動物キャラがスプラッタに死にまくる不謹慎アニメ
『Happy Tree Friends』というアニメをご存じだろうか? アメリカのMondo Mediaが制作したフラッシュアニメで、動物をモチーフとしたかわいらしいキャラクターが登場する。ハロウィンや散髪など毎回ほほえましい日常を描く……のだが、ささいなことから毎度毎度スプラッタな展開になり、最終的には内蔵をまき散らしながら死ぬという、たいへんグロくて不謹慎きわまりないアニメなのだ。
そんな原作を題材にしたゲーム『Happy Tree Friends: False Alarm』(以下、『HTF: False Alarm』)が、海外では2008年にXbox LIVEアーケードとPCにて発売された。というわけでインプレッションをお届けしよう。
トラップを突破して仲間をゴールに導くのだ!
『HTF: False Alarm』は、ゲームジャンルとしてはパズルアクションに近いかもしれない。原作でおなじみのキャラクター5人が自動的に前進するので、プレイヤーは水色の“ランピー”を操ってさまざまなトラップを無力化し、ほかのキャラクターたちがゴールできるよう導くのだ。
ランピーが行えるアクションは、操作、燃やす、凍らせる、爆発させるの4種類。ステージにはスイッチで開く扉やエレベーター、ダイナマイトが仕掛けられた岩などさまざまな仕掛けが設置されている。これらの機械を上手に操作し、あるときは障害を破壊して、仲間たちがゴールまで無事にたどり着けるよう道筋を作っていくのだ。
なお仲間は凍らせたり溶かすことが可能で、これを利用して移動するタイミングを調節する。たとえば一定間隔で下がってくるプレス機のようなトラップは、この凍らせを活用して仲間がつぶされないように調節するのだ。さきほどパズルアクションと述べたが、そこまで頭を悩ませるトラップはなく、どちらかといえばアクション性で突破するタイプの仕掛けが多い印象だ。
残虐な倒されかたも再現!
『Happy Tree Friends』最大の魅力といえば登場キャラクターの悲惨な死に様で、本作でもその魅力は再現されている。キャラクターには火を付けると燃えるし、そのまま体力がなくなれば黒焦げに。回転する刃のようなトラップに触れれば顔がボロボロになり、最終的には内蔵が飛び散って死んでしまう。
確かにグロいことはグロいのだが、キャラクターが小さく、またステージ全体がファンシーな色合いのため、そこまで凄惨な雰囲気はない。海外ゲームでは内蔵が飛び散ることはよくあることなので(たとえばあの『Gears of War』だって、海外版はチェーンソーで切られたキャラクターの内蔵が丸見えになるのだ)、慣れている人はとくに衝撃を受けずに遊べるだろう。
まあ『Happy Tree Friends』は原作のゴア表現がかなり激しいので、そのテイストを100%再現できていないのは残念だし、逆にマイルドだからゲームプレイに集中できる、という見方もできる。
キャラゲーの域は超えられなかったか……?
本作で残念だったのは、キャラクターの個性が引き出せていないことだ。たとえば甘いものが大好きな(というより甘味依存症で身体にキャンディーなんかを貼り付けている)ナッティーは、いつもお菓子が原因でトラブルに巻き込まれる。またベトナム帰還兵のクマであるフリッピーは、“パン!”という音や燃えさかる炎などに反応して戦争を思い出し、冷徹な殺人マシーンとなって周囲を地獄のどん底へ落としてしまう。
だが本作では、キャラクターたちは前に進むだけなので、同じトラップで同じように倒されてしまう。キャラクターたちの個性は外見だけなのだ。
またステージも少々練り込み不足で、ほとんどのトラップはすぐに解決法がわかってしまう。わからない場合は、スイッチが小さくて見落としているとか、そのような理由が大半だ。
総合的に見るとゲームとしての評価はちょっと厳しくならざるを得ないが、『Happy Tree Friends』のゲームは非常に少ないため、やっぱりファンには嬉しいもの。興味を持たれた人は、まず原作を見てから体験版をプレイしてみるのがオススメだ。
著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当するフリーライター。『Happy Tree Friends』は数年前にネットを徘徊しているときに存在を知り、それ以来のファン。暇なときに公式チャンネルで見るレベルではありますが……。