後にゲームボーイへと繋がっていく
ゲーム&ウオッチは、任天堂から発売された携帯型液晶ゲーム機。液晶ゲーム機の大ブームを巻き起こす切っ掛けとなったシリーズで、任天堂初の携帯型ゲーム機でもある。ファミリーコンピュータのようにカートリッジの交換はできず、ひとつのハードでひとつのゲームでしか遊べなかった。
シリーズの名前が示す通りゲームと時計が一体となっていて、ゲームをプレイしていないときは時刻が表示され、置き時計のように使うことができた。
正式名称は前述の通りゲーム&ウオッチで“オ”を大きく表記する。ユーザー的には「アンド」は発音せず、「ゲームウォッチ」といった感じに発音するのが広く浸透していたと思う。筆者などは週刊ファミ通で働き始めるまで“アンド”が付くことを知らなかった。
ゲーム&ウオッチシリーズの記念すべき第1弾となったタイトルは『ボール』。ボールを使ったジャグリングをするゲームで、中央に表示されるキャラクターの左右の腕を動かしてボールを落とさないようにしながらハイスコアを狙っていく。
ゲームAではボールがふたつ、ゲームBではボールが3つ登場し、1個でも落としてしまうと即ゲームオーバーと残機はなくシビアだった。一定のスコアを稼ぐとボールが速度アップし、残像が付いてボールが増えたように見えるのがいい緊張感を生み出していた。
2009年にクラブニンテンドーのプラチナ会員の特典として復刻したほか、2020年11月13日に発売された『ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ』の中に特別バージョンが収録されていたので、案外実物を触ったことがある人も多いんじゃないだろうか。
1980年6月5日に旗揚げゲームの『フラッグマン』を発売してシリーズ化。以降『ヘルメット』や『ライオン』などをはじめとする新作が定期的に発売され、ブームがヒートアップ。さまざまなメーカーも液晶ゲーム機を発売して、一層バラエティーに富んだ作品が生まれることとなった。
1981年に発売した『パラシュート』や『オクトパス』は画面サイズが1.7倍になったワイドスクリーン。本体がひと回り大きく、背景などの一部がカラーで描かれていてリッチな感じを醸し出していた。筆者が初めて買ってもらったのが『パラシュート』だったので非常に思い出深いタイトルだ。『ポパイ』や『ミッキーマウス』のような版権モノもあった。
1982年には十字ボタンや上下2画面のマルチスクリーンを搭載した『ドンキーコング』、1983年には左右2画面の『マリオブラザーズ』などを発売。『ドンキーコング3』ライクな『グリーンハウス』や、『ドンキーコングJR.』風の『ドンキーコングII』も発売していたので、アーケードゲームファンは大いに惹かれたはず。
1984年になると、縦長サイズでカラーフィルムを内蔵した疑似カラーの“スーパーカラー”シリーズを発売。さらにコード巻取り式のコントローラーがふたつ付いた対戦可能な“マイクロ VS. システム”シリーズとして『ボクシング』や『ドンキーコング3』などが発売されている。
以降日本ではファミコンに注力するためか、ゲーム&ウオッチシリーズは発売されていないが、海外では『スーパーマリオブラザーズ』や『マリオザジャグラー』といったタイトルが1991年ごろまで発売されていた。
また、いくつかのゲーム&ウオッチタイトルは“Nintendo Mini Classics”シリーズというライセンスを取得した小型電子ゲームとして海外では発売されていた模様。これはちょっとうらやましい。