初のアメリカ系アサシンがアメリカのファンの前についに姿を現した

『アサシン クリードIII』最新デモリポート――アメリカンアサシン、ボストンに上陸!【PAX East 2012】_04

 ボストンで先週末行われたPAX Eastで、ユービーアイソフトは『アサシン クリードIII』のブースを出していた。出展フロアーには、同じユービーアイソフトの『Far Cry 3』のマルチプレイを遊べるスペースもあったのだが、本作のブースは赤くロゴが光る完全に周囲が覆われたスペースとなっており、お目当てのモノがアサシンばりに隠れた怪しげな空気を醸し出していた。もちろん終日長蛇の列が周囲を取り囲んでおり、10分間のデモを見るのを今か今かと待ち望んでいた。

 デモはクリエイティブ・ディレクターのアレックス・ハッチンソン氏の解説で行われた(編集部注:2010年冬に取材した際にアサシン クリード』シリーズのタイトルを手掛けていると言っていたが、これだったとは!)。舞台となっていたのは、1775年、独立戦争のバンカーヒルの戦い。まさにここボストン近郊で行われた歴史的な戦闘だ。今回の主人公コナーは、イギリス人とネイティブ・アメリカンのハーフ。独立戦争の背後に見え隠れするテンプル騎士団の野望を打ち砕くべく、歴史的戦場へと降り立つのだ。

 コナーはアメリカ側についていて、目標はイギリス軍の将軍の殺害だ。序盤は巨大な戦場を、カバーポイントを巧みに使いながら激しい銃撃や爆発を避けて進んでいった。この壮大なシーンは、ゲームエンジンがどれだけ大量のものを扱えるかという実演(いわく、2000人以上の兵士を表示可能という)も兼ねて設定されたのだという。彼方まで兵士たちが連なり戦っているさまは、PC用ストラテジーゲーム『トータルウォー』シリーズを思わせる光景だった。

『アサシン クリードIII』最新デモリポート――アメリカンアサシン、ボストンに上陸!【PAX East 2012】_03

 大虐殺を避けた後、コナーは広い森へと入った。幹をぐるっと周り、枝から枝へと飛び移りながら森を縦走していくコナーを見ていると、なぜこれが『アサシン クリード』にこれまでなかったのかと思ってしまう。アクションアドベンチャーとしての『プリンス・オブ・ペルシャ』というルーツをちょっと思い返しもした(オリジナル『プリンス・オブ・ペルシャ』のクリエイター、ジョーダン・メックナーは、今年のPAX Eastの基調講演で『アサシン クリード』と『プリンス・オブ・ペルシャ』の関係性についても言及していた)。木々のモデリングは素晴らしく、実に複雑に作りこまれていたのも注目すべき点だ。

 最初に目撃したキルシーンは、驚くべき想像力にあふれたものだった。樹上から敵めがけてロープを放ち、コナーは飛び降りて、彼の体重を利用して敵を吊り上げ、仕事完了。すぐさま敵に囲まれるが、コナーはヒューマンシールドを使って弾を避けながら次々と飛び掛かって倒していく……戦闘は過去作よりも残虐でクリエイティブだ。 アクションの合間はスムーズで、コナーのキャラクターと戦闘の環境に合わせて身体アニメーションがイチから作られているという。

 ちなみにコナーは複数の武器を自在に操れるスペシャリストとして描かれている。これは、当時の銃が完全なものではなかったためだ。銃に頼り切ったアサシンじゃないというのは、シリーズにとっていいことだろう。トマホークを振るいながら間合いを計り、不用意に近付いてきた敵にピストルをお見舞いする……といったような、新たなアサシン像を描くことに成功している。

『アサシン クリードIII』最新デモリポート――アメリカンアサシン、ボストンに上陸!【PAX East 2012】_02
『アサシン クリードIII』最新デモリポート――アメリカンアサシン、ボストンに上陸!【PAX East 2012】_01

 最後は樹上から美しい大岩へと飛び上がり、ここまで歩いてきた道のりがグルッと示された。そしてコナーは目下の馬へと跳びかかる。ターゲットのPitcairn少佐を殺すためだ……。暗殺が完了すると、ようやくアメリカンアサシンの活躍を見届けたファンたちは歓声をあげた。アメリカのファンは、ついに自分たちの先祖のアサシンを手に入れたのだ。

 本作は技術的に完全にオーバーホールされ、続編としてかつてないほど磨き上げられた『アサシン クリード』となるだろう。シリーズにとって、大きな一歩となるはずだ。ここアメリカでは10月30日のリリースを予定している(編集部注:日本でも2012年中にプレイステーション3とXbox 360で発売予定)。

(取材・文・写真:ジェイソン・ブルックス、翻訳、構成:編集部)