ピクセルリマスター版『FF3』レビュー。ジョブの能力が調整され多彩なジョブが活躍。オートセーブ・中断でクリスタルタワーも怖くない!

byリプ斉トン

更新
ピクセルリマスター版『FF3』レビュー。ジョブの能力が調整され多彩なジョブが活躍。オートセーブ・中断でクリスタルタワーも怖くない!
 『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)の第1作から『VI』までの6作を、グラフィックを一新して移植した『FF ピクセルリマスター』。本稿では、ピクセルリマスター版『FFIII』のプレイレビューをお届けする。
広告
※本記事にはネタバレ要素がありますので、ご注意ください。
 多彩なジョブの中から好きなものを選択し、自分だけのパーティを作れるのが『FFIII』の魅力。当時はイマイチ活躍しづらかったジョブは『ピクセルリマスター』版で能力が大きく調整され、初めて活躍(?)を見せるものも登場している。

 子どもには時間的都合からクリアーが難しかったクリスタルタワー~闇の世界も、中断セーブのおかげで恐れるに足らず! そんなピクセルリマスター版『FFIII』の魅力を、オリジナル版の発売当時にリアルタイムにプレイしていたオジサンライターが、過去を振り返りつつご紹介します。
[IMAGE]サントラ『FINAL FANTASY II PIXEL REMASTER Original Soundtrack』の購入はこちら(Amazon.co.jp)ほかの『FF ピクセルリマスター』シリーズのレビューはこちら

『FF ピクセルリマスター』シリーズ紹介

 『FF ピクセルリマスター』シリーズは、オリジナル版のドット絵を現代風にリファインし、さまざまなシステムに改修を行って現世代機に移植したタイトル。

 『FFI』~『FFVI』の6タイトルともにファミコンとスーパーファミコンで発売されたオリジナル版の内容がベースとなっており、キャラクターやモンスターのドット絵、背景、攻撃や魔法などのエフェクトなど、すべてのグラフィックが現代クオリティーに一新されている。
[IMAGE][IMAGE]
 BGMはオリジナル版の作曲を手掛けた植松伸夫氏が全曲監修を務めるアレンジ版が収録されているほか、オリジナル版にいつでも変更できるのがポイント。アレンジ版で楽しみつつ、印象深いBGMが流れるシーンではオリジナル版に切り換えたりと、2種類のBGMを自由に変更して楽しむことも可能だ。
※Nintendo Switch、PS4、Steam版のみの対応で、スマホ版は非対応[IMAGE]
 そのほか、ゲームを快適にプレイするための便利システムの追加搭載も見逃せない。バトル終了後に手に入る経験値やゴールドなどの倍率を任意に増減できるブースト機能や、敵とのエンカウントをオンオフできる機能、移動速度をアップする機能、バトルスピートをアップしつつ自動でコマンドを入力させるオートバトル機能などが用意されている。

 上記機能を利用すれば、ゲームを非常にサクサク進められる。「改めてプレイしたいけど、もう一度イチからやるだけの時間は……」という人は、この機能を利用して育成などはサクっと行い、ストーリーだけを追体験するといった遊びかたもできるわけだ。
[IMAGE]
『FFII』の熟練度や『FFVI』の魔法修得値などの獲得倍率も、しっかりと変更できる。

 『FF ピクセルリマスター』シリーズは、スマホ(iOS/Android)/Steam版が2021年に、Nintendo Switch/プレイステーション4(PS4)版が2023年に発売。

 エンカウントのオンオフや経験値とギルのブースト機能といった一部機能はNintendo Switch/PS4版から追加されたもので、後日のアップデートによって、スマホ/Steam版にもエンカウントのオンオフ、ブースト機能が追加された。

 ちなみに経験値やギルのブーストは2倍、4倍といった増加に加え、0.5倍、0倍とあえて減らすこともできる。これは低レベルクリアーなどを目指したい人向けの機能。オリジナル版では難しかったやり込みに挑戦するチャンスでもあるわけだ。

 さらに、Nintendo Switch、PS4、Steam版のみ、オリジナル版のイメージに近いピクセルフォント(ドットのようなフォント)やオリジナル版BGMへの切り換え機能を実装。スマホ版の追加要素としては、ゲームパッドでプレイできる機能が加わっている。

 細部は異なるが、基本的なゲーム内容やお助け機能は共通なので、好きなハードのものを購入していいだろう。

『FF ピクセルリマスター』注目機能一覧(一部)

  • ダッシュ機能:通常時の移動速度がアップできる機能。作品によっては“ダッシュ”や“ダッシューズ”をセットするとさらに加速
  • エンカウントのオンオフ:オンにすればボスやイベント戦闘以外のエンカウントバトルが発生しなくなる(一部例外あり)
  • ブースト機能:経験値やゴールドなどの獲得倍率を0倍、0.5倍、1倍、2倍、4倍から選択できる
  • オートバトル:前回入力したコマンドを自動入力させつつ、バトルスピードをアップさせる機能
  • ピクセルフォント:オリジナル版のフォントと、今回用に作成されたピクセルフォントを好きなタイミングで切り換えられる
  • BGM切り換え機能:オリジナル版とアレンジ版のBGMを好きなタイミングで切り換えられる
  • マップ機能:好きなタイミングで世界地図や街・ダンジョンのマップを確認できる。そのマップで獲得できる宝箱や隠されたアイテムも表示される
  • モンスター図鑑:バトルで出会ったモンスターの詳細データが確認できる
  • サウンドプレイヤー:その作品に登場するBGMが聴ける機能
  • イラストギャラリー:設定資料などのイラストがチェックできる。天野喜孝氏監修
  • オートセーブ:画面が切り換わったタイミングなどでオートセーブが行われるように。バトルで全滅した場合、そこから再開できる。ちなみにセーブデータの個数は各タイトル最大20個まで
『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』公式サイトはこちら

飛空艇で岩に突撃するのはいま考えるとかなりアグレッシブ

「 『FF』シリーズの中でいちばん思い出深いのは?」と聞かれたときに自分が「これ」と答えるのが『FFIII』です。

 たしか小学生くらいのころにファミコンでプレイしていた記憶がありますが、小学生だった自分にとってはゲームの後半の難度が高すぎてクリアーできなかったんですよね。

 とくに、暗黒剣以外で殴ると敵が増える暗黒の洞窟や、竜騎士を使わないと苦戦必死のガルーダ。それに加え、セーブポイントがないため時間的都合でクリアーできなかったラストダンジョンなど、いろいろな難所がありました。

 当時は攻略は攻略本や友だちのアドバイスを参考にするくらしかできなかったのですが、攻略本は買うお金がなく、友だちのアドバイスも当てにならない(あるあるですが、嘘情報を教えてくる奴がいる)ため、攻略に苦戦していた記憶があります。

[IMAGE]
高火力で蹂躙してくる2ヘッドドラゴンの恐ろしさは『ピクセルリマスター』でも健在!

 ラストダンジョンの闇の世界まではなんとか進めたものの、当時はレベル上げという概念が身についておらず、闇の世界にたどり着いたころには回復アイテムも枯渇し、アーリマンや2ヘッドドラゴンあたりでジリ貧になって全滅、というのをくり返していたことを覚えています。

 たしか、高校生くらいになってから改めてプレイしてクリアーしたんだっけかな?

 苦戦してプレイしたため記憶に根深いこともありますが、それに加え、シナリオ面の演出やイベントにもインパクトのあるものが揃っていたというのも思い出深いです。

 たとえば、序盤でいきなり飛空艇が手に入ることにかなりびっくりした記憶があります。「こんなに早く全世界が移動できるのか!?」と思いきや、大岩に突撃してコナゴナに……。

 いま思い返すと「いやいやそんなに数ないんだし、扱い軽すぎないか? 世界的な損失だろ」みたいな感想が湧き出します。シド、ちょっと脳筋すぎやしませんかね……。

[IMAGE]
飛空艇技士なる仕事があるようなので、ゲーム中では語られていませんが、飛空艇はそれほどレアなものではない可能性もあります。しかたのないコストだったのかも。

 
そのほか、浮遊大陸を初めて出たときに一面の大海原が広がり、『果てしなき大海原』の音楽が流れたときの衝撃は、いまでも覚えています。オリジナル版ではどこに行けばいいのかわからなくて、しばらく迷子になっていたのもいい思い出。『ピクセルリマスター』版ではマップが表示されているので、迷うことはありません。

 
原曲もですが、アレンジ版の『果てしなき大海原』もかなりの名曲に仕上がっているので、ぜひサウンドプレイヤーで聴いてほしいところです。

[IMAGE]
大陸復活イベント後は飛空艇に乗ってもふつうのBGMになるので、ここだけの専用演出なんでしょうか。粋ですね。

 もうひとつ印象深いのは、そのあとの水のクリスタルを手に入れたあとに大陸が水の中から現れるイベントですね。水のクリスタルのジョブも手に入れ、つぎなる冒険を想像して非常にワクワクしていた記憶があります。

[IMAGE][IMAGE]
その後、ゴールドルの館ですぐにつぎのクリスタルを見つけたので、「もうつぎのジョブが!?」と思った刹那、クリスタルが破壊されてしまいショックを受けました。
[IMAGE]
ガルーダ戦では竜騎士4人のジャンプで強引に突破していたのも印象深い。攻略法がわかればすごく楽なんですよね。なんか終盤みたいなダメージを叩き出しているんですけど、大丈夫ですか。

 これらのシーンは、
『ピクセルリマスター』版ではオリジナル版の魅力を残しつつ、迫力ある演出に仕上がっています。オリジナル版をプレイしたことがある人なら、「そうそう、これこれ」と昔を懐かしみつつ思い出に浸れるはずです。

[IMAGE]
オープニングに演出が加わるなど、ストーリーに若干の補完がされているのもポイント。
[IMAGE][IMAGE]
シリーズおなじみのモーグリは『FFIII』で初登場。「ニャー」と鳴くなど、まだキャラクターが定まっていないころ。

バランス調整で各ジョブが活躍しやすく!

 『ピクセルリマスター』版はオリジナル版をベースとしていますが、原作の遊びづらかったところや不具合など、さまざまなところに改良が加えられています。

 基本的には軽い改良に留まっていますが、
『FFIII』ではゲームバランスにかなりの調整が加えられていることもお伝えしておきたいポイントです。とくに火のクリスタルと水のクリスタルのジョブが顕著で、筆者としては以下の要素にかなり助けられました。
[IMAGE]
 『FFV』で猛威を振るった“みだれうち”が、狩人の専用コマンドとして追加されました。性能はランダムに4回攻撃を行うもので、雑魚散らしだけでなくボス戦でも活躍してくれます。

 ただし、みだれうちが使える代わりに、白魔法は使えなくなりました。まあ、ええやろ。

[IMAGE]
 そのほか、魔剣士に追加された“ぜんぎり”も活躍。敵全体を一度に攻撃できるので、雑魚戦で活躍してくれます。

 魔剣士といえば古代遺跡や暗黒の洞窟専用ジョブという印象がありましたが、このぜんぎりのおかげで幅広いシーンで活躍してくれたのが助かりました。

 この魔剣士も、ぜんぎりが追加された代わりに白魔法が使えなくなりました。まあ、ええやろ。

[IMAGE]
 あと、特筆したいのが、吟遊詩人です。吟遊詩人は戦闘をくり返して熟練度が上がる“歌”を覚えるのですが、このなかでパーティ全員のHPを回復する”いやしの歌”がかなり強力!

 MPなどを消費することもなく毎ターン使用できるので、終盤でもかなり重宝しました(しかも、ターンの最初に必ず行動するので安定感あり)。

 
 『ピクセルリマスター』版ではジョブを変えるときに“キャパシティーポイント”が不要になったので、道中とボス戦でジョブを好きなように切り換えて戦えるようになったのもうれしい点ですね。ただし、MPは回復の必要あり。

[IMAGE]
吟遊詩人は、そのほかの戦いの歌、守りの歌も頼れる。

 オリジナル版では、終盤までナイト、空手家、白魔道士、黒魔道士、ガルーダ戦で全員竜騎士、暗黒の洞窟で3人魔剣士でひとりが白魔道士、最後は忍者、忍者、賢者、賢者という編成になりがちでしたが、
『ピクセルリマスター』版は編成の自由度が高く、いろいろなジョブでプレイしてほしいというの開発者さんの意図が感じられて非常にグッドです。

 忍者は相変わらずの強さですが、すべての魔法を使える賢者は魔人や導師よりも各レベルのMPが低いという調整になっています。

 汎用性を取るのか、MPの高さを取るのかといった要素で悩めるようになったのは、良調整と言えるでしょう。

[IMAGE]
最終的には、忍者・忍者・賢者・導師になりました。

都市伝説級のオニオン装備

 さらに、『FFIII』の特徴といえば、最弱だけど最終的に最強になるたまねぎ剣士の存在でしょうか。

 ステータスは全ジョブ最弱ですが、レベル90あたりからモリモリステータスが上昇するようになり、最終的には忍者より強くなれるというのが特徴でした。
[IMAGE]
レベル60くらいのころでも非常に弱い。
 また、たまねぎ剣士専用のオニオン装備の存在もかなり話題に。

 これはクリスタルタワーに出現する3色のドラゴンを倒したあとに拾えることがあるのですが、レベルが低いたまねぎ剣士でも、これを装備すれば十分に活躍できるほどの効果を秘めています。レベルが99になってオニオン装備をセットすれば、まさに無双!

 3色ドラゴンはオリジナル版では出現率が低いレアモンスター扱いですが、
『ピクセルリマスター』版では出現率が大幅にアップしている模様。そのため、オニオン装備はオリジナル版よりは手に入りやすいはず。
[IMAGE]
 このオニオン装備ですが、オリジナル版プレイ当時は情報が少なく、なかば都市伝説のような扱いになっていたのも懐かしい思い出です。

 友だちがいつの間にか偶然オニオンソードを拾っていたようで、あそこで拾った、あいつが落としたなど、さまざまな憶測が広がっていました。

 上でも書きましたが、けっこう適当な嘘をつく奴がクラスにひとりはいたもので、真実と嘘がごっちゃごちゃになってけっきょく入手できないままになっていた記憶があります。

 あと、これはゲームメディアで書いていいか分からないネタなのですが(けっきょく載せられたんでセーフなんだと思いますけど)、バグ技を使ってオニオン装備を生成するような裏技があった気がしています。

 たしか、ポーションを99個持った状態で道具欄をどうにかするとアイテムがオニオン装備に変化したような気が……。

 正攻法よりもこっちのバグ技のほうが有名になっていて、祭壇の洞窟でオニオン装備を量産していたものです。

 しかし、インターネットもない時代にこういうネタは誰が見つけて誰が広めたんでしょうね。当時のゲームファンたちの情報収集能力の高さに驚きます。

 ちなみに、このバグ技は
『ピクセルリマスター』版では存在しません。同じ操作を行っても何も起こらないのでご注意を。
[IMAGE]
今回は集めなかったけど、運よくオニオレットがドロップしました。

 ジョブによるパーティ編成のカスタマイズが最大の魅力である
『FFIII』。『ピクセルリマスター』版では活躍できなかったジョブに大幅な調整が入り、オリジナル版以上に多彩なパーティ編成が行えるようになりました。

 オリジナル版ではなかばお約束となっていたパーティ以外の編成でも十分にプレイできるので、過去とは違う編成でのプレイが楽しめるはずです。

 イベントシーンの演出も強化されており、そのイベントを見れば、当時の思い出が色鮮やかに蘇るはず。マップの長さが鬼畜と呼ばれたラストダンジョンでも中断セーブが可能になっているので、過去にクリアーできなかったという人も、いま一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
[IMAGE]
当時はエリクサー使えないタイプの人間だったのですが、大人になったいまではバンバン使います。もったいぶらずに使うことで、機会損失を回避するんです。う~ん、めっちゃ大人。
[IMAGE]
ちなみに、浮遊大陸を出た直後にクリスタルタワーのある場所に行くと、ちょっとだけ塔の頭が出ているんですよね。こだわりポイントは『ピクセルリマスター』でも再現。

 ちなみに、筆者が称賛したい調整点をもうひとつ。フィールドマップにあった即死ポイントがなくなっているんです! 浮遊草の靴を持たないでゴールドルの館の底なし沼に入ったり、牙を使って古代の像を破壊するポイントに飛空艇で入ったりすると、オリジナル版は問答無用でゲームオーバーになっていました。

 ですが
『ピクセルリマスター』版では1歩戻されるだけになっているので安心。これを知らないせいでかなり戻された人もいるんじゃないでしょうか。

 プレイする際には、わざと即死していたタイミングで指定の場所を訪れて、即死を回避できることをチェックしてほしいところ!

[IMAGE]
お前のせいで水の洞窟のあのシーンを2回見るはめになったんだよぉ~。

ピクセルリマスター版『FF』シリーズレビューはこちら

サントラ『FINAL FANTASY II PIXEL REMASTER Original Soundtrack』の購入はこちら(Amazon.co.jp)
      この記事を共有

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

      週刊ファミ通
      購入する
      電子版を購入