ブースには複数の試遊台が設置されていたほか、シリーズを代表するキャラクター“テリー・ボガード”のパネルと記念撮影スペースも。また、ブース裏にはシリーズ歴代のメインビジュアルを観賞でき、アンケートやX(Twitter)への投稿でトートバッグやクリアファイルをもらうこともできた。
試遊は約30分ほどの時間が設けられていたが、その人気ぶりから100分待ちは当たり前の長蛇の列に。途中から約15分ほどの試遊時間に縮められるほど、対戦格闘ゲームファンからの高い注目を浴びていたようだ。
『餓狼CotW』とは?
シリーズ作品は知らずとも、SNKを代表する『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズ(以下、『KOF』)や、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』へのテリー参戦など、客演でキャラクターたちのことは知っている人も少なくないだろう。
『餓狼CotW』は『餓狼MOW』のエッセンスを取り入れた正統進化作品といった様相で、システムや世界観も『餓狼MOW』を引き継いでいる。
『餓狼MOW』はストーリーも魅力。続きが気になる感じでエンディングを迎えていたのだが現在もまだ語られていない。それが今回、約26年越しに「続きがようやく語られるのでは?」ということで、ファンも大きな期待を寄せている。それが『餓狼CotW』なのだ。
試遊の感想&システム解説
グラフィックは『KOF XV』などに近い3Dグラフィックで、昨今のSNKタイトルのノウハウが活かされている。一部シーンで独特のフィルターが掛かり、マンガ的なエフェクトにトーンのような表現が混ざっていたりと、マンガやアメコミ調の個性的なアートスタイルを実現している。
ビジュアルは現在もブラッシュアップを続けている最中のようだ。以前プレイ映像が公開されたときは「バスターウルフ(テリーの超必殺技)がダサい」と悪い意味で評判になってしまったが、今回の試遊版ではかなりかっこよく磨き上げられていた。ファンたちからも「カッコいい!」との声が聞こえ始めており、今後もよりグラフィックや演出の部分もレベルアップしていくのではないだろうか。
初心者向けの操作方法も登場
もうひとつが、初心者でも遊びやすい“スマートスタイル”。基本攻撃はパンチボタン、キックボタン、必殺技ボタンにまとまっていて、必殺技もワンボタンでくり出せる。昨今の対戦格闘ゲームではよく取り入れられる、難しいコマンド入力などをせずとも戦える操作形態だ。
パンチ&キックボタンは弱と強の任意の使い分けはできないが、基本は弱版で一部の動作には強版が割り振られているなど、ワンボタンで攻撃をある程度使い分けできるような仕組み。
必殺技ボタンは、スティック入力を入れるか入れないかで、各種必殺技の使い分けが可能。ワンボタンでくり出せるので初心者でも遊びやすいし、とっさの行動もかなり取りやすい。弱点としては弱版しか発動できず、強版が出せないこと。とはいえ、威力はアーケードスタイルと変わらない。
また、スマートコンボボタンが存在し、ボタン連打だけで自動的にコンボを叩き込んでくれる。立ち状態はオーソドックスなコンボを、しゃがみ状態ではまた異なるコンボがくり出せる。しゃがみ版は“最後に自分で超必殺技を入れられる”など、ちょっとした工夫の余地が残されていた。
超必殺技なども難しいコマンド入力は必要とせず、ボタンの組み合わせで発動可能。ほかのシステムもほとんど使用できるので、スマートスタイルだけでも十分戦えそうだ。ただし、技を途中で止めて性能を変えられる“ブレーキング”と、技を出すフリをする“フェイント”だけは、スマートスタイルでは使用不可。
かなりテクニカルかつ上級者向けのシステムゆえに、初心者が使いこなす必要もないので、おそらくオミットされているのだろう。ブレーキングとフェイントが使いこなせる人ならアーケードスタイルで十分戦えるだろうし。
『餓狼MOW』より継承されたシステム
ほかにも、攻撃が当たる直前でガードすると有利な効果を得られる“ジャストディフェンス”や攻防一体の“上段避け攻撃”、“下段避け攻撃”など、『餓狼MOW』より多くのシステムが継承されている。
弱パンチ、強パンチ、強パンチ、強キック~と、全キャラクター共通の操作で連続攻撃を叩き込める“コンビネーションアタック”も存在。実際に触れてみたところ、どちらかというと元来の『リアルバウト餓狼伝説』シリーズに近い印象を受けた。
スマートスタイル操作ではパンチボタンの連打だけでくり出せるのもうれしいところ。ただし、スマートスタイルではコンビネーションアタックの派生はできない。派生攻撃はアーケードスタイルの専売特許。
小ジャンプもしっかり用意されており、簡易入力が用意されていたのも好印象。難しい操作を必要とせずに、空中からガンガン攻めたりできるため、地味ながらにとてもいい要素だ。
『餓狼CotW』の新システム
REVゲージは0~100%で表示され、各種システムを使用するとゲージが上昇。一定時間経過や移動・攻撃などで、徐々に0%に戻っていく。100%に到達すると“オーバーヒート”状態となり、一定時間REVシステムが使用できなくなるほか、相手の攻撃をガードし続けると“ガードクラッシュ”を引き起こしてしまう。
攻防一体の攻撃・REVブロウ
いわゆるEX技・REVアーツ
REVアーツは、ほかの必殺技のREVアーツ、またはREVブロウにつなげるように連続してくり出せる。これを“REVアクセル”と言い、REVゲージの使用量は大きくなるものの、強力なコンボが狙えるため本作の要となるシステムだ。
試遊版での印象は、ふつうに立ち回っていると「全体的にダメージが低めだな」と感じるのだが、REVアクセルと超必殺技を絡めると体力の7割~8割は減って当たり前の大ダメージに。調整中のバージョンゆえに、さすがに減りすぎな印象も受けたが、ダメージを取っていくうえで今後も重要そうだ。
SNKの新たな柱となるか
キャラクターの使用感は、『餓狼MOW』より引き続き登場するキャラクターたちはだいたい同じ。筆者はグリフォンマスクが好きなので、あの“うるさい感じ”もそのままだったのはとてもうれしかった。
新キャラクターのプリチャはジョー・ヒガシの一番弟子。ムエタイと竜巻を組み合わせた感じは、遊ぶ前は「バトルスタイルもジョー・ヒガシそのままなのかな?」と思っていたが、触ってみたところかなり独特のバトルスタイルだった。
本作はもちろんシリーズファンの期待に応えるべく作られてはいると思うが、スマートスタイルの登場などもあり、新しいファンを増やしたいSNKの気合が感じられる。
現在、SNKの柱は『KOF』シリーズだろう。3on3のチームバトルが魅力のシリーズだが、3キャラクターを使いこなすことが前提ということもあり、本格的には遊ぶには初心者にとってハードルが高い(シングルバトルもあるが、対戦の主流ではない)。
2019年に発売された『サムライスピリッツ』は1対1だが、対戦格闘ゲームというジャンルの中でもやや特殊な位置付けだ。1発食らえば即死級の緊張感が味わえるのが魅力だけに、「初心者でも遊びやすいゲームですよ」とは言い難い。
こう見ると、SNKの中心には誰でも気軽に入り込めるような対戦格闘ゲームがないように思えるのだ(あくまで筆者の感覚)。そこを強化するのが『餓狼伝説 City of the Wolves』の狙いなんだろうと、今回の試遊を通して感じられた。
イベント期間中に発表されたマルコなど、おそらくまだまだ登場キャラクターが隠されていると思うので、続報とともに2025年初頭の発売を楽しみに待ちたい。
【餓狼伝説CotW】
— SNK JAPAN (@SNKPofficial_jp) April 28, 2024
極限流空手の師範代「マルコ・ロドリゲス」のキャラクタートレーラーを公開!
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[日本語]松田 健一郎
[英語]Earl Baylon
>「マルコ・ロドリゲス」キャラクタートレーラーhttps://t.co/wUIhikX0lP#餓狼伝説 #CotW #松田健一郎 さん pic.twitter.com/UmOuh4q5LE