安価な書き換えサービスが魅力の周辺機器
1986年(昭和61年)2月21日は、ファミリーコンピュータ ディスクシステムが発売された日。本日で発売から35周年という大きな節目を迎えた。
ディスクシステムは、任天堂から発売されたファミコン用の周辺機器。ファミコン本体に接続することで“ディスクカード”と呼ばれる磁気ディスクの読み込みが可能で、より大容量のゲームを遊ぶことができた。ローンチタイトルの目玉は、現在も続く人気シリーズの初代『ゼルダの伝説』。いままでに体験したこともないような壮大な冒険に、当時のゲームキッズたちは夢中になったものだった。
ディスクカードには表裏のA面とB面があり、両面を合わせると当時一般的だったロムカセットの約3倍の容量となるのがウリ文句のひとつだったと筆者は記憶しているが、それ自体は1986年6月13日に発売された『魔界村』(1メガ)や同年7月30日に発売された『がんばれゴエモン!からくり道中』(2メガ)の大容量ロムにあっさり抜かれてしまっている。しかし、ディスクシステム最大の利点は何と言ってもゲームの“書き換え”にあった。
書き換えというのは、ディスクカードの内容を別のゲームに上書きしてしまうこと。全国の玩具店などに設置されていた“ディスクライター”を使って行うのだが、なんと料金はたったの500円(※メーカーによっては異なる場合も)。子どもにとっては500円でも高くはあったが、やはりロムカセットを1本買うのと比較するとかなり破格。ディスクカードを1枚買うのもロムカセットの半額程度で済むとあって、これにはお金を払うはめになるご両親もニッコリだったのではないだろうか。しかも書き換えさえ始まっていれば売り切れもないので、ゲームキッズにとっては相当に革命的なサービスだったと言っていいだろう。
後には“ディスクファックス”と呼ばれるマシンもディスクライターとともに併設され、青いディスクカードに保存されたスコアなどのセーブデータを任天堂に送信することができた。これはネット対戦の先駆けのような試みで、腕に覚えのあるプレイヤーたちがこぞって参加していたように記憶している。というのも、ゲームによってさまざまな賞品がもらえたからだ。
対応ゲームには『ゴルフJAPANコース』、『ゴルフUSコース』、『ファミコングランプリ F1レース』、『ファミコングランプリII 3Dホットラリー』のほか、『中山美穂のトキメキハイスクール』といった変わり種もあった。筆者も『F1レース』の賞品のゲーム&ウォッチがほしくて応募したような覚えがある。参加賞のような形で順位を記録したはがきだけが届いたような……。
ディスクシステムでは、『ドラゴンクエスト』の“ふっかつのじゅもん”が世に登場する以前から、ゲームデータのセーブを実現していたというのもなかなかにスゴイ。ちなみに、初めてバッテリーバックアップを採用したゲームソフトは1986年4月発売のスーパーカセットビジョン版『ドラゴンスレイヤー』。ファミコンソフト初なら1987年4月発売の『森田将棋』となるらしい。ゲームソフト以外では、すでにファミリーベーシックが実現していた。
前述の『ゼルダの伝説』のほか、数々の名作がディスクシステムから生まれている。現代にも続く人気シリーズもあれば一点物の傑作も多数存在。以前の記事にも書いたが、『リンクの冒険』、『メトロイド』、『悪魔城ドラキュラ』、『探偵 神宮寺三郎』、『ファミコン探偵倶楽部』、『光神話 パルテナの鏡』、『水晶の龍』、『謎の壁 ブロックくずし』などなど、いくらでも挙げられるほどだ。
また、1986年7月1日はシャープからファミコンとディスクシステムの機能を備えた“ツインファミコン”も発売になっている。一体型のデザインはかっこよく、ゲームキッズ憧れのマシンのひとつだったと言っても過言ではない。