『逆転裁判5』の制作発表にライブ、トークショー……盛りだくさんの10周年記念イベント

『逆転裁判5』の制作決定も発表された『逆転』シリーズ10周年記念イベントをリポート_01

 カプコンは、2012年1月29日(日)、東京都港区にあるメルパルクホールで『逆転』シリーズ10周年を記念し、“『逆転』シリーズ10周年特別イベント「逆転裁判10周年 特別法廷」”を開催。こちらの速報記事でお伝えしたとおり、同イベントで『逆転』シリーズの最新作、『逆転裁判5』の制作決定が電撃発表された。対応機種、発売時期などは未定。

 本稿では、この“『逆転』シリーズ10周年特別イベント「逆転裁判10周年 特別法廷」”の模様をリポートする。

 同イベントは、その名の通り、東京ゲームショウなどのステージイベントなどでおなじみの、ギャグを交えたこの日限りの“特別法廷”が開廷。スクリーンに成歩堂龍一(ナルホド)や御剣怜侍(ミツルギ)、綾里真宵(マヨイ)といったキャラクターが登場し、矢張政志(ヤハリ)が殺された事件を解明する流れで進行した。まず、この事件の証人として、『逆転裁判』シリーズの竹下博信プロデューサー、同シリーズの巧舟ディレクター、『逆転検事』シリーズの江城元秀プロデューサー、同シリーズの山崎剛(※崎は旧字)ディレクターが入廷(登場)し、『逆転』シリーズの10年を振り返った。まず、巧舟ディレクターは、第1作目開発当初、7人のプロジェクトでスタートし、制作期間は10ヵ月でシリーズ化の予定もなかったとのことだが、当時の上司である三上真司氏(現Tango Gameworks)が会社を説得して、3部作が制作されることになったという。『2』では、同作プロデューサーの稲葉敦志氏(現プラチナゲームズ)から3ヵ月で5話書くよう言われ、5話を書いたが、1話入らなくなり、『3』に回すことになったという。それが『3』に収録されている“逆転のレシピ”だと語った。また、『3』では、用意していた最終話を『2』の最終話として使ってしまい、『3』の最終話は最後の最後までかなり難産だったとコメント。一方の『逆転裁判』シリーズのスピンオフタイトルである『逆転検事』について山崎ディレクターは、『逆転検事』で 犬飼ルカというキャラクターが諸事情でカットすることになったことと、『逆転検事2』ではボリュームが多すぎて第3話が諸事情でお蔵入りすることになり、予定していた最終話を4話と5話に分けたという制作秘話を披露。『逆転』シリーズは10年で7タイトルが制作されているが、それぞれに思い出深いエピソードがあったようだ。

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▲『逆転裁判』シリーズ プロデューサー竹下博信氏。
▲『逆転裁判』シリーズ ディレクター巧舟氏。シナリオを書くのもディレクションをするのも『逆転裁判』で初めてだったというが「シリーズを通じて、新米弁護士のナルホドくんといっしょに成長できたなと感じます」(巧舟)
▲『逆転検事』シリーズディレクター 山崎剛氏。『逆転検事2』で当初予定していた4話を4話と5話に分けることになったことで、王帝君が死ぬことになったという。
▲『逆転検事』シリーズ プロデューサー 江城元秀氏。『逆転検事』は江城氏が本格的にプロデュースした初の作品。同じく初めてディレクターを務める山崎氏と「『逆転裁判』の新しい遊びが作りたい」(江城)ということで、山崎ディレクターといろいろ話し合ったという。

 シリーズを振り返ったあとは、事前に募集されていたファンからの質問にスタッフが答えるコーナーへと続き、以下がそのやり取りだ。

――10年間やってきて得したことは?

巧舟 (ファンの)皆さんと知り合えたことだと思います。

山﨑 そもそも『逆転裁判』のファンでカプコンに入社したので、この場にいることが得したことです(笑)。

江城 『逆転裁判』のヒットのおかげで『逆転検事』のプロデュースをすることができたので、それがうれしいです。

――トリックはどうやって思いつくのか

巧舟 事件から考えます。事件がおもしろければ、それを解決させたいと思うので、おもしろい事件から考えます。

山崎 巧舟さんのやりかたを教えてもらっているので、僕もシチュエーションから考えますが、ムチャな設定を自分に課したことをあとから後悔するという感じです(笑)。

――ゲームで使用されている声の収録について

巧舟 サウンドの効果音担当者のアイデアで開発スタッフの声を入れることになったんですが、収録されたものをあとから聴いてみる、意外と誰だかわからない。恥ずかしい以前に、自分の声も客観的に聞いてみると新鮮でした。

――現場で心癒されるものは?

江城 仕事終わりの酒で癒されます(笑)。

竹下 商品が形になって、お店で「『逆転裁判』をください」という声を聞いたときですね。

巧舟 現場で癒されるもの……竹下さんの笑顔ですかね(笑)。

山崎 『逆転検事』チームにはお菓子コーナーがあって、憩いの場になっているのですが、そこが癒される場所です。

『レイトン教授VS逆転裁判』は『逆転裁判』色が強い!?

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▲レベルファイブ代表取締役/CEO 日野晃博氏は、“証拠品”としてナゾのテープを持参。そのテープには……。

 続いて、コラボ情報が伝えられ、2012年2月11日に劇場公開される主演・成宮寛貴、監督・三池崇史による映画『逆転裁判』が紹介。そしてもうひとつのコラボとして、カプコンとレベルファイブがタッグを組んで開発されている『レイトン教授VS逆転裁判』の続報が。『レイトン教授VS逆転裁判』については、レベルファイブ代表取締役/CEOの日野晃博氏が登壇し、ゲーム内アニメーションをボンズが制作していることなどが明かされ、そのワンシーンが公開された。公開されたアニメーションは、ナルホドとマヨイが飛行機でロンドンへ向かう機内の様子を描いた数十秒のシーン。「アニメーションになって見ると、ビックリというか改めて感動しますね」(巧舟)。「これまでの『逆転裁判』でやってなかったことを取り入れていますので、『逆転裁判』シリーズのファンの方々に新しい部分を楽しんでいただけるかなと思っています」(日野)。気になる発売時期について日野氏は「2012年の……月です」と、残念ながら明言を避けた。もうしばらく待つ必要がありそうだ。

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▲レベルファイブの日野氏は、「監修してもらうだけではなく、巧さん自身に作ってもらうというのが目標でした。巧さん主導で進めたかったプロジェクトで、カプコンさんには申し訳ないくらい本作にはドップリやってもらっています」とコメント。
▲『レイトン教授VS逆転裁判』を巧舟氏がプレイしながら紹介するひと幕も。本作の特徴は、証人が一度に4人出てきていろいろなことを証言する。プレイヤーは、ある証人が証言している際、別の証人の様子を観察しながら事件の手掛かりを探っていくことになる。「ひとりの証人が証言しているとき、ほかの3人は気が緩むものですが、その証人の心理の隙をついていくというコンセプトなんです」(巧舟)。

アニメーション制作はボンズ

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水木一郎が『大江戸戦士 トノサマンの唄』を熱唱

 ここでスクリーンには再び“特別法廷”のイベントが流れ、話はナルホドとミツルギのどちらが人気があるのか、という事件とは関係ない流れに。ここで、被害者のヤハリがこの日のために集めたというアンケートが公開された。まず、“好きな音楽”のアンケートが発表され、もっとも票を集めた曲として『追求 ~追いつめられて』が発表された。そのほかには『綾里春美~はみちゃんといっしょ』や『異議あり!~成歩堂龍一のテーマ~』、『珈琲は闇色の薫り ~ゴドーのテーマ』、『大いなる復活 ~狩魔冥』などに票が集まったという。『追求 ~追いつめられて』に次ぐ票を集めた楽曲はスペシャルゲストによるライブで披露され、そのスペシャルゲストは……アニキの愛称でお馴染みの水木一郎! そのアニキが『大江戸戦士 トノサマンの唄』を歌うと会場は多いに盛り上がった。

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▲水木さんは『大江戸戦士 トノサマンの唄』について「いつかはオレが歌いたかった唄」と語り、『逆転裁判』シリーズに関しても、「異議あり!」の際のポーズと「ゼーット!!」のポーズが似ているが若干違う、とその違いを解説(水木さん曰く「異議あり! のポーズは指先が若干下になる」という)するなどノリノリの様子だった。

 ライブの興奮冷めやらぬ中、好きなセリフランキング。5位から「オトコが泣いていいのは…すべてを終えたときだけ、だぜ」、「そういうアレは、困る」、「発想を逆転させるの、なるほどくん」、「弁護士は、ピンチの時こそふてぶてしく笑うものよ」、そしてもっとも票を集めたのはあの言葉……もちろん「異議あり!」を会場の全員で発し、“特別法廷”は閉廷した。

 最後に竹下氏、巧舟氏、江城氏、山崎氏がステージに立ち、集まったファンへ感謝の意を述べ、本イベントは終了……かと思いきや、今回の事件(ヤハリの死の真相)が解明されていない、ということでスクリーンに“特別法廷”の続きが……。ヤハリの尻ポケットにあるスマートホンが証拠品として取り上げられ、関係者(竹下氏、巧舟氏、江城氏、山崎氏)4人がiOS向け『逆転裁判 123HD』の存在(詳細は速報記事→こちら)を明らかにした。
 
 そして、改めて4人の開発者の方々から来場者へのメッセージが発せられた。

竹下 楽しかったです。本日、来てくださってありがとうございました。

江城 今日の日を迎えられて本当にうれしく思います。ありがとうございました。

山崎 このシリーズのファンでずっと遊んできました。そのタイトルの10年という節目にこうして立ち会えたとこを本当にうれしく思っています。今後もこのシリーズが続いていくことを願って止まないです。今日はありがとうございました。

巧舟 もともとミステリ好きで『逆転裁判』のようなゲームを作りたいと思っていたんですけど、作っているときは10年、20年経っても遊んでもらえるものを作りたいと思って制作していました。実際に10年経って、こうして皆さんの前で挨拶できるということは、本当に幸せなことだなと思っています。皆さん、関係者の方々に感謝しています。

 本イベントはこれで本当に終了……かと思われたが、ここで「異議あり!」との掛け声が会場に響く。スクリーンには『4』の主人公、オドロキ(王泥喜法介)やガリュウ(牙琉霧人)が映し出され、最後を飾るのは“ラブラブ★ギルティ スペシャルステージ”と宣言。すると再び水木一郎のアニキが登場し、『ラブラブ★ギルティ』を熱唱。このステージには、なんと巧舟氏もギターとして加わった。思わぬライブステージに来場者も興奮。サイリウムが振られ、紙テープが舞い、まるで本当のコンサート終盤のような盛り上がりを見せた。

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最後の最後で『逆転裁判5』の制作決定がアナウンス!

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 曲が終わり、ステージが暗転すると、そこに一台のDVDプレイヤーが。ライブの余韻も冷めやらぬなか、ヤハリが口に咥えていた最後の手掛かりとなるDVDがそのプレイヤーで再生され……スクリーンに『逆転裁判5』のロゴが映し出されると、会場からは悲鳴に近い歓声が。そして、映像は最後に「制作決定!!」の文字で表示され、今度こそ本当に本イベントが終了した。『逆転裁判5』は対応機種、発売時期など詳細は不明。会場が明るくなってもこのサプライズ発表で場内は騒然となっていた。
 ゲームさながらに、これでもかと畳み掛ける展開となった10周年記念本イベント。参加したファンは大満足だったに違いない。『逆転裁判5』については、今後、新たな情報が入り次第お伝えするのでお楽しみに。

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▲会場では、本イベント限定グッズも多数販売され、長蛇の列ができていた。