版ができあがるんじゃないかと思っています」と、日本市場への強い思い入れを明かした。
また戸島氏は出演声優の小山力也、藤村歩の起用についても言及。「日本中から探して、最終的に小山さんと藤森さんしかいないという話になりました。おふたりの最初の収録に参加させてもらいましたが、すぐに『Halo 4』で求められるチーフとコルタナをつかんでもらえたんです。こちらが望む以上のものを見せてもらえました。すばらしい音声ができあがると思いますので、楽しみにしていてください」と、ふたりの仕事ぶりを絶賛した。
戸島氏の熱い言葉を受けて、小山と藤村はそれぞれ自身が演じたキャラクターについて「マスターチーフはとてもストイックなヒーロー。特別なヒーローだと思います」(小山)、「コルタナの第一印象はちょっとかわいらしくて、お茶目な感じでしたね」(藤村)とコメント。また、収録時の様子にも触れ、「戸島さんは、ひとつセリフを収録するたびに30分くらい考えるんです。吐息すらもじっくりと検討して……「これいつ終わるんだろう?」という感じでした(笑)」と熱気に満ちた現場の様子を伝えた。藤村は、セリフのボリュームに驚いたという。「コルタナはAIだから、プレイヤーにはつねに彼女の声が聞こえているような状態。喋る量は半端なかったですね」と収録を振り返った。
ここでステージ上では、なんとふたりの生アフレコが披露に。ちなみに、『Halo 4』に日本語音声が当てられるのはこれが初となる。使われた映像はE3 2012に合わせて公開されたトレーラー。ふたりの声は確かにマスターチーフとコルタナのイメージに合っており、戸島氏が言うところの“特別な日本語版”の完成を予感させるものとなっていた。
最後に登壇者それぞれが、ファンに向けてつぎのようにメッセージを送り、イベントは終了となった。
「『Halo 4』は単純にプレイヤーとして楽しみしています。発売まで間があるので、それまでは小説で気分を盛り上げようと思います」(荒牧)
「小説の4巻、5巻、6巻でも、いろいろキャラが活躍する姿を作っていきたいと思います。小説はバックグラウンドもしっかりと書かれているので、感情移入しやすいと思いますよ」(富永)
「マスターチーフは完璧な戦闘マシーンとして鍛え上げられているので、人間味を出しにくいと思っていたのですが、コルタナとの関係性では人間味が溢れ出てきます。これはお芝居の原点でもあると思う。詳しくは言えませんが、コルタナとは本当にステキな関係ができたので、ぜひ最後までプレイしてもらえればと思います」(小山)
「コルタナはAIですが、人間味溢れる演技をさせてもらえました。チーフに対しては広い意味の愛情を感じることができましたし、最後にはすごくドラマチックなシーンも待っているので、皆さん楽しみしてください」(藤村)
また、エンディングとして『Halo 4』の発売日を頭に叩き込むためのコミカルな映像も公開されたので、合わせてチェックしてほしい。