そんなところに、開発段階のものを発売直前のタイミングでプレイさせていただく機会をいただいた。「行かないわけがない!」と、『鬼滅の刃』好き編集者たちと発売元であるアニプレックスさんへ乗り込み、その全貌を確認してきた。
結果、全員がこのような感じになった。
真顔も真顔。超真剣かつ熱い激闘をアニプレックスの会議室でくり広げたことをあらかじめご報告しておこう。
最大4人で『鬼滅の刃』の世界を遊びつくせ!
本作は、アニメ『鬼滅の刃』の世界で鬼の討伐を目指すボードゲーム。オフライン/オンラインのマルチプレイに対応しており、最大4人でプレイ可能だ(人数が足りない場合はNPCが参加)。便利なアイテムを買える“隊貨”を稼いだり鬼を討伐したりしながら進め、決められたターン数でもっとも“昇格ポイント”を得たプレイヤーが勝者となる。
基本ルールは単純明快だ。これなら家族でも遊びやすい。
順番にサイコロを振り、止まったマスによってさまざまなイベントが発生。全員がサイコロを振り終わると1ターン終了となり、事前に設定したターン数が経過するとドキドキの結果発表! 道中ではさまざまなミニゲームや鬼との戦いが待っており、取材陣も仕事を一時忘れて熱中するくらい、わいわいと遊べる楽しい1本だ。
“取材を忘れて”は慣用表現だと思うだろう。本当なのである。
プレイアブルキャラクターは全部で12人
プレイヤーが操作できるのはアニメ『鬼滅の刃』に登場するキャラクターたち。竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助に柱全員を加えた、以下の12人から選択可能だ。
なお、禰豆子(※1)はサポートキャラクターとしてピンチのプレイヤーを手助けする存在として登場する(個人的に推しであるカナヲは操作キャラクターではなかった。ちょっぴり残念)。
プレイアブルキャラクター(敬称略)
- 竈門炭治郎(声:花江夏樹)
- 我妻善逸(声:下野紘)
- 嘴平伊之助(声:松岡禎丞)
- 冨岡義勇(声:櫻井孝宏)
- 煉獄杏寿郎(※2)(声:日野 聡)
- 宇髄天元(声:小西克幸)
- 甘露寺蜜璃(声:花澤香菜)
- 時透無一郎(声:河西健吾)
- 悲鳴嶼行冥(声:杉田智和)
- 伊黒小芭内(声:鈴村健一)
- 不死川実弥(声:関智一)
どのキャラクターを選んでも有利不利に大きな影響はない。違いがあるとすると、ゲーム中に使える“隊士さいころ”の性能だ。伊之助なら“5・5・8・8・10・10”という猪突猛進っぷりを発揮し、宇髄さんなら“0・0・12・12・隊貨+60・隊貨+60”と出目もド派手。それぞれの特徴を出目に落とし込んでいるのは、キャラクターの個性が強い本作ならではのポイントだ。
なお、ゲーム中にキャラクターはかなり喋るので、ふつうに遊ぶだけでもテンションが上がってくる。ファン目線でキャラクターを選ぶのもありだろう。
舞台にあわせた演出がてんこ盛り
舞台(ステージ)はそれぞれにアニメ『鬼滅の刃』に登場した土地がモチーフになっている。壱ノ舞台は藤襲山・北西の町・浅草。弐ノ舞台は鼓屋敷・那田蜘蛛山。参ノ舞台は無限列車編。肆ノ舞台は遊郭編。伍ノ舞台は刀鍛冶の里編。このように、順に遊べば物語を追っていくことができる。
選択した舞台に合わせて、ギミックや発生するイベント、ステージ内の登場キャラクター、ミニゲーム、戦う鬼、さらには消費アイテムまでもが変化。参ノ舞台では無限列車に乗車したり、肆ノ舞台では屋根の上を移動したり、ファンならニヤッとする演出がてんこ盛りである。もちろん伍ノ舞台では温泉にも入れる。
最初に舞台を選択した後は、周回数、特別賞、ハンデ、ハンコといった遊び方設定を終えるとゲームスタート。周回数は5周単位で5~30周の間で設定でき、プレイ時間は5周で約30分ほど。ボリューム的には10周・約1時間ほどが、手軽かつバランスよく遊べるように感じた。
遊び方設定の内容
- 周回数:遊ぶ周回数を決める。
- 特別賞:条件を満たすと結果発表時に昇格ポイントが得られる特別賞を授与するかを決める。
- ハンデ:最初に所持している昇格ポイントに差をつけるかを決める。
- ハンコ:自分のNintendo Switch上でハンコを表示するかを決める。
今回の取材では伍ノ舞台をメインにプレイした。刀鍛冶の里編をイメージした作りとなっており、特定のマスに止まると縁壱零式との訓練イベントが発生。成功すると昇格ポイントを稼げるものの、訓練できるかどうかは小鉄君の気分次第。運のよさも隊士にとって重要なのだ。
訓練できる確率は低めらしいのだが、同席した営業担当者だけは小鉄くんに気に入られて縁壱零式との訓練を何度もひとり占めする事件が発生。営業担当のコミュニケーション力は炭治郎並みなのかもしれない。
ほかの3人はその営業担当にヘイトの眼差しを向ける。ハンコ(いわゆるスタンプ)で感情表現できることに気づくと、縁壱零式との訓練の邪魔をし始めた。
隊士の協力を得ながら柱を目指そう
さて。あらためてとなるが、本作の勝利条件は、柱になるために誰よりも昇格ポイントを集めることにある。
昇格ポイントはさまざまな方法で入手できるが、指定された目的地に到着することがもっとも確実。鎹鴉(かすがいがらす)が目的地を示してくれるので、自分の順番が回ってきたプレイヤーはこの場所を目指してダイスロール! 出目に応じて止まったマスのイベントをこなしながら昇格ポイントを稼いでいこう。
ちなみに、ぴったり止まる必要はなく、到達できればオーケー。自動的にそのマスでストップするので、まずは伊之助のようにガンガン進む。
マップには青(メリット)や赤(デメリット)を基本として、豊富な種類のマスが配置されている。
アニメ『鬼滅の刃』のキャラクターが登場するマス、鍛錬をして昇格ポイントを狙うマス、アイテムを購入するマス、隠が支援してくれるマス、ボードのギミックが発動するマスなどなど……。進行方向を選択できる分岐点もあるので、ほかのプレイヤーの動向にも気を払いつつ戦略的に進みたい。
数あるマスの中でも、プレイヤーとして選択されなかった隊士からひとりが同行してくれる“仲間マス”は見逃せない。
サイコロを振る際に追加でサイコロを振って出目を増やしてくれたり、そのキャラクター用の隊士さいころを好きなときに振れたりと(一度振ると離脱する)、仲間はとても頼りになる。
ちなみに、先述の通り、順番待ちをしているプレイヤーはハンコ機能で感情表現できるのだが、これもなかなかに盛り上がった。最初から使用できるハンコに加えて、ゲームプレイの報酬として新たなハンコも入手可能。バラエティー豊かなだけでなくボイス付きなので、友だちと遊ぶ際にも楽しい時間を彩ってくれる。
初期ハンコの中では善逸の「そんなことある!?」と伊之助の「ホワホワ」が煽り性能が高くておすすめ。
昼と夜の存在が駆け引きにメリハリを生む
本作最大の特徴であり、想像以上におもしろい要素だったのが、“昼と夜”に舞台が移り変わることだ。夜と言えばもちろんあれ。鬼が出現するのである。
ゲームは昼から始まり、1周するごとに“機能向上訓練”と呼ばれるミニゲームを全員参加でプレイ。これに勝利したプレイヤーは隊貨を獲得し、アイテムの購入などの要素に使用できる。
ただし、隊貨をどんなに集めたとしても、昇格ポイントが1ポイントでも上回っている人にはかなわない。隊貨はどんどん使ってゲームを有利に進めていくものだ(昇格ポイントが同率だった場合は、隊貨が順位を決める)。
昼パートで目的地に到着すると、そのプレイヤーに+20の昇格ポイントが授与。舞台は決戦の夜パートへ。
機能向上訓練(ミニゲーム)
と、その前に、機能向上訓練の紹介をしておこう。昼パートで全員がサイコロを振り終わると自動的にスタートするミニゲーム、それが機能向上訓練だ。全員が参加することになり、それぞれが1位を目指して競い合うもの、ふたりで協力して勝利を目指すもの、選んだ舞台限定のものなど、多数の中からランダムで選ばれる。
とくに印象に残っているのは“全集中して炭治郎さん”。全集中常中を訓練中の炭治郎を見守りつつ、寝た瞬間に、誰よりも早く布団たたきで起こすゲームだ。情報が初めて出たときにも話題になっていた。
寝るときも真剣な顔で“全集中”を続ける炭治郎だが、突如としてすやすや寝るので気が抜けない。その瞬間を待つプレイヤーたちの表情は、獲物を狙う肉食動物のようであった。きよちゃん、すみちゃん、なほちゃんはもっと優しい気持ちだったと思うのだけど……。
手に汗握る鬼との戦い
舞台が夜へ移ると、いよいよ鬼が出現。ここからが本作における戦いの本番といっても過言ではない。
夜になると一部のマスが変化。マスによっては鬼の妨害を受けるほか、目的地には“強大な鬼”が出現する。強大な鬼とは、猗窩座や半天狗といった、その舞台のボスに相当する相手のこと。隊士たちにとって宿敵と呼べる存在だ。
また、夜になると最下位のプレイヤーに禰豆子が合流。これが、とんでもなく頼りになる。善逸じゃなくても「ねずこちゃーん!」と叫びたくなる。
禰豆子は仲間と同様に追加のサイコロを振り、移動が終わるとアイテムや隊貨をくれるうえ、強大な鬼の発見できるルーレットの枠まで増やしてくれる(詳細は後述)。すでに合流している隊士がいれば同時に3つのサイコロを振れるということであり、まさしく一発逆転が狙える強力な助っ人だ。
ほかのプレイヤーからするとたまったものではない。たとえ目的地からいちばん遠くにいたとしても、ものすごい勢いで後ろから追い上げてくるのだ。前門の鬼、後門の禰豆子。
夜に、誰よりも早く目的地到着したい理由。もちろん「鬼を許さない!」という隊士の心もあるが、それ以上に、獲得できる昇格ポイントが昼よりグンと高いからだ。
強大な鬼マスに到着すると、ルーレットが回り出し、その結果に応じて、到着したプレイヤーには昇格ポイントが与えられる。最高得点となる発見の場合は+30で、昼より10も多い。昼に目的地に到着したプレイヤーはより圧倒的な差をつけ、そうでなかったプレイヤーは逆転できる獲得量なので、そりゃ必死にもなる。出世じゃ出世。
- 強大な鬼を発見→強大な鬼との戦闘が発生(+30の昇格ポイント)
- 強大な鬼の重要な手がかりを発見→強大な鬼のマスが再配置(+25の昇格ポイント)
- 強大な鬼の手がかりを発見→強大な鬼のマスが再配置(+20の昇格ポイント)
見事に鬼を発見した場合は全員で強大な鬼との戦闘が開始。ここからはより激熱だ!
強大な鬼との戦闘は全員参加型イベント。Joy-Conを日輪刀に見立てて、激しい戦闘がくり広げられる。アナログスティックを使った操作も可能なのだが、没入感や盛り上がりが段違いなので、みんなでJoy-Conを使うのがおすすめだ。けっこういい運動になる。
基本的な操作方法は“Joy-Conを振る”ことで、その振り方は戦う鬼によって違う。円と円が重なるタイミングを見定めたり、指定方向に振ったり、一定時間に連続で振ったりと多種多様。戦闘前にチュートリアルがあるので、ここでしっかり予習しておこう。
ひとたび戦闘が始まると、そこからはノンストップだ。
つぎつぎと迫りくる攻撃を斬って、斬って、斬りまくる!
その際の映像はすごい迫力で、思わず見とれてしまう中でも攻撃は容赦なく飛んできて、「うぉぉぉすげぇぇぇ‼(腕ぶんぶん)」となる。アドレナリンがドバドバ出る。
「おれたちも絶対に負けない!」と、応援上映に参加している気分。
真剣になるには理由がある。戦闘結果は報酬としてもらえる昇格ポイントに影響するからだ。活躍すればするほど獲得ポイントが増えるため、僅差で戦っている場合はほんのひと振りが勝敗を決する一閃となる。絶対に負けられない戦いはここにあったのだ。
テストプレイの現場には大人4人が雁首揃えて大型モニターを見つめ、Joy-Conを振る光景が広がっていた。育手から教わった呼吸を思い出せ。教わってないけど、きっとこれが全集中というものに違いない。
華麗な剣技を見せたプレイヤーはガッツポーズを決め、獲得ポイントで負けを確信したプレイヤー(筆者)は膝から崩れ落ちる。悔しい。そしてたいへん楽しい。
かくして、強大な鬼を倒す(もしくは消失して見失う)と、再び昼がやってくる。これをくり返して、最終的な1位を目指すのが『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』というゲームである。
遊び終わった後にもお楽しみが待っている
“目指せ!最強隊士!”モードを遊び終えると、ゲーム終了時に保有していた昇格ポイント×10と、隊貨の数だけ鬼滅手形が貰える。集めた鬼滅手形を使って福引を利用可能だ。
福引にはハンコ、衣装・台紙・称号枠、記録写真の3種があり、手形50個で1度回せる(250個あれば5回分をまとめて回せる)。200個を消費すれば、好きな景品を選んで交換できる特別引換券を入手できる。
“機能向上訓練”と“強力な鬼との戦い”は、メニュー画面の機能向上訓練モードからプレイ可能。自由に遊んだり、連続で遊んで結果を競ったり、チームに別れて対戦したりと、3つのルールが用意されているので、サクッとミニゲームだけ遊びたいときにもぴったりだ。
衣装
台紙と称号枠
記録写真
パーティーゲームとしての圧倒的なとっつきやすさ
プレイを終えて、同席したスタッフが口を揃えて出した言葉がある。それは、
「想像以上していたよりはるかに熱い」
だった。いや、失礼なことを言っている自覚はある。心のどこかで「これくらいかな」と設定していたハードルを簡単に超えてきたのだ。
個人的に好感触だったのが、“パーティーゲームとしての圧倒的なとっつきやすさ”。ゲームはコミュニケーションツールだと言われ、誰もがゲームをする時代だからこそ、“簡単であること”は大きなアドバンテージとなる。誰が遊んでもそのゲームのおもしろさにアクセスできる、とでも言おうか。
もちろん本作以外にもおもしろいゲームはたくさんある。だが、ゲームを存分に楽しむためのハードルは上がっているのではないか。たとえば友だち4人が集まり、それぞれがFPS、RPG、パズル、格闘ゲームのファンだったとする。実力差があるゆえに、4人がフラットに遊ぼうとすると選択肢は極端に絞られてしまうのだ。職業柄、たくさんのゲームを遊んでいる筆者でさえ、パッと候補に上げられるのは2~3本。
そこに入り込んできたのが『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』のように思う。『鬼滅の刃』という作品の魅力をゲームにうまく落とし込み、ファンでなくても「これをきっかけにアニメを見てみようかな」と思える体験をさせながらも、ゲームの実力差を気にせずにプレイ可能。稀有なバランス感覚で完成されているのが本作なのだ。
事実、今回は説明役兼プレイヤーとして、何度も本作を遊んでいるであろうアニプレックスのご担当者様もいっしょにプレイして、1位はほぼ初プレイの編集者だった。
そんな感じで、リリース直後はもちろん、「とりあえず持っておくとみんなで遊べる」1本として末永くプレイできる良作。ぜひ、日輪刀(Joy-Con)を片手に、仲間との手に汗握る戦いを体験してほしい。
*商品概要
- ジャンル:ボードゲーム
- 対応プラットフォーム:Nintendo Switch
- プレイ人数:1~4人(ローカル通信:2~4人/インターネット通信:2~4人)
- 発売時期:2024年4月25日(木)
開発:株式会社サイバーコネクトツー
発売:株式会社アニプレックス
商品内容
- パッケージ
- 希望小売価格 6,380円(税込)
- 内容・『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』本編ソフト
<早期購入特典>
- ufotable描き下ろしパッケージビジュアル マイクロファイバークロス
- ダウンロード
- 希望小売価格 6,380円(税込)
- 内容『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』本編ソフト
<ダウンロード版特典>
- ハンコ4種セット