家庭用ゲーム機初のMMORPGに誰もが熱中
本作が発売された当時は、ネットワークゲームの黎明期。『ウルティマオンライン』や『エバークエスト』のような有名タイトルはいくつかあったが、基本的にPC用ゲームだったので「遊びたくても遊べない」というのがコンソールゲーマーの悩みのタネだった。そんなもどかしい思いが募る中、ホープとなったのが『FFXI』。プレイするために少々値が張る“PlayStation BB Unit(HDDを備えたネットワーク接続機器)”が必要になるなどハードルは高かったが、筆者の周囲ではみんな早くから注文して準備していた覚えがある。
もっとも感動的だったのは、冒険の舞台となる世界“ヴァナ・ディール”へ降り立ち、大勢のほかのプレイヤーたちと遭遇したとき。街を行き交う人々が「みんなどこかで遊ぶプレイヤーなんだ」と思っただけで、本気でワクワクが止まらなくなるほどだったのだからいま考えるとかなり初々しい。ネットワークゲーム自体は『ファンタシースターオンライン』で慣れ親しんでいたけど、それでも別種の驚きがあった。フィールドはもちろんだが、街がいままで遊んだどのゲームよりも桁違いの広さなのも衝撃的だった記憶がある。
ジョブごとに盾役やアタッカーのような役割があるのはRPGとしてはごく当たり前だが、それをプレイヤーどうしで分担するというのも新鮮なプレイ感覚だった。ウェポンスキルを複数人で連続してくり出し技連携を発動させるといったバトルの仕組みも共闘感を感じられたし、サポートジョブ(メインとは別にジョブを設定して能力を使えるシステム)を考えるのもおもしろかった。
定期的なバージョンアップで新たな要素が追加されることにも胸を躍らせたものだが、拡張パッケージで新たなジョブやメインストーリー、多種多様なコンテンツがドカンと増えるのも当時としてはかなり新鮮な驚きがあった。また、拡張パッケージとは別に追加シナリオやコンテンツとして、『石の見る夢』や『禁断の地アビセア』なども配信されている。
2003年4月17日には拡張パッケージ第1弾の『ジラートの幻影』が発売。ジュノ大公のカムラナートとその兄弟エルドナーシュの秘密が明かされるジラートミッションが楽しめた。通称“空”ことトゥー・リアを目指してみんながんばっていたのではないだろうか。追加されたエキストラジョブは侍、忍者、竜騎士、召喚士。ヒロイン的な存在としてライオンが活躍した。
2004年9月16日には拡張第2弾となる『プロマシアの呪縛』が発売。実装当初はミッション難度がかなり高く、大きな話題となったのが印象に残っているんじゃないだろうか。筆者は通称“海”ことアル・タユへなかなか行けずにもどかしい思いをした記憶がある。謎の少年(セルテウス)やプリッシュ、ウルミア、テンゼン、罪狩りのミスラなど、魅力的なキャラクターたちが数多く登場した。追加ジョブはなし。
2006年4月20日には第3弾『アトルガンの秘宝』が発売。何と言っても市街戦の“ビシージ”が思い出深い。敵が徐々に侵攻してきて街がそのまま戦場になるのだから、これほど熱いシチュエーションはない。個性的なNPCたちが共闘してくれることもプレイヤーのロールプレイをヒートアップさせてくれた。ミスラのミリ・アリアポーはとくに人気で、取り巻きのプレイヤーがめちゃくちゃ多かったのを覚えている。追加ジョブは青魔道士、コルセア、からくり士。
2007年11月22日には第4弾『アルタナの神兵』が発売。過去の世界を舞台に戦うのがかなり斬新な設定で、ヒロインのリリゼットとともに歴史の歪みを調整していくことになる。有名なNPCたちの若かりし姿が見られることにもワクワクさせられたのではないだろうか。筆者的にはエリアの支配を競い合うバトルコンテンツの“カンパニエ”に熱中し、カンストジョブを大量に生み出した思い出がある。踊り子と学者が新ジョブとして追加された。
2013年3月27日には、第5弾『アドゥリンの魔境』が発売。もう出ないと思われていた拡張パッケージが6年ぶりに発売されてユーザーたちは歓喜に沸いたんじゃないかな。メインストーリーのほか、コロナイズやスカームといったコンテンツが実装。バージョンアップでモグガーデンやモンスター飼育などの要素も追加された。新たなエキストラジョブは風水士と魔導剣士だった。
2015年5月14日にはバージョンアップで追加シナリオの『ヴァナ・ディールの星唄』が配信開始。主要キャラクターが総登場する集大成の最終ミッションとして配信されたのだが、2020年8月6日からは追加で新ストーリーの『蝕世のエンブリオ』が配信スタート。
MMORPGというジャンルは時間の掛かるゲームだと思われがちで、実際に本作もそうだったのだが、現在はお手軽にほとんどソロでも遊べるように生まれ変わっている。レベルもガンガン上がって気持ちいいので、この機会に遊んでみるのはいかがだろうか。もともと冒険者であったのなら、この圧倒的な快適さをより実感できるはずだ。
本作のサービスはいまなお続いており、近年になってからタイトルBGMが一新されていたりする。『FFXI』でおなじみの作曲家、水田直志氏が新たに“We Are Vana'diel”を書き下ろしているので、ぜひ聴いてみてほしいところだ。