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『シャニアニ』プロデューサー池田ななこ氏インタビュー。アニメ制作で大切にしたのは原作『シャニマス』の魅力を最大限に表現すること。サプライズ発表された2nd seasonについても聞いた

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『シャニアニ』プロデューサー池田ななこ氏インタビュー。アニメ制作で大切にしたのは原作『シャニマス』の魅力を最大限に表現すること。サプライズ発表された2nd seasonについても聞いた
 アニメ『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニアニ』)は、昨年からの劇場先行公開を経て、2024年4月よりテレビ放送が開始された。そこで、本記事では『シャニアニ』のプロデューサーを務める池田ななこ氏に、アニメ制作を進める中でこだわった点や、先日発表された2nd seasonについて伺った。
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※本インタビューは3月中旬に実施しました。 ※本インタビューは4月11日発売の週刊ファミ通(2024年4月25日号 No.1845)に掲載した内容に加筆、修正を行ったものです。※本記事では『アイマス』は『アイドルマスター』シリーズ全体、『シャイニーカラーズ』は『アイドルマスター シャイニーカラーズ』シリーズ全体、『シャニマス』はenza対応ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』、『シャニソン』は『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』、『シャニアニ』はアニメ『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の略称として使用しています。

池田ななこいけだ

もともとは、『シャニマス』のライセンス業務に携わっており、アニメ化にあたって、プロデューサーに抜擢。アニメ関連の配信番組や舞台挨拶など、さまざまなイベントで自ら告知を行うなど、プロモーションにも積極的に取り組む。

どんな映像表現がアニメにあっているのか

――池田さんはどういった経歴でアニメのプロデューサーを担当されることになったのでしょうか。

池田
 もともと『アイドルマスターシャイニーカラーズ』(以下、『シャイニーカラーズ』)のライセンスビジネスの担当をしており、そこからアニメのプロデューサーを担当させていただいています。

――具体的にどういう仕事をされていたのですか?

池田
 まんきゅう監督をはじめとするアニメ制作のメンバーといっしょに、プロデューサーの皆さんに楽しんでいただける作品をどうやって作っていくかを議論しつつ、アニメを世に出していくのがメインのお仕事になります。また単純にアニメを作るだけではなくて、どんな展開にするのかというところまで、トータルで見ています。

――アニメを作っていくとなると、『シャイニーカラーズ』の魅力をかなり深掘りされたかと思います。ライセンスも担当されていた池田さんが考える『シャイニーカラーズ』全体の魅力はどういうところだと思いますか?

池田
 皆さんが魅力だと感じてくださっている部分が『シャイニーカラーズ』の魅力だと思っています。でも、それだと答えにならないと思いますので……私個人としては、アイドルだけでなくファンの描写を含めて世界観が感じられるところでしょうか。登場する人間の温度感が伝わってくるようなシナリオやイラストなどを、プロデューサーの皆さんから評価いただいている印象です。そういったところを、アニメでも表現をしていきたいと思いましたね。

──劇場先行上映が終わって、いよいよテレビ放送が開始されますが、いまの心境を改めてお聞きできればと思います。

池田
 非常に緊張していますね。テレビという媒体でどのように皆さんへ届くのかという点はやはり気になります。以前、劇場先行上映を実施していましたが、そこでは劇場で映画を鑑賞するという“体験”をお届けしていたと思っています。

 ですので、いよいよ始まるテレビ放送ではまた違った印象になると考えています。劇場では、映像と音のみに集中していると思いますが、逆にテレビ放送ではSNSなどでリアルタイムに感想を共有できたり、違う楽しみかたになるのかなと。劇場とは違った視聴体験になると思うので、制作サイドとしては緊張するところですね。

──録画や配信などでは、お気に入りのシーンだけを観返したり、細かいところをコマ送りで観たりもできますからね。

池田
 今作はコマ送りしてもアイドルたちがとてもかわいく描かれていますので、ぜひ、そこもご覧いただければと思います。

──改めて制作に関するお話を伺いします。まんきゅう監督を始めとするスタッフの方々と話し合いながら作り上げていったということでしたが、具体的にはどのような話をされたのでしょうか?

池田
 最初は、作画アニメにするかCGアニメにするかという方向性のところからですね。皆さんもご存じのように、アニメ作品というのは作画による製作が市場的には多いです。そんな中で、今回はどういった形での映像表現がいちばん『シャイニーカラーズ』に合っているのかをまずは社内で議論しました。

 そこから本当にいろいろな試行錯誤を経て、現在のCGアニメの形に決まりました。具体的にどう映像として表現をしていくのか、シナリオもどういうところに軸を置いて描いていくのかといったさまざまことを、スタッフの皆さんといっしょにひとつひとつ丁寧に話し合って決めていきました。

──CGアニメを選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

池田
 理由はいろいろありますが、『アイドルマスター』というシリーズ作品なので、やはりライブシーンを期待されているのではないかな……と。そうしたときにCGであればライブシーンでの映像をふんだんに盛り込んで、なおかつアイドルの魅力を伝えられると考えました。また、原作としてあるenza対応ゲーム『シャニマス』の雰囲気をしっかりと表現できると思ったのも決め手ではあります。

──劇場先行上映で拝見させていただきましたが、独特の空気感だったり、いま挙げられたライブシーンも本当に圧巻でした。制作するうえでこだわったポイントがありましたら教えてください。

池田
 やはり原作のゲームが持っている雰囲気を壊さないというところでしょうか。ゲームの中で、アイドルたちがどのように成長してきて、どんなストーリーを紡いできたのかという部分をなかったことにせずにアニメ制作を進めたいという気持ちがスタッフの中でありました。

 そこでスタッフ全員で年表のようなものを作り、ゲーム中でいつどんな出来事があって、そこからアイドルたちがどう成長したのかをまとめたりして原作の理解を深めていったりもしました。

──年表を作られたというのは驚きました。ほかにも苦労された点はありましたか?

池田
 アイドルを魅力的に描くというアプローチですね。enza対応ゲーム『シャニマス』では、アイドルの立ち絵とテキストが映って、それに合わせて背景が変化していくような形で物語は展開しています。それが映像になった時、アイドルの目線はどこに向いているか、話をしているときにはどういう姿勢なのかといったところを考えました。

 アイドルがそれぞれ持っているパーソナルスペースなどの距離感は、映像になっていない部分でもあるので、その点は試行錯誤したところです。あと、ゲームではイベントのストーリーなどあるものの、物語自体は基本的に独立していて連続性のない“点”での表現だと思うんです。一方、アニメは1話から12話まで、“線”としてつないでいく必要があるので、それをどう表現すればいいか苦労したところですね。

──アイドルの距離感という話もありましたが、アニメではプロデューサーというキャラクターが明確に登場することも関連してくるかと思います。『アイマス』シリーズのアニメでは毎回注目が集まるポイントでもありますが、アニメのプロデューサーを作るうえでとくに意識したことはありますか?

池田
 ゲームの中でのプロデューサーは、顔も声も描かれていないのでかなり慎重に進めた部分です。ゲームでは、皆さんそれぞれにプロデューサー像があって、自分を投影されている方もいれば、キャラクターとして見ている方もいると思います。その前提でアニメという映像媒体で動いたとき、自然に映るようにかなり注力しています。個性を出しすぎても皆さんのイメージから離れてしまいますし、だからといって特徴をなくしてしまうと、いわゆるモブになってしまいます。その個性を消さないようにしながら、アニメの世界観に自然と溶け込める塩梅を探っていったという感じですね。

 これについては、過去の配信で、まんきゅう監督や弊社の高山(バンダイナムコエンターテインメント
『アイドルマスターシャイニーカラーズ』プロデューサー高山祐介氏)が語っていた4つの窓と言うポイントが反映されています。それは、プロデューサーがアイドルと向き合っている姿、天井社長やはづきさんと向き合っている姿、社外の人間と話をしている姿、自分自身と向き合っている姿です。

 さまざまな角度からプロデューサーを捉えたときに、アニメの中でどのような姿で動いていくのかというところを考えました。いままで、テキストではもちろん表現はされていましたが、映像にしたときに、違和感がなく自然にそこに溶け込めるようにというところで、現在の形に落ち着いています。じつはアニメのプロデューサーはゲームの中よりも、身長を少し低くしているんですよね。

 それは、先程挙げたアイドルと向き合う姿を描いたときに、すごく身長が低いアイドルと並ぶと、アニメの絵の中で不自然な感じになってしまうんです。そういったところを、まんきゅう監督やスタッフ陣はすごく重要視して、しっかり決めていったという形です。

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テレビ放映前の2nd season発表で大きな話題に

──『シャニアニ』では、イルミネーションスターズ、アンティーカ、アルストロメリア、放課後クライマックスガールズの4ユニット登場しています。現在、ゲームでは8ユニットが登場していますが、4ユニットに絞ったのはどういった意図だったのでしょうか?

池田
 今回アニメ化ということで多くの方の目に『シャイニーカラーズ』が触れる機会になるのかなと思っています。ゲームリリース時から楽しんでいただいている方もいれば、初めて『シャイニーカラーズ』を知る方もいらっしゃると思います。

 そういったさまざまな立場の方に楽しんでもらうことを考慮すると、やはり2018年の配信当初から登場する最初の4ユニット、16名の物語がいいだろうと判断しました。たとえば、1話で言えば櫻木真乃とプロデューサーの出会いから始まっているので、いままで触れてきていない方も
『シャイニーカラーズ』の世界に入ってきやすいのではないかなと思います。

――オープニング主題歌『ツバサグラビティ』や、『シャニアニ』新衣装“バースオブウィング”に込めた思いなどありましたら聞かせてください。

池田
 まず、衣装についてはデザインを担当した福士亮平さんが、283プロのアイドルたちがこれからどうやって輝いていくのか、そんなワクワクや始まりを形にしたと語っていただいています。『ツバサグラビティ』は作詞のこだまさおりさんから惹かれ合う羽が1枚1枚がいつか翼になっていくような……ともいただいているので、やはり彼女たちの始まりを表したものになっています。

──『シャニアニ』では、『BRILLI@NTWING』シリーズの楽曲が中心に採用されています。こちらの狙いについてもお伺いしたいです。

池田
 『BRILLI@NTWING』シリーズについては、『シャイニーカラーズ』の最初のCDシリーズです。各ユニットの始まりのストーリーを描くうえでは、やはりゲームでも始まりの曲であった『BRILLI@NTWING』シリーズを採用して、物語を進めていったほうがいいだろうと考えました。

──劇場先行上映について、本編が終わった後に撮影オーケーな場面写真を“思い出フォトセッション”という形で上映してSNSでの拡散を呼びかける施策はユニークでしたね。

池田
 映画館では基本的に撮影、録音は禁止になっていて、なかなか情報が限られてしまう中で、おそらく皆さんが語りたい部分があるだろうなと思っていました。そこで、逆にネタバレオーケーなハッシュタグを設定し、シェアしていただくことで、劇場体験を皆さんで共有して楽しんでいただければなと思っていました。そういったものの何か助けになればということで、一部の画像をお出しして、さらに盛り上がっていけばというところで取り入れた施策でした。

──そのほかにも、デビ太郎のグリーティングなども行われていろいろ挑戦されていた印象です。池田さん自身も出演されていましたね。

池田
 ふつうに仕事をしていると直接プロデューサーの皆さんと接する機会は、ライブ会場の様子を拝見するぐらいしかないんです。そういう意味では、しっかり皆さんの声を直接聞ける場所は、私個人としてはすごく楽しくてうれしかったです。SNSなどで、感想などを拝見する機会もありますが、やはり皆さんの熱量みたいなものを直に感じられるのは貴重で感動しました。

――池田さんはアニメプロデューサーとして、そういった現場に多く立たれてプロモーションなども行われていますよね。

池田
 皆さんにお会いして熱量を感じると、自分自身の活力にもなるんです。たとえば劇場先行上映で実施したデビ太郎グリーティングのときに、「テレビでの放送も楽しみにしています」と帰り際に声をかけていただいて、本当にうれしかったですね。

――『シャニアニ』の見どころや、個人的なお気に入りのシーンはありますか?

池田
 光や目の表現ですね。先程のCGアニメにした意図というところにも繋がりますが、とてもきれいに表現できているところなので、ぜひ注目してください。見どころについては、まずは「ここ見てください」という前情報なしで見ていただければと思います。そのうえで、皆さんがどう感じるかを、個人的に感想を聞いてみたいです。

――先程、まんきゅう監督がアイドルの身長差に気を使っていたと伺いしました。そのほかにもこだわっているポイントはありますか?

池田
 アイドルが座っているシーンを見てみると、たとえば大崎甜花は少し猫背になっているんですよね。そういったアイドルの細かい所作についてはすごくこだわっていて、背筋が伸びている子もいれば、ダラっと座る子もいたり、歩きかたもアイドルごとに違っています。何気なく会話しているシーンにも、アイドルたちの個性が出るようにしているので、楽しみにしていただければと思います。

――それがまさに劇場での視聴ではなかなか気づけない、テレビならではの魅力のひとつかもしれませんね。そして先日2nd seasonが発表されましたが反響はいかがですか?

池田
 じつは発表されたときに私は現地にいまして、直接皆さんの反応を見て、ホッとしたというか、安心しましたね。どういう風に皆さんに受け止められるんだろうというのはありました。もちろん発表のタイミングは知っていたので、直前は手が震えて、スマートフォンを落としそうになるくらいで、自分でも「大丈夫かな(笑)」と思うほど緊張でドキドキしていたのですが、皆さんの歓声を聞いて、本当によかったなと思いました。

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――こういった情報は、テレビ放送の最終回などで発表になることが多い印象ですが、まさか1話の放送前に発表されたのは驚かされました。
池田
 そうですよね。ぜひ皆さんには続きがどうなっていくのかという期待感を持って、テレビ放送を観ていただけるとより楽しめるのかなと思います。

──2nd seasonについて、現時点でお話しいただけることはありますか?

池田
 ティザーPVやキービジュアルを見ていただいた通り、ストレイライトとノクチルが登場し283プロダクションに新たに加入します。彼女たちが映像の中でどう動いていくか楽しみにしていただければと思います。皆さんがこのインタビューを読まれているころには、劇場本予告映像も公開されているので、そこからいろいろと考察していただきたいです。

──最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

池田
 応援してくださっている皆さんがいたからこそ、4月からのテレビアニメと2ndseasonまでお届けできていると思っています。いつもプロデュースしていただき、本当にありがとうございます。そして、2023年10月に実施した『シャニアニ』劇場先行上映から、2024年秋に予定している2ndseasonのテレビ放送まで、1年間を通してアニメ『アイドルマスターシャイニーカラーズ』を展開できる形になりました。ぜひ、最後までお付き合いいただければと思いますので、何卒、よろしくお願いいたします。

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