2017年10月より放送が開始されたテレビアニメ『Wake Up, Girls! 新章』(以下、『新章』)。2014年に公開されたアニメ『Wake Up, Girls!』(以下、『WUG!』/劇場版『七人のアイドル』、“続・劇場版”を含む)から続く物語として12話(特別篇『わぐばん! 新章』含む)が放送された。
『WUG!』は、仙台を拠点に活動するアイドル、Wake Up, Girls!(以下、WUG)の物語。WUGのメンバーである7人の少女たちが、アイドルとして成長していく姿が描かれた。作中でWUGのメンバーを演じるキャスト陣は、声優ユニットWake Up, Girls!としても活動しており、2017年7月から9月にかけて全国7都市14公演におよぶ4th LIVE TOURを大成功に収めたほか、2017年12月10日には幕張メッセ国際展示ホールにて、毎年恒例となっているライブイベント“Wake Up, Girls! Festa.2017 TRINITY”を開催。5000人のファンを前に、アツいライブをくり広げた。
『新章』では成長した彼女たちが、それぞれの個性をよりいっそう伸ばし、しなやかに鍛え上げ、さらなる一歩を踏み出していく姿が丁寧に描かれている。そんな『新章』の最終話が2018年1月7日(日)に放送される(各局の放送日はページ最下部に掲載)。最終話の放送を前に、ファミ通.comではWUGのメンバーから、吉岡茉祐さん(島田真夢役)、永野愛理さん(林田藍里役)、青山吉能さん(七瀬佳乃役)にインタビューを敢行。『新章』を振り返りつつ、最終話の見どころについて語ってもらった。
吉岡茉祐さん(よしおかまゆ)
声優ユニットWake Up, Girls!のメンバー。代表作は『Wake Up, Girls!』島田真夢役、『あんハピ♪』江古田蓮役、『Tokyo 7th シスターズ』鰐淵エモコ役など。文中は吉岡。
永野愛理さん(えいのあいり)
声優ユニットWake Up, Girls!のメンバー。代表作は『Wake Up, Girls!』林田藍里役、『八月のシンデレラナイン』永井加奈子役、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』ミーア役など。文中は永野。
青山吉能さん(あおやまよしの)
声優ユニットWake Up, Girls!のメンバー。代表作は『Wake Up, Girls!』七瀬佳乃役、『恋愛暴君』グリ役、『白猫プロジェクト』モニカ役など。文中は青山。
WUGメンバーが『新章』を振り返る
――『新章』が最終話直前まで放送されましたが、振り返ってみて、この3ヵ月間は皆さんにとってどんなものでしたか?
青山 あっという間……。どの役者さんも絶対に言うことだと思うんですけど、本当に私たちが言う“あっという間”は、“マジのあっという間”で(笑)。
――マジの(笑)。
永野 いままでアニメの放送がない期間、私たちは声優ユニットのWake Up, Girls!として活動していたので、『新章』の期間がすごく特別というわけではないんです。でも、やっぱりいっしょにキャラクターとずっとがんばってきているので、いままでの成果を凝縮して一生懸命やった3ヵ月だったなと私は思います。
――続・劇場版が公開されてから、いままでがんばってきて、ようやく再びアニメで動くWUGちゃんたちの姿を見られたわけですからね。
永野 やっぱり、最終的にはキャラクターたちの活躍がアニメで描かれてほしいというのが私たちの思いなので。ようやくここまで来られたなって感じですけど……、皆さんはどうですか?
全員 (笑)。
青山 話を振られた(笑)。
吉岡 (笑)。すごく早かったなと私は思っています。アフレコの期間が、(4th LIVE)TOURの後ろのほうと被っていたので、いろいろなことをやりながらのアフレコだったんですよね。Wake Up, Girls!としての活動の延長線上に『新章』があった感じだったので、あっという間に始まって、あっという間に終わるという感じでした。
――アフレコの感想はいかがですか?
青山 同じメンツだし同じ雰囲気なんですけど、空気がやっぱり違うな、というのはありましたね。『Wake Up, Girls!』のアフレコということで、自分は『七人のアイドル』から始まったテレビシリーズのころのイメージでいたんです。でも、そのスタンスでいくと正直、出遅れるというか。当時はリテイクとかも当たり前で、全部録り直しみたいなこともふつうにあって……。でも、私たちも声優として4年活動してきて、個々の声優としてもいろいろな作品に出演していたり、いろいろな経験をさせてもらっているなかで、もうリテイクなんて許されないっていう空気があったんですよね。だからあのころのままではダメだぞ、というか。RGR(ランガ)ちゃん(後輩ユニット“Run Girls, Run!”の愛称)の存在というのも、もちろん大きくて。「がんばらないと!」っていう心持ちが、すごく大きく変わりました。
――なるほど。あくまで僕個人の感想ですけど、1話を観たときには、「みんなうまくなったなー!」と、すごく感じましたよ。
青山 よかったー。自分では、あまりわからないんですよね。
永野 でも、ほかのメンバーの演技を聞くと……。
青山 めっちゃわかりますね!
吉岡 確かに。
――ちなみに、RGRちゃんたちには、先輩としての威厳のある姿はきちんと見せられましたか?
青山 ぜんぜんじゃないですかね?
――(笑)。
吉岡 私、本当に何もできてないよ。
永野 RGRちゃんは、私たちの最初のころよりすごく堂々としていて、しっかりとアフレコに臨んでいるんですよね。
青山 即戦力っていう感じがしましたね。
吉岡 彼女たちは怖いものなしというか、恐怖を感じていないように見えて。私たちってつねにビクビクしていたような……。
永野 ホントにね!
青山 みんな怖い、みんな敵みたいな……。敵じゃないんですよ!? ぜんぜん敵じゃないんです! でも、敵じゃないのに、台本すら友だちになれないみたいな。
吉岡 いまはパッと明るくなっているんですよね、空気的にも。
永野 雰囲気も最初にやったときより、皆さんでワイワイとメリハリある感じでできていますね。RGRちゃんたちは、その辺も私たちとは違うなって感じています。
青山 ぜんぜん違うよね。
――物怖じしないRGRちゃんたちに対する、危機感みたいなものはありました?
青山 あー………………若い……。
吉岡 言うて、歳変わらない子もいるでしょ?(笑)。でも、やっと3人がどんな子なのかというのが、わかってきた気がしますね。とくに『わぐばん! 新章』で愛理がバラエティー番組をやっていたりするからね。そこが初共演……?
永野 そうだね。
吉岡 『わぐばん! 新章』のオンエアを観て、愛理がすごく戸惑っているなって(笑)。
永野 (笑)。
吉岡 愛理の司会にしては……みたいなところが見えたんですよね。司会をしている愛理をここ数年で何回も見ているので、相手が違うとこんなに違うんだということが見られて、私的にはすごくおいしいなと思いました。
永野 誰目線なんだ(笑)。
青山 ホント誰だよ(笑)。
――確かに、永野さんの「がんばらなきゃ」みたいな意志は、『わぐばん! 新章』から伝わってきましたよね。
永野 あの日が初めてガッツリ絡むタイミングだったので、どこまで深く入っていっていいのかがわからなかったんですよね。いきすぎて、すごく傷付けちゃったらどうしようと思ってしまって。
――バラエティーでちゃんと絡むとなると、そういう心配はありますよね。この人にはどこまでのツッコミがオーケーなんだろうとか。どうしても探り探りになってしまうというか。
永野 そうなんです。ほかにも、すごく嫌な先輩だと思われたらどうしようとか(笑)。でも、3人がすごくがんばってくれたので、いい感じにおいしくできたんじゃないかと思います。
――さすがですね(笑)。ちなみに、アニメで印象に残っているエピソードをうかがえれば。
永野 私はやっぱりバスツアーですね。先日お渡し会があったんですけど、そのときにもバスツアーのことを話してくださるワグナーさんが多かったんです。私たちが実際にやったことが、けっこうリアルにアニメに反映されていたので、「昔のことを思い出しました」と言ってくださって。私たちもこんなことをやったけど、キャラクターたちも実際にやってくれるというのが、単純にうれしかったです。
――おふたりはいかがですか?
青山 実際に私たちがやったことをキャラクターがやるのも、キャラクターがやったことを私たちがやるというのも、どちらもいままであったんですけど、ここまでガッツリ私たちがやったこと……それこそアニメをあまり背負わずにやったことを、アニメに落とし込んでいただけたというのはすごくうれしかったですね。ちょっとした小ネタとかも入れていただいて。私がいつもやっているわけのわからない「いただきます」の挨拶があるんですけど……。
永野 すごく長いやつね。
――アニメでは超コンパクトになっていましたね(笑)。
青山 すごくコンパクトにしてネタとして使っていただいていたのですが、その元ネタに気づいてくれる人がいるということがめちゃめちゃうれしくて! 「なんか変な挨拶してるな……」ではなくて、「これ、よっぴーのアレだ」って思ってくれるワグナーさんがいることに、私は圧倒的感謝っていう感じです。
永野 そこが『新章』の違いかもね。
――確かに逆輸入したとしても、リアルの皆さんの活動を知らないと気づけないことですからね。
青山 そういうところで、いつも応援してくださる皆さんに気づいてもらえたり、「アレってなんだったんだろう?」と気になってリアルの私たちのことを追ってもらえたりするのがいいなって思いました。
吉岡 そういう意味では、ワグナーさんへのメッセージだったりとか、ワグナーさんが見たときにどう思うかということをアフレコのときに話し合ったりするのが、前回に比べて圧倒的に増えましたね。
――アフレコではどういうことを話し合うのですか?
吉岡 「ここ、ふだんの私たちだったらこうやって言い回すんですけど、どうですか?」とか。それこそ、RGRちゃんが自分たちの自己紹介のときに、「ここは誰々が言っているので、その流れをキャラクターにも反映させたいんですけど」みたいな相談をしたり。
――リアルな活動があるからこそ、キャラクターにもそれを反映させられるというわけですね。それは『WUG』ならではという気がします。いままでに比べると、アニメにとらわれないリアルな皆さんの積み重ねがあるという部分が、『新章』ならではの要素なのかもしれないですね。続いて、シナリオについてうかがえれば。第10話で菜々美と実波がケンカをするのが意外でした。同時に、以前にもありましたが佳乃と真夢のあいだですれ違いがあったり。そのあたりは演じるうえで、どのように感じられましたか?
吉岡 仲のいい友だちが複数いるグループだと、よくある話だと思うんですよね。菜々美と実波にしても、佳乃と真夢にしても。いまどきの女の子のあるあるのひとつだなと感じて。些細なことですれ違いが起きたときに、それをきっかけに別の子と話をするようになって。その子と仲よくなったことで、すれ違ってしまった相手の別の一面が見られるとか。この世代の女の子には多いことなんですよね。演じながら「リアルだな」とすごく思っていました。
――吉岡さんと青山さんがかつてケンカをしたという話はけっこう有名な話ですけど、ほかのメンバー間でもそういうことってあるんですか? ふだんから本当に仲がいいのを見ているので想像がつかないんですが。
青山 それはあるんじゃないですかね。やりたいことは同じでも、それぞれに意見が違ったりもしますし。でも、この子たちもそうですけど、言い争いの大元が「もっとよくしたい」といった、向上心からくるものが多いです。「こうしたほうがもっとよくなる」、「いや、私はこうしたほうがよくなると思う」みたいな。お互いが落とし合うのではなく、より高いところを目指すために「こうしたい」、「ああしたい」のぶつかり合いというのはあります。セトリ(※1)を決めるときとかもね……。
※1……セットリストの略称。
永野 やっぱりみんなそれぞれに想いがあるので、そういう面でぶつかることもありますけど、ケンカがしたいわけじゃなくて。そういうところがアニメでも描かれているのが、すごくリアルだなって思います。アニメの中でも、ケンカの内容をよくよく見てみると、お互いのことが嫌いだからとかそういうことではなくて、ちょっとしたすれ違いとか、本当にちょっとしたことの積み重ねなんですよね。しかも、気がついたら仲が元に戻っていたり(笑)。そういうところはすごくリアルだと思います。
――なるほど。作中でケンカがあった後に、メンバーが日記で情報を共有するようにしていましたが、皆さんもそういった情報共有というのは行われているのですか?
吉岡 LINEかな?
青山 LINEだね。
吉岡 アニメでも、未夕が「これじゃダメなんですか?」みたいな話もしていたしね。
――なるほど。
吉岡 アニメの中の子たちは共同生活をしているから日記という発想が出てきますけど、私たちはね……。
永野 離れているからね。
吉岡 仕事場でしか会えないから、どうしてもLINEを使うことになりますね。ツアーの期間中なんかは、ライブに向けてのセトリについて、LINEで意見を出し合ったりしていました。
青山 だいたい長文なんだよね。
永野 みんな、いきなりボンッて長文が(笑)。
吉岡 で、突然スタンプが……。
永野 ボンッ!
全員 (笑)。
永野 じつは、けっこうLINEで話し合いをしたりするもんね。
青山 する。でも私、LINEって打っているのが煩わしくなるんですよね。「もう電話で話しちゃおう!」みたいな。みんなよくあんなに長文打てるなって。
――その辺はメンバー間で個性があったりするんですか?
永野 個性はかなりありますね。毎回スタンプの人とか。
青山 毎回スタンプ(笑)。
吉岡 きっかけになる提案をする人とか。
永野 そうそう!
吉岡 それに対して意見をわりと早めにくれる子とか、いろいろ考えたうえで返事をしててくれる子とか。
青山 全部、誰かわかるわ。
吉岡 けっこうギリギリになってスタンプで返ってくる子とか。
永野 でもその子って、本当に自分の意見がしっかりあるときは、ちゃんと長文で返ってきたりするんですよ。
青山 突然提案されたりね。
吉岡 だいたい誰のことを言っているのかわかるね(笑)。
永野 みんな個性がすごく出ています。
――いまのお話を聞いて、誰がどれかを予想するのも楽しそうですね。ちなみに、今回の『新章』を観ていて思ったのが、WUGのメンバーが自分自身で答えを見つけたりとか、自分から提案したりということがけっこう多いなと。そういったキャラクターたちの変化は、皆さんはどのように感じられていましたか?
吉岡 大人になったなと。「業界に染まった」という言いかたはあまり好きじゃないのですが、アイドルとしての仕事をちゃんとしているな、という感じはします。
永野 でも、これってすごく私たちに似ているなって思うんです。私たちも最初のころ、自分から提案をしたりとか、「これをやりたい」とか「もっとこうしたい」といったことを、ぜんぜん言ったことがなくて。ホント最近だよね? ようやく4th LIVE TOURで「もっとこういうことをしたいです」とか「こういう衣装がいいです」って言えるようになって。そういう“発信する”ということを私たちも最近ようやくできるようになったので、私たちと彼女たちがすごく似ているな、と思いました。
――そういう部分って、ただただ偶然にシナリオがシンクロしただけなのか、皆さんのことをまわりで見ている人たちが考えてそうしているのか、どっちなんですかね?
吉岡 どうなんだろう?
永野 『新章』では、私たちのあいだでどんなことがあったかを聞かれることが、そんなに多くはなかったんです。前のときはけっこういろいろと聞かれましたが、今回はそうではなかったので、本当にキャラクターと私たちが自然に近づいたんじゃないかなって。
――なるほど。『新章』では、すごく成長を感じますよね。
永野 成長しましたね。
青山 今回は切り換えがすごく早いですよね。佳乃なんかはとくにそうですけど、前作だとずっとウジウジしていて(笑)。それも佳乃のよさだったんですけど、今回は前回と違ってみんながどんな子なのかとか、いっしょに住んでいるから、わからないことなんてないくらいに距離が縮まっているんですよね。この切り換えの早さは共同生活や長い年月が培ったものなのかなって。それって自分もそうだったと感じています。自分も何かあるたびにウジウジってしちゃって。「あの子はこうかもしれない」、「でも、この子はこう思っているかもしれない」みたいにずっと考え込んでしまって、本人に確認もせずにひとりでウジウジしていたんですけど、最近は何か思ったらすぐに話を聞いて「あ、そうなんだ」で終わるようになっているので。確かにこんな感じだなって。
――へえー。
青山 最初に台本を読んだとき、「佳乃ってこんなにあっけらかんとしていたっけ?」と思ったんです。でも、「私がそうじゃん!」と気づいてからは、もう合点承知の助というところに相成りました。
――リンクするんですね、そういうところが。
青山 自然とそうなるんですよね……。