ある日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントさんから連絡が入った。「最上もがさんの話を聞いてみません?」と。
タレント・最上もがさんと言えば、PC用オンラインRPG『ラグナロクオンライン』(以下、RO)プレイヤーとして有名だ。界隈では以前より噂されており、2017年11月放送のバラエティー番組で一気に広まった。
2018年4月3日、『RO』に新種族ドラムが実装。最上もがさんが体験している様子を取材してみませんか、というお誘いだったわけだ。
今回は他メディアとの合同取材。メディア陣が訪れたときは“戦死者の墓”というダンジョンのプレイ動画を撮影するターンだった。
使用キャラクターは運営チームが用意したドラム。ヒーラーが好きな最上もがさんに合わせ、スキル系統は“エビ三昧”や“大トロ”といった回復スキルを使う支援型だ。
ちなみに、戦死者の墓の難度はゲーム中でも最高クラスである。にぎやかし要員のタレントが「きゃー、たのしーい」なんて言いながら挑むマップではない。気を抜いたらすぐ死ぬ。
以下は運営スタッフ、最上もがさん(文中では“もが”と表記)、取材陣によるプレイ中の会話だ。
スタッフドラムの支援とか回復の使い勝手はどうですか?
もがABより回復量が多くてうらやましいです。ハイネスでも20kくらいなので。
(訳:ぼくのメイン職のアークビショップより回復量が多くてうらやましいです。強力な回復スキルであるハイネスヒールでも回復量は20000くらいなので)
取材いま使ってるドラムのレベルはどれくらいですか?
もが170の50です。いく人ってだいたい170くらいですよね。
(訳:BaseLv170、JobLv50です。しっかりプレイしている人はだいたいBaseLv170くらいが多いですよね)
取材危なげないですね。
もがいやいや。
スタッフ音をいまこっち(録音機材)側に出しているので、混乱の音が聞こえないという不満だけいただいていて。
もがそう。そうなんです(笑)
(訳:混乱したときの効果音が聞こえないと、状態異常回復アイテムを使うタイミングがわからないんです)
うん、ガチだ。『RO』用語と略語がばんばん出てくる。
プレイ動画の撮影がひと段落し、スタッフから「そろそろ切り上げましょう」と声をかけられているのに、最上もがさんはしばらく続けていた。支援役の責任があるので、パーティーの安全を確認するまではマウスを手放せないのだ。
つぎの取材に備えて席移動するとき、ふと声に出したひと言も古参『RO』ファンっぽくてよかった。
もがポリンまん(※)ってもう出ないんですか?
(※ポリンまん:過去にサークルKサンクスで販売されていたオリジナル中華まん)
この人おもしろいぞ。
※関連記事
『ラグナロクオンライン』新種族ドラム体験リポート。猫っぽい獣人がエビと大トロで仲間を救う
インタビューなんてやめて『RO』の雑談しようぜ
プレイの後は写真撮影を挟んでインタビューの時間だったのだが、結論から言うとあまりインタビューっぽくならなかった。
『RO』情報を取り扱うブログの週刊ROチャレンジ!さんが自己紹介したら、最上もがさんは「いつもお世話になってます!」と頭を下げた。そして、いきなり「みなさんは(『RO』を)やられてるんですか?」と逆に質問してきた。反応がふつうの『RO』ファンだ。取材する側とされる側の壁がない。
こういう人は信頼できる。『RO』にいちばん詳しい週刊ROチャレンジ!さんにメインのインタビュアーをお願いし(僕や他メディアさんもちょくちょく口を挟んでいるが)、雑談みたいなインタビューがスタートした。
なお、インタビュー記事は話し言葉を読みやすい文章に直すのが一般的だが、今回はなるべくそのままお届けする。むだな部分もあるが、そこも含めていい雰囲気だったのだ。
最上もが(もがみもが)
マルチに活動するタレント。かなりハイレベルな『RO』プレイヤーでもある。インタビュー(雑談)中の表記はもが。
取材班(しゅざいはん)
ファミ通.comのミス・ユースケを含む、取材班の発言はひとつにまとめます。
運営スタッフ(うんえいすたっふ)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントの『ラグナロクオンライン』運営チームにも話に加わってもらった。
もがどのサーバーですか?
取材私はSigrunです。
もがあっ、そうなんですね……(自分とは違うので残念そう)。
取材昔からやってて、Sigrunが生き残ったみたいになってますね。おかげでBreidablik行きは考えずに済んでます。
もがいますよ(Breidablikで遊んでいる人が、ここに)。
取材(『RO』に)復帰された際にBreidablikを選ばれたとか。
もが選びました。
取材人がたくさんいたからですか?
もがそうなんです。
(笑)
取材復帰者あるあるですよね。
もがもともと、すごい昔からたどるとChaosからいたんですけど。
取材おおおぉぉぉぉ。
もがその後にFenrirに行って、けっこう(雰囲気が)合ってると思ってずっとやってました。統合されていまはRadgridになってるんですけど。
復帰したときは(当時の)仲間がいないし、つないでも接続時間がみんな限られている。しかも、そのときはハトハン(※)しか回してなかったんですよ。
(ハトハン:メモリアルダンジョン・ハートハンター軍事基地。メモリアルダンジョンとは一般的なMMORPGにおけるインスタンスダンジョンを指す)
取材あー、なるほど。
もがえっ! えっ!? って。
取材それで終わり!? みたいに感じますよね。みんなログインしてハトハン回してログアウトするみたいな?
もがそうなんです。ハトハン4周、5周くらいで。
取材ああ、キャラの数に応じて。
もがそうですそうです。みんなのぶん周回して終わり。でも、復帰した頃はハトハンさえ知らなかったので。すごい怖い高難度ダンジョンなのかもって思ってたんですよ。
取材まぁ、難しいと言えば難しいですけどね。
もがそしたら、なんかふつうに。経験値のためって言ったらあれですけど。
取材(もらえる経験値が)300Mですもんね。
もが(効率のいい)MD(※)だと知って。
(※MD:メモリアルダンジョン)
もがただ、復帰した当初は平日昼間につなぐことが多かったので、だ~れもいないじゃないですか(笑)。で、お試しに「初心者はこちら」って書いてあったB鯖(※)に行ってみたら、おもしろくて。
(B鯖:Breidablikワールドのこと。もともと初心者のために作られたので、復帰者も多くて賑わっている)
もが懐かしさを思い出しちゃうんですよね。南(※)とか。
(南:プロンテラという街の南側のこと。露店や仲間募集のメッカ)
取材露店の数とか。
もがそう。露店も多いですし、「ギルメン募集してる……!」って思って。
取材Radgridはちょっとギルメン募集はあんまり。
もがないですねー。身内だけって感じで。いまはもうどっぷり。B鯖から出ないです。
取材Breidablikで復帰したときに、新しいギルドに入れてもらったんですか?
もがえっと、じつは最初に始めたときはどこにも入っていなくて。Fenrirの頃すごく親しくしてたギルドメンバーを誘ったんです。復帰に。「いま暇だしいいよー」って。
その頃はRadgridでやってたんですけど、ふたりとも(ほかのプレイヤーたちから)置いてかれるし、持ってた装備もあんまり強くないから、どうしようねーって話して。3週間くらい様子見しながら。つないでもちょっと雑談したり、昔のダンジョンにふたりで遊びに行ったりして。
結局、ふたりとも行き詰ったんですよ。何かちょっと楽しみを見出したいと思って、ぼくがつい「じゃあB鯖行ってみようよ」って。
取材はいはいはいはい。
もがどんな感じか見てみたら「懐かしいねー」って。気付いたらもうずっとそっちにいるっていう。B鯖でも2ヵ月くらいはギルドとかもそんな入らず、ずっとペアで。向こうがレン(※)で、ぼくがAB。
(※レン:レンジャーのこと)
もがだけど、装備がないと行き詰るじゃないですか。やばいねって言いながら、ふたりでラグ缶(※)に手を出し(笑)。
取材言いかた!
(※ラグ缶:いわゆる課金くじのこと)
もが何がいちばん早いかな。「パッケ(ージ)やん!」って。
(笑)
もがある程度のお金はそれで得て、後はひたすら(ダンジョンに)こもってレアを狙ったりとか。だんだんふたりでできることが限られてきちゃうのと、ちょうど深淵の回廊イベントが。あれもう完全にペアじゃ厳しいですよね。ちょっとギルド募集を見てくるわって言って、自分でも募集して。それに来てくれたギルドさん入ることになりました。
そこは普通にまったりギルド。けっこう廃人の人もいたので、みんなで協力してレベル上げとかをし始めて。
まぁ、恋愛事情でゴタゴタしちゃったんですけど。
(笑)
取材あー。あるあるですね。
もがそこから抜けて、いまは攻略系のギルドにずっといます。夢幻か獄(※)に行ってます。
(※夢幻、獄:夢幻の迷宮と生体工学研究所・獄アップデートで登場した戦死者の墓のこと。どちらも高難度ダンジョン)
取材行き詰まったということですけど、壁はどのくらいで見えました?
もがアカデミーでもらえる装備くらいしか持ってない状態だと、まず3次(職)になるのにすごく時間がかかるじゃないですか、最初は。いまはもう1日でできますけど(※)。
(※1日で3次職:不可能ではないが、それなりにたいへんではある。やりこみ勢だから出る言葉である)
もがその当時はやっぱり新鮮だったので。イズ(※)にずっとこもってて。これはこれで楽しいね、みたいな。で、だいたい3次職になり、130くらいで心が折れたんです(笑)。
(※イズ:イズルード海底洞窟というダンジョンのこと)
もがこれ以上はちょっとキツいよね、みたいな。装備もないし、うーんみたいな感じになって。当時は怖くて臨時(パーティー)に入れなかったんです。よく“ジタ”とか(募集が)あるじゃないですか。
そのときにギルドに入ってMDに周回することを覚えたんですよ。「あっ、これや……!」って。
取材略語ですね。悪夢のジターバグに行くメンバー募集、略してジタ。
もがそうです。略語で。あそこ行ったりして、「めっちゃレベル上がる……!」みたいな。すごい、こんなに経験値もらえるんだって感じでしたね。110あたりからキツいって思い始めたかな。
取材そこはもう気合で?
もがふたりで楽しくやってるのもいいよねって。
取材教本(※)読みまくったりはしませんでした?
(※教本:獲得経験値を上げるアイテム“教範”シリーズのこと)
もがめっちゃ読みましたよ(笑)。読んでもキツいー。向こうはアロスト型(※)にしてなくて、ふつうの素撃ち型(※)だったので。効率よくないし、アロストにするにしても装備ないし。どうしよっかねーみたいな感じでした。でもMDって公平(※)にしなくても経験値もらえるので。
(※アロスト型、素撃ち型:レンジャーのスキル振りタイプのこと。アロストはアローストームの略で、これを主軸にすると瞬間的なダメージ効率が高まる。素撃ちは通常の射撃がメインのタイプで、扱いやすさが強み)
(※公平:パーティーを組んだときの取得経験値の分配方法のこと。)
取材そうですね。場所によっては。
もがおっ、いいじゃん! って。
取材運営さんの望んだとおりにいってるんじゃないですか。もがさんこそ理想的な復帰プレイヤーですよ。
スタッフそうですね。110からメモリアルダンジョン中心っていうのは、プレイの流れとしてはきれい。
取材130で詰まるって仰ってましたけど、いまはロックリッジが……。
もが(食い気味に)そうなんですよー。
取材あそこから跳ね上がりますよね。ちょうど最上さんが体験した“壁”はいまの人にはないのかなって。
もがたしかに。130になったら何か1個終わった感があります。「よーし!」みたいな。
取材ここから本番だー。
もがでも、150から160までちょっとめんどくさい……。
(笑)
スタッフ160になれば、また別のところに行けますから。
取材こんなに楽なインタビューないですよね。すらすらしゃべってくれる(笑)。
ふつうのインタビューであれば、質問に対して最上もがさんがずらーっとしゃべるところだ。だが、今回は運営スタッフも加わり、ほとんどふつうの会話である。
この後も『RO』談義は加速していく。振り落とされるなよ!