名古屋の地にゲーム音楽が鳴り響く!

 2012年11月10日、名古屋市の日本特殊陶業市民会館にて、ゲーム音楽の祭典“PRESS START 2012 -Symphony of Games-”の名古屋公演が開かれた(東京公演のリポート記事は【コチラ】)。 PRESS STARTが名古屋で開催されるのは、2011年に続き2度目のこと。会場には、愛知県外からもゲーム音楽ファンが訪れ、大きな賑わいを見せていた。

極上の音楽にファンが酔いしれた! “PRESS START 2012 -Symphony of Games-”名古屋公演リポート_01

 指揮を担当したのは、当コンサートの企画者のひとりである竹本泰蔵氏。竹本氏は、名古屋フィルハーモニー交響楽団を率いて、数々のゲームの楽曲を演奏。東京公演と同内容のプログラムで、多くの観客を魅了していた。
 また、楽曲の合間には、桜井政博氏(ゲームデザイナー)、植松伸夫氏(作曲家)、酒井省吾氏(作曲家)、野島一成氏(シナリオライター)が代わる代わる登壇し、名古屋公演のために駆けつけたゲストとともに楽しいトークをくり広げた。

 コンサートでいちばんの盛り上がりを見せたのは、桜井氏のゲームプレイに合わせてオーケストラが演奏を奏でる、『新・光神話 パルテナの鏡』。桜井氏は、ライブ感を演出するために、あえて最高難度でのプレイに挑戦。桜井氏操るピットがやられると、演奏が即刻終了するという危機感溢れる展開だったが、桜井氏は東京公演に引き続き、見事にボスの初期化爆弾を撃破。その瞬間、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こっていた。

極上の音楽にファンが酔いしれた! “PRESS START 2012 -Symphony of Games-”名古屋公演リポート_02

 また、竹本氏から指揮をバトンタッチし、作曲者である酒井氏みずからがタクトを振るった『ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物』も大盛況。往年の名曲に、観客たちは聴き惚れていた。

ゲストと企画者が和気あいあいとトーク

 ここからは、名古屋公演に来場したゲストと企画者によるトークの内容を、抜粋してお届けしよう。

・『ファイナルファンタジーXI
ゲスト:水田直志氏(作曲家)、谷岡久美氏(作・編曲家)

酒井 水田さん、いまの演奏を聴いていかがでしたか?
水田 生のオーケストラを聴く機会はあまりないんです。今日は、舞台袖ですごく気持ちよく聴かせていただきました。
谷岡 オーケストラで演奏していただけるというのは、本当にうれしいものですね。
酒井 谷岡さんはピアノがお上手ですから、じつは自分で弾きたかったんじゃないですか?(笑)
谷岡 そうですね……(照れる)。(吹っ切るように)いやいや、皆さん最後まで楽しんでいってください! 

・『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女
ゲスト:なるけみちこ氏(作曲家)

なるけ (今回の公演の演奏が)本当に丁寧に仕上げていただいたと思っています。
酒井 今回の公演用の編曲が1回仕上がった後で、「やっぱり最後はノーラが箱庭に入っている感じにしたい」とこだわられて、3~4回調整したんですよね(笑)。
なるけ もう、本当にご面倒かけてすみません(笑)。
酒井 いやいや、僕はその姿勢から、なるけさんのこだわりを勉強させていただきましたよ。本当にありがとうございました! 

・『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ
ゲスト:下村陽子氏(作曲家)

下村 (演奏を聴いた興奮で)超感動して泣きそう(笑)。発売から10年以上経っているゲームで、いま、こんな風に演奏していただけると思わなかったので。コンサートは仕事での収録などと違ってその場限りの演奏ですから、より気持ちが盛り上がります。
植松 あの主題歌って何語で歌ってるんですか?
下村 スウェーデン語です。PRESS STARTのお話をいただいたときに、『Song of Mana』をやっていただきたいと思ったんです。だけど、スウェーデン語で歌えて、かつ、楽曲のイメージに合う歌手の方なんていないだろうなと思っていたら、「いる」と……。それで、ソフィさんの歌声を聴いてみたら、「いける!」となりました(笑)。言ってみるものですね。
植松 ほうほう!
下村 ラッキーとか偶然もありましたけど、いろいろな人のお力添えで今回の生演奏ができ上がった思うと、本当にグッとくるものがあります。
植松 ちょっといいこと言いましたね! 

・『イーハトーヴォ物語
ゲスト:多和田吏氏(作曲家)

植松 音楽は、メロディーやリズム、音色など、多くの要素でできているものですが、あえて選ぶなら、多和田さんは何に重きを置いていますか? 
多和田 まず、メロディーとハーモニーが重要だと思っています。これが決まると、おのずと呼吸感というか、リズムも決まってくると思いますので。
植松 なるほど。昔のゲームは使える音数が決まっていたから、和音のつけかたひとつとっても悩みませんでしたか?
多和田 そうですね、昔は苦労しましたね(笑)。

・『GOD EATER(ゴッドイーター)
ゲスト:椎名豪氏(作曲家)

椎名 『神と人と』は、今回の『ファイナルファンタジーXI』もアレンジした、宮野幸子さんに編曲をお願いしているんですが、その編曲がすごくすばらしいので、心に焼きつけて帰っていただければと思います。
酒井 この曲は本当によく書けていると思うんです。ピアノのコンチェルトにボーカルを乗せる、というようなイメージで書かれたと聞いたんですが……。
椎名 そうです。
酒井 音符の数で言ったら、公演中の楽曲でいちばん多いのではないかと思います。本当にすばらしい仕上がりなので、皆さんご堪能ください。

 こうしたやり取りがありつつ、コンサートは大盛況のもとに終了。すべての曲目が終わり、企画者、演奏者、ゲストが揃って来場者に一礼すると、会場は大きな拍手で包まれた。

極上の音楽にファンが酔いしれた! “PRESS START 2012 -Symphony of Games-”名古屋公演リポート_03

【セットリスト】
PRESS START 2012 -Symphony of Games- 名古屋公演 演奏楽曲

【第一部】
・『The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダースクロールズ V: スカイリム)
 Main Theme / The Dragonbone Comes(ボーカル:ドナ・バーク)

・『ファイナルファンタジーXI』
 Vana’diel March / Ronfaure / The Republic of Bastok / Sarutabaruta

・『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』
 刻の工房 / まいにちの暮らし / たたかいの刻

・『ダライアス
 MAIN THEMEーCHAOS(バンアレンベルト)/ BOSS SCENE 3 / BOSS SCENE 5 / BOSS SCENE 7

・『逆転裁判
 大いなる復活 ~御剣怜侍 / 成歩堂龍一 ~異議あり! / 追求 ~追いつめられて

・『ファミコン / 姫を救え!メドレー
 ドンキーコング / チャレンジャー / ドラゴンスピリット / ドラゴンバスター / ゼルダの伝説 / ドルアーガの塔 / 魔界村 / 影の伝説 / スーパーマリオブラザーズ / スーパーマリオブラザーズ2

・『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』
 メインテーマ / 彩りの大地 / ホームタウンドミナ / 滅びし煌きの都市 / Song of Mana(Opening)(ボーカル:ソフィ・ペルソン)

【第二部】
・『ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物』
 オープニング / 地平線の彼方に / 新たなる空 / 魔物たちとの戦い

・『ゼルダの伝説 スカイウォードソード
 女神の詩

・『新・光神話 パルテナの鏡』
 12章空中戦 初期化爆弾の恐怖

・『イーハトーヴォ物語』
 イーハトーヴォ賛歌

・『朧村正
 メインテーマ

・『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
 GRAVITY DAZE/重力的眩暈 / オルドノワ / 反抗と殲滅

・『GOD EATER(ゴッドイーター)』
 神と人と Vocal Ver.

【アンコール】
・『ファイナルファンタジーXI』
 FFXI Opening Theme

・『カービィのエアライド
 チェックナイト / サンドーラ / 伝説のエアライドマシン