『餓狼伝説CotW』試遊レビュー。『餓狼MOW』を継承しつつ大ダメージを狙える“REVシステム”がアツい。簡易操作モードで伝わってきたSNKの本気【EVO Japan 2024】

by西川くん

更新
『餓狼伝説CotW』試遊レビュー。『餓狼MOW』を継承しつつ大ダメージを狙える“REVシステム”がアツい。簡易操作モードで伝わってきたSNKの本気【EVO Japan 2024】
 2024年4月27日~29日に開催された対戦格闘ゲームイベント“EVO Japan 2024”。SNKブースでは、2025年初頭発売予定の新作格闘ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』(以下、『餓狼CotW』)の試遊会が行われた。

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 ブースには複数の試遊台が設置されていたほか、シリーズを代表するキャラクター“テリー・ボガード”のパネルと記念撮影スペースも。また、ブース裏にはシリーズ歴代のメインビジュアルを観賞でき、アンケートやX(Twitter)への投稿でトートバッグやクリアファイルをもらうこともできた。

 試遊は約30分ほどの時間が設けられていたが、その人気ぶりから100分待ちは当たり前の長蛇の列に。途中から約15分ほどの試遊時間に縮められるほど、対戦格闘ゲームファンからの高い注目を浴びていたようだ。

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『餓狼CotW』とは?

 『餓狼伝説』シリーズはSNKを代表する対戦格闘ゲーム。1999年にリリースされた『餓狼 MARK OF THE WOLVES』(以下、『餓狼MOW』)を最後に動きが長らく途絶えていたところ、満を持して新作が登場する。

 シリーズ作品は知らずとも、SNKを代表する『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズ(以下、『KOF』)や、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』へのテリー参戦など、客演でキャラクターたちのことは知っている人も少なくないだろう。

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 『餓狼CotW』は『餓狼MOW』のエッセンスを取り入れた正統進化作品といった様相で、システムや世界観も『餓狼MOW』を引き継いでいる。

 『餓狼MOW』はストーリーも魅力。続きが気になる感じでエンディングを迎えていたのだが現在もまだ語られていない。それが今回、約26年越しに「続きがようやく語られるのでは?」ということで、ファンも大きな期待を寄せている。それが『餓狼CotW』なのだ。

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試遊の感想&システム解説

 実際に試遊してみての感想を述べつつ、システムや操作方法について解説しよう。なお、すべて調整中のものなので、製品版の際には仕様などが異なる場合がある。

 グラフィックは『KOF XV』などに近い3Dグラフィックで、昨今のSNKタイトルのノウハウが活かされている。一部シーンで独特のフィルターが掛かり、マンガ的なエフェクトにトーンのような表現が混ざっていたりと、マンガやアメコミ調の個性的なアートスタイルを実現している。

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 ビジュアルは現在もブラッシュアップを続けている最中のようだ。以前プレイ映像が公開されたときは「バスターウルフ(テリーの超必殺技)がダサい」と悪い意味で評判になってしまったが、今回の試遊版ではかなりかっこよく磨き上げられていた。ファンたちからも「カッコいい!」との声が聞こえ始めており、今後もよりグラフィックや演出の部分もレベルアップしていくのではないだろうか。

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初心者向けの操作方法も登場

 操作方法は2種類。“アーケードスタイル”はオーソドックスなSNKタイトルらしい操作形態で、スティック操作での移動と、弱・強パンチ、弱・強キックで戦っていく。『餓狼MOW』や『KOF』シリーズを遊んでいた人ならすんなり馴染めるだろう。

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 もうひとつが、初心者でも遊びやすい“スマートスタイル”。基本攻撃はパンチボタン、キックボタン、必殺技ボタンにまとまっていて、必殺技もワンボタンでくり出せる。昨今の対戦格闘ゲームではよく取り入れられる、難しいコマンド入力などをせずとも戦える操作形態だ。

 パンチ&キックボタンは弱と強の任意の使い分けはできないが、基本は弱版で一部の動作には強版が割り振られているなど、ワンボタンで攻撃をある程度使い分けできるような仕組み。

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 必殺技ボタンは、スティック入力を入れるか入れないかで、各種必殺技の使い分けが可能。ワンボタンでくり出せるので初心者でも遊びやすいし、とっさの行動もかなり取りやすい。弱点としては弱版しか発動できず、強版が出せないこと。とはいえ、威力はアーケードスタイルと変わらない。

 また、スマートコンボボタンが存在し、ボタン連打だけで自動的にコンボを叩き込んでくれる。立ち状態はオーソドックスなコンボを、しゃがみ状態ではまた異なるコンボがくり出せる。しゃがみ版は“最後に自分で超必殺技を入れられる”など、ちょっとした工夫の余地が残されていた。

 超必殺技なども難しいコマンド入力は必要とせず、ボタンの組み合わせで発動可能。ほかのシステムもほとんど使用できるので、スマートスタイルだけでも十分戦えそうだ。ただし、技を途中で止めて性能を変えられる“ブレーキング”と、技を出すフリをする“フェイント”だけは、スマートスタイルでは使用不可。

 かなりテクニカルかつ上級者向けのシステムゆえに、初心者が使いこなす必要もないので、おそらくオミットされているのだろう。ブレーキングとフェイントが使いこなせる人ならアーケードスタイルで十分戦えるだろうし。

『餓狼MOW』より継承されたシステム

 遊んでみた感触は、やはり『餓狼MOW』にかなり近かった。対戦前には体力バーの序盤、中盤、終盤いずれかに“S.P.G.ゾーン”を設定。ゾーンに体力バーが触れると攻撃力アップやシステム解放、体力の回復などができるようになる。序盤に強い状態を作るのか、それとも終盤で逆転を狙うのか。そういった駆け引きを担う独特のシステムだ。『餓狼MOW』の“T.O.P.システム”とほぼ同じ。

 ほかにも、攻撃が当たる直前でガードすると有利な効果を得られる“ジャストディフェンス”や攻防一体の“上段避け攻撃”、“下段避け攻撃”など、
『餓狼MOW』より多くのシステムが継承されている。

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S.P.G.システム。体力バーに設定されたタイミングで自身が強化される、チャンスタイムだ。


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ジャストディフェンス。通常ガードよりも有利な効果が得られる。

 弱パンチ、強パンチ、強パンチ、強キック~と、全キャラクター共通の操作で連続攻撃を叩き込める“コンビネーションアタック”も存在。実際に触れてみたところ、どちらかというと元来の『リアルバウト餓狼伝説』シリーズに近い印象を受けた。

 スマートスタイル操作ではパンチボタンの連打だけでくり出せるのもうれしいところ。ただし、スマートスタイルではコンビネーションアタックの派生はできない。派生攻撃はアーケードスタイルの専売特許。

 小ジャンプもしっかり用意されており、簡易入力が用意されていたのも好印象。難しい操作を必要とせずに、空中からガンガン攻めたりできるため、地味ながらにとてもいい要素だ。

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『餓狼CotW』の新システム

 本作では超必殺技ゲージ(パワーゲージ)のほかに、“REVゲージ”を使用する“REV”システムが多数搭載されている。

 REVゲージは0~100%で表示され、各種システムを使用するとゲージが上昇。一定時間経過や移動・攻撃などで、徐々に0%に戻っていく。100%に到達すると“オーバーヒート”状態となり、一定時間REVシステムが使用できなくなるほか、相手の攻撃をガードし続けると“ガードクラッシュ”を引き起こしてしまう。

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画面左下の47%と書かれているゲージがREVゲージ。


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最大まで溜まるとオーバーヒート状態に。キャラクターの身体の周囲も赤くなる。

攻防一体の攻撃・REVブロウ

 相手の攻撃を受け流しながら強烈な一撃を叩き込める“REVブロウ”。強力かつ手軽に使えるが、REVゲージの使用量は大きめだった。空中でも使用できるのがさらに強力で、相手の対空攻撃なども受け流せる。対戦の立ち回りではとくに重要になりそうなシステムだった。

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相手の攻撃を受け流してから……。


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そのまま反撃。空中からの攻め込む際には、とくに強そうな印象だった。

いわゆるEX技・REVアーツ

 ボタンふたつ同時押しで必殺技を放つと“REVアーツ”となり、その必殺技の強化版を使用できる。『KOF』シリーズなどでも採用されている、いわゆるEX必殺技に近い。

 REVアーツは、ほかの必殺技のREVアーツ、またはREVブロウにつなげるように連続してくり出せる。これを“REVアクセル”と言い、REVゲージの使用量は大きくなるものの、強力なコンボが狙えるため本作の要となるシステムだ。

 試遊版での印象は、ふつうに立ち回っていると「全体的にダメージが低めだな」と感じるのだが、REVアクセルと超必殺技を絡めると体力の7割~8割は減って当たり前の大ダメージに。調整中のバージョンゆえに、さすがに減りすぎな印象も受けたが、ダメージを取っていくうえで今後も重要そうだ。

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SNKの新たな柱となるか

 ほかにもいくつかシステムはあるが、細かな要素ゆえに体験できなかった部分もあるので割愛。全体的には非常に爽快なバトルが楽しめるだけでなく、スマートスタイルでの操作はかなり心地よく、ほどよく研究の余地も残されているのが好印象。
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 キャラクターの使用感は、
『餓狼MOW』より引き続き登場するキャラクターたちはだいたい同じ。筆者はグリフォンマスクが好きなので、あの“うるさい感じ”もそのままだったのはとてもうれしかった。
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 新キャラクターのプリチャはジョー・ヒガシの一番弟子。ムエタイと竜巻を組み合わせた感じは、遊ぶ前は「バトルスタイルもジョー・ヒガシそのままなのかな?」と思っていたが、触ってみたところかなり独特のバトルスタイルだった。
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 本作はもちろんシリーズファンの期待に応えるべく作られてはいると思うが、スマートスタイルの登場などもあり、新しいファンを増やしたいSNKの気合が感じられる。

 現在、SNKの柱は
『KOF』シリーズだろう。3on3のチームバトルが魅力のシリーズだが、3キャラクターを使いこなすことが前提ということもあり、本格的には遊ぶには初心者にとってハードルが高い(シングルバトルもあるが、対戦の主流ではない)。

 2019年に発売された『サムライスピリッツ』は1対1だが、対戦格闘ゲームというジャンルの中でもやや特殊な位置付けだ。1発食らえば即死級の緊張感が味わえるのが魅力だけに、「初心者でも遊びやすいゲームですよ」とは言い難い。

 こう見ると、SNKの中心には誰でも気軽に入り込めるような対戦格闘ゲームがないように思えるのだ(あくまで筆者の感覚)。そこを強化するのが
『餓狼伝説 City of the Wolves』の狙いなんだろうと、今回の試遊を通して感じられた。

 イベント期間中に発表されたマルコなど、おそらくまだまだ登場キャラクターが隠されていると思うので、続報とともに2025年初頭の発売を楽しみに待ちたい。

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