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『UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも』レビュー。作り手のグレンダイザー愛が詰め込まれた快作。練りに練られたアクションがなかなかにおもしろい!

byQマイン

更新
『UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも』レビュー。作り手のグレンダイザー愛が詰め込まれた快作。練りに練られたアクションがなかなかにおもしろい!
 3gooより2024年4月18日に発売されたプレイステーション5、プレイステーション4用ソフト『UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも』(※)。
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※Xbox Series X|S版とSteam版は2023年11月15日にMicroidsより発売。Nintendo Switch版は2024年発売予定。 [IMAGE]

 永井豪原作の大人気ロボットアニメ
『UFOロボ グレンダイザー』のテレビシリーズを題材にしたアクションアドベンチャー。本作はデューク・フリードと彼が操作する巨大ロボット“グレンダイザー”の戦いを追体験できる作品だ。

 そんな本作をひと足先にプレイする機会を得たので、本記事にてプレイレビューをお届け。見どころであるアクションやフィールドギミックを中心に紹介していく。

●『UFOロボ グレンダイザー』とは
 アニメ『UFOロボ グレンダイザー』は、1975年から1977年にかけて放送されたテレビアニメ『マジンガー』シリーズ(1作目は『マジンガーZ』、2作目は『グレートマジンガー』)の3作目。主人公のデューク・フリードと彼が操るグレンダイザーが、第二の故郷である地球を守るために “ベガ星連合軍”と死闘をくり広げる。

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 グレンダイザーは人気シミュレーションゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズにも頻繁に参戦しているため、ロボットアニメ好きにはおなじみの存在。そんなグレンダイザーだが、じつは海外のおもにフランス、イタリア、イラクなどで絶大な人気を誇っている。フランスでは2021年にグレンダイザーの“放映45年記念展覧会”が開催されたり、マンガが創刊されたりと、多くの人に愛されている。何を隠そう、本作の開発を手掛けたのもフランスのゲーム開発会社なのだ。

 海外のグレンダイザー熱は日本にも伝播している。今年にはリメイク作の
『グレンダイザーU』の放送が予定されており、グレンダイザー誕生の地である日本で新たな伝説が始まろうとしているのだ。

【関連記事】アニメ『グレンダイザーU』2024年に放送決定。『UFOロボグレンダイザー』約50年越しのリブート作品。キャラデザは『エヴァ』貞本義行、音楽は田中公平
※本記事は3gooの提供でお届けしています。

丁寧に作られた追体験できるストーリーとこだわりの演出

 物語はベガ星雲にあるフリード星から始まる。この日、フリード星では、本作の主人公でフリード星の王子デューク・フリードと、ベガ帝国の継承者であるルビーナとの結婚式が執り行われていた。その最中、ベガ大王率いるベガ星連合軍がフリード星に進軍。豊かな大地は戦火の炎に包まれる。デュークはフリード星の守護神、グレンダイザーを起動し、ひとりベガ星連合軍に立ち向かうのだった。

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 物語の導入が終わると、チュートリアルがスタート。フリード星を救いながらグレンダイザーの操作を学んでいく。本作のアクションについては後述する。

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 フリード星の住人の脱出を助けながら目的地である宮殿へ向かうと、 “円盤獣フイフイ”が出現。円盤獣は宇宙生物を改造したベガ星連合軍のロボットで、さまざまな場面で対峙することになるボス敵だ。このボスが思いのほか強く、筆者はまさかの敗北を喫するが、どうやら負けイベントだったらしい。ムービーへと移行し、圧倒的な戦力の前に膝をつくグレンダイザーが映し出された。あまりの絶望的な状況に、テレビの前で見ている子どものように「がんばれぇ!」と応援したくなってしまった。

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 グレンダイザーがベガ星連合軍の手に渡ることを恐れたデュークは“戦闘円盤スペイザー”とドッキングしてフリード星からの脱出を図る。戦闘円盤スペイザーはグレンダイザーが飛行する際に用いるメカ。ドッキング時にはアニメさながらの専用演出もあり、毎回魅入ってしまう。本作のムービーは気合いの入りようがすごいので一見の価値ありだ。

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 ここからは、ベガ星連合軍の追っ手から逃げるTPS視点のシューティングパートに移行。いわゆるレールシューターで、複数の武装と回避を使いながら目的地への到達を目指す。スペイザー形態でのシューティングはストーリーの合間に発生。このほかにも見下ろし型の縦スクロールシューティングのパートもあり、ゲームモードのバラエティーが豊かなのも大きな魅力だ。

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スペイザー形態のグレンダイザーを操作するTPS視点のシューティングパート。
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見下ろし型の縦スクロールシューティングパート。射撃速度や攻撃範囲を高める強化アイテムがあったり、敵の攻撃が激しくて弾幕ゲーになったりなど、古きよき縦スクロールシューティングの要素が楽しめる。こちらもストーリーの合間に挑戦することに。

 シューティングパートが終わり、ベガ星連合軍から逃げ切ったデュークは地球へと流れ着く。その後、デュークは宇宙科学研究所の所長である宇門源蔵の養子、宇門大介となり、つかの間の平穏なときを過ごしていた。しかし、ベガ星連合軍が地球の資源を狙って侵攻開始。それを知ったデュークは第二の故郷である地球を守るべく、ふたたびグレンダイザーで戦うことに。

 こうして本編がスタートする。このように本作はアニメで放送されたデュークとグレンダイザーの戦いを追体験できるストーリーになっており、ムービーや演出にも並々ならぬこだわりが詰まっている。かつてアニメを見ていた人は懐かしさを感じられて、初めての人はグレンダイザーの物語をハイクオリティーな3DCGとムービーで楽しむことができるのだ。

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デュークがパイロットスーツを着用し、グレンダイザーで発進するシーンも完全再現。ファンにとってはたまらない内容だ。

グレンダイザーの魅力をうまく落とし込んだアクション

 シューティングパートもある本作だが、いちばんの見どころは何と言ってもグレンダイザーで戦うアクションパートだろう。プレイヤーはデュークとしてグレンダイザーを操作し、地球を侵略するベガ星連合軍と戦いをくり広げていく。

 グレンダイザーの基本攻撃は隙の少ないパンチ(弱攻撃)と、隙が大きい代わりに威力の高いダブルハーケン(強攻撃)のふたつ。どちらもボタンを連打することでコンボが繋がり、爽快感抜群の戦闘を楽しめる。

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 さらにパンチとダブルハーケンで敵を攻撃すると、画面左上にあるエネルギーゲージが上昇する。これを消費することで、反重力ストームを始めとした強力な武装をくり出せるのだ。エネルギーを消費してくり出せるおもな武装は以下のとおり。

・反重力ストーム
胸部から反重力光線を照射する中距離攻撃。敵のガードを崩したり、動きを一定時間止めたりできる。

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・ダイザーパンチ
右腕を前方に射出する中距離攻撃。射出した腕が無防備のザコ敵に命中すると、その敵を自身の目の前に引き寄せて投げ技へと派生する。

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・ショルダーブーメラン
グレンダイザーの両肩にある三日月型ブレードを分離し、敵に向かって射出する遠距離攻撃。追尾性能が高く、空を飛んでいる敵をラクに倒せる。

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・スペースサンダー
これはエネルギーゲージではなく、スキルツリーで解放されるサンダーゲージを消費して放つ必殺技。ザコ敵であれば一撃で倒せる。ボスの場合は大ダメージを与えられる。

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 エネルギーゲージを消費する武装は、コンボに変化をもたらしたり、反撃の突破口を作り出したりと、幅広いプレイスタイルを可能にしてくれる。また武装以外にも、エネルギーゲージは装甲(HP)を回復するのにも使用する。装甲回復はいつでも好きなときに使えるため、戦闘中でも敵から距離さえ取れれば簡単に戦況の立て直しが可能。ちなみにグレンダイザーには回避のアクションもあり、相手の攻撃を寸前でかわすと敵の動きがスローになるジャスト回避が発動する。

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 グレンダイザーは重厚感のある見た目に反して、動きは軽快で動かすのがかなり気持ちいい。操作性のよさに、ついつい深追いして攻撃する場面もしばしば。

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 多彩な武装があったり、操作性がよかったりと、グレンダイザーはかなり頼もしい存在だが、対峙するベガ星連合軍も一筋縄では行かない。ザコ敵の中には、バリアーでダメージを一時的に無効化する者もいる。そういった敵は、HPゲージの上に武装アイコンがいくつか表示される。対応する武装を当てることでアイコンが消えていき、すべて消せればバリアーが解除されてダメージが通るようになる。その都度、敵に応じた立ち回りが必要になるので、「このコンボなら効率よくダメージを与えられるかも」など、あれこれ考えながら戦うのがとても楽しい。

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 宿敵である円盤獣とのボス戦はザコ敵とは違った魅力がある。ボスには体力ゲージに加え、ひるみゲージが存在。ひるみゲージはこちらが攻撃を与えると徐々に溜まっていき、満タンになるとボスが一定時間無防備に陥って大ダメージを与えるチャンスに。そのため、ボス戦では回避と攻撃を併用しながら体力を削りつつ、ひるみゲージを溜めていくのが基本的な立ち回りになる。

 ただしボスの攻撃は苛烈で、通常時は連続で攻撃を叩き込める隙が少ない。戦っていてやきもきさせられる場面もあるが、ひるみゲージによるダウンで一気にダメージを与えるため、プレイヤーは苦戦しながらも気持ちよく戦うことが可能だ。

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探索要素満載のフィールドとスキルツリーによる強化要素にも注目

 戦いの舞台となる地球は、宇宙科学研究所(拠点)、平原、峡谷、群島など、複数のマップで構成されている。宇宙科学研究所以外のマップには敵が跋扈しているほか、以下の要素がある。

■マップにあるおもな要素

  • さまざまなミッション
  • グレンダイザーの強化素材
  • デュークが地球の自然や名所に想いを馳せる収集要素“黙想地点”
  • ファストトラベル機能がある“電波塔”
  • 敵との連戦が楽しめる“前哨基地”

 本作はマップクリアー型で、そのマップのミッションをすべてクリアーするとストーリーが進み、新たなマップが解放される仕組み。電波塔を使えばクリアー済みのマップに戻ることができ、取り忘れた強化素材や収集要素を探すことも。

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 ミッションはベガ星連合軍の悪巧みを阻止したり、地球の人々に手を貸して絆を深めたりとバリエーションが豊富。デュークの正義のヒーローぶりがこれでもかと描かれているので、プレイする度に「今度はどんなミッションが発生するんだろう」とワクワクさせられる。

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黙想地点ではデュークが地球の自然に想いを馳せる姿が見られる。彼がどれだけ地球を愛しているのかがうまく表現されている。

 フィールドにある要素の中でもとくに重要なのが、グレンダイザーの強化素材だ。これはフィールドにあるギミックを攻略したり、敵を倒したりすると手に入る。強化はスキルツリー形式。スキルを強化すると各武装に追加効果を付与したり、スペースサンダーを始めとした新武装を解放したりでき、プレイスタイルの幅をさらに広げることが可能。

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強化は宇宙科学研究所にいる職員“山田”に話しかけて行う。
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スキルツリーで解放できるハンドビームは、ジャスト回避時に追加攻撃を行う武装。敵のバリアーを解除するのに必要な攻撃を2回分スキップできるため、敵のせん滅がかなりラクになる。筆者イチ押しのスキルだ。

作り手のグレンダイザー愛がすごい一作。キャラゲーだからと食わず嫌いするのはよくないほどのデキ

 プレイしていてつねに感じたのは、作り手の並々ならぬ熱意。本作は「ただ人気だからグレンダイザーを題材にしてゲームを作った」ではなく、「グレンダイザーが好きすぎてゲームにしてみた」というタイプの作品。本作の要素の中でも筆者はムービーなどの演出とグレンダイザーのアクションに感動させられた。

 ストーリーに挿入されるムービーはいずれも丁寧に作られていて、アニメ本編を見ているかのようなクオリティーがあり、ついつい魅入ってしまうほどだ。グレンダイザーの発進やスペイザーとのドッキングも見応え満点! さらに地球を愛するデュークの魅力も、ミッションや収集要素にたっぷり盛り込まれていて、開発陣の「デューク・フリードという人物のよさを知ってほしい」という想いが伝わってきた気がする。

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 グレンダイザーのアクションもかなりよかった。回避を織り交ぜたスピード感のある戦闘や多彩な武装を組み合わせてコンボを繋げる気持ちよさ、敵に応じて立ち回りを変える戦略性など、アクションゲームのおもしろい要素がしっかり詰め込まれていて、グレンダイザーを知らない人でも遊べるクオリティーに仕上がっている印象を受けた。

  「キャラゲーだから」「グレンダイザーを知らないから」と、食わず嫌いするのはもったいないのでは? と思えるぐらい作り込まれている。また攻撃モーションや武装の特徴もうまく表現されており、“グレンダイザーでアクションゲームを行う意味”がしっかりと成されていたのも印象深い。ちなみに難度は簡単過ぎず難し過ぎない、いい塩梅。逆にソウルライクなどの高難度が好きな人にとってはかなり物足りないかもしれない。

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 一点気になったのは、反重力ストーム、ダイザーパンチ、ショルダーブーメランなどをくり出す際、デュークが毎回叫ぶことだ。武装名を叫ぶのはロボットアニメではお決まりの要素だが、結構な頻度でこれらの武装をくり出すことになるため、プレイしていてかなりのクドさを感じてしまった。

 そんな作り手のグレンダイザー愛がたっぷり詰め込まれた『UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも』。グレンダイザーを知っている人も、知らない人も、この機会にぜひプレイして、地球のために命を懸けて戦うデューク・フリードの勇姿をその目に焼き付けてほしい。

UFOロボ グレンダイザー:たとえ我が命つきるとも

対応プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4
発売日:2024年4月18日
発売元:3goo
開発元:Endroad
価格:6380円[税込]、コレクターズエディション(パッケージ版)8778円[税込]
ジャンル:アクション・アドベンチャー
対象年齢:CERO 全年齢対象
備考:Xbox Series X|S版とSteam版は2023年11月15日にMicroidsより発売。Nintendo Switch版は2024年発売予定

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